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4章 凱旋と旅
25話 ドキッ、実は敵だらけのシルバンデルク
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「ゴールデンブルグ王国の【領域の主】ヘクト・パスカルがいたとなるとこれは王国同士の戦争になりますね」
ソファーに座り、落ち着いたタンドリーが深刻な顔になる。
「そう言えばそんな事をヘクトも言ってたな」
そもそもゴールデンブルグって国があったのか、初めて聞いたな。
「ええ、隣国でシルバンデルクと同じくらいの国力を持つ王国です。同じく隣国のブロンドルク王国との間には三国同盟を結んでいたのですが、これを破棄したという事になると、とんでもない大事になるでしょう。一刻も早く陛下に知らせなくてはなりません」
自分で話をしながらタンドリーがソワソワしだす。
「そうか、つまり敵はトレビア伯爵だけじゃなくて、ゴールデンブルグ王国と組んでたわけか」
「そう! そういう事でしょう、これはえらい事ですよ」
狭い領域内で立ち上がりウロウロするタンドリー、気持ちは分かるが焦ってもしょうがないだろ。
すると、となりにいるアリエールが細長い鉄の棒を取り出して見せる。
「それよりもタンドリー、あなたが撃たれて負傷した狙撃弾だけど、変なマークが付いてるのよ、これに見覚えはない?」
タンドリーが狙撃弾を受け取って注意深く確認する。
「こっこれは!? このマークは狙撃手、ヒットバール男爵の家紋……まさか、シルバンデルク王国のギンカラー侯爵まで敵に回っている……のか」
余りにショックがでかかったのか、顔色が真っ青になり座り込んだ。
「何かすごい事が起こってるみたいね」
その様子にアリエールも心配する。
「……そう言えば娼館のお客さんから聞いた話なんだけど、帝国もバックについているって言うのも何か聞いた気もするわ、もちろんそれが本当かどうかはわからないけど……」
ブルネタリアがボソっと言った。確かに娼館ならそんな話も出るかもしれない。
「帝国もですか!? これは、俺が考えているより深刻な状況かもしれません。最悪だ、それにしても帝国か……」
さらにタンドリーが落ち込んでしまった。
話は正直良く分からないが、このシルバンデルクがいろんな国から襲われていることは理解できた。
その後色々話をして、どうやら一番のバックは帝国だと結論付けた。
この周辺では帝国が一番大きく強い国らしい。
「ケルビン殿、申し訳ありませんがもはや猶予はないでしょう、一刻も早く王都へ帰りましょう」
タンドリーが懇願する。
どうせ俺達も王都へ行かなければならないのだ。
早く行くべきだろう。
「よし、では戻るかタンドリー」
ヘクトがいるといけないので慎重に地上に戻って飛び出した。
タンドリーが鳥型になり、俺達を首に付けて飛び上がる。
俺が中から薄い領域で幕を張りタンドリーを包んで保護をする。
アリエールが気配探知をしながら慎重に進んで行く。
「トレビアの町にすごい軍勢がいたわ。多分そこから狙撃されたのね」
やはりトリビア軍から襲われていたようだ。
だが、狙撃手はギンカラー侯爵の配下だと言う。この国、完全に終わりそうだな。
周りは全部敵だらけだ。
まさかこんな事になっているとは騎士になるまで分からなかった。
そう言えば俺も襲撃されたな。
「そうだ、タンドリー俺も王都で襲撃されてたわ」
『ええっ! そうなんですか』
初めての話にタンドリーが驚いた。
「そうそう、確か騎士になった日ね、寝てたら深夜襲われたのよ」
思い出したようにアリエールが詳しく話をした。
『そうでしたか、王都でもそんな状態ならさらに事態は深刻ですね』
タンドリーが必死に飛び続け、アリエールがヒールで癒した。
その甲斐もあってしばらくすると、王都のシルバーニュ城が見えてきた。
『えっ!? まっまさか』
タンドリーが声をあげる。
前方の城からは、一筋の煙が上がっていた。
ソファーに座り、落ち着いたタンドリーが深刻な顔になる。
「そう言えばそんな事をヘクトも言ってたな」
そもそもゴールデンブルグって国があったのか、初めて聞いたな。
「ええ、隣国でシルバンデルクと同じくらいの国力を持つ王国です。同じく隣国のブロンドルク王国との間には三国同盟を結んでいたのですが、これを破棄したという事になると、とんでもない大事になるでしょう。一刻も早く陛下に知らせなくてはなりません」
自分で話をしながらタンドリーがソワソワしだす。
「そうか、つまり敵はトレビア伯爵だけじゃなくて、ゴールデンブルグ王国と組んでたわけか」
「そう! そういう事でしょう、これはえらい事ですよ」
狭い領域内で立ち上がりウロウロするタンドリー、気持ちは分かるが焦ってもしょうがないだろ。
すると、となりにいるアリエールが細長い鉄の棒を取り出して見せる。
「それよりもタンドリー、あなたが撃たれて負傷した狙撃弾だけど、変なマークが付いてるのよ、これに見覚えはない?」
タンドリーが狙撃弾を受け取って注意深く確認する。
「こっこれは!? このマークは狙撃手、ヒットバール男爵の家紋……まさか、シルバンデルク王国のギンカラー侯爵まで敵に回っている……のか」
余りにショックがでかかったのか、顔色が真っ青になり座り込んだ。
「何かすごい事が起こってるみたいね」
その様子にアリエールも心配する。
「……そう言えば娼館のお客さんから聞いた話なんだけど、帝国もバックについているって言うのも何か聞いた気もするわ、もちろんそれが本当かどうかはわからないけど……」
ブルネタリアがボソっと言った。確かに娼館ならそんな話も出るかもしれない。
「帝国もですか!? これは、俺が考えているより深刻な状況かもしれません。最悪だ、それにしても帝国か……」
さらにタンドリーが落ち込んでしまった。
話は正直良く分からないが、このシルバンデルクがいろんな国から襲われていることは理解できた。
その後色々話をして、どうやら一番のバックは帝国だと結論付けた。
この周辺では帝国が一番大きく強い国らしい。
「ケルビン殿、申し訳ありませんがもはや猶予はないでしょう、一刻も早く王都へ帰りましょう」
タンドリーが懇願する。
どうせ俺達も王都へ行かなければならないのだ。
早く行くべきだろう。
「よし、では戻るかタンドリー」
ヘクトがいるといけないので慎重に地上に戻って飛び出した。
タンドリーが鳥型になり、俺達を首に付けて飛び上がる。
俺が中から薄い領域で幕を張りタンドリーを包んで保護をする。
アリエールが気配探知をしながら慎重に進んで行く。
「トレビアの町にすごい軍勢がいたわ。多分そこから狙撃されたのね」
やはりトリビア軍から襲われていたようだ。
だが、狙撃手はギンカラー侯爵の配下だと言う。この国、完全に終わりそうだな。
周りは全部敵だらけだ。
まさかこんな事になっているとは騎士になるまで分からなかった。
そう言えば俺も襲撃されたな。
「そうだ、タンドリー俺も王都で襲撃されてたわ」
『ええっ! そうなんですか』
初めての話にタンドリーが驚いた。
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思い出したようにアリエールが詳しく話をした。
『そうでしたか、王都でもそんな状態ならさらに事態は深刻ですね』
タンドリーが必死に飛び続け、アリエールがヒールで癒した。
その甲斐もあってしばらくすると、王都のシルバーニュ城が見えてきた。
『えっ!? まっまさか』
タンドリーが声をあげる。
前方の城からは、一筋の煙が上がっていた。
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