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12章 二人の発生と消滅
ケビンの書~消滅・6~
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さあて最高に決まった俺を見て、コレットはどんな反応をしてくれるかな。
「――」
あれ? 大口を開けたまま固まってる……。
なんでだ!? ピンチの状態から華麗に助けて、しかもお姫様抱っこの体勢なっているというこの状況だぞ!
ここは「助けてくれてありがとうございます!」と、涙ながらに俺に抱き付てくるもんじゃないのか!?
《下に逃げようが無駄だ!》
『げっ!』
そうか、コレットが固まっていたのはあのジャイントスネークのせいだ。
あいつの存在のせいで、この状況でも恐怖の感情が勝ってしまって固まったんだ。
くっそおおおお、なんて勿体ない! こんな良いシチュエーションはもう二度と来ないぞ。
『っ!』
いや、落ち着け……俺、今はあの邪魔者から逃げる事を考えろ。
そう悲しいんでいる場合じゃないんだ、なにせ俺の腕の中には恐怖で動けないコレットがいるんだからな。
必ず俺がコレットを守ってみせる……とかっこよく言いたい所だが、今すぐに良い解決案が浮かばないので――。
『しっかり掴まっていろよ!』
「へっ!?」
お姫様抱っこのまま走って逃げる!
あいつをどうするかは、また撒いてから考えよう。
……にしても骨だけだから、コレットの感触を感じられないのは実に寂しい。こういう時は本当に肉体があったらと切に思うな。
《待てえええええ!》
うわっ、あいつ体を壁にぶつけながら無理やり追いかけて来やがった。
だが残念だったな、この辺りは俺が初めて隠し通路見つけた場所だ。
通路は頭に入っているから、コレットを抱えていても簡単に撒け――。
「放して! 下して! この!」
――る!?
ちょっコレットが急に暴れだしたし!
『おっとと! 危ないところだった!』
危うくコレットを落としそうになった。
しかし、こんなに手足をジタバタさせてどうしたんだ?
《待てえええええ!》
あー今度は追いかけられてパニックに陥ってしまったようだ。
状況が状況だけに仕方ない事だが、このまま暴れられると走って逃げるのが辛いな。
どこか隠れる場所があればいいんだが、そんな所はこの先にないし……どうしたんもんか。
「はぁ~はぁ~……」
お、疲れたのか大人しくなったぞ。
『そうそう、大人しくしててくれよ』
良かった、これなら逃げ切れそうだ。
えーと、この先は一本道だから……。
「うわああああああああ!」
ええっ!? またコレットが暴れ出したし!
『おい! またかよ!』
しかも今度は手足をジタバタさせるだけじゃなくて、体全体を使って上下左右に動かしている!
せっかくのお姫様抱っこなのに、こんな風に動かれるとまるで巨大魚を抱きかかえているような感じになってきたんだが!
「おりゃあああああ!」
掛け声と共に、さらに動きが激しくなった!
気合を入れる雄叫びまで上げてるし、パニックってレベルじゃねぇぞ!?
『くっこれは……! もう、駄目だ!』
支えきれない、倒れてしまう!
――ガシャーン!
『うげっ!』
「っあいた!」
しまった、倒れた拍子にコレットをぶん投げてしまった。
あーあ、お尻を擦っている。どうやら尻もちをついちゃったみたいだな。
弾みとはいえ申し訳ない、今のは痛かったよな。
《ハッハ、ようやく追いついたぞ》
『っ!』
くそっ! 俺はどうなろうとも、コレットを何としても守らなければ!
《それじゃ、いただきまあああああああああす!》
ジャイアントスネークが大きな口を開けながら向かって来た、完全に捕食する気満々だな。
捕食……そうだ、食べる間なら確実に隙が生まれるじゃないか。
俺がエサになって食われている間に、コレットには脱出してもらおう。
食われた後、俺は無事に脱出できるかはわからんが……まぁこの体だし何とかなるだろう、そもそもコレットが食われるところを見るより遥かにましだ。
よし! それで行こう。
『コレット! 俺がエサになるから、その間に――』
――バクッ!
『――にげ……て……』
ぎゃあああああああああ!!
コレットが食われたああああああああああああああああああああああ!!
