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第三章 王都シルバーニュ
10話 地下三階 赤い壁
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赤いブロックでできたような壁に覆われた部屋だった。
数十人は入れるような大きな部屋で、そこには数組の冒険者PTが座って休憩したり、話し合ったりしてた。手前の数組が、階段から現れた俺達を確認するようにチラリとみた。
「セーフティーゾーンか……」
「結構いるのね。ここで休んでいるようだけど……」
この階層を攻略している冒険者達なのだろう。Dランクっぽい装備が多い。それこそ剣士セットや、魔導士セットなどを着ているが、使い込まれた感じがある。
「おっ高ランク冒険者さんかぁ。若いのにすごい装備だなぁ。しかも美人エルフとペアとは羨ましいにもほどがあるねぇ」
手前に座っていた赤い髪の男がこっちを見て、愛想よく気軽に話しかけてきた。
「うんうん。そうだろう。しかもただのエルフじゃない。ハイエルフ様だ。怒らせると怖いから大人しくしてくれよ」
俺も愛想よく気楽に答える。
「ふふふ。何よそれ」
冒険者同士の世間話だ。お互い軽く挨拶する。
「もちろんさ。俺達はしがないDランクトリオPT【赤い 狩人】だ。高ランク冒険者に失礼はしないさ。俺はリーダーのレッダー。初迷宮と見たが、良かったらサポーターとして手伝いするぜ」
なるほど、冒険者の案内人か。それもまたいいかもしれん。
「へー。もうここは長いのかい」
「ああ、自慢じゃねぇがもう数年、この赤壁に関しちゃ達人級さ。俺達三人、一日1500ドロルで雇っちゃ貰えねえか」
「赤壁ってこの階って事か」
「この階と下の階だな。誰よりも最速でボスまでご案内するけどどうかな」
トリオの二人も立ち上がり爽やかな営業笑顔を見せてくる。俺達は先を目指してるだけだから寄り道するつもりもないし、案内してもらえるならそれもまたいいか。
「じゃあ。そうするか。アリエール」
「うん。そうし……。いえっ、うん。やっぱり二人っきりがいいわ。私達だけで行きましょ」
最初はうなずいたが、何か気づいたのか。すぐに否定した。うん。じゃあ。そうするか。
「ああ、せっかくだか悪いな。二人じゃないとエロ事ができないから、痛っっ。まあ、取りあえずいいや」
「いや。そうかぁ。ああ、それは残念。まあ、またよろしく」
トリオは残念な顔をしたが、あっさり引き下がると、またそこに座った。
うん? こいつら狩りに行かないのかな。
「じゃあ行きましょ。ケルビン。私が専属で案内するわね。【風の気配探知】!」
アリエールがローブの内側から白い杖を出して呪文を唱える。杖先が光輝き、爽やかな風が周りに広がった。
「おおっ無詠唱だぜ……」
「流石エルフ……」
アリエールの魔法を見て皆がザワザワした。これはすごいのか。いつも見てるから何も感じないのだが……。
「やっぱりすごいんだな。アリエール」
「そうよ。今更気づいたの? ケルビンほどじゃないけどね」
ご機嫌なハイエルフと腕を組んで待機部屋を後にした。
扉を開けて先に進むと赤い壁の通路が続いている。それなりの幅と高さのある通路、光源があり、それなりの照度は確保されている。
少し進むと先が広がり大きな広間に出たようだ。
キキーー!
大きなコウモリの魔物が三匹飛んで来た。
「食らえ!【絶対領域障壁槍】!」
展開した半球形の障壁から出た尖った槍でブッ刺す技だ。
難なく三匹串刺しにすると、地面に魔石がコロンと転がった。回収して次へと進む。
「気配探知してなくない?」
「だってわかって無くても一緒でしょ」
「まあ、そうだけど。それよりさっきは何でことわったんだ」
「あれね。ラナナから聞いてたのよ。どうせ今から行く所に連れていかれるだけなの。こっちよ。すぐにわかるわ」
アリエールがガイドブックを見ながら案内していった。何度か魔物の襲撃を受けながら、いくつかの部屋と通路を超えて行く。その先に目的の部屋があったようだ。何の変哲もないような小部屋だが奥に赤く光る光のオブジェが置いてある。他は何もないがらんどうだ。
「ここね。ちょっと真ん中に立ってちょうだい。【風の防御補助】一応ケルビンにも【風の防御補助】」
風を纏わせて防御力を上げた。
「何かあるんだな」
アリエールの顔を見るとニヤニヤしている。いたずらっ子のような表情だ。
「ええ。先に知りたい? ワクワクしたい?」
「もちろんワクワクしたい」
「だと思った。じゃあ。お楽しみに。【風 の 刃】!」
アリエールの杖から放たれた風の刃が、光るオブジェクトを攻撃した。
――――バタンッ! 瞬間大きく床が開く。
突然体が重力から解放されて視界が急激に上昇した。
「うわっ!? またか」
アリエールを抱き寄せて黒い領域で二人を包む。知っていたアリエールが嬉しそうに俺を見ている。
アホか。こいつ。
……でも可愛い。
十メートルほど落下した先で、勢いを吸収しながら着地した。
ブワンっ。スタン。
今回は上手く降りれたようだ。
「なんだここは……」
バタンッ。
目の前の扉が急に閉まり、赤い騎士の格好をしたスケルトンが家来のスケルトン二匹を従えて現れた。
