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17;エミリオ5(フロラインの思い)
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物心つくと私は母と魔物の居る森に居た
魔物を倒す母を木の上から眺めて居たものだ
防御障壁を張ってくれていたので私に被害は無い
読み書き計算、歴史など勉強はパーティメンバーの魔導師が教えてくれた
魔物もゴブリン1体なら倒せるようになり、防御魔法も初級使える様になった頃
母は私を連れて父の屋敷に連れてきた
父はよく母に会いに来ていた
「お母様に早く奥さんになってって言って」
とよくなきつかれて居たものだ
この人大丈夫かと子供ながらに思った
私は母に
「どうして奥さんにならないの?」
そう聞くと、困った顔をして
「やらなくてはいけない事が出来たから、無理なの・・・本当はあなたが産まれた時受けようと思ったのだけど・・・」
悲しそうに私を見た
「この先どうなるか分からないから・・・」
そう言った母は私を父にあずけると姿を消した
母とパーティを組んでいた人たちが遺体となって発見されたので、母ももう死んでいると言われたが、私は母とのつながりが切れていないことに気が付いていた、何かあるんだ、きっと生きているそう思っていた。
しかし、思いとは裏腹に一向に母の行方は分からなかった。
父に引きとられ、魔導協会から親子の認定をもらい、叔父に当たる王にもしぶしぶ認めてもらい公爵令嬢として教育を受け、社交界にも何度か出席した。
母が冒険者と言うこともあり、あまり歓迎されなかったが、王弟の娘と言ううこともあって何度か招待はされた、そのうち王家縁の人たちが、体調不良で倒れて行き、社交界は殆ど閉鎖状態になっている。
「お嬢様、外出は避けるようにと言われておりますのに、おっしゃっていただければ買い物でしたら我々が買ってまいります」
護衛と従者に町に買い物に行くのをお願いしているとそう言われた。
でも、ちょっとお願い出来ない代物なのだ・・・
王宮で次々に跡取りが亡くなり、跡継ぎ問題が起きている。
困った事に王に血が一番濃いのが父を除くと私だけになっていた。
父は王位継承権を放棄しているので私を王にと言う声が少し出ているらしい、
で、時期王を狙う血の薄い王家縁の侯爵が私を狙って来るかも、と言われた
「ごめんなさい、どうしても自分で買いたいの」
祈るようにお願いした。
しぶしぶ応じてくれた護衛と従者、
護衛がピリピリしているのが分かる
(ごめんなさい)
と心で謝りつつ、お目当ての本屋につく
護衛をどうにか入口で待たせ、お目当てのコーナーに行く
最新刊『王子様と公爵令嬢6』
という、本を手に取る流行りの恋愛小説だ・・・表紙の挿絵からちょっとエロいので従者に頼むわけにいかない。
「良かった売り切れてなくて」
本のコーナーには空白があり、後3冊しか残って居なかった
中が見えないようにして厳重に包んでもらい
(これを買いに危険をおかしったって言ったら執事に怒られる)
そう思って、最新刊を手に入れた喜びに浸っていると、屋敷の門に着いた
「?!なに、この気配」
殺気に満ちた気配に身を震わせた、
「ああ、罰が下ったのかしらこんなことで忠告を無視したから」
外が騒がしいと思ったら馬車のドアが荒く開けられ、黒づくめの男が叫んで腕を掴む
「痛い!」
外に連れ出される御者が居ない
「きゃー、止めて!だれ!・・・はっ!ブライアン!大丈夫?」
御者が馬車の向こうで尻餅ついているのが見えた
横から男性が現れ、
私を掴んでいる黒づくめの背後に回り腕を剥がすと思いっきり殴り倒した
顎が砕けた音がした
「うげ!ごあ!ぎげ」
「何を言ってるのか分からないな」
その男性が言うと
私を背後に匿い、炎の魔法を放つ
「風魔法に、炎の魔法」
「もう二人」
空から林の向こうに氷の槍が降り注ぐ
「無詠唱で、氷も」
私はその次々に放たれる魔法に驚いた
黒ずくめの連中が空を飛んで門に集められる
「黒魔術・・・何この人・・・何者?」
「一応怪我は治しとくか・・・」
そう男性が言ううと黒づくめの男達が光りだす、
「光魔法に白魔術?訳分からない」
「このやろう!」
拘束が甘かったのか一人が剣を振りかざして男性に向かって来る
キーン剣を受け止める
「なっ帯剣して居なかったのに・・・収納持ちか!」
「収納持ち珍しくないでしょうに、10人に一人は持てるはずだよ」
「なっそんなわけ」
「へぇ結構強いね」
まるで子供を相手にするように、余裕の男性だった
なん歩か下がって再度切りかかる男、何度やっても剣は男性に届かない
「ここまでかな?いい加減投降しないか?ダメか・・・」
そう言うと数歩前に出るキーン!ザシュと剣ごと男をいとも簡単に切る
「ギャー」
男はそのまま動かなくなった
「歯向かわなければ殺さなかったのに」
動かなくなった男をその男性は見下ろしている。
屋敷から護衛が出て来た
身体の震えが止まらない
「お助け頂きありがとうございました」
そう私がに言うと、
「お美しい方を守れて光栄です」
と男性は紳士のお辞儀をした。
ポーとその姿に一瞬見とれた私。
「わたくしは、この屋敷に住むフロライン・ヴァルデック・・・・公爵の娘です」
どうにか気を取り直して自己紹介をした
「私はA級冒険者のエディ、公爵様にお話がありこちらを訪ねて参りました」
(冒険者!?冒険者がこんな丁寧な挨拶をするだろうか?)
