2 / 4
流星群 2
しおりを挟む
風の音は段々と弱くなって、いつのまにか止んでいた。さっきよりもなんとなく星が輝いて見える。
「あとどれくらいかなあ」
「ん~」
パパが返事を言いかけた時、一瞬空で何かが動いた。
「今の見た!?」
「流れ星、あったのか?」
「違うよ!」
「違うって、何が見えたんだ?」
「わからない」
僕が変な事を言うからパパは眉を歪めて空を見回した。そして今度は笑いながら言った。
「UFOだったんじゃないか?今晩連れ去られるかもしれないな」
「やだよ、怖い」
「冗談だよ。どんなふうに動いてたんだ?」
「なんか、白いのがちょっと、ぐにゃぐにゃって…… あっ!今、星がひとつ流れた、流れたよパパ!」
パパが言ってた通り、星が突然斜めに流れて落ちていった。
「おっ、いよいよだな」
「すごい、ほんとに一瞬だった!」
「ちゃんと願い事の準備しておかないとな。あっ!あそこに今あったぞ」
「え!」
銀色の雨が降り始めたかのように空に次々と流れ星が現れた。それはとても不思議な景色で、僕らが驚いているのを面白がってるみたいに楽しそうに流れていく。願い事を心の中で唱えるんだけど、どの星に言ってるのか自分でもわからなくなるくらい星がたくさん降っている。
随分時間が経って流れ星の数は少なくなってきた。さっきは寒ささえ気にならなかったけど、ちょっとお腹が痛い。
「星、あんまり流れないね。もう終わりなのかな?」
パパを見ると、パパは眼鏡を外して目の辺りを手で覆っていた。
「どうしたの?」
「なんでもない。ずっと見てたから目が疲れたのかもな」
パパはそう言って眼鏡を掛け直した。頬にきらりと光る滴がついていたのを僕は見つけた。でもそれについては何も言わない事にした。
「ココアもなくなったし、そろそろ部屋に入ろうか」
「うん」
リクライニングチェアを片付けてから、パパはポットを、僕は写真立てを持って部屋に戻った。マグカップを持って降りるとリビングでママが座ってテレビを観ていた。
「ママ!ココアごちそうさま」
「おかえり。どうだった?星はたくさん見れた?」
「うん、もうすごかったよ。すっごく綺麗だった!ママも来ればよかったのに」
「そうね。でも外は寒いから」
「確かに。僕お腹痛くなっちゃった」
「大変。体が冷え切ってるのよ。さっきのスープまだあるから温めようか?」
「うん、ありがと。先にトイレ行ってくる」
リビングを出るとちょうどパパが階段から降りて来た。
「ママがスープ温めてくれるって」
「そうか。じゃあ一緒にもらおうかな」
トイレから戻ってくるとパパとママは楽しそうに話していた。僕はそれを見てほっとした。さっきもしもパパが泣いていたのなら、早く元気になってほしかったから。
「スープってまだ具もたくさんある?」
「ええ、あるわよ。ベーコンもちゃんと入ってる」
「やった!」
スープを食べながらパパと流星群の事をママに話した。楽しかった。でもすぐに眠くなってきて、重い瞼を開けていられない。
「優斗、もう寝なさい」
「はあい。明日パパも休みだよね?」
「そうだよ」
「どこか連れて行ってくれるの?」
「風邪引いてなかったら遊園地にでも行くか」
「え!ほんと!?」
「ああ。だからちゃんと温かくして寝るんだぞ」
「わかった。うわあ、最高」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
嬉しくて眠気が一瞬吹き飛んだ。でも足が重くて階段をやっと登りきって部屋に入った。パジャマに着替えてベッドに転がった。あ、歯磨きをするの忘れてた。起きないと―――――
瞼を開けられない。あと10秒数えてからにしよう。カウントダウンをしているうちに僕はうっかり寝てしまった。
「あとどれくらいかなあ」
「ん~」
パパが返事を言いかけた時、一瞬空で何かが動いた。
「今の見た!?」
「流れ星、あったのか?」
「違うよ!」
「違うって、何が見えたんだ?」
「わからない」
僕が変な事を言うからパパは眉を歪めて空を見回した。そして今度は笑いながら言った。
「UFOだったんじゃないか?今晩連れ去られるかもしれないな」
「やだよ、怖い」
「冗談だよ。どんなふうに動いてたんだ?」
「なんか、白いのがちょっと、ぐにゃぐにゃって…… あっ!今、星がひとつ流れた、流れたよパパ!」
パパが言ってた通り、星が突然斜めに流れて落ちていった。
