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第1章 the Mysterious World
#6 不思議ちゃんエレン
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次の日の朝。
「マジカル・アクア!」
「うわぁっ!」
これはもう最悪な朝だ。まだ眠っている最中に顔に水をかけられるなんて。
「あーはっはっはー、いーひっひっひー、うーふっふっふー、えーへっへっへー、おーほっほっほー!マジヤダケ~!これは1年生で習った基本魔法だよ!」
エレンが笑いながら言った。それにしても類を見ない稀有な笑い方だ。どうやらエレン流の魔法や呪文の教え方は、まず相手を巻き込むことから始まるようだ。瞬間移動の時もそうだった。
「そういえば、もぉーうあんた魔法には慣れたの?」
「言われてみれば……。」
初めてこの世界に来てからはまだ2日目。それに薄暗かったからおそらく夕方。とはいえ、なぜか今も外が暗い……。
「ねぇ、エレンちゃん。外、暗いね。雨でも降るのかな?」
「言わなかった?あたしの家は、暗黒の森の中だって。」
「つまり、エレンちゃんは明るいのが苦手なんだね!」
エレンはすぐに言い返した。
「だーかーらー!あんたは何回言ったら分かるの?あたしは怖いもの無しだって!」
──"ねぇ、あなた……私の声が聞こえているでしょ……?この世界が見えているでしょ……?"
「あっ……あの時の声……。エレンちゃん、この不思議な声……分かる……?」
「あたしにも……ちゃんと……聞こえる……。」
──"我が名は暁の輝きアンラ。我に逆らう者は、みーんな地獄に堕ちるがいい!んふふふふ!あはははは!おーほっほっほー!"
──"そう……?このレグナークラに勝てるとでも思ってるみたいね。"
──"何を言うのかしら。それがこの世界を統べる者に対しての口の効き方……?いいわ。我が闇の力を思い知らせてやる!後悔しなさい!禁断の魔法は今、我が手によって解き放たれる!☆※#……"
「いっ、今……あんた、……何か……言った……?」
エレンは何か怖いものを見たような顔をしていた。
「えっ……?何も言ってないよ?」
──"では、わたしもやるしかありません。本当に悪いけれど、あなたにその魔法は使わせることはできません。禁断の魔法よ、わたしに力をください!◎%▲……"
「…………やーめーてーっ!その話は嫌いなの!聞きたくないの!もうやだっ!」
エレンは叫んだ。
しかし、私には何も聞こえない。ただ、その時エレンのレリーフが光っているのを見ただけだ。……待てよ?やっぱりこのレリーフはただの浮き彫りじゃない……。確か、エレンがお守りだとか言っていた……。でもそうすると、これはいったい何のお守りなんだろう……?
「かなこ……、今……あの2人の声が……。魔王とレグナークラ……。でも、しゃべり方がおかしいの。あんなしゃべり方、絶対にしない。」
「えっ?エレンちゃんは魔王とレグナークラの声を聞いたことがあるの?」
「なんでだろう……?分かるの。」
エレンは今まで見たこともないくらい怯えていた。さすがの自称"大胆不敵"のエレンでも、これだけは耐えられないようだった。
そしてエレンは早くあの事を忘れようと、本心を隠すように言った。
「かなこ!もぉーう準備できた?じゃあー、しゅっぱーつ!手をつないで!モーヴェレ・アッド・エリス!」
すると、あの時と同じような柄が足元に現れた。
「いっ、いきなり!?ちょっとエレンちゃん???」
気がつくとラクスフェルアの時と同じように、魔法学校の門の前に立っていた。私はエレンと2人で門の中へと入っていった。
「今日の天気は曇りかぁ~。眩しくなくていいけど。」
確かに言われてみればあの暗黒の森から抜け出す時に眩しいとは感じなかった。そういえば、昨日もこんな天気だった。