そう考えていたがふと、男性が父を訪ねてきた事に気が付く
「お父様を?」
「はい、お取り次ぎ願えませんでしょうか?」
ドキドキと彼の仕草を逐一見惚れていた
父に会いに来たのなら、絆は少し出来るだろうかそう期待する自分に驚いていた
執事に話すと直ぐ王宮にいる父に連絡すると言ってくれた。
冒険者を貴族は馬鹿にする傾向がある、執事も元は貴族の3男だと聞いている。
でも、馬鹿にする所かまるで上級貴族に対するように接している。
さすが、だと自分の使用人に関心していた。
応接室に通された男性はは向かいに座る私をじっと見ている。
顔が赤くなるのが自分でもわかる。
「えっと、父はもうすぐ帰ってくると思いますので・・・」
もじもじしてしまう私。
「綺麗だ・・・」
向かいの男性が私にそう言った
「え?」
どきんと心臓が鳴る
(何、何、何・・・どうしよう)
「綺麗な髪ですね、あなたの可愛らしいお顔がさらに映えて、美しさに磨きがかかっている」
「えーっと・・・」
どう返したら分からずさらに赤くなる私。
「お母様と公爵の良いところを貰いましたね、精霊もお母様と同じ8精霊が揃っている、精霊魔法の訓練は?」
私は普段精霊を隠している、母からも父からも普段は隠すように言われていたから。
「・・・精霊が分かるのですか?」
「はい、私も8精霊を纏ってますので、小さい時から魔法の訓練はしてきました」
「うそ!8精霊持ちがそんなにい・要る訳が」
「そうですか?母に至っては9精霊ですよ、フロライン様のお母様も8精霊ですよね?」
「何故そのことをご存じなんですか?9精霊ってその方って・・・」
(えー9精霊って・・・それは隣国の王妃様がそうじゃなかったっけ?)
コンコンコン
応接室のドアがノックされて執事が入ってくる
「お嬢様、だんな様がお帰りになりました。」
「そう、お話は?」
「今日のことはもうお伝えしてあります。エディ様のことも合わせてお伝えしました」
しばらくして、父が応接室に入ってくる。父は男性に近づき
「娘を助けていただきありがとう、是非お礼をさせてくれ」
「いえ、今日のことは気になさらず、いろいろ大変そうですね」
何かこちらの事情を色々知って居そうな言い方だった。
「・・・・どこかでお会いしたかな?懐かしさがあるのだが」
父が不思議そうな顔をしている
「正式に名乗らせていただきます。
現在Aクラス冒険者のエディとして行動しております、
グレーデリ皇国、第8王子、エミリオ・グロイスターと申します。」
「第8王子!?噂の」
公爵は驚愕の表情を見せた。
「どんな噂かは、知ってますが概ね噂どうりです公爵」
(え~!本物の王子様・・・・それも黒い噂のある王子!?何かデジャブ・・・・あ・・・・小説」
「本当に、”ベンデーソン国”を滅ぼした張本人ですの?」
「ええ、邪魔でしたので」
「邪魔って・・・」
(うそっ小説のセリフとそっくり・・・隣国を滅ぼした王子は公爵令嬢を溺愛して・・・)
エロいシーンを想い思い浮かべてさらにモジモジしだす私
ふと父を見ると顔が真っ青になっていた
(聞いてなかったわ、どうしたのかしら)
「何と申された!ジョアンナが生きていると?」
(え!?)
