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新しい環境

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いいじゃない、いいじゃない。

彼ならきっと、二課をうまくまとめてくれるわよ。

「斉藤さん、隣がいなくなって寂しそうね。」

青川君はチラッとだけ、斉藤さんを見た。

「来年になれば、新しい人が来ますよ。」

私は目をぱちくりさせる。

「意外とあっさりしてるのね。」

もしかして、柚希ちゃんの片思い?

「彼女、俺がいなくなっても、仕事しなきゃいけないんです。」

青川君は、どことなく彼女を見つめた。

「斉藤さんは、アバウトなところがあって、一見腰掛けのように見えますが、実はキャリア志向が強いんです。」

「そうなの?」

確かに結婚したら、アルバイトがいいって言いそうな子だけど。

「浅見課長のようなキャリアウーマンになりたいそうです。彼女の事、可愛がってあげてください。」

えっ?私みたいになりたい?

私が柚希ちゃんを見ると、彼女はニコッと笑った。

今どきの明るい髪の女の子。服装はスーツが多いけれど、パステルカラーのシャツを着こなす男子受けしそうな女子。

化粧は薄いが、目がぱっちり。まつ毛も長い。

よく見ると、モテそうじゃない?

「ねえ、斉藤さんって彼氏いるの?」

「さあ。」

さあ⁉君じゃないのか!青川君!

「プライベートは一切、関わっていないので。」


― 斉藤が、青川Loveなんだよ。 -


ごめん、柊真。柚希ちゃん、青川君の彼女じゃないみたいよ。

「浅見課長、荷物はここでいいですか?」

「あっ、うん。」

柊真が使ってたデスクを見ると、彼が使ってた手帳が、そっと置かれていた。

「これ……」

私がその手帳を手に取り、表紙をめくると、そこには彼の文字があった。

【これが恭香の力になりますように。】

更にページをめくると、一課の日誌みたいなモノが書かれていた。

そこには一人一人の仕事振りや、失敗点、次はどうしたらいいか。

細かく書かれていた。

「ありがとう、柊真。」

そして私は、一課の皆を見た。

「今日から宜しくね、一課の皆。」

「はいっ!」

大丈夫。皆、あの柊真の下で働いてたんだもの。

「青川課長には、今から承認の仕方を教えるから、私のデスクに来て下さい。その間、二課の承認は……」

「俺がやる。」

柊真が手を挙げた。

「って言うか、青川が慣れるまで一課の承認も、引き続き俺がやるから。」

「はい。」

さすがは結城部長、早速助けに来てくれる。

「早速来ました。浅見課長。」

青川君がメモ帳と椅子を持ってやって来た。

そのメモ帳を見て、柊真の新人の頃を思い出した。

「ふふふ。」

「何ですか?」

青川君が不思議がる。

「ごめんね。ちょっと知り合いのメモ帳と青川君のメモ帳が似ていて。」

「……それって、結城部長ですか?」

私は青川君をまじまじと見た。

「よく分かったわね。」

「だと嬉しいなと思っただけです。」

結構、青川君も柊真の事目標にしてるじゃない。


「じゃあ、このシステムはいつも使ってるわね。」

青川君は、本当にメモを取るのが早くて、しかもそれが綺麗な字だったから、余計に驚いた。

「ここを確認したら、ここに名前を入力して、承認ボタンを押す……」

私は柊真に見守られながら、青川君に承認の仕方を教え始めた。
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