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深雪 ~みゆき~
①
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その翁が訪ねて来たのは、旦那様が亡くなられて、間もなくの事だった。
「突然、訪ねてしまってすまないね。」
「いいえ。こちらは一人暮らしですから、返って誰かが来て下さると嬉しいんです。」
ずっと真木家にお仕えして、結婚もせず独り身でいた私は、近くに借家を借りて、住んでいた。
「それで……お話を伺いたいと言うのは……」
「ああ、実はご主人との話を、お聞かせ願いたい。」
「旦那様との?」
お茶を出す私の手が、止まった。
そっと、翁の目を見てみる。
このお方は、なぜそのような事を申されるのか。
「……ご主人の、真木伸太郎さんの、姉君のようなお方だったと、お聞きしています。」
「……姉君ですか。」
私は隣の部屋にある、テーブルと椅子を眺めた。
珍しい洋式のテーブルと椅子で、私と旦那様は、いつもここに座りながら、お酒を飲んでいた。
「そうですね……少しだけ思い出話に、付き合って頂けますか?」
私があの方と、初めてお会いしたのは、まだ私が16歳の頃でした。
先代から続く大きな病院の家で、数人の奉公人を雇っていた真木家に働くようになって、1年目のこと。
優しかった奥様が亡くなり、そのお葬式での事だったんです。
当時まだ 紳太郎さんは11歳。
母親が亡くなった悲しさに、じっと耐えながら、8歳の妹の面倒を見ている、そんなお方でした。
私が、お葬式に来た方達のお世話をするのに、パタパタと廊下を、小走りで歩いていると、庭の片隅で、腕で顔を覆いながら、泣いているあのお方を見かけました。
その前には、奥様が植えたという花畑があって、紳太郎さんは、亡くなったお母様を思い出して、泣いておられたのでしょう。
その時私は、まだ奉公人の中でも下の方で、お子様達に、声を掛けることもできない身分でしたが、私も15歳で親元を離れてきたので、母が恋しいと泣く気持ちも理解でき、一緒に涙を流していたのを、よく覚えています。
それから2年後の事。
私は奉公も三年目になり、旦那さまにも顔を知って頂くようになって、そのついでに、お子様達とも話すようになっていました。
割と年齢も近いこともあって、話が弾んでは、上の人に怒られる事も度々でした。
そんな18歳の夏、旦那さまに呼ばれ、部屋にお伺いした時のことでした。
「旦那様、深雪(ミユキ)です。」
扉の外で自分の名を名乗ると、「入りなさい。」と、旦那さまの声が聞こえました。
「失礼します。」
私が部屋に入ると、旦那さまのお側には、二人のお子様が、座ってらっしゃいました。
向かって右側、旦那様の横には長男の倫太郎様。
左側には、ご次男の紳太郎様がいらっしゃいました。
「深雪、今日呼んだのは他でもない。おまえに頼みごとがあるんだ。」
「はい。」
「おまえも知っての通り、妻が亡くなってもう2年になる。息子達も大きくなって、身の回りの世話をするものが必要だ。」
「はい。」
「そこでどうだろう。おまえに、息子の世話を頼みたいんだが……」
私は驚いて、返事もできずにいました。
「いいだろう。息子達はおまえに、よく懐いているようだし。」
「はい。」
懐いていると言っても、時々お話をさせて頂くだけ。
とんでもない事になったわ。
そう思いながら顔を上げて、ちらっとお子様たちを見ると、16歳になった倫太郎様と13歳になった紳太郎様が、顔を見合せて、笑っていらっしゃいました。
お二人とも、私がお世話係になったのが、とても嬉しいと言うような、表情をしてらしたんです。
「お前の申し出が通ってよかったな、紳太郎。」
「はい、兄さん。」
何のことか分からずに、目をパチクリさせていると、倫太郎さんが教えてくれました。
「世話係りに、深雪を推薦したのは、紳太郎なんだよ。」
「紳太郎さんが?」
そう言うと、紳太郎さんは無邪気な笑顔を、私に見せて下さったのです。
そうなると、私もお断りする事もできず、その次の日から、倫太郎さんと紳太郎さんの、身の回りの世話が始まったのです。
ですが二人はまだ、16歳と13歳。
幼さが少しだけ、残っていらっしゃって。
朝、起きてお二人の元へ行くと、倫太郎様はもう起きていて、ご自分が寝ていらしゃった布団をたたんでいたりするのですが、紳太郎様は決まって、布団の中。
学校に遅れますよと、起こして差し上げると、眠い目をこすって、ゆっくり起き上がるのが、私達の日課でしたね。
ところで真木家というのは、倫太郎様と紳太郎様の、お爺様の代から医者の家系なんです。
経営なさっている病院も、地元では有名で大きなところだったんです。
当然の如く、お二人とも医者になるように、言い聞かされておりました。
ですから、学校も周りの方々が通っている普通の学校ではなく、医者や政治家、実業家、そんな人を多く輩出している学校に、通っていらっしゃいました。
ああ、お勉強の方ですか?
