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第三章-月齢26.5-
第3章 第32話
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「モーセスさあん!」
崖の上から、あらん限りの声で、雪風ははるか眼下のモーセスに向けて叫ぶ。
「あたし達、白熊を、おっかけまぁす!」
ちゃんと通じているのかどうか。何事か叫びつつモーセスも両手を振っているが、地形のせいか風のせいか、よく聞こえない。
「遅くなったら、野宿しまぁす!」
モーセスに構わず、雪風は言いたいことだけを叫ぶ。
「戻って来たら、あそこに行きます!あそこで、いいんですよね!」
雪風は、モーセスから見てやや上流側になる、U字谷の先を崖の上から指差し、示す。
河床に居る時は緩い勾配に遮られて見えていなかったが、そこには、そこ一帯だけ大きく谷幅を広げたU字谷の底に、手前に三枚の大きな石版が立ち塞がるように立ち、その奥に、六角形の頂点の位置に設置された何やら不自然な構造物が見えていた。
崖の上から見ることで初めて全容がわかるようなその一連の構造物を指差す雪風に、雪風の示す方を確認したモーセスは、大きく頷き、頭の上で手を振った。
「じゃあ!行ってきまぁす!」
互いに表情が良く見えないのを良い事に、元気よく手を振って雪風はその場から姿を消す。
「……やれやれ、ですね」
その消えた後ろ姿に振っていた手を下ろして、モーセス・グースは独りごちる。
「上から見れば確かに一目瞭然ですが……果たして彼女たちは、一体どこまで理解しているのか……白熊を追う、というのも気になりますが……」
言ってから、モーセス・グースは足下の惨状に目を落とす。
「……こちらの後始末の方が先、ではありますね」
「じゃあ、行きましょ」
ユモが、雪風が戻って来るのも待たず、宣言する。
「いいのですか?」
オーガスト・モーリーの問いには、色々な意味が含まれている。
「いいのよ。言うべき事は言ったし、ユキはすぐ追いつくし……ほら」
言い終わるのも待たず、雪風はユモの隣に並ぶ。
「何の話?」
「オーガストがね、心配性だって話」
軽く問う雪風に、こちらも軽くユモは返す。
「いやはや……行き先はわかってらっしゃるのですか?」
習慣で、帽子に――そこにあるのは帽子ではなく、白熊の毛皮の頭部だが――手をあてて苦笑するオーガストは、それでも一応確認する。
「大丈夫よ、ね?」
ユモは、隣の雪風を軽く見上げて、問う。
「まあ……きっかけさえ掴めれば、追える、かな?」
「きっかけ、ですか?」
今ひとつ要領を得ず、オーガストは雪風に聞き返す。
「匂いはわかってますから。ユモの装備にたっぷり体臭が残ってたから。あとは、その足取りの始点を探すだけ、なんですけど」
「匂い……ああ」
やっと合点がいったオーガストが、手を打つ。
「そういう事ですか」
「そういう事。だから、話して頂戴」
ユモが、腰に手を当てて、上目遣いにオーガストを見る。
「あんたが見たこと。あそこで、何が起きて、誰がどっちに行ったか」
崖の上を、下から見えないように少し奥に入りつつ全体として谷の下流方向に移動しながら、オーガストが言う。
「お二人が一番聞きたいでしょう事からお話ししましょう。その、元ナチ将校だった何者かですが、一目散に谷底を来た方向へ駆け戻ると、あそこの」
オーガストは、谷の、少し下った右岸を指し示す。その距離、ここからおよそ1キロメートルといったところ。
「少し緩くなっている崖を登って、そのまま下生えの向こうに消えました。そこから先は……」
オーガストは、首を横に振る。
「……OK。じゃあ、先に行って『嗅ぎ回って』みる」
言うが早いか、雪風は小走りに走り出す。背中に背負った背嚢とライフルも、腰の拳銃二丁に雑嚢二つもものともしない足取りで。
「あいかわらず、凄いですね……」
「あちら肉体労働だもの」
オーガストの軽い感嘆に、腰に手を当てたユモはため息交じりに答える。
