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第三章-月齢26.5-
第3章 第29話
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ユモと雪風が、白熊の着ぐるみを着たオーガスト・モーリー米陸軍軍医中佐――十年前は大尉だった――と再会する、その数時間前。
「遅いですね……」
二人が突然退席した朝食の場で、ペーター・メークヴーディヒリーベ一般親衛隊少尉は、呟いた。
「そうですね……お茶も、冷めてしまいましたし……」
その呟きを受けて、ドルマも呟き、食堂の入り口を振り返る。
「……私、ちょっと様子を見てきます」
言外に、ペーター少尉からの要請の意思を読み取ったドルマは、そう言って席を立つ。
「はい、すみません、お願いします」
『お花を摘みに』行くと言われた以上、ペーター少尉自身が様子を見に行くのはためらわれる。ペーターは礼を言って、食堂を出るドルマを見送った。
「ああ、ドルマ様、丁度よかった」
食堂を出てすぐ、ドルマは下女の一人に呼び止められた。
「プティーさん、どうかしましたか?」
「お客様のお部屋で、ちょっと……とにかく、いらして下さい」
プティーという中年の下女はドルマの手を引き、小走りにユモと雪風に割り当てられた寝室に引き入れる。
「一体、何が……」
取り乱し気味の下女の様子を訝しみつつ、ドルマは尋ねた。聞かれたプティーは、少しためらった後、決心して、口を開く。
「さっき、ツァムジューが見たんです……見たって、言ってました」
「……何を?」
小首を傾げて、ドルマは重ねて聞く。
「……黒い悪霊が、ここから跳び出すのを見たって、そう言っています」
「悪霊?」
「あたしも、何を馬鹿なこと言ってんだって思ったんです。ツァムジューはほら、ちょっと、アレなもんで」
ツァムジューという若い下女は、子だくさんで貧乏な家から口減らしで奉公に出された娘で、学がない分善くも悪くも迷信深い娘であった。
「でも……これを見つけて……」
プティーは、おそるおそるといった様子で、雪風が使っていた布団をめくる。
「……これ……一体……」
「……え?」
不安そうなプティーに眼で問われたドルマも、瞬時にはそれを理解出来なかった。
そこに見えたのは、ほんのわずかではあるが、布団にまとわりついた、漆黒の獣毛だった。
「プティーさん、済みませんがツァムジューを呼んで下さい。詳しく話を聞かないと……」
「はい、ドルマ様」
女中頭のような立ち位置のプティーは、言われてバタバタといずこかへ向かう。ドルマが正式にナルブの養女となったのはつい最近のことだが、それ以前から足繁くナルブ邸に通っていたドルマは、プティーをはじめとする使用人とは顔見知りではあった。
なのでドルマは、自分よりかなり年長のプティーが有能である事も、若いツァムジューが何かにつけ神だ仏だ悪霊だと言い出して困るとプティーがこぼしていたことも知っていた。
「だとしても……まさか本当に悪霊が……?まさか、ね……」
もう一度、腰を落として布団についた幾許かの獣毛をよく見て、摘まみとって、ドルマは呟く。
「……こんな毛の生えた悪霊が、この屋敷の中で、こんなに日が高いのに、あの子達を攫っていったって言うのかしら?」
漆黒の獣毛をつまんだまま、ドルマは開け放たれた窓を見て、次に反対側の部屋の入口と、その先の廊下の窓を見る。爽やかな朝の風がさらりと部屋を吹き抜け、カーテンを揺らす。
かさり。小さく、枯れ葉が舞い散るような音。何かしら、と、ドルマは音の方に目をやる。
そこには、部屋を出る際にユモが書き付けた紙片が、そよ風に吹かれて床の上で揺れていた。
「ペーター様、これを……」
急いで食堂にとって返したドルマは、ユモと雪風に割り当てた寝室で見つけた紙片をペーター少尉に見せる。
「『キャンプに戻る』……これがなにか……いや、何故ドイツ語のメモが?」
すぐにその不自然さに気付いて、ペーター少尉はドルマに聞き返す。
「ユモさんとユキさんのお部屋にありました」
その一言で全て伝わる、そんな目でペーター少尉を見返したドルマは、そう言って頷く。
「……では、お二方は……なんともはや。一言言っていただければご一緒しましたのに」
ペーター少尉は、苦笑して、腰を上げた。
「福音の少女達は、ずいぶんと身勝手でお忙しいようだ。リオネル君、メルキン君、そのようなわけだからすぐさま我々もキャンプに戻るとしましょう……いや待て」
即座に、傍に侍る護衛兵二人に命じたペーター少尉は、しかし少し考え込んで、命令を変更する。
「リオネル君は私と同行してください。メルキン君は、済みませんがここに残り、私がキャンプに着き次第交代の者をよこしますから、それまでお二方や昨晩の賊の情報を収集してください。以降、別命あるまで最低一名を常に情報収集担当としてここに残そうと思うのですが、よろしいですか?」
咄嗟に判断して、葬儀のため早朝にナルブが邸宅を離れたことを朝食前にドルマから聞いていたペーター少尉は、ナルブ邸に兵を一名残す許可をドルマに求める。
立場上、このような想定外の時の権限について明言されていなかったとはいえ判断を委ねられた立場になるドルマは、瞬時、考えを巡らし、決定する。
「……わかりました。ナルブ閣下に代わり、そのお申し出を承りました」
「ありがとうございます。では、リオネル君、メルキン君、用意しましょう」
「は!」
踵を鳴らし、声をハモらせて答えた若い二等兵二人を従えて、ペーター少尉は食堂を後にした。
「……ドルマ様……」
ペーター少尉が食堂を出たのを戸口で見送っていたドルマに、プティーが声をかける。
「ああ、ごめんなさい、ちょっと先にペーター様にお伝えしておかないとと思って」
ドルマは、勝手に場所を移動していた事を詫びてから、
「それで、ツァムジュー、何を見たのかしら?」
プティーの後ろに居る、ツァムジューという少女に声をかけた。
「は、はい。おら、み、見たです、その、く、黒い、あ、あ、悪霊が、よん、四本足で、熊ほどでかくて、窓から、山の方に、一っ飛びで、う、うそじゃねぇです、ほんとです」
ツァムジューは、つっかえつっかえ、話す。論理的にまとめて話すことに、まるで慣れていないように。
ツァムジューの拙い言葉を聞きつつ、その細くて小さい体、清潔にしているが粗末な衣服を見つつ、ドルマは思う。
――ツァムジューは、年の頃なら、ユモさんやユキさんと同じくらいのはず。他ならぬナルブ様の元での下働き、待遇は決して悪くないはず。でも、環境の違いとは言え、文化の違いとはいえ、これは――
詮無いことを考えるのを一時停止し、ドルマは本題に戻る。
「黒くて、大きい、四本足の悪霊?」
「は、はい、そうです」
何度も頷きながら、ツァムジューは答える。
「……まだあるだろ?言ってないことが」
プティーが、言いにくそうにしているツァムジューの背中を軽く押して促す。
「は、はい……あの、すごい速さだったんで、おら、よく見えなかったですけども……あの、その悪霊の背中に、その……」
「……背中に?」
あくまで優しく、ドルマも促す。
「……ちっこい方のお客様が、乗ってましたです……うん、あれは間違いねぇ、あんなキラキラした長い髪の毛、おら、見たの初めてだから、間違いっこねぇ」
自分に言い聞かせるように、俯き気味で頷きつつ話していたツァムジューが、キッと顔を上げてドルマを見据える。
「ドルマ様、きっとあのお客様達は、悪霊を操る魔術師かなんかだ。お部屋もお屋敷も、お祓いしねぇと……」
「……悪霊を使役する、善い魔術師かも知れないわよ?」
ドルマは、ずっと摘まんだままだった、布団に付いていたわずかな獣毛を、改めて目の前に持って来て、言った。
「ありがとう、教えてくれて。大丈夫、どっちにしても、その悪霊はもうこの屋敷には居ないんですもの。お祓いは必要ないわ、だって……」
――同じ時間を生きているのに。属する文化によって、因習によって、あるいは信仰、宗教によって、これほどまでに、人には差が生まれてしまう……自分では抗えない、抗うことも思いつかない、差がある事すら不思議とも思わない、差が……――
「……モーセス師範がお認めになったお二人ですもの。そのお部屋に、悪霊が近付けるわけなんかなくってよ?さあ、安心して、お客様のお部屋を片付けてください……」
