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5章 迷宮の謎
13話 オアシスの謎
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四人PTから離れた俺達はオアシスに向かって歩いて行く。
小さな泉のようなオアシスに近づくと、水が下から湧き上がっているようで、淡く細かい泡が深い底のほうからゆっくりと浮かんでくるのが幻想的で綺麗だった。
「綺麗な水ねぇ」
感動したようでアリエールが瞳をうるうるさせている。
「おお、旨そうな水だなぁ」
せっかくなので水を手のひらですくって飲んでみると、澄んだ水はきりりと冷えていて美味しかった。
「ああ、旨いなぁ、アリエールも飲んでみろよ」
「いえ、私はいいわ、それよりもこの辺にあると思うんだけどな、ケルビンちょっとこれ持ってて」
突如アリエールが羽織っていた白いローブを脱ぎだすと、それを俺に渡してきた。
なんだ、暑いのか? と思いながらも受け取って汗の匂いを嗅ぐと、ほのかに甘い香りがすると思った瞬間叩かれた。
「いてっ!」
「匂いを嗅ぐな!」
今までに散々、しかもあそこの匂いまでもこれでもかというほど嗅いでいるのに、なぜかこんな事くらいで恥ずかしいらしく、怒ったようなアリエールの顔が赤い。
そうか、皆が見てるからか!
周りの熱い視線を感じてそのことに気がついた。
どうも人前ではおしとやかに見られたいらしい。
もう、照れるアリエールは新鮮で可愛いな。
思わずクセになりそうな感覚だが、謝るふりをして服を回収すると、アリエールがロングブーツも脱いで渡してきた。
この靴を匂ったらまた怒るだろうな、と思いながらブーツの穴を覗いていると。
周囲の冒険者達から「おおぉー!」と歓声があがった。
アリエールの白い足に見とれているのだろう。
女神のような長く白いローブとロングブーツを脱いでいるので、下は短いミニスカートに生足なのだ。
魅力的でスラッとした白く細い足にひかれるように、休憩していた冒険者の視線がハイエルフにくぎ付けになっている。
うんうん、まぁそうなるよな。
優越感を感じながらも周囲の冒険者と一緒にアリエールのおしりを吟味していると、ハイエルフはそもまま泉の中に足をつけ、ジャブジャブとかなり中まで進んで行った。
しばらく進んで膝まで水に入りながら中央付近間まで歩いていくが、そこで立ち止まると、屈んで水中に手を入れて何かを探しているようだ。
これはもしかするとパンチラするかもしれないぞ?
冒険者達もそれを期待するように、地を這うような前進姿勢で、堂々と目線を低くして覗いている。
だいぶ溜まっているようだ。
俺は、そんな男達を微笑ましい気持ちでスルーすると、アリエールの表情に注目する。
魚でも探しているように見えるのだが、そこに何かいるのだろうか。
俺も近づいて水面を覘いてみるが魚は泳いでないようだ。
すると、ついに目当てのモノを発見したのか、笑顔でこっちを見た女神が言った。
「あっあったわ! ケルビン、これが12階層への扉よ」
アリエールが少し自慢気に水中にある鍵穴を指さした。
「なんだと! そんなところに扉があるのかよ」
俺もジャブジャブと泉に入り水中を覘きこんだ。
確かに泉の底に扉のような物があり、小さな鍵穴が見えている。
「知らなきゃ絶対わかんないぞこれ……」
あまりに意地悪な仕掛けに半分呆れながらそう俺が呟くと、俺達の動きを見ていた冒険者達も話を聞いてワラワラと集まってきた。
「あっ本当だ! こんなところに鍵穴があったのか!」
「おおっ! マジか、ありがてぇ、じゃああとは俺達もサンドワームを倒せば先へ進めるぜ!」
集まってきた冒険者達が、迷宮の謎を一つ見つけた事に喜んだ。
ガイドブック(冒険者ギルドの機密情報)が無ければ手こずるところだっただろう。
冒険者達にお礼を言われながら、二人で水中にある扉の前に立ち鍵穴に鍵をさしこんだ。
―――ゴォォォオオオオオ!
「うおぉぉ!?」
「きゃあああ!」
その瞬間に扉が下向きに開いて、俺達は水中に落下した。
扉の中の渦に吸い込まれるように水中へと潜っていく。
かなりの水量があるようでまるで洗濯機の中のようだ。
「すごいわねぇ」
「ああ、ダンジョンの中とは思えないよな」
俺達は絶対領域があるので膜の内部には水が入ってこないが、障壁が無ければこれはちょっと危ないだろう。
数分後、渦の周りを回るようにして落下した場所は滝つぼのようになっており、その先は水に浮かんだ小さな浮島が数多く並んでいる場所だった。
つまり周囲はすべて水である。
「どうやらついたようね、ここ、12階は水の階層よ」
アリエールがちょっと得意げに説明する。
ここは水上にある島を渡りながら移動してフロアボスを探すのが目的らしい。
球状の膜に覆われて水上に浮かんでいる俺達は、絶対領域の薄い膜からロープのような細い腕を出して伸ばすと、近くにある浮島を掴む。
伸ばした腕を縮めれば俺達が浮島まで移動する。
それを繰り返せば安全に移動できそうだ。
「まぁなんとかなりそうだな」
「うん、さすがケルビンね、じゃあこのままあの、大きな木のある島まで行きましょう」
「了解!」
アリエールの指示する方向に向かって、俺は再び絶対領域の腕を伸ばした。
小さな泉のようなオアシスに近づくと、水が下から湧き上がっているようで、淡く細かい泡が深い底のほうからゆっくりと浮かんでくるのが幻想的で綺麗だった。
「綺麗な水ねぇ」
感動したようでアリエールが瞳をうるうるさせている。
「おお、旨そうな水だなぁ」
せっかくなので水を手のひらですくって飲んでみると、澄んだ水はきりりと冷えていて美味しかった。
「ああ、旨いなぁ、アリエールも飲んでみろよ」
「いえ、私はいいわ、それよりもこの辺にあると思うんだけどな、ケルビンちょっとこれ持ってて」
突如アリエールが羽織っていた白いローブを脱ぎだすと、それを俺に渡してきた。
なんだ、暑いのか? と思いながらも受け取って汗の匂いを嗅ぐと、ほのかに甘い香りがすると思った瞬間叩かれた。
「いてっ!」
「匂いを嗅ぐな!」
今までに散々、しかもあそこの匂いまでもこれでもかというほど嗅いでいるのに、なぜかこんな事くらいで恥ずかしいらしく、怒ったようなアリエールの顔が赤い。
そうか、皆が見てるからか!