「で?色々聞きたいんだけど?」
「私に話せることでしたら」
先に立って歩き出しながら、オーガストはユモの問いに答える。
「あれからどうしてたのか……は、聞くと長くなりそうだから。まずは、その奇天烈な着ぐるみは、何?」
ユモは、ある意味最も気になっていたことを、ストレートに聞く。
「これですか。話せば長くなりますが」
「簡潔に」
「……あの後、色々ありまして、私は徒歩でカナダからアラスカを経由してシベリアに渡りました。今の私は、自我を保ったままの『ウェンディゴ症候群』患者がそうであったように、低温低気圧にはめっぽう強いのですが、そこがシベリアであっても、夏の暑さはどうにもいけませんでした。御存知ですか?シベリアの夏は、下手なアメリカ中南部より暑かったのです」
「それは知らなかったけど。だから、簡潔に」
ユモに重ねて突っ込まれて、オーガストはため息をついて渋々話を端折る。
「結論だけ言いますと、シベリアの奥地で、不可思議な老婆から、労働その他の対価として譲り受けました」
「……老婆?シベリアで?」
「はい」
眉根を寄せ、何か聞きたげなユモに、歩を緩めて振り向き、頷いてオーガストは答える。
「恐らく、その正体はご想像の通りでしょう、もしかしたらお知り合いだったかも」
「生憎と、東方にはあたしもママも知り合いはほとんど居ないわ……けど、スラヴの不思議な老婆、ねぇ……」
「その老婆はさておきまして、してみると、その着ぐるみを着ていると、暑さがしのげるのですか?」
ユモに替わって、ニーマントがオーガストに尋ねる。
「その通りです」
「興味深いですね、外部の熱を遮断あるいは反射しているのか、それとも冷気を生成しているのか……」
「冷気を貯めている、のだそうです」
どういう仕組みか、継ぎ目のなさそうだった『着ぐるみ』の胸元を少し開いて、オーガストは軽く頷きつつユモに示す。おそるおそるその中に、着ぐるみの下の、きちんと着込まれたアメリカ陸軍の制服の胸元に、ユモは軽く触れる。
「冷たい……」
「このチベットの冬は格別です。おかげで、赤道直下でも軽く一夏過ごせそうなくらいには冷気が貯まっているようです」
「実に興味深いですね、非常に洗練された源始力を感じます。どうやってこれを成したのか、是非知りたい所です」
「……スラヴの魔女、やはり、侮りがたいわね……」
「……それで、なんでそれが『白熊の着ぐるみ』なの?」
「詳しい事は私も教えてもらっていないのですが、『獣神』の力を借りるのだとか何とか、そういう事だとしか教えてくれませんでした」
「何か、御存知ですか?」
オーガストの答えを聞いて咄嗟に『知識の書』を開いたユモに、ニーマントが聞いた。
「スラヴの神話は疎いのよ……これか、『ヴォロス』あるいは『ヴェレス』は家畜、あるいは豊穣の神、蛇、あるいはドラゴンとされることが多いが、熊、地方によっては悪魔ないし死神と関連する事も多い……何よ?」
オーガストの妙な視線に気付いたユモが、いらつき気味に聞く。
「いえ、確かユモ嬢は『ツマンスカヤ』姓と記憶しているのですが」
「それが、何?」
「ロシア人の姓なのに、スラヴの神話を御存知ないのかと、少々……」
「……そうなの?」
「御存知、なかったのですか?」
きょとんとした顔で聞き返したユモに、オーガストが疑問を重ねた。
「知らなかった……」
ユモの実家のあるメーリング村では、その事を話題にする者は居なかったし、父母の口からその手の話を聞いたこともなかった。『月の魔女』である母はともかく、ドイツ軍人であった父がその事に気付かないわけはない、ユモは、そう思って、気付く。
理由はわからないが、父母の間で、その事は不問にする暗黙の了解があったのだ、と。
「……けど」
若干動揺している心を押し殺して、しかしユモは、頭を切り替えて答える。
「スラヴ神話を知らないのは単なるあたしの勉強不足だわ。ママの『知識の書』だって、全能にして万能、ってわけじゃないもの……何この匂い?」
それは、心理的な悩みや迷いを蹴り飛ばす、本能に訴える匂い。
焼けた、肉の匂いだった。
崖の上から、あらん限りの声で、雪風ははるか眼下のモーセスに向けて叫ぶ。
「あたし達、白熊を、おっかけまぁす!」
ちゃんと通じているのかどうか。何事か叫びつつモーセスも両手を振っているが、地形のせいか風のせいか、よく聞こえない。
「遅くなったら、野宿しまぁす!」
モーセスに構わず、雪風は言いたいことだけを叫ぶ。
「戻って来たら、あそこに行きます!あそこで、いいんですよね!」
雪風は、モーセスから見てやや上流側になる、U字谷の先を崖の上から指差し、示す。
河床に居る時は緩い勾配に遮られて見えていなかったが、そこには、そこ一帯だけ大きく谷幅を広げたU字谷の底に、手前に三枚の大きな石版が立ち塞がるように立ち、その奥に、六角形の頂点の位置に設置された何やら不自然な構造物が見えていた。
崖の上から見ることで初めて全容がわかるようなその一連の構造物を指差す雪風に、雪風の示す方を確認したモーセスは、大きく頷き、頭の上で手を振った。
「じゃあ!行ってきまぁす!」
互いに表情が良く見えないのを良い事に、元気よく手を振って雪風はその場から姿を消す。
「……やれやれ、ですね」
その消えた後ろ姿に振っていた手を下ろして、モーセス・グースは独りごちる。
「上から見れば確かに一目瞭然ですが……果たして彼女たちは、一体どこまで理解しているのか……白熊を追う、というのも気になりますが……」
言ってから、モーセス・グースは足下の惨状に目を落とす。
「……こちらの後始末の方が先、ではありますね」
「じゃあ、行きましょ」
ユモが、雪風が戻って来るのも待たず、宣言する。
「いいのですか?」
オーガスト・モーリーの問いには、色々な意味が含まれている。
「いいのよ。言うべき事は言ったし、ユキはすぐ追いつくし……ほら」
言い終わるのも待たず、雪風はユモの隣に並ぶ。
「何の話?」
「オーガストがね、心配性だって話」
軽く問う雪風に、こちらも軽くユモは返す。
「いやはや……行き先はわかってらっしゃるのですか?」
習慣で、帽子に――そこにあるのは帽子ではなく、白熊の毛皮の頭部だが――手をあてて苦笑するオーガストは、それでも一応確認する。
「大丈夫よ、ね?」
ユモは、隣の雪風を軽く見上げて、問う。
「まあ……きっかけさえ掴めれば、追える、かな?」
「きっかけ、ですか?」
今ひとつ要領を得ず、オーガストは雪風に聞き返す。
「匂いはわかってますから。ユモの装備にたっぷり体臭が残ってたから。あとは、その足取りの始点を探すだけ、なんですけど」
「匂い……ああ」
やっと合点がいったオーガストが、手を打つ。
「そういう事ですか」
「そういう事。だから、話して頂戴」
ユモが、腰に手を当てて、上目遣いにオーガストを見る。
「あんたが見たこと。あそこで、何が起きて、誰がどっちに行ったか」
崖の上を、下から見えないように少し奥に入りつつ全体として谷の下流方向に移動しながら、オーガストが言う。
「お二人が一番聞きたいでしょう事からお話ししましょう。その、元ナチ将校だった何者かですが、一目散に谷底を来た方向へ駆け戻ると、あそこの」
オーガストは、谷の、少し下った右岸を指し示す。その距離、ここからおよそ1キロメートルといったところ。
「少し緩くなっている崖を登って、そのまま下生えの向こうに消えました。そこから先は……」
オーガストは、首を横に振る。
「……OK。じゃあ、先に行って『嗅ぎ回って』みる」
言うが早いか、雪風は小走りに走り出す。背中に背負った背嚢とライフルも、腰の拳銃二丁に雑嚢二つもものともしない足取りで。
「あいかわらず、凄いですね……」
「あちら肉体労働だもの」
オーガストの軽い感嘆に、腰に手を当てたユモはため息交じりに答える。
「で?色々聞きたいんだけど?」
「私に話せることでしたら」
先に立って歩き出しながら、オーガストはユモの問いに答える。
「あれからどうしてたのか……は、聞くと長くなりそうだから。まずは、その奇天烈な着ぐるみは、何?」
ユモは、ある意味最も気になっていたことを、ストレートに聞く。
「これですか。話せば長くなりますが」
「簡潔に」
「……あの後、色々ありまして、私は徒歩でカナダからアラスカを経由してシベリアに渡りました。今の私は、自我を保ったままの『ウェンディゴ症候群』患者がそうであったように、低温低気圧にはめっぽう強いのですが、そこがシベリアであっても、夏の暑さはどうにもいけませんでした。御存知ですか?シベリアの夏は、下手なアメリカ中南部より暑かったのです」
「それは知らなかったけど。だから、簡潔に」
ユモに重ねて突っ込まれて、オーガストはため息をついて渋々話を端折る。
「結論だけ言いますと、シベリアの奥地で、不可思議な老婆から、労働その他の対価として譲り受けました」
「……老婆?シベリアで?」
「はい」
眉根を寄せ、何か聞きたげなユモに、歩を緩めて振り向き、頷いてオーガストは答える。
「恐らく、その正体はご想像の通りでしょう、もしかしたらお知り合いだったかも」
「生憎と、東方にはあたしもママも知り合いはほとんど居ないわ……けど、スラヴの不思議な老婆、ねぇ……」
「その老婆はさておきまして、してみると、その着ぐるみを着ていると、暑さがしのげるのですか?」
ユモに替わって、ニーマントがオーガストに尋ねる。
「その通りです」
「興味深いですね、外部の熱を遮断あるいは反射しているのか、それとも冷気を生成しているのか……」
「冷気を貯めている、のだそうです」
どういう仕組みか、継ぎ目のなさそうだった『着ぐるみ』の胸元を少し開いて、オーガストは軽く頷きつつユモに示す。おそるおそるその中に、着ぐるみの下の、きちんと着込まれたアメリカ陸軍の制服の胸元に、ユモは軽く触れる。
「冷たい……」
「このチベットの冬は格別です。おかげで、赤道直下でも軽く一夏過ごせそうなくらいには冷気が貯まっているようです」
「実に興味深いですね、非常に洗練された源始力を感じます。どうやってこれを成したのか、是非知りたい所です」
「……スラヴの魔女、やはり、侮りがたいわね……」
「……それで、なんでそれが『白熊の着ぐるみ』なの?」
「詳しい事は私も教えてもらっていないのですが、『獣神』の力を借りるのだとか何とか、そういう事だとしか教えてくれませんでした」
「何か、御存知ですか?」
オーガストの答えを聞いて咄嗟に『知識の書』を開いたユモに、ニーマントが聞いた。
「スラヴの神話は疎いのよ……これか、『ヴォロス』あるいは『ヴェレス』は家畜、あるいは豊穣の神、蛇、あるいはドラゴンとされることが多いが、熊、地方によっては悪魔ないし死神と関連する事も多い……何よ?」
オーガストの妙な視線に気付いたユモが、いらつき気味に聞く。
「いえ、確かユモ嬢は『ツマンスカヤ』姓と記憶しているのですが」
「それが、何?」
「ロシア人の姓なのに、スラヴの神話を御存知ないのかと、少々……」
「……そうなの?」
「御存知、なかったのですか?」
きょとんとした顔で聞き返したユモに、オーガストが疑問を重ねた。
「知らなかった……」
ユモの実家のあるメーリング村では、その事を話題にする者は居なかったし、父母の口からその手の話を聞いたこともなかった。『月の魔女』である母はともかく、ドイツ軍人であった父がその事に気付かないわけはない、ユモは、そう思って、気付く。
理由はわからないが、父母の間で、その事は不問にする暗黙の了解があったのだ、と。
「……けど」
若干動揺している心を押し殺して、しかしユモは、頭を切り替えて答える。
「スラヴ神話を知らないのは単なるあたしの勉強不足だわ。ママの『知識の書』だって、全能にして万能、ってわけじゃないもの……何この匂い?」
それは、心理的な悩みや迷いを蹴り飛ばす、本能に訴える匂い。
焼けた、肉の匂いだった。
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