ドルマは、摘まんでいた獣毛を、窓から外にふっと一息で吹き飛ばした。
「遅いですね……」
二人が突然退席した朝食の場で、ペーター・メークヴーディヒリーベ一般親衛隊少尉は、呟いた。
「そうですね……お茶も、冷めてしまいましたし……」
その呟きを受けて、ドルマも呟き、食堂の入り口を振り返る。
「……私、ちょっと様子を見てきます」
言外に、ペーター少尉からの要請の意思を読み取ったドルマは、そう言って席を立つ。
「はい、すみません、お願いします」
『お花を摘みに』行くと言われた以上、ペーター少尉自身が様子を見に行くのはためらわれる。ペーターは礼を言って、食堂を出るドルマを見送った。
「ああ、ドルマ様、丁度よかった」
食堂を出てすぐ、ドルマは下女の一人に呼び止められた。
「プティーさん、どうかしましたか?」
「お客様のお部屋で、ちょっと……とにかく、いらして下さい」
プティーという中年の下女はドルマの手を引き、小走りにユモと雪風に割り当てられた寝室に引き入れる。
「一体、何が……」
取り乱し気味の下女の様子を訝しみつつ、ドルマは尋ねた。聞かれたプティーは、少しためらった後、決心して、口を開く。
「さっき、ツァムジューが見たんです……見たって、言ってました」
「……何を?」
小首を傾げて、ドルマは重ねて聞く。
「……黒い悪霊が、ここから跳び出すのを見たって、そう言っています」
「悪霊?」
「あたしも、何を馬鹿なこと言ってんだって思ったんです。ツァムジューはほら、ちょっと、アレなもんで」
ツァムジューという若い下女は、子だくさんで貧乏な家から口減らしで奉公に出された娘で、学がない分善くも悪くも迷信深い娘であった。
「でも……これを見つけて……」
プティーは、おそるおそるといった様子で、雪風が使っていた布団をめくる。
「……これ……一体……」
「……え?」
不安そうなプティーに眼で問われたドルマも、瞬時にはそれを理解出来なかった。
そこに見えたのは、ほんのわずかではあるが、布団にまとわりついた、漆黒の獣毛だった。
「プティーさん、済みませんがツァムジューを呼んで下さい。詳しく話を聞かないと……」
「はい、ドルマ様」
女中頭のような立ち位置のプティーは、言われてバタバタといずこかへ向かう。ドルマが正式にナルブの養女となったのはつい最近のことだが、それ以前から足繁くナルブ邸に通っていたドルマは、プティーをはじめとする使用人とは顔見知りではあった。
なのでドルマは、自分よりかなり年長のプティーが有能である事も、若いツァムジューが何かにつけ神だ仏だ悪霊だと言い出して困るとプティーがこぼしていたことも知っていた。
「だとしても……まさか本当に悪霊が……?まさか、ね……」
もう一度、腰を落として布団についた幾許かの獣毛をよく見て、摘まみとって、ドルマは呟く。
「……こんな毛の生えた悪霊が、この屋敷の中で、こんなに日が高いのに、あの子達を攫っていったって言うのかしら?」
漆黒の獣毛をつまんだまま、ドルマは開け放たれた窓を見て、次に反対側の部屋の入口と、その先の廊下の窓を見る。爽やかな朝の風がさらりと部屋を吹き抜け、カーテンを揺らす。
かさり。小さく、枯れ葉が舞い散るような音。何かしら、と、ドルマは音の方に目をやる。
そこには、部屋を出る際にユモが書き付けた紙片が、そよ風に吹かれて床の上で揺れていた。
「ペーター様、これを……」
急いで食堂にとって返したドルマは、ユモと雪風に割り当てた寝室で見つけた紙片をペーター少尉に見せる。
「『キャンプに戻る』……これがなにか……いや、何故ドイツ語のメモが?」
すぐにその不自然さに気付いて、ペーター少尉はドルマに聞き返す。
「ユモさんとユキさんのお部屋にありました」
その一言で全て伝わる、そんな目でペーター少尉を見返したドルマは、そう言って頷く。
「……では、お二方は……なんともはや。一言言っていただければご一緒しましたのに」
ペーター少尉は、苦笑して、腰を上げた。
「福音の少女達は、ずいぶんと身勝手でお忙しいようだ。リオネル君、メルキン君、そのようなわけだからすぐさま我々もキャンプに戻るとしましょう……いや待て」