ええ。
倫太郎様も紳太郎様も、勉強に関しては何の不満も言わずに、一生懸命、頑張っていらしゃいましたよ。
お二人とも、旦那様の後を継いで、立派な医者になるのだと、仰っていましたから。
ところでお二人には、妹さまが一人いらっしゃって、名前を風音(カザネ)様と言いました。
お二人とも、特に紳太郎様は、この風音様を可愛がっていらしたんです。
ただ風音様は、生まれつき身体が弱い方で、いつも床に臥せっているようなお子様でした。
こんな事言うのもあれなんですがね。
とにかく、お金は持っている家でしたから、風音様には専属の医者、何人かの家政婦もつき、24時間お世話している状態でした。
甘やかしている?
傍から見れば、そう見えるのでしょうけど、当の風音様は重い心臓の病気で、いつ心臓が止まってもおかしくない状態だったんです。
その中で紳太郎様は、時々本を読んであげたり、一緒に双六をしたり。
珍しいお菓子をもらってきたと言っては、風音様へ持って行ってあげる、そんなおお優しいお兄様でしたね。
ああ、お二人に妹様がいらっしゃったのを、初めて聞きましたか?
あまり知られていないことですからね。
特別な事情というほどでもないのですが、妹の風音様は看病の甲斐もなく、幼い頃にお亡くなりになってしまったんです。
それはある雪の日、いつものように、紳太郎様が帰ってらっしゃった時でした。
「ただいま帰ったよ、深雪。」
「お帰りなさいませ。」
「何か変わった事は?」
鞄を置きながら、そう私に聞くのが、紳太郎様の口癖でした。
「特に変わったことは……」
私がそう言おうとした時でした。
「失礼します!」
風音様についている家政婦の一人が、急いでやってきたんです。
「どうしたのです?」
私が尋ねると、その家政婦の体は、震えていました。
「紳太郎様、早く……早く、風音様の元へ……」
只事ではない表情に、私と紳太郎様は、急いで風音様の部屋へ、向かったのですが………
「紳太郎…」
既に倫太郎様はいらっしゃっていて、風音様の小さな手を握っておいででした。
「たった今…逝ってしまった……」
紳太郎様は、その場に崩れ落ちてしまって、這いながら風音様の枕元へ。
「風音……風音!!」
何度も風音様の身体を揺らして、終いには、その亡骸にすがっておいででした。
そして、その後。
部屋に戻った紳太郎様が一言。
「深雪。」
「はい。」
「俺は、医者になりたくない。」
あんなに立派な医者になると、仰っていた紳太郎様が、そんな言葉を口にされるなんて。
「紳太郎様?」
「風音は結局、死んでしまったじゃないか。」
生きとし生ける者、全て死ぬ時が来る。
風音様は、人よりもその時が早かっただけ。
そう分かっていても、紳太郎様にかけて差し上げる言葉も見つからず、私はただ俯いて、あの方のお側にいるだけでした。
「突然、訪ねてしまってすまないね。」
「いいえ。こちらは一人暮らしですから、返って誰かが来て下さると嬉しいんです。」
ずっと真木家にお仕えして、結婚もせず独り身でいた私は、近くに借家を借りて、住んでいた。
「それで……お話を伺いたいと言うのは……」
「ああ、実はご主人との話を、お聞かせ願いたい。」
「旦那様との?」
お茶を出す私の手が、止まった。
そっと、翁の目を見てみる。
このお方は、なぜそのような事を申されるのか。
「……ご主人の、真木伸太郎さんの、姉君のようなお方だったと、お聞きしています。」
「……姉君ですか。」
私は隣の部屋にある、テーブルと椅子を眺めた。
珍しい洋式のテーブルと椅子で、私と旦那様は、いつもここに座りながら、お酒を飲んでいた。
「そうですね……少しだけ思い出話に、付き合って頂けますか?」
私があの方と、初めてお会いしたのは、まだ私が16歳の頃でした。