「おっ、いよいよだな」
「すごい、ほんとに一瞬だった!」
「ちゃんと願い事の準備しておかないとな。あっ!あそこに今あったぞ」
「え!」
銀色の雨が降り始めたかのように空に次々と流れ星が現れた。それはとても不思議な景色で、僕らが驚いているのを面白がってるみたいに楽しそうに流れていく。願い事を心の中で唱えるんだけど、どの星に言ってるのか自分でもわからなくなるくらい星がたくさん降っている。
随分時間が経って流れ星の数は少なくなってきた。さっきは寒ささえ気にならなかったけど、ちょっとお腹が痛い。
「星、あんまり流れないね。もう終わりなのかな?」
パパを見ると、パパは眼鏡を外して目の辺りを手で覆っていた。
「どうしたの?」
「なんでもない。ずっと見てたから目が疲れたのかもな」
パパはそう言って眼鏡を掛け直した。頬にきらりと光る滴がついていたのを僕は見つけた。でもそれについては何も言わない事にした。
「ココアもなくなったし、そろそろ部屋に入ろうか」
「うん」
リクライニングチェアを片付けてから、パパはポットを、僕は写真立てを持って部屋に戻った。マグカップを持って降りるとリビングでママが座ってテレビを観ていた。
「ママ!ココアごちそうさま」
「おかえり。どうだった?星はたくさん見れた?」
「うん、もうすごかったよ。すっごく綺麗だった!ママも来ればよかったのに」
「そうね。でも外は寒いから」
「確かに。僕お腹痛くなっちゃった」
「大変。体が冷え切ってるのよ。さっきのスープまだあるから温めようか?」
「うん、ありがと。先にトイレ行ってくる」
リビングを出るとちょうどパパが階段から降りて来た。
「ママがスープ温めてくれるって」
「そうか。じゃあ一緒にもらおうかな」
トイレから戻ってくるとパパとママは楽しそうに話していた。僕はそれを見てほっとした。さっきもしもパパが泣いていたのなら、早く元気になってほしかったから。
「スープってまだ具もたくさんある?」
「ええ、あるわよ。ベーコンもちゃんと入ってる」
「やった!」
スープを食べながらパパと流星群の事をママに話した。楽しかった。でもすぐに眠くなってきて、重い瞼を開けていられない。
「優斗、もう寝なさい」
「はあい。明日パパも休みだよね?」
「そうだよ」
「どこか連れて行ってくれるの?」
「風邪引いてなかったら遊園地にでも行くか」
「え!ほんと!?」
「ああ。だからちゃんと温かくして寝るんだぞ」
「わかった。うわあ、最高」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
嬉しくて眠気が一瞬吹き飛んだ。でも足が重くて階段をやっと登りきって部屋に入った。パジャマに着替えてベッドに転がった。あ、歯磨きをするの忘れてた。起きないと―――――
瞼を開けられない。あと10秒数えてからにしよう。カウントダウンをしているうちに僕はうっかり寝てしまった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
甘い香りがする君は誰より甘くて、少し苦い。
めぇ
児童書・童話
いつもクールで静かな天井柊羽(あまいしゅう)くんはキレイなお顔をしていて、みんな近付きたいって思ってるのに不愛想で誰とも喋ろうとしない。
でもそんな天井くんと初めて話した時、ふわふわと甘くておいしそうな香りがした。
これは大好きなキャラメルポップコーンの匂いだ。
でもどうして?
なんで天井くんからそんな香りがするの?
頬を赤くする天井くんから溢れる甘い香り…
クールで静かな天井くんは緊張すると甘くておいしそうな香りがする特異体質らしい!?
そんな天井くんが気になって、その甘い香りにドキドキしちゃう!
もぐらちゃんたちのおはなししゅう
佐伯明理(さえきあかり)
児童書・童話
もぐらちゃんたちの日常を描いた短いおはなし。
1〜4は絵本ひろばに掲載された絵本のノベライズなので、内容は同じです。
5以降は新作なので絵本はありません。
ガラスの王冠
すいかちゃん
児童書・童話
お姫様や王様を主人公にした、かわいいお話のショートショートを集めたものです。
お人好しな王子様や、素直になれないお姫様、そしてワガママな王様。
それぞれのストーリーが楽しめます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる