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4章 とある女神サマ、失敗する
その時を待つ(1)
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「……」
『ジ~……ふむふむ』
「……」
『ジ~……なるほど、なるほど』
今日も今日とて学校に登校してから授業中まで、ずっとメイティーは神野さんにくっ付いてスマホに色々と入力をしている。
結局スマホがあろうがなかろうが関係なかった、俺が辞めろとメッセージを打ってもそれを無視。
仕方がないので休み時間、体育館裏へ行き注意をするがメイティーの態度は右の耳から左の耳。
元々こいつの動きはよくわからなかったけど、最近特にわからない。
本当に俺と神野さんをくっ付ける気があるのだろうか。
その行為らしき指示があったのは、神野さんとぶつかれというかなり危ない事のみ。
メイティー自身が動いたのは席替え……まぁこれに関してはもはや何も言う事が無いけども……。
――キーンコーンカーンコーン
授業終了のチャイム。
注意しても駄目なら、せめて今何をしているのか把握しておこう。
素直に答えるかどうかはわからないけど……メイティーについて来いと目線を送ってっと。
『ん? もう~また体育館裏なの~?』
メイティーがもううんざりって顔をしている。
恐らく俺も同じような顔になっていると思う。
※
もはや、この体育館裏に来るのが当たり前になってしまったな。
『で、今日は何よ? 言っておくけどこれは大事な事なんだからやめないわよ』
大事ねぇ……。
俺からしたらそうはみえないんだけどな。
「もう俺もそれに関したらあきらめたよ。ただ、教えてほしい事があるんだ。最近は神野さんにくっ付いてスマホに何かを打ち込んでいるだけじゃないか、これに何の意味があるんだ? 俺には大事な事と思えんのだが……」
『失敬な、ちゃんと意味があるわよ。ただ、この内容は見せられないわよ。あの娘のプライバシー侵害になっちゃうから』
プライバシー侵害!?
盗撮していたくせに、お前がそれを言える立場かよ!
そもそも俺のプライバシー侵害はいいのか!? がっつり私生活を見ているくせに!
今すぐこいつを訴えてやりたい。
『それに、前にも言ったでしょ。これは敵の情報をまとめる為だって』
だから敵じゃないだろ。
もういいや、話が進まないし休み時間も終わるから俺が折れよう。
「だからといって、それを毎日する事か?」
数カ月くらい時間が開いてしまったのならわかる。
だが、こう毎日毎日見ていても変化なんてないだろうに。
『何言っているの、身長、体重、髪の長さ、その日の体調とか毎日違うんだから。その辺りもきちんと把握しておかないと』
「はあ?」
そりゃあ神野さんも生き物だから、その辺りは当然変わる。
変わるが……体調はともかく、他のに関したら完全に誤差じゃないか。
つか、それらと恋愛になんの関係があるんだ?
やばい、把握しようと思ったが余計訳がわからなくなってきた。
「えーと……それ恋愛になんの関係があるんだ?」
『ふふ~ん、甘いわね~。考えが甘いわ~ショートケーキにハチミツをかけてチョコアイスを乗せたくらい甘い考えよ』
どんだけ甘いんだよ。
想像しただけ胸焼けしそうだわ。
『連れ戻されて檻に入れられた時に暇だったから、お母様に頼んで色々と聖書を買ってもらったのよ……ほら!』
聖書という名の新しい漫画を3冊目の前に出して来た。
えーと、今度は俺も知っているラブコメ系の漫画に……初めて情報戦略? 絵で学ぼうことわざ100選!?
おいおい、ラブコメ系の漫画はともかく何でビジネス本とことわざ本が出てくるんだよ。
ああ、どんな上品そうでもメイティーの母親なんだなって実感。
母親も母親でなんかズレとる。
『でね、この新しい聖書を読んで思ったの。ここに書かれている事を組み合わせ、更にアタシの知識を混ぜ込めば完璧な恋愛術になるって!』
ラブコメとビジネスとことわざを組み合わせる?
その時点で意味不明なのに、そこにメイティーの知識を混ぜてしまったらカオスにしかならんぞ。
こいつは俺の青春を無茶苦茶にしたいのかな?
