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波乱の幕開け
④
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それから数日後。
圭也さんが、仕事から早く帰って来た。
「お帰りなさい、今日は早かったのね。」
玄関で出迎えると、圭也さんの後ろに人が立っていた。
「実は、部下が遊びに来たいと言い出して。」
「ええっ⁉」
急に?という事は、この時間だから、夕食も食べて行く?
献立は?材料ある?そもそも何人?
「えっと、何人くらい?」
「男二人に女一人。」
「三人だったら、大丈夫かも。」
「ごめんな。」
圭也さんは、後ろ三人に入れと言った。
「こんばんは。ご主人には、いつもお世話になっています。部下の近藤です。」
「早坂です。」
そして、私の事を上から下まで嘗め回している女性がいた。
「佐藤です。」
「主人がいつもお世話になっています。さあ、どうぞ。入って下さい。」
ちょっと引っかかる事はあるけれど、大丈夫大丈夫。
「適当に座っててくださいね。今、夕食準備しますから。」
「うわー、やったぁ!」
何だ、嬉しそうじゃん。
「最初、ビールある?」
「あっ、あるかも。」
本当は私が飲もうと思って買っておいた、缶ビール。
仕方ない!いいところ、見せる為だ。
私は、思い切って冷蔵庫の扉を開けて、缶ビールを取り出した。
「これ、飲んで下さい。」
「ありがとうございます!」
嬉しそうに缶ビールを開ける皆。
あー、私の缶ビールが。
そして、そんな事を思っている場合ではない。
献立。どうするよ。
再び冷蔵庫を開けて、目についたのは、お肉。
よし、これを焼こう。
付け合わせにする野菜も取り出して、適当にカット。
よかった。肉は焼くだけだから、簡単だった。
とは言っても、一品だけじゃ足りないか。
他はと。
冷蔵庫とにらめっこしながら、肉を焼いている間に、次々と料理をしていく。
「お待たせしました!」
出来上がった料理を、テーブルの上に置くと、皆から歓声の声が上がる。
「美味しそう!」
「いただきまーす。」
「あっ、ご飯とかありますか?」
「はい、ご飯ね。」
自分用に炊いていてよかった。
ビール飲みながら、肉とご飯。
皆、食べ盛りのように食べている。
こうして見ると、可愛いな。
「皆さんは、おいくつなんですか?」
「23です。」
「警察官になって、2年目です。」
明るいな。
圭也さんから伝わる責任の重さとか、感じない。
憧れの職業に就いて、ウキウキしてんのかな。
「美味い!さすがです!奥さん。」
奥さん!あまり言われた事のないワードに、ニヤッとする。
「いいですね。毎日、こんな夕食食べれるなんて。」
「ははは。」
何がはははだ。
夕食は、はっきり言って、どうしているのか分からない。
ゴミ箱には、コンビニのレシートが大量に捨ててあったから、たぶんコンビニ弁当で済ませているんだろうけど。
「奥さん、ご飯おかわりできますか?」
「はい。」
お茶碗を回収し、キッチンへと向かった。
「俺、トイレ行ってくる。」
圭也さんが立ち上がり、テーブルには3人だけになった。
「奥さん、いい人だな。」
「そう?思ったよりも普通じゃない?」
佐藤さんという女性の言葉に、ピクッとなった。
「あの一条さんの奥さんだから、もっと綺麗な人だと思ってた。」
おいおい、美人じゃなくて悪かったな!
「料理もとりわけ、美味しいってものじゃないし。」
はあああ?
何なの?あの佐藤って言う子。
どこまで私の文句を言うの?
私、何かした?
初対面のはずですけど⁉
すると他の男性二人が、笑い合っている。
「佐藤は、一条さんの事好きだからな。」
その瞬間、頭が真っ白になった。
「何がお見合いよ。愛情もないくせによく奥様面できるわ。」
私はしゃもじを、勢いよくご飯の中に突き刺した。
何?圭也さんを好きだと?
愛情もないのに、奥様面?
言いたい放題、言ってくれるわね。
その時、圭也さんがトイレから帰って来た。
私も、おかわりのご飯を、三人に渡す。
そしてちらっと佐藤さんを見ると、嬉しそうに圭也さんを見つめている。
あーあ。圭也さんを好きか。
そんな人がいても、仕方ないよね。
だって、こんなに素敵な人なんだもん。
「ところで奥さん、一条さんのどこに惚れたんですか!」
「ほっほーい!」
ビールに酔いしれたのか、男二人が悪酔いし始めた。
「どこって……頼りになるところです。」
「イエーイ!」
この日の夜は、皆の陽気に負けて、質問攻めにあった。
圭也さんが、仕事から早く帰って来た。
「お帰りなさい、今日は早かったのね。」
玄関で出迎えると、圭也さんの後ろに人が立っていた。
「実は、部下が遊びに来たいと言い出して。」
「ええっ⁉」
急に?という事は、この時間だから、夕食も食べて行く?
