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8章 二人の不調と乗っ取り
コレットの書~不調・5~
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「……そう……みたいだな……戻って来る気配は、なさそうか。――はぁ……さすがに今のは冷や汗をかいたぞ」
うわ、私もいつの間にかすごい汗をかいているし。
う~服がへばりついて気持ち悪いな……。
「それにしても、なんだったんだ? あの変てこなスケルトンは……」
あれもレア・スケルトンの一種なのかな?
皮の鎧を着て、腰ミノを巻いて、グレイさんとマークさんの攻撃をジャンプで避けて私を狙う……もはやモンスターとは思えない行動だわ。
「先輩がわからないのだったら俺にわかるわけないっス、ただあのスケルトンの変な行動のおかげでコレットさんは助かったというのはわかるっス」
「……そう、ですね……」
う~ん……確かにそうなんだけど、何だか素直に喜べない。
だって、あの踊りがあまりにも衝撃的すぎて脳裏から離れないんだもの……。
「……夢に出て来そうで怖いわ……」
「ん? 何か言ったか?」
「イエナニモ……」
考えるのはよそう、本当に夢で見ちゃいそうだしね。
「――? ……しかしドラゴニュートといい、ミスリルゴーレムといい、この所この遺跡は何かがおかしいな……何が起こっているんだ?」
ドラゴニュートにミスリルゴーレム……その辺りのモンスターって私が鉢合わせしているのばかり……。
そこにレア・スケルトンも混じっているし、もしかして私が引き寄せちゃってる?
いや、それは無いよね……だって私は普通の女だし、今までにモンスターを引き寄せるとかはなかっし。
「うーん、考えたとこで情報がなさすぎるか。仕方ない、この件は持ち帰りだ、あの変てこスケルトンがまたも襲ってくるかもしれんし、今のうちに脱出をするぞ」
「あ、はい……って、あ……れ……?」
おかしいな……体に力が入らない……。
それどころか、ドンドンと力が抜けていく感じがする。
「……? どうした、コレット?」
「はぁ……はぁ……」
それに、何だか息も苦しなって来たし……。
体も熱くて……汗が止まらない。
「コレットさん?」
あ……頭が……ボーッ……と……して……きた。
「――――?」
……目の……前が……歪んで……来た……。
――ドサッ
「コレ――!?」
「コレッ――!?」
2人……の……声……が……遠く……………………。
「――――」
「――――」
※
「……あれ……? ……ここは……どこ?」
確か、私は白竜の遺跡にいたはずなんだけど……。
辺りは真っ白ね……霧の中かしら?
「いつの間に、こんな所に来たのかしら?」
あ、グレイさんやマークさんは近くにいるのかな。
「グレイさ~ん! マークさ~ん! いたら返事してください~!」
……………………。
う~ん、返事がない。
それどころか物音一つも聞こえな――。
『カタ』
――っ!?
今の音は、まさか!!
『カタカタ!』
「ぎゃあああああああ! やっぱりスケルトン!!」
何で、また鎧を着た腰ミノのスケルトンが出てくるの!
とっとにかく、早く逃げないと!
「――あれ? 体が動かない!?」
何で? どうして!?
全身が石になったみたいに固まって動けない!
『カタカタカタ』
まずい、こっちに来た!
お願い! 私の体動いて!
『カタカタカタ』
「――っ! こっこちに来ないで!!」
『カタカタカタ!』
もう駄目だ!
『カタカタカタ!』
あれ? 目の前で止まった……?
……これの流れは……もしかして……。
『カタカタカタカタカタ!』
ぎゃああああ!!
やっぱり踊りだしたああああ!!
『カタカタカタカタカタ!』
「だから、その踊りは何なのよ! どうして私の目の前で踊るの!?」
『カタカタカタカタカタ!』
駄目だ、まったく通じていない。
そもそも、通じていたとしても言葉が出ないんじゃどうしようもないか。
『カタ』
「――へっ?」
今、右から音がしたような……。
『カタカタカタカタカタ!』
「なっ!?」
もう1体の不気味スケルトンが出てきた!
まさか、2体もいたなん――。
『カタカタカタカタカタ!』
ちょっ! こっちも踊りだした!?
『カタ』
「ウソでしょ!?」
今度は左から聞こえてきたけど。
『カタカタカタカタカタ!』
ぎゃあああああ、3体目の不気味スケルトン!
と言う事は……こいつも――。
『カタカタカタカタカタ!』
ですよね!
やっぱり踊りだすよね!
『カタカタカタカタカタ!』
『カタカタカタカタカタ!』
『カタカタカタカタカタ!』
この状況は何なの!?
怖い! 怖すぎる!
「いや! もうその踊りはやめて! 誰か助けてええええええええええ!!」
◇◆アース歴200年 6月18日・夜◇◆
「……う~ん……もう……やめて……そんな、不気味な踊りを……見せないで……!」
「――さん! ――ットさん!」
「いやあああああああああ!」
「起きて下さいっス!」
「――はっ! ……はぁ……はぁ……あ、れ……?」
不気味なスケルトンが消えた…?
「ふぅ、目を覚ましたっスか? ――コレットさん、うなされていたんで起こさせてもらったっスよ」
……マークさん?
「大丈夫か? すごくうなされていたが……」
……グレイさんもいる。
「……ここ……は……?」
「ここはコレットが泊まっている宿で、お前の部屋だ」
私、部屋のベッドで……寝ていたんだ。
……と言う事は、さっきのは夢?