先代から続く大きな病院の家で、数人の奉公人を雇っていた真木家に働くようになって、1年目のこと。
優しかった奥様が亡くなり、そのお葬式での事だったんです。
当時まだ 紳太郎さんは11歳。
母親が亡くなった悲しさに、じっと耐えながら、8歳の妹の面倒を見ている、そんなお方でした。
私が、お葬式に来た方達のお世話をするのに、パタパタと廊下を、小走りで歩いていると、庭の片隅で、腕で顔を覆いながら、泣いているあのお方を見かけました。
その前には、奥様が植えたという花畑があって、紳太郎さんは、亡くなったお母様を思い出して、泣いておられたのでしょう。
その時私は、まだ奉公人の中でも下の方で、お子様達に、声を掛けることもできない身分でしたが、私も15歳で親元を離れてきたので、母が恋しいと泣く気持ちも理解でき、一緒に涙を流していたのを、よく覚えています。
それから2年後の事。
私は奉公も三年目になり、旦那さまにも顔を知って頂くようになって、そのついでに、お子様達とも話すようになっていました。
割と年齢も近いこともあって、話が弾んでは、上の人に怒られる事も度々でした。
そんな18歳の夏、旦那さまに呼ばれ、部屋にお伺いした時のことでした。
「旦那様、深雪(ミユキ)です。」
扉の外で自分の名を名乗ると、「入りなさい。」と、旦那さまの声が聞こえました。
「失礼します。」
私が部屋に入ると、旦那さまのお側には、二人のお子様が、座ってらっしゃいました。
向かって右側、旦那様の横には長男の倫太郎様。
左側には、ご次男の紳太郎様がいらっしゃいました。
「深雪、今日呼んだのは他でもない。おまえに頼みごとがあるんだ。」
「はい。」
「おまえも知っての通り、妻が亡くなってもう2年になる。息子達も大きくなって、身の回りの世話をするものが必要だ。」
「はい。」
「そこでどうだろう。おまえに、息子の世話を頼みたいんだが……」
私は驚いて、返事もできずにいました。
「いいだろう。息子達はおまえに、よく懐いているようだし。」
「はい。」
懐いていると言っても、時々お話をさせて頂くだけ。
とんでもない事になったわ。
そう思いながら顔を上げて、ちらっとお子様たちを見ると、16歳になった倫太郎様と13歳になった紳太郎様が、顔を見合せて、笑っていらっしゃいました。
お二人とも、私がお世話係になったのが、とても嬉しいと言うような、表情をしてらしたんです。
「お前の申し出が通ってよかったな、紳太郎。」
「はい、兄さん。」
何のことか分からずに、目をパチクリさせていると、倫太郎さんが教えてくれました。
「世話係りに、深雪を推薦したのは、紳太郎なんだよ。」
「紳太郎さんが?」
そう言うと、紳太郎さんは無邪気な笑顔を、私に見せて下さったのです。
そうなると、私もお断りする事もできず、その次の日から、倫太郎さんと紳太郎さんの、身の回りの世話が始まったのです。
ですが二人はまだ、16歳と13歳。
幼さが少しだけ、残っていらっしゃって。
朝、起きてお二人の元へ行くと、倫太郎様はもう起きていて、ご自分が寝ていらしゃった布団をたたんでいたりするのですが、紳太郎様は決まって、布団の中。
学校に遅れますよと、起こして差し上げると、眠い目をこすって、ゆっくり起き上がるのが、私達の日課でしたね。
ところで真木家というのは、倫太郎様と紳太郎様の、お爺様の代から医者の家系なんです。
経営なさっている病院も、地元では有名で大きなところだったんです。
当然の如く、お二人とも医者になるように、言い聞かされておりました。
ですから、学校も周りの方々が通っている普通の学校ではなく、医者や政治家、実業家、そんな人を多く輩出している学校に、通っていらっしゃいました。
ああ、お勉強の方ですか?
