上 下
9 / 20

令嬢はお友だちを招待する

しおりを挟む
「学園にそのような方々がいらっしゃるだなんて。思いもしませんでしたね」

「自分たちが何をされたのか。それも分かっておられないのでしょう」

「学園に入る準備として、希望者に教育を受けられるようにしたらどうかしら?」

「お待ちになって。あの方々は伯爵家とそれに属する家の方々でしたのよ?希望されるかしら?」

「全員に強制となってもいいのではないかしら?」

「学園入学後に、一定期間マナーを徹底的に学習出来るようカリキュラムを変更しては?」

「それはいいかもしれませんわね。十分に学んで来た方々にとっては復習するいい機会になりますでしょう?」

「それぞれの領地に離れて暮らしていますもの。マナーの常識も偏っているかもしれませんし」

「共通意識を持つためには必要かもしれませんわね」

「だけどそれで古臭いマナーが固定されてしまってはいけないわよ」

「伝統は大切にしなければなりませんけれど、意味のない古いしきたりに縛られてもいけませんわよね」



 本日は学園がお休みですの。
 ですからこうして昼下がりに、気心の知れた仲の皆様を王都の邸に招き、お茶をしているところですわ。

 彼女たちは学園での偶然の出会いの方々ではございませんことよ。
 幼い頃からお付き合いのあるわたくしの大切な『お友だち』ですわ。

 先日学園で経験した不思議な体験についてお話させていただきましたらね。
 お友だちのお話が大変盛り上がってまいりましたの。

 ふふ。
 今日はとっても紅茶がおいしいわ。


「そのような方々がいると分かっておりましたら、リリーシア様をおひとりにはいたしませんでしたのに」


 わたくしのお友だちは、お優しい人ばかりだから。
 どんなにお話が盛り上がっていても、わたくしを気遣ってくれるのよ。
 嬉しいわね。


「ご心配ありがとう。でもね、わたくしは楽しかっただけよ?面白いお話を沢山聞けましたもの。むしろわたくし一人で楽しんで申し訳なかったと思うわ」

 新緑の季節を迎え、今日は我が家の庭にもいい風が抜けておりますの。
 だからテラスにお茶を用意して貰ったわ。

 正解だったわね。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

とある令嬢の婚約破棄

あみにあ
恋愛
とある街で、王子と令嬢が出会いある約束を交わしました。 彼女と王子は仲睦まじく過ごしていましたが・・・ 学園に通う事になると、王子は彼女をほって他の女にかかりきりになってしまいました。 その女はなんと彼女の妹でした。 これはそんな彼女が婚約破棄から幸せになるお話です。

【完結】偽聖女め!死刑だ!と言われたので逃亡したら、国が滅んだ

富士とまと
恋愛
小さな浄化魔法で、快適な生活が遅れていたのに何もしていないと思われていた。 皇太子から婚約破棄どころか死刑にしてやると言われて、逃亡生活を始めることに。 最大の浄化魔法は陛下から使うなと言われていた使いました。 どうなるんでしょうね?「政治の腐敗を浄化する」魔法を使うと……。 少しずつ、聖女を追放したことで訪れる不具合。 ま、そんなこと知らないけど。 モブ顔聖女(前世持ち)とイケメン木こり(正体不明)との二人旅が始まる。

聖女なので公爵子息と結婚しました。でも彼には好きな人がいるそうです。

MIRICO
恋愛
癒しの力を持つ聖女、エヴリーヌ。彼女は聖女の嫁ぎ制度により、公爵子息であるカリス・ヴォルテールに嫁ぐことになった。しかしカリスは、ブラシェーロ公爵子息に嫁ぐ聖女、アティを愛していたのだ。 カリスはエヴリーヌに二年後の離婚を願う。王の命令で結婚することになったが、愛する人がいるためエヴリーヌを幸せにできないからだ。  勝手に決められた結婚なのに、二年で離婚!?  アティを愛していても、他の公爵子息の妻となったアティと結婚するわけにもいかない。離婚した後は独身のまま、後継者も親戚の子に渡すことを辞さない。そんなカリスの切実な純情の前に、エヴリーヌは二年後の離婚を承諾した。 なんてやつ。そうは思ったけれど、カリスは心優しく、二年後の離婚が決まってもエヴリーヌを蔑ろにしない、誠実な男だった。 やめて、優しくしないで。私が好きになっちゃうから!! ブックマーク・いいね・ご感想等、ありがとうございます。 ご感想お返事ネタバレになりそうなので控えさせていただきます。

今世も私は幸せです

ミカン♬
恋愛
男爵令嬢のシンディは学園に入学すると前世の記憶が甦った。夫のアーティと女たらしの傭兵メイビルを懐かしく思い出したが、シンディには父が決めた婚約者パウロがいて今世は二人と関わることは無いと、遠くから見守っていた。 しかし幼馴染とパウロが浮気をして婚約は破棄。 傷物になったシンディに前世傭兵だったメイビルが婚約者の名乗りを上げてきた。 今世も前世も女たらしで印象が悪すぎるメイビルをシンディは信じることが出来ない。 ぐいぐいくるメイビルと素直になれないシンディの恋の攻防戦です。 設定はフワっとしています。サクッと終るので、軽い気持ちで受け入れて下さると嬉しいです。 1万字以内で終わります。宜しくお願いします。 他サイトにも投稿。

頑張らない政略結婚

ひろか
恋愛
「これは政略結婚だ。私は君を愛することはないし、触れる気もない」 結婚式の直前、夫となるセルシオ様からの言葉です。 好きにしろと、君も愛人をつくれと。君も、もって言いましたわ。 ええ、好きにしますわ、私も愛する人を想い続けますわ! 五話完結、毎日更新

婚約破棄?お受けいたしますので、お幸せにね。

織田智子
恋愛
9年間婚約をしてきたアリアとエリクス。 しかし、エリクスから婚約破棄を持ちかけられた・・・ 婚約破棄が横行する貴族社会が舞台・・・な、はず。 完結しましたー。

【完結】婚約者の好みにはなれなかったので身を引きます〜私の周囲がそれを許さないようです〜

葉桜鹿乃
恋愛
第二王子のアンドリュー・メルト殿下の婚約者であるリーン・ネルコム侯爵令嬢は、3年間の期間を己に課して努力した。 しかし、アンドリュー殿下の浮気性は直らない。これは、もうだめだ。結婚してもお互い幸せになれない。 婚約破棄を申し入れたところ、「やっとか」という言葉と共にアンドリュー殿下はニヤリと笑った。私からの婚約破棄の申し入れを待っていたらしい。そうすれば、申し入れた方が慰謝料を支払わなければならないからだ。 この先の人生をこの男に捧げるくらいなら安いものだと思ったが、果たしてそれは、周囲が許すはずもなく……? 調子に乗りすぎた婚約者は、どうやら私の周囲には嫌われていたようです。皆さまお手柔らかにお願いします……ね……? ※幾つか同じ感想を頂いていますが、リーンは『話を聞いてすら貰えないので』努力したのであって、リーンが無理に進言をして彼女に手をあげたら(リーンは自分に自信はなくとも実家に力があるのを知っているので)アンドリュー殿下が一発で廃嫡ルートとなります。リーンはそれは避けるべきだと向き合う為に3年間頑張っています。リーンなりの忠誠心ですので、その点ご理解の程よろしくお願いします。 ※HOT1位ありがとうございます!(01/10 21:00) ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも別名義で掲載予定です。

処理中です...