唖然とする父と私と執事
「はい、生きていると言ううか、仮死状態でしょうか?」
「お母様・・・」
おもわず口を手で覆う・・・涙が止まらなくなった
(やはり生きておいでた・・・お母様・・・)
エミリオ様はそしてこう告げられた
「8精霊持ちがこんなに要る時代は初めてです、それにより”封魔の剣”が力を発揮できます、
封魔の剣を私に譲って下さい、それとフロライン嬢一緒に邪神を倒してください」
「はぁ~」
エミリオ王子はとんでもないことを言った
「私に魔獣だらけの森に二人で行き、お母様を助けて3人で邪神を倒すですって?」
引き取られてから戦闘はしていない、母から言われていると父の師匠と言う人と、剣と魔法の訓練は確かにしていたが、何分(なにぶん)実践経験は7歳のゴブリン戦で止まっている。
自分の実力を測る機会は今までないので、そんな上位魔獣の居る森で自分が物になるのか分からなかった。
自室の窓際に座って本を読んでいた
小説を読み終えて庭を見ると父とエミリオ王子が帰ってくるのが見えた
「伯父様との話上手く行ったみたいね」
二人の様子からうかがえた
「本と・・・素敵な方」
エミリオ王子をじっと見ていた、はっとエミリオ王子がこちらを見た
目が会った気がした。
ドキドキと心臓が大きく跳ねた
「全部じゃないけど、本当に小説に似てる・・・公爵令嬢を溺愛・・・私も公爵令嬢・・・・」
少し想像してしまった・・・
<『あなたの中を私で一杯にしたい』
王子は令嬢の細い腰を抱くと、顔を寄せてそう呟いた>
(きゃー・・・違うのは私の腰が細くない事だけど・・・エミリオ様・・・年上はお嫌かしら・・・
呪い騒動で縁談も無く、行遅れに近い自分では、相手にされないかな・・・)
ちょっと落ち込んでいると
コンコンコン
自室をノックする音がした
はっと
(妄想に耽っている場合じゃないわ)
「はい、」
「エミリオです、フロライン様よろしいですか?」
ドアを開けると美丈夫な男性
うっとりとしてしまうフロライン
「入ってもよろしいですか?」
男性を自分の部屋に入れるそんな事、父以外無かったので戸惑いながら招き入れた
10畳部屋に、ベットと小さい長椅子のみのソファセットと書き物をする机があり、クローゼットに繋がる扉は可愛らしく飾ってある
「えっとどうぞ」
部屋に入るとぐるっと見渡された
(ちょっと恥ずかしい)
「可愛い部屋だ、あなたの性格が分かりますね、可愛い」
ぐいっと近づく王子に戸惑いながら
「あ・ありがとうございます」
二人で小さな長椅子に座ると密着っ度が半端なくて
心臓が口からでそうだった
侍女がお茶を運んでくると二人でそれを飲んでいる
王子の話は面白かった、兄弟の面白エピソードが聞くと思わず吹き出してしまった
一人のお兄様の話になると、ちょっと変な気分になるのは何故だろう?と不思議に思った
歳の離れた兄に対して”可愛いんですよ”・・・可笑しくないだろうか?
他の話は本当に面白く楽しかった。
「笑った顔・可愛い」
「いやですわ・・・年上をからかっちゃ」
我ながら年上を強調するのは心が痛んだが、王子の様子を窺いたかった
じっと無言で見つめられた
「綺麗だと言った方が良かったでしょうか?」
横から腰を抱き寄せられ
『ああ・・・あなたの中を私で一杯にしたい』
「!・・・・」
湯気が出そうなほど真っ赤になるのが分かった
「此処を」
そう王子が指さしたのは心臓のところだった・・・
(妄想し過ぎだわ・・・・エミリオ王子は私の心が欲しいと?・・・)
かなり心が舞い上がるのが分かった
その私をじっと見つめている王子
(近い!近いです)
顎を掴まれ顔が近づく
唇に何か柔らか物が触れた
と思ったらぶちゅー・・・
「うんっ」
濃厚なキスをされた、下が口の中を蹂躙する
エミリオの服をギュッと握ったままされるがままになっていた
頭がボーとしてきたところで
王子が離れた
「これ以上はヤバい・・・」
はっと自分を見たらドレスの胸元が開いて胸が見えていた
「ひっ」
すぐ手で隠す
「貴方が私を煽るから」
「煽ってません・・・・」
「そんな顔をして」
「少なからす好意をいただいていると判断しても?」
「・・・・はい」
(だめだ・・・またキスして欲しいと思ってしまった)
頷くとまた抱きしめられキスをさらに深くされた
『王子は公爵令嬢を溺愛して・・・・』
その続きはすぐされるであろうと期待しながら、自分からも王子に応えるフロライン
「ランニング10週!素振り100回!」
「無理です~」
王宮騎士訓練場でフロラインに激を飛ばすエミリオ王子
剣だこが潰れて痛々しいフロライン、足もガクガクだった
「Aクラス魔獣はそれでは倒せませんよ」
端のほうでその様子を見つめる騎士達
(Bクラス倒せるだけでも凄いんですけど)
と心で思っていた
何人かフロラインの相手をさせられたが、敵う者は居なかった
(蜜月は~?)
