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7章 様々な使い道

1、ドキドキな結果

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 太陽が沈めば、必ず数時間後には太陽が昇ってくるやってくる。
 今日も今日とて僕は太陽が昇るころにベッドから体を起こした。
 早寝早起きは健康というけど……全然眠れない状態での早起きは、絶対に体に悪いよな。
 うーん、やっぱり葉っぱが駄目だな。
 まったくもって仕切りになっていないんだよ。
 となれば板……なんて出来ないから棒かバムムを横、もしくは縦に並べて間仕切りの壁を作るしかないか。
 あーもー他にもやらない事がいっぱいあるけど、これも優先度が高いから何とか隙間にねじ込まないといけないのは辛いな。

「とりあえず、今日やる事は決まっているから、まずはそれからだけど……」

 まぁうまく出来ていればになるけども。
 もし失敗していたら……この間仕切りの壁をねじ込もう。

「よし、今日も1日頑張るぞ!」

 気合を入れ、僕はベッドから起き上がった。

「アリサ……さん、起きて」

「……んん…………もう、朝? うう……まだ、眠いよ……」

 アリサを起こしてから、まずシェルター内のかまどへと向かった。
 寝る前に、まだ燃えている状態の炭に灰を被せて熾火にしてみたけど、どうなっているかな。
 うまく熱が残っていればいいけど……。
 灰から炭を掘り出して、息を吹きかけてみた。

「フーッ、フーッ」

 すると、息を吹きかけるたびに炭の芯が赤く光った。
 炭の中にまだ熱が生きている証拠だ。
 炭の上に小枝と枯れ葉といった燃えやすい物を置いて、バムムの若木を火吹き棒のようにして息を炭へと吹きかける!

「フーッ! フーッ!」

 頑張って息を吹きかけていると、小枝と枯れ葉から煙が出て来た。
 よしよし、この調子で燃え移った火を消さない様に息を加減して……。

「フーッ、フーッ」

 目に見えるほどの火が出て燃え始めたら、小さい薪をから火の中に入れていく。

「これで……良し」

 息を吹きかけるのは大変だったけど、朝からひもぎり式で火おこしをするよりかははるかにマシだ。
 朝から火おこしをしないっていうのは実に素晴らしいな。
 これからも利用していきたいから炭作りも定期的にやっていかないといけないなこりゃ。

「……ん~……おはよう~……」

 目を擦りならがアリサがベッドから起きて来た。

「……ん? あ! もう火、ついているじゃない! 火おこし、億劫だったから助かる~」

「で、出来る限り朝はこうして火を起こそうと思うよ」

「うん、うん! それが、一番ね!」

 すごい嬉しそうだな。
 今の話だけで目が覚めた感じだ。

「ぼ、僕はやりたい事があるから、先に顔を洗って来てよ。火の番をしてるから」

「うん、わかったわ」

 アリサはスキップしながら沢の方へと向かって行った。
 感情が溢れすぎているぞ。
 まぁいいや、まずは朝ご飯の準備だ。
 とはいえ昨日焼いておいたミースルを火の傍に置いて温めなおすだけなんだけどな。

 さて、土器の方はどうなっているかな。
 うまく焼き上がっていればいいけど……恐る恐る、土器を焼いていた穴を覗き込んでみた。
 火はとっくに消えていて、焼け跡には器の形を保ったままの土器が3つあった。
 よかった、形は崩れなかった。
 心配していた事の1つがこれで消えたぞ。

 次は焼き上がり具合だ。
 1つ目を手に取って持ち上げてみても、崩れる事は無かった。
 強度も大丈夫そうだ。
 ただ、上の部分が少し欠けているのが気になるな。

 2つ目はどうだろうか。
 こっちも1つ目と同様に持ち上げても問題は無し。
 見た目的にも特に変わった所も無いな。

 3つ目も持ち上げても問題は無し。
 ただ、底にひび割れっぽいのが見えるな。
 これは水を入れると漏れてしまいそうではある。

 とりあえず、今のところ強度に問題は無い感じだけど水に漬けるとどうなるか……。
 それで脆くなったり、形が変わってしまうようならやりたい事がほとんど出来なくなってしまうのが辛い所だ。
 まぁその辺りはアリサが戻って来てから沢に行って確かめよう。



 次にやる事は幹の太い木を伐る事。
 生活にはどうしても薪が必要だから避けては通れない作業だ。
 ただ鱗斧だと幹が細い木ならともかく、太い木を伐り倒すのに時間が掛かかってしまうのは目に見えている。
 そう考えると、少しずつ削り2~3日ほどかけて1本の木を伐り倒すのが現実的だろう。

 伐り倒すのは不慮で倒れてしまっても大丈夫なように、拠点から少し離れた場所の……よし、この30cmほどの太さがある木にしよう。
 まずは伐り倒す方向に幹の直径3分の1くらいまで30度から45度くらいのくの字に切り込みを入れるんだけど……うーん、拠点と離れてるとはいえ念には念を入れておくか。
 切り込みは拠点と真逆の場所に入れるとしよう。

「ふん! ふん! ふん! ふん!」

 僕は必死に鱗斧を幹に向かって何度も振り降ろした。
 ふぃー……この切れ込みを入れる作業だけでも大変だな。

「――お~い!」

「ん?」

 声がする方向を見ると、アリサが手を振っていた。
 沢から戻って来たか。
 むー悔しいな、切り込みくらいまでは完成させたかったんだけど……アリサが戻ってくるまでって決めていたから仕方ない、今はここまでにするとしよう。
 汗もかいたし沢に行ったら水浴びもしなくちゃな。



 沢についた僕は、さっそく土器を水をつける事にした。
 ドキドキの瞬間だな、まさに土器だけに……なんつって!

「…………さむっ」

 一瞬気温が下がった感じがしたけど気のせい……だよな?

「アホな事を考えてないで、さっさとやってしまおう」

 1つ目、上の部分が少し欠けている物。
 水の中に入れて洗ってみても、崩れる事も無く形も変わらない。
 水をすくい上げても水漏れがしている所は無し。
 とりあえずこのまま置いて様子を見てみよう。

 2つ目、見た目的に変わりがない物。
 1つ目と同じようにしてみても問題無し。
 これも水を入れたまま置いておいて様子見。

 3つ目、底にひび割れっぽいのが見える物。
 水をすくいあげると、予想通りひびから水が漏れて来た。
 まぁ水漏れしていても液体を入れなければいいだけの話。
 そこに葉っぱを敷いておけば物入として十分使えるからな。

 その後、全身を洗い流してから水を入れた器を2つ確認してみる。
 どちらも水が漏れてもいなければ染みて来てもないし、器も硬いままだ。

「やった! 水を入れられる器が出来たぞ!!」

 うおおおおお! これはすごく嬉しい!
 自分で作った分、火がついた時より嬉しいかもしれない!!
 後はこの土器で煮る事が出来るかどうかだ。
 こうしちゃいられない、一刻も早く戻って確かめなきゃ!
 僕は興奮状態で土器を3つ抱えて大急ぎで拠点まで走った。

 ――自分が今、生まれたての姿なのにも気付かずに……。
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