《――ゴックン。……ありゃこの体の本能のせいか、つい肉がある方を優先してしまった》
……たったそれだけの理由でコレットが食われたのか……?
くそおおおおお! 肉体が無いのがこれほど悔しいと思った事は……さっきもあったけど、それ以上に悔しい思いをするなんて!!
『……お前だけは……お前だけは絶対に許さん!!』
コレットの仇をうってやる!
そして、コレット……後で会いに行くからな。
《ハッハハ! 安心しろ、お前もすぐに……》
〈――! ――!〉
『《ん?》』
いま、こいつの腹から何か聞こえたような……。
〈――うう!〉
声……?
〈いやあああああああ!〉
この声はまさか!?
〈ここから出してええええええ!〉
間違いない、コレットだ!
あいつの腹からコレットの声が聞こえる!
『あー丸呑みにしたからまだ生きていて当たり前か。まぁ時間の問題だがな』
良かった、生きていたんだ。
本当に良かった……。
〈うわああああああん!〉
っ呆けてる場合じゃない、コレットが泣いている!
早く助けなければ!
『待ってろよ、コレット! 今助けてやるからな!』
《なっ!? おっおい、何俺の口の中に入ろうとしているんだ!?》
今は外から救出する手段が思いつかない。
だったら、俺が口の中に入ってコレットを引っ張り出すしかない。
『いいか口を開けやがれ! このおおおお!』
《あがっ!》
よし、開いたぞ。
後は奥に潜り込んでコレットの救出を。
『コレット! 早く俺の手を掴むんだ!!』
《……》
――クイッ
『はっ?』
こいつ、顔を上に向けやがった。
この体勢だとコレットを引き上げにくいじゃないか、全く。
『おい、なんで上を向くんだ。これじゃコレットを引き上げ……あっ』
これは、もしかして……。
《ハムッ》
げっやっぱり口を閉じやがった。
まずいぞ、身動きがまったく取れない。
このままだと……。
《――ゴックン》
ぎゃあああああああああ! やっぱり飲まれてしまった!
コレットを助けるはずが、俺自身食われに行ってどうすんだよ! 俺の馬鹿!
《……自分から口に入って来るとは……やっぱり色々とおかしい奴だったな……》
「――」
あれ? 大口を開けたまま固まってる……。
なんでだ!? ピンチの状態から華麗に助けて、しかもお姫様抱っこの体勢なっているというこの状況だぞ!
ここは「助けてくれてありがとうございます!」と、涙ながらに俺に抱き付てくるもんじゃないのか!?
《下に逃げようが無駄だ!》
『げっ!』
そうか、コレットが固まっていたのはあのジャイントスネークのせいだ。
あいつの存在のせいで、この状況でも恐怖の感情が勝ってしまって固まったんだ。
くっそおおおお、なんて勿体ない! こんな良いシチュエーションはもう二度と来ないぞ。
『っ!』
いや、落ち着け……俺、今はあの邪魔者から逃げる事を考えろ。
そう悲しいんでいる場合じゃないんだ、なにせ俺の腕の中には恐怖で動けないコレットがいるんだからな。
必ず俺がコレットを守ってみせる……とかっこよく言いたい所だが、今すぐに良い解決案が浮かばないので――。
『しっかり掴まっていろよ!』
「へっ!?」
お姫様抱っこのまま走って逃げる!
あいつをどうするかは、また撒いてから考えよう。
……にしても骨だけだから、コレットの感触を感じられないのは実に寂しい。こういう時は本当に肉体があったらと切に思うな。
《待てえええええ!》
うわっ、あいつ体を壁にぶつけながら無理やり追いかけて来やがった。
だが残念だったな、この辺りは俺が初めて隠し通路見つけた場所だ。
通路は頭に入っているから、コレットを抱えていても簡単に撒け――。
「放して! 下して! この!」
――る!?
ちょっコレットが急に暴れだしたし!
『おっとと! 危ないところだった!』
危うくコレットを落としそうになった。
しかし、こんなに手足をジタバタさせてどうしたんだ?