献立は?材料ある?そもそも何人?
「えっと、何人くらい?」
「男二人に女一人。」
「三人だったら、大丈夫かも。」
「ごめんな。」
圭也さんは、後ろ三人に入れと言った。
「こんばんは。ご主人には、いつもお世話になっています。部下の近藤です。」
「早坂です。」
そして、私の事を上から下まで嘗め回している女性がいた。
「佐藤です。」
「主人がいつもお世話になっています。さあ、どうぞ。入って下さい。」
ちょっと引っかかる事はあるけれど、大丈夫大丈夫。
「適当に座っててくださいね。今、夕食準備しますから。」
「うわー、やったぁ!」
何だ、嬉しそうじゃん。
「最初、ビールある?」
「あっ、あるかも。」
本当は私が飲もうと思って買っておいた、缶ビール。
仕方ない!いいところ、見せる為だ。
私は、思い切って冷蔵庫の扉を開けて、缶ビールを取り出した。
「これ、飲んで下さい。」
「ありがとうございます!」
嬉しそうに缶ビールを開ける皆。
あー、私の缶ビールが。
そして、そんな事を思っている場合ではない。
献立。どうするよ。
再び冷蔵庫を開けて、目についたのは、お肉。
よし、これを焼こう。
付け合わせにする野菜も取り出して、適当にカット。
よかった。肉は焼くだけだから、簡単だった。
とは言っても、一品だけじゃ足りないか。
他はと。
冷蔵庫とにらめっこしながら、肉を焼いている間に、次々と料理をしていく。
「お待たせしました!」
出来上がった料理を、テーブルの上に置くと、皆から歓声の声が上がる。
「美味しそう!」
「いただきまーす。」
「あっ、ご飯とかありますか?」
「はい、ご飯ね。」
自分用に炊いていてよかった。
ビール飲みながら、肉とご飯。
皆、食べ盛りのように食べている。
こうして見ると、可愛いな。
「皆さんは、おいくつなんですか?」
「23です。」
「警察官になって、2年目です。」
明るいな。
圭也さんから伝わる責任の重さとか、感じない。
憧れの職業に就いて、ウキウキしてんのかな。
「美味い!さすがです!奥さん。」
奥さん!あまり言われた事のないワードに、ニヤッとする。
「いいですね。毎日、こんな夕食食べれるなんて。」
「ははは。」
何がはははだ。
夕食は、はっきり言って、どうしているのか分からない。
ゴミ箱には、コンビニのレシートが大量に捨ててあったから、たぶんコンビニ弁当で済ませているんだろうけど。
「奥さん、ご飯おかわりできますか?」
「はい。」
お茶碗を回収し、キッチンへと向かった。
「俺、トイレ行ってくる。」
圭也さんが立ち上がり、テーブルには3人だけになった。
「奥さん、いい人だな。」
「そう?思ったよりも普通じゃない?」
佐藤さんという女性の言葉に、ピクッとなった。
「あの一条さんの奥さんだから、もっと綺麗な人だと思ってた。」
おいおい、美人じゃなくて悪かったな!
「料理もとりわけ、美味しいってものじゃないし。」
はあああ?
何なの?あの佐藤って言う子。
どこまで私の文句を言うの?
私、何かした?
初対面のはずですけど⁉
すると他の男性二人が、笑い合っている。
「佐藤は、一条さんの事好きだからな。」
その瞬間、頭が真っ白になった。
「何がお見合いよ。愛情もないくせによく奥様面できるわ。」
私はしゃもじを、勢いよくご飯の中に突き刺した。
何?圭也さんを好きだと?
愛情もないのに、奥様面?
言いたい放題、言ってくれるわね。
その時、圭也さんがトイレから帰って来た。
私も、おかわりのご飯を、三人に渡す。
そしてちらっと佐藤さんを見ると、嬉しそうに圭也さんを見つめている。
あーあ。圭也さんを好きか。
そんな人がいても、仕方ないよね。
だって、こんなに素敵な人なんだもん。
「ところで奥さん、一条さんのどこに惚れたんですか!」
「ほっほーい!」
ビールに酔いしれたのか、男二人が悪酔いし始めた。
「どこって……頼りになるところです。」
「イエーイ!」
この日の夜は、皆の陽気に負けて、質問攻めにあった。
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