ええ。
倫太郎様も紳太郎様も、勉強に関しては何の不満も言わずに、一生懸命、頑張っていらしゃいましたよ。
お二人とも、旦那様の後を継いで、立派な医者になるのだと、仰っていましたから。
ところでお二人には、妹さまが一人いらっしゃって、名前を風音(カザネ)様と言いました。
お二人とも、特に紳太郎様は、この風音様を可愛がっていらしたんです。
ただ風音様は、生まれつき身体が弱い方で、いつも床に臥せっているようなお子様でした。
こんな事言うのもあれなんですがね。
とにかく、お金は持っている家でしたから、風音様には専属の医者、何人かの家政婦もつき、24時間お世話している状態でした。
甘やかしている?
傍から見れば、そう見えるのでしょうけど、当の風音様は重い心臓の病気で、いつ心臓が止まってもおかしくない状態だったんです。
その中で紳太郎様は、時々本を読んであげたり、一緒に双六をしたり。
珍しいお菓子をもらってきたと言っては、風音様へ持って行ってあげる、そんなおお優しいお兄様でしたね。
ああ、お二人に妹様がいらっしゃったのを、初めて聞きましたか?
あまり知られていないことですからね。
特別な事情というほどでもないのですが、妹の風音様は看病の甲斐もなく、幼い頃にお亡くなりになってしまったんです。
それはある雪の日、いつものように、紳太郎様が帰ってらっしゃった時でした。
「ただいま帰ったよ、深雪。」
「お帰りなさいませ。」
「何か変わった事は?」
鞄を置きながら、そう私に聞くのが、紳太郎様の口癖でした。
「特に変わったことは……」
私がそう言おうとした時でした。
「失礼します!」
風音様についている家政婦の一人が、急いでやってきたんです。
「どうしたのです?」
私が尋ねると、その家政婦の体は、震えていました。
「紳太郎様、早く……早く、風音様の元へ……」
只事ではない表情に、私と紳太郎様は、急いで風音様の部屋へ、向かったのですが………
「紳太郎…」
既に倫太郎様はいらっしゃっていて、風音様の小さな手を握っておいででした。
「たった今…逝ってしまった……」
紳太郎様は、その場に崩れ落ちてしまって、這いながら風音様の枕元へ。
「風音……風音!!」
何度も風音様の身体を揺らして、終いには、その亡骸にすがっておいででした。
そして、その後。
部屋に戻った紳太郎様が一言。
「深雪。」
「はい。」
「俺は、医者になりたくない。」
あんなに立派な医者になると、仰っていた紳太郎様が、そんな言葉を口にされるなんて。
「紳太郎様?」
「風音は結局、死んでしまったじゃないか。」
生きとし生ける者、全て死ぬ時が来る。
風音様は、人よりもその時が早かっただけ。
そう分かっていても、紳太郎様にかけて差し上げる言葉も見つからず、私はただ俯いて、あの方のお側にいるだけでした。
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