「……はぁ……夢で……良かった……」
まさか本当に、あの不気味スケルトンの踊りを夢で見ちゃうなんて……。
しかも、3体に囲まれるという最悪の……まさに悪夢だったわ。
うわ、私もいつの間にかすごい汗をかいているし。
う~服がへばりついて気持ち悪いな……。
「それにしても、なんだったんだ? あの変てこなスケルトンは……」
あれもレア・スケルトンの一種なのかな?
皮の鎧を着て、腰ミノを巻いて、グレイさんとマークさんの攻撃をジャンプで避けて私を狙う……もはやモンスターとは思えない行動だわ。
「先輩がわからないのだったら俺にわかるわけないっス、ただあのスケルトンの変な行動のおかげでコレットさんは助かったというのはわかるっス」
「……そう、ですね……」
う~ん……確かにそうなんだけど、何だか素直に喜べない。
だって、あの踊りがあまりにも衝撃的すぎて脳裏から離れないんだもの……。
「……夢に出て来そうで怖いわ……」
「ん? 何か言ったか?」
「イエナニモ……」
考えるのはよそう、本当に夢で見ちゃいそうだしね。
「――? ……しかしドラゴニュートといい、ミスリルゴーレムといい、この所この遺跡は何かがおかしいな……何が起こっているんだ?」
ドラゴニュートにミスリルゴーレム……その辺りのモンスターって私が鉢合わせしているのばかり……。
そこにレア・スケルトンも混じっているし、もしかして私が引き寄せちゃってる?
いや、それは無いよね……だって私は普通の女だし、今までにモンスターを引き寄せるとかはなかっし。
「うーん、考えたとこで情報がなさすぎるか。仕方ない、この件は持ち帰りだ、あの変てこスケルトンがまたも襲ってくるかもしれんし、今のうちに脱出をするぞ」
「あ、はい……って、あ……れ……?」
おかしいな……体に力が入らない……。
それどころか、ドンドンと力が抜けていく感じがする。
「……? どうした、コレット?」
「はぁ……はぁ……」
それに、何だか息も苦しなって来たし……。
体も熱くて……汗が止まらない。
「コレットさん?」
あ……頭が……ボーッ……と……して……きた。
「――――?」
……目の……前が……歪んで……来た……。
――ドサッ
「コレ――!?」
「コレッ――!?」
2人……の……声……が……遠く……………………。
「――――」
「――――」
※
「……あれ……? ……ここは……どこ?」
確か、私は白竜の遺跡にいたはずなんだけど……。
辺りは真っ白ね……霧の中かしら?
「いつの間に、こんな所に来たのかしら?」
あ、グレイさんやマークさんは近くにいるのかな。
「グレイさ~ん! マークさ~ん! いたら返事してください~!」
……………………。
う~ん、返事がない。
それどころか物音一つも聞こえな――。
『カタ』
――っ!?
今の音は、まさか!!
『カタカタ!』
「ぎゃあああああああ! やっぱりスケルトン!!」
何で、また鎧を着た腰ミノのスケルトンが出てくるの!
とっとにかく、早く逃げないと!
「――あれ? 体が動かない!?」
何で? どうして!?
全身が石になったみたいに固まって動けない!
『カタカタカタ』
まずい、こっちに来た!
お願い! 私の体動いて!
『カタカタカタ』
「――っ! こっこちに来ないで!!」
『カタカタカタ!』
もう駄目だ!
『カタカタカタ!』
あれ? 目の前で止まった……?
……これの流れは……もしかして……。
『カタカタカタカタカタ!』
ぎゃああああ!!
やっぱり踊りだしたああああ!!
『カタカタカタカタカタ!』
「だから、その踊りは何なのよ! どうして私の目の前で踊るの!?」
『カタカタカタカタカタ!』
駄目だ、まったく通じていない。
そもそも、通じていたとしても言葉が出ないんじゃどうしようもないか。
『カタ』
「――へっ?」
今、右から音がしたような……。
『カタカタカタカタカタ!』
「なっ!?」
もう1体の不気味スケルトンが出てきた!
まさか、2体もいたなん――。
『カタカタカタカタカタ!』
ちょっ! こっちも踊りだした!?
『カタ』
「ウソでしょ!?」
今度は左から聞こえてきたけど。
『カタカタカタカタカタ!』
ぎゃあああああ、3体目の不気味スケルトン!
と言う事は……こいつも――。
『カタカタカタカタカタ!』
ですよね!
やっぱり踊りだすよね!
『カタカタカタカタカタ!』
『カタカタカタカタカタ!』
『カタカタカタカタカタ!』
この状況は何なの!?
怖い! 怖すぎる!
「いや! もうその踊りはやめて! 誰か助けてええええええええええ!!」
◇◆アース歴200年 6月18日・夜◇◆
「……う~ん……もう……やめて……そんな、不気味な踊りを……見せないで……!」
「――さん! ――ットさん!」
「いやあああああああああ!」
「起きて下さいっス!」
「――はっ! ……はぁ……はぁ……あ、れ……?」
不気味なスケルトンが消えた…?
「ふぅ、目を覚ましたっスか? ――コレットさん、うなされていたんで起こさせてもらったっスよ」
……マークさん?
「大丈夫か? すごくうなされていたが……」
……グレイさんもいる。
「……ここ……は……?」
「ここはコレットが泊まっている宿で、お前の部屋だ」
私、部屋のベッドで……寝ていたんだ。
……と言う事は、さっきのは夢?
「……はぁ……夢で……良かった……」
まさか本当に、あの不気味スケルトンの踊りを夢で見ちゃうなんて……。
しかも、3体に囲まれるという最悪の……まさに悪夢だったわ。
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