心で叫ぶ、キスはくれるがそれ以上は進んでくれないエミリオ王子
討伐が終わったら、大変なことになることは想像出来ていないフロラインだった。
魔物を倒す母を木の上から眺めて居たものだ
防御障壁を張ってくれていたので私に被害は無い
読み書き計算、歴史など勉強はパーティメンバーの魔導師が教えてくれた
魔物もゴブリン1体なら倒せるようになり、防御魔法も初級使える様になった頃
母は私を連れて父の屋敷に連れてきた
父はよく母に会いに来ていた
「お母様に早く奥さんになってって言って」
とよくなきつかれて居たものだ
この人大丈夫かと子供ながらに思った
私は母に
「どうして奥さんにならないの?」
そう聞くと、困った顔をして
「やらなくてはいけない事が出来たから、無理なの・・・本当はあなたが産まれた時受けようと思ったのだけど・・・」
悲しそうに私を見た
「この先どうなるか分からないから・・・」
そう言った母は私を父にあずけると姿を消した
母とパーティを組んでいた人たちが遺体となって発見されたので、母ももう死んでいると言われたが、私は母とのつながりが切れていないことに気が付いていた、何かあるんだ、きっと生きているそう思っていた。
しかし、思いとは裏腹に一向に母の行方は分からなかった。
父に引きとられ、魔導協会から親子の認定をもらい、叔父に当たる王にもしぶしぶ認めてもらい公爵令嬢として教育を受け、社交界にも何度か出席した。
母が冒険者と言うこともあり、あまり歓迎されなかったが、王弟の娘と言ううこともあって何度か招待はされた、そのうち王家縁の人たちが、体調不良で倒れて行き、社交界は殆ど閉鎖状態になっている。
「お嬢様、外出は避けるようにと言われておりますのに、おっしゃっていただければ買い物でしたら我々が買ってまいります」
護衛と従者に町に買い物に行くのをお願いしているとそう言われた。
でも、ちょっとお願い出来ない代物なのだ・・・
王宮で次々に跡取りが亡くなり、跡継ぎ問題が起きている。
困った事に王に血が一番濃いのが父を除くと私だけになっていた。
父は王位継承権を放棄しているので私を王にと言う声が少し出ているらしい、
で、時期王を狙う血の薄い王家縁の侯爵が私を狙って来るかも、と言われた
「ごめんなさい、どうしても自分で買いたいの」
祈るようにお願いした。
しぶしぶ応じてくれた護衛と従者、
護衛がピリピリしているのが分かる
(ごめんなさい)
と心で謝りつつ、お目当ての本屋につく
護衛をどうにか入口で待たせ、お目当てのコーナーに行く
最新刊『王子様と公爵令嬢6』
という、本を手に取る流行りの恋愛小説だ・・・表紙の挿絵からちょっとエロいので従者に頼むわけにいかない。
「良かった売り切れてなくて」
本のコーナーには空白があり、後3冊しか残って居なかった
中が見えないようにして厳重に包んでもらい
(これを買いに危険をおかしったって言ったら執事に怒られる)
そう思って、最新刊を手に入れた喜びに浸っていると、屋敷の門に着いた
「?!なに、この気配」
殺気に満ちた気配に身を震わせた、
「ああ、罰が下ったのかしらこんなことで忠告を無視したから」
外が騒がしいと思ったら馬車のドアが荒く開けられ、黒づくめの男が叫んで腕を掴む
「痛い!」
外に連れ出される御者が居ない
「きゃー、止めて!だれ!・・・はっ!ブライアン!大丈夫?」
御者が馬車の向こうで尻餅ついているのが見えた
横から男性が現れ、
私を掴んでいる黒づくめの背後に回り腕を剥がすと思いっきり殴り倒した
顎が砕けた音がした
「うげ!ごあ!ぎげ」
「何を言ってるのか分からないな」
その男性が言うと
私を背後に匿い、炎の魔法を放つ
「風魔法に、炎の魔法」
「もう二人」
空から林の向こうに氷の槍が降り注ぐ
「無詠唱で、氷も」
私はその次々に放たれる魔法に驚いた
黒ずくめの連中が空を飛んで門に集められる
「黒魔術・・・何この人・・・何者?」