即座に、傍に侍る護衛兵二人に命じたペーター少尉は、しかし少し考え込んで、命令を変更する。
「リオネル君は私と同行してください。メルキン君は、済みませんがここに残り、私がキャンプに着き次第交代の者をよこしますから、それまでお二方や昨晩の賊の情報を収集してください。以降、別命あるまで最低一名を常に情報収集担当としてここに残そうと思うのですが、よろしいですか?」
咄嗟に判断して、葬儀のため早朝にナルブが邸宅を離れたことを朝食前にドルマから聞いていたペーター少尉は、ナルブ邸に兵を一名残す許可をドルマに求める。
立場上、このような想定外の時の権限について明言されていなかったとはいえ判断を委ねられた立場になるドルマは、瞬時、考えを巡らし、決定する。
「……わかりました。ナルブ閣下に代わり、そのお申し出を承りました」
「ありがとうございます。では、リオネル君、メルキン君、用意しましょう」
「は!」
踵を鳴らし、声をハモらせて答えた若い二等兵二人を従えて、ペーター少尉は食堂を後にした。
「……ドルマ様……」
ペーター少尉が食堂を出たのを戸口で見送っていたドルマに、プティーが声をかける。
「ああ、ごめんなさい、ちょっと先にペーター様にお伝えしておかないとと思って」
ドルマは、勝手に場所を移動していた事を詫びてから、
「それで、ツァムジュー、何を見たのかしら?」
プティーの後ろに居る、ツァムジューという少女に声をかけた。
「は、はい。おら、み、見たです、その、く、黒い、あ、あ、悪霊が、よん、四本足で、熊ほどでかくて、窓から、山の方に、一っ飛びで、う、うそじゃねぇです、ほんとです」
ツァムジューは、つっかえつっかえ、話す。論理的にまとめて話すことに、まるで慣れていないように。
ツァムジューの拙い言葉を聞きつつ、その細くて小さい体、清潔にしているが粗末な衣服を見つつ、ドルマは思う。
――ツァムジューは、年の頃なら、ユモさんやユキさんと同じくらいのはず。他ならぬナルブ様の元での下働き、待遇は決して悪くないはず。でも、環境の違いとは言え、文化の違いとはいえ、これは――
詮無いことを考えるのを一時停止し、ドルマは本題に戻る。
「黒くて、大きい、四本足の悪霊?」
「は、はい、そうです」
何度も頷きながら、ツァムジューは答える。
「……まだあるだろ?言ってないことが」
プティーが、言いにくそうにしているツァムジューの背中を軽く押して促す。
「は、はい……あの、すごい速さだったんで、おら、よく見えなかったですけども……あの、その悪霊の背中に、その……」
「……背中に?」
あくまで優しく、ドルマも促す。
「……ちっこい方のお客様が、乗ってましたです……うん、あれは間違いねぇ、あんなキラキラした長い髪の毛、おら、見たの初めてだから、間違いっこねぇ」
自分に言い聞かせるように、俯き気味で頷きつつ話していたツァムジューが、キッと顔を上げてドルマを見据える。
「ドルマ様、きっとあのお客様達は、悪霊を操る魔術師かなんかだ。お部屋もお屋敷も、お祓いしねぇと……」
「……悪霊を使役する、善い魔術師かも知れないわよ?」
ドルマは、ずっと摘まんだままだった、布団に付いていたわずかな獣毛を、改めて目の前に持って来て、言った。
「ありがとう、教えてくれて。大丈夫、どっちにしても、その悪霊はもうこの屋敷には居ないんですもの。お祓いは必要ないわ、だって……」
――同じ時間を生きているのに。属する文化によって、因習によって、あるいは信仰、宗教によって、これほどまでに、人には差が生まれてしまう……自分では抗えない、抗うことも思いつかない、差がある事すら不思議とも思わない、差が……――
「……モーセス師範がお認めになったお二人ですもの。そのお部屋に、悪霊が近付けるわけなんかなくってよ?さあ、安心して、お客様のお部屋を片付けてください……」
ドルマは、摘まんでいた獣毛を、窓から外にふっと一息で吹き飛ばした。
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