21 / 53
第3章 プロポーズ
④
しおりを挟む
ティドが聞くと、ヴィックはテーブルの上にあった薄い本を、手渡した。
ティドがそれを開くと、とても綺麗なお姫様が映っていた。
「隣国のナタリー姫だ。」
胸が痛い。
ヴィックは、こんな綺麗な人と結婚するんだ。
「解かったよ、ヴィック。」
私はソファから立ち上がった。
「綺麗なお姫様だね。おめでとう、ヴィック。」
「アンヌ、待ってくれ。」
ヴィックが差し出した手を、ティドは遮った。
「……俺は、皇帝閣下に逆らう気持ちなんて、さらさらない。だが、この話だけは、違う!」
ティドは、体を震わせていた。
「皇帝閣下。あなたが、アンヌに惚れているのは、知っていた。」
私は驚いて、口元を両手で覆った。
もしかして、私達お互い想い合っていたの?
「でも、隣国のお姫様と結婚するなんて、話が違うんじゃないか?」
「ティド、落ち着け。僕が言いたいのは……」
「落ち着いたところで、何も変わらない。どうせあんたは、アンヌを愛妾にする気なんだろう。」
私の胸に、何かが刺さった。
「そんな事はない!僕の話を聞いてくれ!」
「妾にする話なんて、聞きたかないね。」
ティドは私の腕を掴むと、部屋を出た。
「ティド、待ってくれ!アンヌを連れて行かないでくれ!」
ティドがそれを開くと、とても綺麗なお姫様が映っていた。
「隣国のナタリー姫だ。」
胸が痛い。
ヴィックは、こんな綺麗な人と結婚するんだ。
「解かったよ、ヴィック。」
私はソファから立ち上がった。
「綺麗なお姫様だね。おめでとう、ヴィック。」
「アンヌ、待ってくれ。」
ヴィックが差し出した手を、ティドは遮った。
「……俺は、皇帝閣下に逆らう気持ちなんて、さらさらない。だが、この話だけは、違う!」
ティドは、体を震わせていた。
「皇帝閣下。あなたが、アンヌに惚れているのは、知っていた。」
私は驚いて、口元を両手で覆った。
もしかして、私達お互い想い合っていたの?
「でも、隣国のお姫様と結婚するなんて、話が違うんじゃないか?」
「ティド、落ち着け。僕が言いたいのは……」
「落ち着いたところで、何も変わらない。どうせあんたは、アンヌを愛妾にする気なんだろう。」
私の胸に、何かが刺さった。
「そんな事はない!僕の話を聞いてくれ!」
「妾にする話なんて、聞きたかないね。」
ティドは私の腕を掴むと、部屋を出た。
「ティド、待ってくれ!アンヌを連れて行かないでくれ!」
0
お気に入りに追加
186
あなたにおすすめの小説
聖獣の卵を保護するため、騎士団長と契約結婚いたします。仮の妻なのに、なぜか大切にされすぎていて、溺愛されていると勘違いしてしまいそうです
石河 翠
恋愛
騎士団の食堂で働くエリカは、自宅の庭で聖獣の卵を発見する。
聖獣が大好きなエリカは保護を希望するが、領主に卵を預けるようにと言われてしまった。卵の保護主は、魔力や財力、社会的な地位が重要視されるというのだ。
やけになったエリカは場末の酒場で酔っ払ったあげく、通りすがりの騎士団長に契約結婚してほしいと唐突に泣きつく。すると意外にもその場で承諾されてしまった。
女っ気のない堅物な騎士団長だったはずが、妻となったエリカへの態度は甘く優しいもので、彼女は思わずときめいてしまい……。
素直でまっすぐ一生懸命なヒロインと、実はヒロインにずっと片思いしていた真面目な騎士団長の恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID749781)をお借りしております。
王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~
石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。
食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。
そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。
しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。
何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。
扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
地味女は、変わりたい~告白するために必死で自分磨きをしましたが、相手はありのままの自分をすでに受け入れてくれていました~
石河 翠
恋愛
好きな相手に告白するために、自分磨きを決心した地味で冴えない主人公。彼女は全財産を握りしめ、訪れる女性をすべて美女に変えてきたという噂の美容サロンに向かう。
何とか客として認めてもらった彼女だが、レッスンは修行のような厳しさ。彼女に美を授けてくれる店主はなんとも風変わりな男性で、彼女はなぜかその店主に自分の好きな男性の面影を見てしまう。
少しずつ距離を縮めるふたりだが、彼女は実家からお見合いを受けるようにと指示されていた。告白は、彼女にとって恋に区切りをつけるためのものだったのだ。
そして告白当日。玉砕覚悟で挑んだ彼女は告白の返事を聞くことなく逃走、すると相手が猛ダッシュで追いかけてきて……。
自分に自信のない地味な女性と、容姿が優れすぎているがゆえにひねくれてしまった男性の恋物語。もちろんハッピーエンドです。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
【完結】伯爵の愛は狂い咲く
白雨 音
恋愛
十八歳になったアリシアは、兄の友人男爵子息のエリックに告白され、婚約した。
実家の商家を手伝い、友人にも恵まれ、アリシアの人生は充実し、順風満帆だった。
だが、町のカーニバルの夜、それを脅かす出来事が起こった。
仮面の男が「見つけた、エリーズ!」と、アリシアに熱く口付けたのだ!
そこから、アリシアの運命の歯車は狂い始めていく。
両親からエリックとの婚約を解消し、年の離れた伯爵に嫁ぐ様に勧められてしまう。
「結婚は愛した人とします!」と抗うアリシアだが、運命は彼女を嘲笑い、
その渦に巻き込んでいくのだった…
アリシアを恋人の生まれ変わりと信じる伯爵の執愛。
異世界恋愛、短編:本編(アリシア視点)前日譚(ユーグ視点)
《完結しました》
私に一目惚れしたなどと初対面のイケメンが言うので、詐欺師かと思い、金づるとして塩対応するつもりでいたら、できなかった上に外堀を埋められていた
石河 翠
恋愛
街で陶磁器のお直し屋として働いている主人公。彼女はある日、見惚れるような美青年に告白される。一目惚れだという彼を一蹴した主人公だが、不本意にもときめいてしまった。
翌日、彼女の仕事場に再び謎の美青年が現れる。壊れた皿を直してほしいと依頼してきた彼。一時は金づるとして扱おうと思うものの、誠実な彼の言葉に彼女は通常のお客さまとして対応することを決める。そして修繕期間をともに過ごすうちに、彼への恋心が生まれてしまうのだった。
身分の差から自分たちの恋に望みはないと、あくまで店員とお客さまとの関係を崩さない彼女だったが、納品の日に彼の祖父母に結婚したい女性だと紹介されて……。
真面目で地に足ついた生活を望むヒロインと、夢を叶えるために猪突猛進するヒーローとの恋物語。ハッピーエンドです。
舞台は架空の異世界です。陶磁器についての記述は、歴史的事実とは別にふんわりざっくりお楽しみください。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる