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釣り合わない
③
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「えっ!?」
ジャミレトさんは、顔が引きつっていた。
「そして僕は、このチナを正妻に迎えます。」
「そんな!」
ジャミレトさんのお父さんとお母さんは、肩を寄せ合い、嘆いている。
「アムジャド皇太子は、いままで誠意を尽くしてきたジャミレトを、捨てるおつもりですか。」
「婚約破棄の事は、大変申し訳ないと思っています。だが僕は、自分の気持ちに嘘はつけない。」
はっきりと言ってくれたアムジャドの顔を、しっかり見た。
そうよ。
一人の男性に正妻は、一人しか迎えられない。
私がアムジャドと結婚するって事は、ジャミレトさんに退いてもらうしかないのだ。
「待て、アムジャド。」
アムジャドとジャミレトさんの間に、アムジャドのお父さんが入った。
「ジャミレトとの婚約破棄は、私が許さない。」
「父王!」
「おまえの気持ちも分かる。それ故、妾妃に迎えてもいいと言っているだろう。だがモルテザー王国の者以外が、王妃につくのは無理だ。」
涙が流れた。
やっぱり日本人の私では、アムジャドと結婚できないの?
「父王。僕は、チナしか欲しくありません。僕が永遠を誓う相手は、チナなんです。ジャミレトではない。」
「ジャミレトは、私が決めた花嫁だ。ジャミレト以外の女と、結婚するのは、絶対に許さん。」
「どうして、そんなにモルテザー王国の者に拘るのですか?血筋ですか?モルテザー王国の者以外の血が、王室に流れるのが、そんなに嫌なんですか?」
「ああ、そうだ。」
「ならば愚かな考えだ。僕はチナを愛している。その人の血を愛おしいとも思っている。日本人の血が王室に混ざるのは、愛故の事だ。」
「おまえは何か勘違いしている。王室を存続させる為に、愛など必要ない。必要な事は、血筋だ。」
「ならば私がジャミレトと結婚して、妾妃にチナを迎えるとしましょう。おそらくジャミレトに子は生まれない。産まれるのは、チナとの間の子供だけでしょう。」
「ああ……」
ジャミレトさんのお母さんは、床に膝間づいてしまった。
「お母さん。」
ジャミレトさんは、お母さんの側に。
「なんてこと……ジャミレトを未来の王妃として、国王の母として、幼い頃から厳しく育ててきたと言うのに……これではジャミレトが可哀相だわ。」
「全くだ。なぜその日本人ではないといけないのか。」
「愛しているからです。それ以外に理由などない。」
アムジャドのきっぱりとした発言で、私の涙も不安も吹き飛んだ。
「アムジャトのお父さん。」
「何だ。」
「私、本当にアムジャドの事を愛しています。生涯アムジャドだけだと誓えます。どうか、私達の結婚を許して頂けないでしょうか。」
「チナ……」
私とアムジャドは、手を握り体を寄せ合った。
「父王。この通りです。チナと結婚できないのならば、私は皇太子の地位を降ります。」
「なに!?後は誰が継ぐのだ。」
「弟達の誰かが継げばいいでしょう。僕はチナの事を、最優先に考える。」
「そこまで……」
アムジャドのお父さんは、椅子の上で倒れそうになった。
「王よ。大丈夫ですか?」
ジャミレトさんが、王を支えた。
「ああ、ジャミレト。こんな事になってしまった事を許してくれ。全ては私の責任だ。」
「何を仰いますか。王は何も悪くはありません。」
するとジャミレトさんは、私をきつい目で見た。
「悪いのは、アムジャド皇太子をそそのかした、あの女です。」
そう言って指を指された。
「アムジャド皇太子は、あの女にそそのかされているのです。」
「そんな!」
私は初めて、ジャミレトさんに反抗した。
「私はアムジャドをそそのかしてなんかいないわ。真剣に愛し合っているだけよ!」
「そう思わせているのが、そそのかしていると言うのよ!」
ジャミレトさんは、鋭い目で私を射抜いた。
「アムジャド皇太子を、元に戻して!モルテザー王国に必要な方よ!あなたが奪っていい権利なんて、何一つない!」
私の目から、涙が溢れた。
「ただアムジャドを愛しただけなのに、どうしてそんな事を言われなきゃいけないの?」
ジャミレトさんは、顔が引きつっていた。
