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プロローグ

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 懐かしい、学校の屋上に、あたしは居た。
 こんな未来、ここに居る時は考えてもいなかった。
 初めて会った時。初めて一緒に戦った時。
 どれもこれも、予想外。思ってもいない所から、アイツはあたしの懐に入り込んできた。
 そして。
 アイツは、今、あたしの目の前に居る。

 あの時、アイツはこう言ったっけ。
あねさん。腕に覚えは?」
 こないだ入学したばかりのアイツは、あたしにそう聞いた。
「そういうあんたはどうなんだい?」
 あたしは、アイツに聞き返す。
「俺はケンカ弱いっすから。おっかねぇから、正々堂々とケンカなんかしないっすよ」
 不適に笑いながら、アイツは言い返した。
 自分は弱いと主張して。

 今思えば、この時からあたしは無意識に、アイツのその「弱さ」ってやつを信用するようになってたのかも知れない。
 でなけりゃ、このあたしが、全ての面であたしより弱いはずの下級生男子に背中を預けるなんて事、するわけがない。会って二週間にもならない、下級生男子になんて。
 だから、きっと、そういうのに時間の長さって、あんまり関係ないんだと思う。そして、そういう直感的なやつって、きっと、信用して良いんだとも思う。
 少なくとも、あたしにとっては、この時のそれは正しかったみたいだから。
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