『例えばね~あっ知ってる? 急がば回れって言葉』
「そりゃあ知っているよ。急いでいるからって慣れない事をすれば逆に遅くなるって奴だろ」
『あら、ちゃんと勉強しているじゃない』
馬鹿にするなよ。
それくらいは知っているわ。
『そう、今までのアタシは急ぎ過ぎた……さっさと2人をくっ付けて天界に帰ろうって思っていたもの』
今サラっと本音が漏れたぞ、こいつ。
自称でも恋愛の女神サマならそれを言っちゃ駄目だろう。
『だから、失敗してお父様に怒られる羽目になっちゃったわけよ』
いや、それはただの自業自得だろ。
約束を破ったお前が悪い。
『この言葉を見た時衝撃的だったわね……まさに今のアタシの事だって』
そこは否定しないな。
事実早く帰ろうと思っていたんだから。
『他の聖書にはこうも書かれていたわ。恋は駆け引き、時とタイミングが大事だと……これも衝撃を受けたわね……まさにそうだわ』
ラブコメの方か。
てか、恋愛の女神サマがなんでラブコメに教えられて衝撃を受けるんだか。
『さらには、この戦略に書いてあったわ! 情報こそ最大の武器! そして、その情報は毎日変わるから必ずチェックするべしと!』
うん、戦略は戦略だけどそれって株に対しての戦略だから……ああっそうか! だから、毎日神野さんにくっ付いていたわけか!
違う、そうじゃない……いや、ある意味恋愛にも相手の情報が必要なのはあってはいるけど、その本に書かれている【情報】とお前の考えている【情報】は方向性が全く違うんだよ。
『恋は駆け引きが重要、焦らずじっくりと構え、情報という武器を常に研ぎ澄まし、チャンスを窺い……そして、時が来た時に討つべし!!』
討つべしって、だから神野さんは敵じゃねぇっての!!
なんで戦の女神みたいになっているんだよ、しかも目がマジだし。
『だから、その時が来た時はデータを元にアタシがちゃんと導いてあげるから、楽しみにしていなさい!』
その時が来たとしても、身長、体重、髪の長さで導けるのか?
そして、こいつの自信満々の顔が不安しかない。
同じ神野さんの顔なのに、どうしてこんなにも差があるのか不思議すぎる。
『ジ~……ふむふむ』
「……」
『ジ~……なるほど、なるほど』
今日も今日とて学校に登校してから授業中まで、ずっとメイティーは神野さんにくっ付いてスマホに色々と入力をしている。
結局スマホがあろうがなかろうが関係なかった、俺が辞めろとメッセージを打ってもそれを無視。
仕方がないので休み時間、体育館裏へ行き注意をするがメイティーの態度は右の耳から左の耳。
元々こいつの動きはよくわからなかったけど、最近特にわからない。
本当に俺と神野さんをくっ付ける気があるのだろうか。
その行為らしき指示があったのは、神野さんとぶつかれというかなり危ない事のみ。
メイティー自身が動いたのは席替え……まぁこれに関してはもはや何も言う事が無いけども……。
――キーンコーンカーンコーン
授業終了のチャイム。
注意しても駄目なら、せめて今何をしているのか把握しておこう。
素直に答えるかどうかはわからないけど……メイティーについて来いと目線を送ってっと。
『ん? もう~また体育館裏なの~?』
メイティーがもううんざりって顔をしている。
恐らく俺も同じような顔になっていると思う。
※
もはや、この体育館裏に来るのが当たり前になってしまったな。
『で、今日は何よ? 言っておくけどこれは大事な事なんだからやめないわよ』
大事ねぇ……。
俺からしたらそうはみえないんだけどな。
「もう俺もそれに関したらあきらめたよ。ただ、教えてほしい事があるんだ。最近は神野さんにくっ付いてスマホに何かを打ち込んでいるだけじゃないか、これに何の意味があるんだ? 俺には大事な事と思えんのだが……」
『失敬な、ちゃんと意味があるわよ。ただ、この内容は見せられないわよ。あの娘のプライバシー侵害になっちゃうから』
プライバシー侵害!?
盗撮していたくせに、お前がそれを言える立場かよ!
そもそも俺のプライバシー侵害はいいのか!? がっつり私生活を見ているくせに!
