【R18】Gentle rain

日下奈緒

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心と体

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身体を伸ばしている大我と、酔って項垂れながら水を飲んでいる俺の目が合う。

「それもそうか。階堂は美雨を愛しているんだっけ?」

「ああ、そうだよ。美雨に手を出すなんて、一生許さない。」

そう言って、二人で気が抜けたのか、ふはははっと力無く笑った。


だが次の瞬間、太我は俺の腕を、ギュッと握った。

「階堂。だとしたら、森川社長に気をつけるんだ。」

「ああ……わかってる。」


森川社長は、曲者だ。

一筋縄では相手できない。


「何か森川社長とあったのか?」

「ああ。俺の会社の株主の一人だ。」

「株主!?筆頭じゃあないだろうな!!」

「まだ、そこまでには。」


だが、あの森川社長だ。

いつ筆頭株主になっても、おかしくない勢いだ。


「しかも、俺に菜摘さんをもらってくれと言ってきた。」


「……それで?それでどうした?」


俺の腕を握る、太我の手の力が強くなる。


「もちろん、断った。俺には美雨がいる。」

そこでパッと、俺の腕を離した太我。


「どうした?太我。」

「それで、森川社長は納得したか?」

「さあ、それは知らん。」

「階堂。それで森川社長が納得していなかったら、大変なことになるかもしれないぞ。」

「えっ?」


太我はゴクンと、息を飲んだ。

「三科の兄貴が、左遷されたのは、知っているよな。」

「ああ。」

「あの原因は森川社長だ。」

「森川社長が!?」

俺は持っていたコップを、落としそうになった。

「森川社長は、三科の兄貴の行動を知っていた。ある時、女と一緒にホテルから出てくる場所を、写真で押さえたんだ。」

「それで?」

「相手が悪かった。三科の兄貴は、弟の婚約者にも手を出していた。しかもその女、三科以外にも、スパイのようにいろんな男寝ては、金で情報を売り買いしてたんだ。」

「はあ?」


そんな事があるなんて……

だから三科紘文は、婚約を解消したのか?


「それを森川社長に知られ、逆鱗に触れた三科の兄貴は、すぐに飛ばされた。決して仕事の失敗なんかじゃないんだ。」


俺はなぜか首筋がゾクっとした。


「階堂。森川社長の逆鱗に触れると、有りもしないことで人生が台無しになる。おまえは大丈夫か?」


返事ができない。

「階堂。なにかあったら、すぐに俺に言え。」

俺は太我の肩に手を置くと、小刻みに首を縦に動かした。
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