「そう。ボス部屋よ」
地下四階、階層守護者のお出ましだった。
数十人は入れるような大きな部屋で、そこには数組の冒険者PTが座って休憩したり、話し合ったりしてた。手前の数組が、階段から現れた俺達を確認するようにチラリとみた。
「セーフティーゾーンか……」
「結構いるのね。ここで休んでいるようだけど……」
この階層を攻略している冒険者達なのだろう。Dランクっぽい装備が多い。それこそ剣士セットや、魔導士セットなどを着ているが、使い込まれた感じがある。
「おっ高ランク冒険者さんかぁ。若いのにすごい装備だなぁ。しかも美人エルフとペアとは羨ましいにもほどがあるねぇ」
手前に座っていた赤い髪の男がこっちを見て、愛想よく気軽に話しかけてきた。
「うんうん。そうだろう。しかもただのエルフじゃない。ハイエルフ様だ。怒らせると怖いから大人しくしてくれよ」
俺も愛想よく気楽に答える。
「ふふふ。何よそれ」
冒険者同士の世間話だ。お互い軽く挨拶する。
「もちろんさ。俺達はしがないDランクトリオPT【赤い 狩人】だ。高ランク冒険者に失礼はしないさ。俺はリーダーのレッダー。初迷宮と見たが、良かったらサポーターとして手伝いするぜ」
なるほど、冒険者の案内人か。それもまたいいかもしれん。
「へー。もうここは長いのかい」
「ああ、自慢じゃねぇがもう数年、この赤壁に関しちゃ達人級さ。俺達三人、一日1500ドロルで雇っちゃ貰えねえか」
「赤壁ってこの階って事か」
「この階と下の階だな。誰よりも最速でボスまでご案内するけどどうかな」
トリオの二人も立ち上がり爽やかな営業笑顔を見せてくる。俺達は先を目指してるだけだから寄り道するつもりもないし、案内してもらえるならそれもまたいいか。
「じゃあ。そうするか。アリエール」
「うん。そうし……。いえっ、うん。やっぱり二人っきりがいいわ。私達だけで行きましょ」
最初はうなずいたが、何か気づいたのか。すぐに否定した。うん。じゃあ。そうするか。
「ああ、せっかくだか悪いな。二人じゃないとエロ事ができないから、痛っっ。まあ、取りあえずいいや」
「いや。そうかぁ。ああ、それは残念。まあ、またよろしく」
トリオは残念な顔をしたが、あっさり引き下がると、またそこに座った。
うん? こいつら狩りに行かないのかな。
「じゃあ行きましょ。ケルビン。私が専属で案内するわね。【風の気配探知】!」
アリエールがローブの内側から白い杖を出して呪文を唱える。杖先が光輝き、爽やかな風が周りに広がった。
「おおっ無詠唱だぜ……」
「流石エルフ……」
アリエールの魔法を見て皆がザワザワした。これはすごいのか。いつも見てるから何も感じないのだが……。
「やっぱりすごいんだな。アリエール」
「そうよ。今更気づいたの? ケルビンほどじゃないけどね」
ご機嫌なハイエルフと腕を組んで待機部屋を後にした。
扉を開けて先に進むと赤い壁の通路が続いている。それなりの幅と高さのある通路、光源があり、それなりの照度は確保されている。
少し進むと先が広がり大きな広間に出たようだ。
キキーー!
大きなコウモリの魔物が三匹飛んで来た。
「食らえ!【絶対領域障壁槍】!」
展開した半球形の障壁から出た尖った槍でブッ刺す技だ。
難なく三匹串刺しにすると、地面に魔石がコロンと転がった。回収して次へと進む。
「気配探知してなくない?」
「だってわかって無くても一緒でしょ」
「まあ、そうだけど。それよりさっきは何でことわったんだ」
「あれね。ラナナから聞いてたのよ。どうせ今から行く所に連れていかれるだけなの。こっちよ。すぐにわかるわ」
アリエールがガイドブックを見ながら案内していった。何度か魔物の襲撃を受けながら、いくつかの部屋と通路を超えて行く。その先に目的の部屋があったようだ。何の変哲もないような小部屋だが奥に赤く光る光のオブジェが置いてある。他は何もないがらんどうだ。
「ここね。ちょっと真ん中に立ってちょうだい。【風の防御補助】一応ケルビンにも【風の防御補助】」
風を纏わせて防御力を上げた。
「何かあるんだな」
アリエールの顔を見るとニヤニヤしている。いたずらっ子のような表情だ。
「ええ。先に知りたい? ワクワクしたい?」
「もちろんワクワクしたい」
「だと思った。じゃあ。お楽しみに。【風 の 刃】!」
アリエールの杖から放たれた風の刃が、光るオブジェクトを攻撃した。
――――バタンッ! 瞬間大きく床が開く。
突然体が重力から解放されて視界が急激に上昇した。
「うわっ!? またか」
アリエールを抱き寄せて黒い領域で二人を包む。知っていたアリエールが嬉しそうに俺を見ている。
アホか。こいつ。
……でも可愛い。
十メートルほど落下した先で、勢いを吸収しながら着地した。
ブワンっ。スタン。
今回は上手く降りれたようだ。
「なんだここは……」
バタンッ。
目の前の扉が急に閉まり、赤い騎士の格好をしたスケルトンが家来のスケルトン二匹を従えて現れた。
「そう。ボス部屋よ」
地下四階、階層守護者のお出ましだった。
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