今すぐこいつを訴えてやりたい。
『それに、前にも言ったでしょ。これは敵の情報をまとめる為だって』
だから敵じゃないだろ。
もういいや、話が進まないし休み時間も終わるから俺が折れよう。
「だからといって、それを毎日する事か?」
数カ月くらい時間が開いてしまったのならわかる。
だが、こう毎日毎日見ていても変化なんてないだろうに。
『何言っているの、身長、体重、髪の長さ、その日の体調とか毎日違うんだから。その辺りもきちんと把握しておかないと』
「はあ?」
そりゃあ神野さんも生き物だから、その辺りは当然変わる。
変わるが……体調はともかく、他のに関したら完全に誤差じゃないか。
つか、それらと恋愛になんの関係があるんだ?
やばい、把握しようと思ったが余計訳がわからなくなってきた。
「えーと……それ恋愛になんの関係があるんだ?」
『ふふ~ん、甘いわね~。考えが甘いわ~ショートケーキにハチミツをかけてチョコアイスを乗せたくらい甘い考えよ』
どんだけ甘いんだよ。
想像しただけ胸焼けしそうだわ。
『連れ戻されて檻に入れられた時に暇だったから、お母様に頼んで色々と聖書を買ってもらったのよ……ほら!』
聖書という名の新しい漫画を3冊目の前に出して来た。
えーと、今度は俺も知っているラブコメ系の漫画に……初めて情報戦略? 絵で学ぼうことわざ100選!?
おいおい、ラブコメ系の漫画はともかく何でビジネス本とことわざ本が出てくるんだよ。
ああ、どんな上品そうでもメイティーの母親なんだなって実感。
母親も母親でなんかズレとる。
『でね、この新しい聖書を読んで思ったの。ここに書かれている事を組み合わせ、更にアタシの知識を混ぜ込めば完璧な恋愛術になるって!』
ラブコメとビジネスとことわざを組み合わせる?
その時点で意味不明なのに、そこにメイティーの知識を混ぜてしまったらカオスにしかならんぞ。
こいつは俺の青春を無茶苦茶にしたいのかな?
『例えばね~あっ知ってる? 急がば回れって言葉』
「そりゃあ知っているよ。急いでいるからって慣れない事をすれば逆に遅くなるって奴だろ」
『あら、ちゃんと勉強しているじゃない』
馬鹿にするなよ。
それくらいは知っているわ。
『そう、今までのアタシは急ぎ過ぎた……さっさと2人をくっ付けて天界に帰ろうって思っていたもの』
今サラっと本音が漏れたぞ、こいつ。
自称でも恋愛の女神サマならそれを言っちゃ駄目だろう。
『だから、失敗してお父様に怒られる羽目になっちゃったわけよ』
いや、それはただの自業自得だろ。
約束を破ったお前が悪い。
『この言葉を見た時衝撃的だったわね……まさに今のアタシの事だって』
そこは否定しないな。
事実早く帰ろうと思っていたんだから。
『他の聖書にはこうも書かれていたわ。恋は駆け引き、時とタイミングが大事だと……これも衝撃を受けたわね……まさにそうだわ』
ラブコメの方か。
てか、恋愛の女神サマがなんでラブコメに教えられて衝撃を受けるんだか。
『さらには、この戦略に書いてあったわ! 情報こそ最大の武器! そして、その情報は毎日変わるから必ずチェックするべしと!』
うん、戦略は戦略だけどそれって株に対しての戦略だから……ああっそうか! だから、毎日神野さんにくっ付いていたわけか!
違う、そうじゃない……いや、ある意味恋愛にも相手の情報が必要なのはあってはいるけど、その本に書かれている【情報】とお前の考えている【情報】は方向性が全く違うんだよ。
『恋は駆け引きが重要、焦らずじっくりと構え、情報という武器を常に研ぎ澄まし、チャンスを窺い……そして、時が来た時に討つべし!!』
討つべしって、だから神野さんは敵じゃねぇっての!!
なんで戦の女神みたいになっているんだよ、しかも目がマジだし。
『だから、その時が来た時はデータを元にアタシがちゃんと導いてあげるから、楽しみにしていなさい!』
その時が来たとしても、身長、体重、髪の長さで導けるのか?
そして、こいつの自信満々の顔が不安しかない。
同じ神野さんの顔なのに、どうしてこんなにも差があるのか不思議すぎる。
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