周りの熱い視線を感じてそのことに気がついた。
どうも人前ではおしとやかに見られたいらしい。
もう、照れるアリエールは新鮮で可愛いな。
思わずクセになりそうな感覚だが、謝るふりをして服を回収すると、アリエールがロングブーツも脱いで渡してきた。
この靴を匂ったらまた怒るだろうな、と思いながらブーツの穴を覗いていると。
周囲の冒険者達から「おおぉー!」と歓声があがった。
アリエールの白い足に見とれているのだろう。
女神のような長く白いローブとロングブーツを脱いでいるので、下は短いミニスカートに生足なのだ。
魅力的でスラッとした白く細い足にひかれるように、休憩していた冒険者の視線がハイエルフにくぎ付けになっている。
うんうん、まぁそうなるよな。
優越感を感じながらも周囲の冒険者と一緒にアリエールのおしりを吟味していると、ハイエルフはそもまま泉の中に足をつけ、ジャブジャブとかなり中まで進んで行った。
しばらく進んで膝まで水に入りながら中央付近間まで歩いていくが、そこで立ち止まると、屈んで水中に手を入れて何かを探しているようだ。
これはもしかするとパンチラするかもしれないぞ?
冒険者達もそれを期待するように、地を這うような前進姿勢で、堂々と目線を低くして覗いている。
だいぶ溜まっているようだ。
俺は、そんな男達を微笑ましい気持ちでスルーすると、アリエールの表情に注目する。
魚でも探しているように見えるのだが、そこに何かいるのだろうか。
俺も近づいて水面を覘いてみるが魚は泳いでないようだ。
すると、ついに目当てのモノを発見したのか、笑顔でこっちを見た女神が言った。
「あっあったわ! ケルビン、これが12階層への扉よ」
アリエールが少し自慢気に水中にある鍵穴を指さした。
「なんだと! そんなところに扉があるのかよ」
俺もジャブジャブと泉に入り水中を覘きこんだ。
確かに泉の底に扉のような物があり、小さな鍵穴が見えている。
「知らなきゃ絶対わかんないぞこれ……」
あまりに意地悪な仕掛けに半分呆れながらそう俺が呟くと、俺達の動きを見ていた冒険者達も話を聞いてワラワラと集まってきた。
「あっ本当だ! こんなところに鍵穴があったのか!」
「おおっ! マジか、ありがてぇ、じゃああとは俺達もサンドワームを倒せば先へ進めるぜ!」
集まってきた冒険者達が、迷宮の謎を一つ見つけた事に喜んだ。
ガイドブック(冒険者ギルドの機密情報)が無ければ手こずるところだっただろう。
冒険者達にお礼を言われながら、二人で水中にある扉の前に立ち鍵穴に鍵をさしこんだ。
―――ゴォォォオオオオオ!
「うおぉぉ!?」
「きゃあああ!」
その瞬間に扉が下向きに開いて、俺達は水中に落下した。
扉の中の渦に吸い込まれるように水中へと潜っていく。
かなりの水量があるようでまるで洗濯機の中のようだ。
「すごいわねぇ」
「ああ、ダンジョンの中とは思えないよな」
俺達は絶対領域があるので膜の内部には水が入ってこないが、障壁が無ければこれはちょっと危ないだろう。
数分後、渦の周りを回るようにして落下した場所は滝つぼのようになっており、その先は水に浮かんだ小さな浮島が数多く並んでいる場所だった。
つまり周囲はすべて水である。
「どうやらついたようね、ここ、12階は水の階層よ」
アリエールがちょっと得意げに説明する。
ここは水上にある島を渡りながら移動してフロアボスを探すのが目的らしい。
球状の膜に覆われて水上に浮かんでいる俺達は、絶対領域の薄い膜からロープのような細い腕を出して伸ばすと、近くにある浮島を掴む。
伸ばした腕を縮めれば俺達が浮島まで移動する。
それを繰り返せば安全に移動できそうだ。
「まぁなんとかなりそうだな」
「うん、さすがケルビンね、じゃあこのままあの、大きな木のある島まで行きましょう」
「了解!」
アリエールの指示する方向に向かって、俺は再び絶対領域の腕を伸ばした。
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