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ザザァー。
ザザァー。
静かに聞こえる波の音に起こされたのか、朝日に照らされたテントの中から起き出してきた俺は、ほのかに香る潮風を体に感じていた。
小山の中腹から見える景色には青い海と水平線、そしてその空には今まで見たこともないような大きな月がなぜか二つ浮いていた?
「ううんっっ!? なんで月が二つ!?、いやいやいやいや、なんでだよ! しかもなんか異様にでかいし色も普通とおかしくね?」
少しパニックになった俺は冷静になるように、辺りを探るように見渡しながら考えた。
昨日は今までに何度も来たことのある、山の麓にあるキャンプ場に泊まったはずだ。
だから目の前に海なんかあるはずがない。
そして見た事が無い色と模様の月が二つ。
もしかして俺は酔ってんのか?
そう思い出しながら考えてみたが、昨夜は普通に缶ビールを1本飲んだだけだ。
けっして俺は酔ってはいない、いないはずだ。
そうだよな、うん、大丈夫だ。
そう思いなおして再び空を見るが、やはりそこには見た事もない月らしき星が二つ。
間違いなくハッキリと存在している。
うーん。
これはあれか、はやりの異世界転生ってやつか。(実は転移)
何となくそう思った俺は定番の
「ステータスオープン」
とつぶやいてみた。
すると、目の前に薄く白色に光る画面が現れた。
「うわっなんか出た」
宙に浮く画面を驚きながら確認してみると、そこには自分の名前や年齢など正にステータスが表示されていた。
名前 伊田 和司(いだ かずし)
年齢 51
異界技能 言語理解 アイテムボックス ザ・リユース
おお、何かでたけど、これだけか。
メチャメチャシンプルなステータス画面だな。
ステータスって言う割には名前と年齢と技能だけで、HPやMPも無ければレベルもないぞ。
余りにも少ない情報量に半分呆れそうになるが、どうやらこれで異世界に来たのは間違いないようだ。
異界技能って書いてあるしな。
しかし、今までそういったアニメやラノベを何度も見てきたほうだが、やっぱり実際に起こってみると全然現実味がないものだな。
人生50年をすぎ、後の残りは好きな事だけやって死ぬ。
そう決めて生きてきたつもりの俺だが、まさかこの年にしてこんな面白い事が起きるとはな。
俺はそう思いながら周りの景色を改めて見渡した。
小高い丘から降った正面の先には白い砂浜と広い海。そしてその反対方向にはそこまで高くはないが木々に覆われた森のような山がある。
周りに人が住んでそうな気配もなく、海鳥が鳴いているような自然見溢れるのどかな感じだ。
もしかしたらここは島かもしれないな。
何となくだがそんな事を考えながらしばらくぼーっと周りを見ていたのだが、すこしずつ冷静になってきた。
まずは水が必要だな。
生きていくためには最低でも水と食料が絶対に必要だ。
幸いにも海が目の前にあるので塩はなんとかなりそうだが、できれば川を見つけて飲める水が欲しい所だ。
とりあえずはキャンプ用品に、ある程度の食料は揃っているので、何も見つからなくても3日位はなんとかなるだろう。
そんなことを思考しながら俺はまず、テントに戻って所持品を確認する。
2m×2mのテントにマットに寝袋セット、モバイルバッテリーとスマホ。
「おっスマホかぁ」
と、ここでスマホの電波を確認するが、やはり圏外になっている。
ますます異世界確定だな。
そうなるとまずはアイテムボックスとやらを試してみるか。
俺はスマホを手に持ち。
「収納」
とつぶやいた。
すると、スマホがスッと消えた。
「おお、すげー」
そして取り出すイメージをすると、再び手にスマホが現れる。
「おお、キタコレ。やっぱすげーじゃん」
だんだん面白くなってきたので、キャンプ道具など持ち物を一式全部収納してみた。するとスッキリ。全部が収納出来たのだ。
「いやっほい! 異世界オモシレーな、それじゃあ、お次はザ・リユース!」
もう一つの異界技能、【ザ・リユース】をステータス画面でタップしてみる。
すると、画面上にザ・リユースというタイトルの画面が現れ、売り買いする物の検索枠が表示された。
どうやらこれは売り買いができる技能のようだ。
取りあえず俺は必要になる『飲料水』と入力してみた。
すると、ペットボトルに入った色んな種類の水がズラっと表示されていく。量や本数により色んな値段が付いているが、普通の水だ。
これが買えるなら俺の異世界生活は一気に楽勝モードになるだろう。
テンションのあがってきた俺はさっそく『天然水2リットル6本入り賞味期限2か月、1800円』をタップする。
<1800円でお買い上げでよろしいでしょうか>
と出たので、買い上げボタンを押す。
すると、
<お金を入れてください>
と出た。
「おお、まぁそうなるよな」
そうつぶやくと、俺は財布から2000円を取り出して入金する。
2枚の札は一瞬にして画面上で消え去った。
すると今度は
<2000円チャージされました>
と表示されたので、もう一度買い上げボタンを押してみた。
___シュワワワン
<お買い上げありがとうございます>
不思議な効果音と共に目の前に天然水2リットル6本入りのダンボール箱が現れた。
ザザァー。
静かに聞こえる波の音に起こされたのか、朝日に照らされたテントの中から起き出してきた俺は、ほのかに香る潮風を体に感じていた。
小山の中腹から見える景色には青い海と水平線、そしてその空には今まで見たこともないような大きな月がなぜか二つ浮いていた?