「じゃあー今日は天気がいいから、瞬間移動無しでクラスに向かおう、かなこ!」
やっぱりエレンは変な子だ。
「マジカル・アクア!」
「うわぁっ!」
これはもう最悪な朝だ。まだ眠っている最中に顔に水をかけられるなんて。
「あーはっはっはー、いーひっひっひー、うーふっふっふー、えーへっへっへー、おーほっほっほー!マジヤダケ~!これは1年生で習った基本魔法だよ!」
エレンが笑いながら言った。それにしても類を見ない稀有な笑い方だ。どうやらエレン流の魔法や呪文の教え方は、まず相手を巻き込むことから始まるようだ。瞬間移動の時もそうだった。
「そういえば、もぉーうあんた魔法には慣れたの?」
「言われてみれば……。」
初めてこの世界に来てからはまだ2日目。それに薄暗かったからおそらく夕方。とはいえ、なぜか今も外が暗い……。
「ねぇ、エレンちゃん。外、暗いね。雨でも降るのかな?」
「言わなかった?あたしの家は、暗黒の森の中だって。」
「つまり、エレンちゃんは明るいのが苦手なんだね!」
エレンはすぐに言い返した。
「だーかーらー!あんたは何回言ったら分かるの?あたしは怖いもの無しだって!」
──"ねぇ、あなた……私の声が聞こえているでしょ……?この世界が見えているでしょ……?"
「あっ……あの時の声……。エレンちゃん、この不思議な声……分かる……?」
「あたしにも……ちゃんと……聞こえる……。」
──"我が名は暁の輝きアンラ。我に逆らう者は、みーんな地獄に堕ちるがいい!んふふふふ!あはははは!おーほっほっほー!"
──"そう……?このレグナークラに勝てるとでも思ってるみたいね。"
──"何を言うのかしら。それがこの世界を統べる者に対しての口の効き方……?いいわ。我が闇の力を思い知らせてやる!後悔しなさい!禁断の魔法は今、我が手によって解き放たれる!☆※#……"
「いっ、今……あんた、……何か……言った……?」
エレンは何か怖いものを見たような顔をしていた。
「えっ……?何も言ってないよ?」
──"では、わたしもやるしかありません。本当に悪いけれど、あなたにその魔法は使わせることはできません。禁断の魔法よ、わたしに力をください!◎%▲……"
「…………やーめーてーっ!その話は嫌いなの!聞きたくないの!もうやだっ!」
エレンは叫んだ。
しかし、私には何も聞こえない。ただ、その時エレンのレリーフが光っているのを見ただけだ。……待てよ?やっぱりこのレリーフはただの浮き彫りじゃない……。確か、エレンがお守りだとか言っていた……。でもそうすると、これはいったい何のお守りなんだろう……?
「かなこ……、今……あの2人の声が……。魔王とレグナークラ……。でも、しゃべり方がおかしいの。あんなしゃべり方、絶対にしない。」
「えっ?エレンちゃんは魔王とレグナークラの声を聞いたことがあるの?」
「なんでだろう……?分かるの。」
エレンは今まで見たこともないくらい怯えていた。さすがの自称"大胆不敵"のエレンでも、これだけは耐えられないようだった。
そしてエレンは早くあの事を忘れようと、本心を隠すように言った。
「かなこ!もぉーう準備できた?じゃあー、しゅっぱーつ!手をつないで!モーヴェレ・アッド・エリス!」
すると、あの時と同じような柄が足元に現れた。
「いっ、いきなり!?ちょっとエレンちゃん???」
気がつくとラクスフェルアの時と同じように、魔法学校の門の前に立っていた。私はエレンと2人で門の中へと入っていった。
「今日の天気は曇りかぁ~。眩しくなくていいけど。」
確かに言われてみればあの暗黒の森から抜け出す時に眩しいとは感じなかった。そういえば、昨日もこんな天気だった。
「じゃあー今日は天気がいいから、瞬間移動無しでクラスに向かおう、かなこ!」
やっぱりエレンは変な子だ。
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