《待てえええええ!》
あー今度は追いかけられてパニックに陥ってしまったようだ。
状況が状況だけに仕方ない事だが、このまま暴れられると走って逃げるのが辛いな。
どこか隠れる場所があればいいんだが、そんな所はこの先にないし……どうしたんもんか。
「はぁ~はぁ~……」
お、疲れたのか大人しくなったぞ。
『そうそう、大人しくしててくれよ』
良かった、これなら逃げ切れそうだ。
えーと、この先は一本道だから……。
「うわああああああああ!」
ええっ!? またコレットが暴れ出したし!
『おい! またかよ!』
しかも今度は手足をジタバタさせるだけじゃなくて、体全体を使って上下左右に動かしている!
せっかくのお姫様抱っこなのに、こんな風に動かれるとまるで巨大魚を抱きかかえているような感じになってきたんだが!
「おりゃあああああ!」
掛け声と共に、さらに動きが激しくなった!
気合を入れる雄叫びまで上げてるし、パニックってレベルじゃねぇぞ!?
『くっこれは……! もう、駄目だ!』
支えきれない、倒れてしまう!
――ガシャーン!
『うげっ!』
「っあいた!」
しまった、倒れた拍子にコレットをぶん投げてしまった。
あーあ、お尻を擦っている。どうやら尻もちをついちゃったみたいだな。
弾みとはいえ申し訳ない、今のは痛かったよな。
《ハッハ、ようやく追いついたぞ》
『っ!』
くそっ! 俺はどうなろうとも、コレットを何としても守らなければ!
《それじゃ、いただきまあああああああああす!》
ジャイアントスネークが大きな口を開けながら向かって来た、完全に捕食する気満々だな。
捕食……そうだ、食べる間なら確実に隙が生まれるじゃないか。
俺がエサになって食われている間に、コレットには脱出してもらおう。
食われた後、俺は無事に脱出できるかはわからんが……まぁこの体だし何とかなるだろう、そもそもコレットが食われるところを見るより遥かにましだ。
よし! それで行こう。
『コレット! 俺がエサになるから、その間に――』
――バクッ!
『――にげ……て……』
ぎゃあああああああああ!!
コレットが食われたああああああああああああああああああああああ!!
《――ゴックン。……ありゃこの体の本能のせいか、つい肉がある方を優先してしまった》
……たったそれだけの理由でコレットが食われたのか……?
くそおおおおお! 肉体が無いのがこれほど悔しいと思った事は……さっきもあったけど、それ以上に悔しい思いをするなんて!!
『……お前だけは……お前だけは絶対に許さん!!』
コレットの仇をうってやる!
そして、コレット……後で会いに行くからな。
《ハッハハ! 安心しろ、お前もすぐに……》
〈――! ――!〉
『《ん?》』
いま、こいつの腹から何か聞こえたような……。
〈――うう!〉
声……?
〈いやあああああああ!〉
この声はまさか!?
〈ここから出してええええええ!〉
間違いない、コレットだ!
あいつの腹からコレットの声が聞こえる!
『あー丸呑みにしたからまだ生きていて当たり前か。まぁ時間の問題だがな』
良かった、生きていたんだ。
本当に良かった……。
〈うわああああああん!〉
っ呆けてる場合じゃない、コレットが泣いている!
早く助けなければ!
『待ってろよ、コレット! 今助けてやるからな!』
《なっ!? おっおい、何俺の口の中に入ろうとしているんだ!?》
今は外から救出する手段が思いつかない。
だったら、俺が口の中に入ってコレットを引っ張り出すしかない。
『いいか口を開けやがれ! このおおおお!』
《あがっ!》
よし、開いたぞ。
後は奥に潜り込んでコレットの救出を。
『コレット! 早く俺の手を掴むんだ!!』
《……》
――クイッ
『はっ?』
こいつ、顔を上に向けやがった。
この体勢だとコレットを引き上げにくいじゃないか、全く。
『おい、なんで上を向くんだ。これじゃコレットを引き上げ……あっ』
これは、もしかして……。
《ハムッ》
げっやっぱり口を閉じやがった。
まずいぞ、身動きがまったく取れない。
このままだと……。
《――ゴックン》
ぎゃあああああああああ! やっぱり飲まれてしまった!
コレットを助けるはずが、俺自身食われに行ってどうすんだよ! 俺の馬鹿!
《……自分から口に入って来るとは……やっぱり色々とおかしい奴だったな……》
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