「ううんっっ!? なんで月が二つ!?、いやいやいやいや、なんでだよ! しかもなんか異様にでかいし色も普通とおかしくね?」
少しパニックになった俺は冷静になるように、辺りを探るように見渡しながら考えた。
昨日は今までに何度も来たことのある、山の麓にあるキャンプ場に泊まったはずだ。
だから目の前に海なんかあるはずがない。
そして見た事が無い色と模様の月が二つ。
もしかして俺は酔ってんのか?
そう思い出しながら考えてみたが、昨夜は普通に缶ビールを1本飲んだだけだ。
けっして俺は酔ってはいない、いないはずだ。
そうだよな、うん、大丈夫だ。
そう思いなおして再び空を見るが、やはりそこには見た事もない月らしき星が二つ。
間違いなくハッキリと存在している。
うーん。
これはあれか、はやりの異世界転生ってやつか。(実は転移)
何となくそう思った俺は定番の
「ステータスオープン」
とつぶやいてみた。
すると、目の前に薄く白色に光る画面が現れた。
「うわっなんか出た」
宙に浮く画面を驚きながら確認してみると、そこには自分の名前や年齢など正にステータスが表示されていた。
名前 伊田 和司(いだ かずし)
年齢 51
異界技能 言語理解 アイテムボックス ザ・リユース
おお、何かでたけど、これだけか。
メチャメチャシンプルなステータス画面だな。
ステータスって言う割には名前と年齢と技能だけで、HPやMPも無ければレベルもないぞ。
余りにも少ない情報量に半分呆れそうになるが、どうやらこれで異世界に来たのは間違いないようだ。
異界技能って書いてあるしな。
しかし、今までそういったアニメやラノベを何度も見てきたほうだが、やっぱり実際に起こってみると全然現実味がないものだな。
人生50年をすぎ、後の残りは好きな事だけやって死ぬ。
そう決めて生きてきたつもりの俺だが、まさかこの年にしてこんな面白い事が起きるとはな。
俺はそう思いながら周りの景色を改めて見渡した。
小高い丘から降った正面の先には白い砂浜と広い海。そしてその反対方向にはそこまで高くはないが木々に覆われた森のような山がある。
周りに人が住んでそうな気配もなく、海鳥が鳴いているような自然見溢れるのどかな感じだ。
もしかしたらここは島かもしれないな。
何となくだがそんな事を考えながらしばらくぼーっと周りを見ていたのだが、すこしずつ冷静になってきた。
まずは水が必要だな。
生きていくためには最低でも水と食料が絶対に必要だ。
幸いにも海が目の前にあるので塩はなんとかなりそうだが、できれば川を見つけて飲める水が欲しい所だ。
とりあえずはキャンプ用品に、ある程度の食料は揃っているので、何も見つからなくても3日位はなんとかなるだろう。
そんなことを思考しながら俺はまず、テントに戻って所持品を確認する。
2m×2mのテントにマットに寝袋セット、モバイルバッテリーとスマホ。
「おっスマホかぁ」
と、ここでスマホの電波を確認するが、やはり圏外になっている。
ますます異世界確定だな。
そうなるとまずはアイテムボックスとやらを試してみるか。
俺はスマホを手に持ち。
「収納」
とつぶやいた。
すると、スマホがスッと消えた。
「おお、すげー」
そして取り出すイメージをすると、再び手にスマホが現れる。
「おお、キタコレ。やっぱすげーじゃん」
だんだん面白くなってきたので、キャンプ道具など持ち物を一式全部収納してみた。するとスッキリ。全部が収納出来たのだ。
「いやっほい! 異世界オモシレーな、それじゃあ、お次はザ・リユース!」
もう一つの異界技能、【ザ・リユース】をステータス画面でタップしてみる。
すると、画面上にザ・リユースというタイトルの画面が現れ、売り買いする物の検索枠が表示された。
どうやらこれは売り買いができる技能のようだ。
取りあえず俺は必要になる『飲料水』と入力してみた。
すると、ペットボトルに入った色んな種類の水がズラっと表示されていく。量や本数により色んな値段が付いているが、普通の水だ。
これが買えるなら俺の異世界生活は一気に楽勝モードになるだろう。
テンションのあがってきた俺はさっそく『天然水2リットル6本入り賞味期限2か月、1800円』をタップする。
<1800円でお買い上げでよろしいでしょうか>
と出たので、買い上げボタンを押す。
すると、
<お金を入れてください>
と出た。
「おお、まぁそうなるよな」
そうつぶやくと、俺は財布から2000円を取り出して入金する。
2枚の札は一瞬にして画面上で消え去った。
すると今度は
<2000円チャージされました>
と表示されたので、もう一度買い上げボタンを押してみた。
___シュワワワン
<お買い上げありがとうございます>
不思議な効果音と共に目の前に天然水2リットル6本入りのダンボール箱が現れた。
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