「そして僕は、このチナを正妻に迎えます。」
「そんな!」
ジャミレトさんのお父さんとお母さんは、肩を寄せ合い、嘆いている。
「アムジャド皇太子は、いままで誠意を尽くしてきたジャミレトを、捨てるおつもりですか。」
「婚約破棄の事は、大変申し訳ないと思っています。だが僕は、自分の気持ちに嘘はつけない。」
はっきりと言ってくれたアムジャドの顔を、しっかり見た。
そうよ。
一人の男性に正妻は、一人しか迎えられない。
私がアムジャドと結婚するって事は、ジャミレトさんに退いてもらうしかないのだ。
「待て、アムジャド。」
アムジャドとジャミレトさんの間に、アムジャドのお父さんが入った。
「ジャミレトとの婚約破棄は、私が許さない。」
「父王!」
「おまえの気持ちも分かる。それ故、妾妃に迎えてもいいと言っているだろう。だがモルテザー王国の者以外が、王妃につくのは無理だ。」
涙が流れた。
やっぱり日本人の私では、アムジャドと結婚できないの?
「父王。僕は、チナしか欲しくありません。僕が永遠を誓う相手は、チナなんです。ジャミレトではない。」
「ジャミレトは、私が決めた花嫁だ。ジャミレト以外の女と、結婚するのは、絶対に許さん。」
「どうして、そんなにモルテザー王国の者に拘るのですか?血筋ですか?モルテザー王国の者以外の血が、王室に流れるのが、そんなに嫌なんですか?」
「ああ、そうだ。」
「ならば愚かな考えだ。僕はチナを愛している。その人の血を愛おしいとも思っている。日本人の血が王室に混ざるのは、愛故の事だ。」
「おまえは何か勘違いしている。王室を存続させる為に、愛など必要ない。必要な事は、血筋だ。」
「ならば私がジャミレトと結婚して、妾妃にチナを迎えるとしましょう。おそらくジャミレトに子は生まれない。産まれるのは、チナとの間の子供だけでしょう。」
「ああ……」
ジャミレトさんのお母さんは、床に膝間づいてしまった。
「お母さん。」
ジャミレトさんは、お母さんの側に。
「なんてこと……ジャミレトを未来の王妃として、国王の母として、幼い頃から厳しく育ててきたと言うのに……これではジャミレトが可哀相だわ。」
「全くだ。なぜその日本人ではないといけないのか。」
「愛しているからです。それ以外に理由などない。」
アムジャドのきっぱりとした発言で、私の涙も不安も吹き飛んだ。
「アムジャトのお父さん。」
「何だ。」
「私、本当にアムジャドの事を愛しています。生涯アムジャドだけだと誓えます。どうか、私達の結婚を許して頂けないでしょうか。」
「チナ……」
私とアムジャドは、手を握り体を寄せ合った。
「父王。この通りです。チナと結婚できないのならば、私は皇太子の地位を降ります。」
「なに!?後は誰が継ぐのだ。」
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「そこまで……」
アムジャドのお父さんは、椅子の上で倒れそうになった。
「王よ。大丈夫ですか?」
ジャミレトさんが、王を支えた。
「ああ、ジャミレト。こんな事になってしまった事を許してくれ。全ては私の責任だ。」
「何を仰いますか。王は何も悪くはありません。」
するとジャミレトさんは、私をきつい目で見た。
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そう言って指を指された。
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「そんな!」
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「私はアムジャドをそそのかしてなんかいないわ。真剣に愛し合っているだけよ!」
「そう思わせているのが、そそのかしていると言うのよ!」
ジャミレトさんは、鋭い目で私を射抜いた。
「アムジャド皇太子を、元に戻して!モルテザー王国に必要な方よ!あなたが奪っていい権利なんて、何一つない!」
私の目から、涙が溢れた。
「ただアムジャドを愛しただけなのに、どうしてそんな事を言われなきゃいけないの?」
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