「一応怪我は治しとくか・・・」
そう男性が言ううと黒づくめの男達が光りだす、
「光魔法に白魔術?訳分からない」
「このやろう!」
拘束が甘かったのか一人が剣を振りかざして男性に向かって来る
キーン剣を受け止める
「なっ帯剣して居なかったのに・・・収納持ちか!」
「収納持ち珍しくないでしょうに、10人に一人は持てるはずだよ」
「なっそんなわけ」
「へぇ結構強いね」
まるで子供を相手にするように、余裕の男性だった
なん歩か下がって再度切りかかる男、何度やっても剣は男性に届かない
「ここまでかな?いい加減投降しないか?ダメか・・・」
そう言うと数歩前に出るキーン!ザシュと剣ごと男をいとも簡単に切る
「ギャー」
男はそのまま動かなくなった
「歯向かわなければ殺さなかったのに」
動かなくなった男をその男性は見下ろしている。
屋敷から護衛が出て来た
身体の震えが止まらない
「お助け頂きありがとうございました」
そう私がに言うと、
「お美しい方を守れて光栄です」
と男性は紳士のお辞儀をした。
ポーとその姿に一瞬見とれた私。
「わたくしは、この屋敷に住むフロライン・ヴァルデック・・・・公爵の娘です」
どうにか気を取り直して自己紹介をした
「私はA級冒険者のエディ、公爵様にお話がありこちらを訪ねて参りました」
(冒険者!?冒険者がこんな丁寧な挨拶をするだろうか?)
そう考えていたがふと、男性が父を訪ねてきた事に気が付く
「お父様を?」
「はい、お取り次ぎ願えませんでしょうか?」
ドキドキと彼の仕草を逐一見惚れていた
父に会いに来たのなら、絆は少し出来るだろうかそう期待する自分に驚いていた
執事に話すと直ぐ王宮にいる父に連絡すると言ってくれた。
冒険者を貴族は馬鹿にする傾向がある、執事も元は貴族の3男だと聞いている。
でも、馬鹿にする所かまるで上級貴族に対するように接している。
さすが、だと自分の使用人に関心していた。
応接室に通された男性はは向かいに座る私をじっと見ている。
顔が赤くなるのが自分でもわかる。
「えっと、父はもうすぐ帰ってくると思いますので・・・」
もじもじしてしまう私。
「綺麗だ・・・」
向かいの男性が私にそう言った
「え?」
どきんと心臓が鳴る
(何、何、何・・・どうしよう)
「綺麗な髪ですね、あなたの可愛らしいお顔がさらに映えて、美しさに磨きがかかっている」
「えーっと・・・」
どう返したら分からずさらに赤くなる私。
「お母様と公爵の良いところを貰いましたね、精霊もお母様と同じ8精霊が揃っている、精霊魔法の訓練は?」
私は普段精霊を隠している、母からも父からも普段は隠すように言われていたから。
「・・・精霊が分かるのですか?」
「はい、私も8精霊を纏ってますので、小さい時から魔法の訓練はしてきました」
「うそ!8精霊持ちがそんなにい・要る訳が」
「そうですか?母に至っては9精霊ですよ、フロライン様のお母様も8精霊ですよね?」
「何故そのことをご存じなんですか?9精霊ってその方って・・・」
(えー9精霊って・・・それは隣国の王妃様がそうじゃなかったっけ?)
コンコンコン
応接室のドアがノックされて執事が入ってくる
「お嬢様、だんな様がお帰りになりました。」
「そう、お話は?」
「今日のことはもうお伝えしてあります。エディ様のことも合わせてお伝えしました」
しばらくして、父が応接室に入ってくる。父は男性に近づき
「娘を助けていただきありがとう、是非お礼をさせてくれ」
「いえ、今日のことは気になさらず、いろいろ大変そうですね」
何かこちらの事情を色々知って居そうな言い方だった。
「・・・・どこかでお会いしたかな?懐かしさがあるのだが」
父が不思議そうな顔をしている
「正式に名乗らせていただきます。
現在Aクラス冒険者のエディとして行動しております、
グレーデリ皇国、第8王子、エミリオ・グロイスターと申します。」
「第8王子!?噂の」
公爵は驚愕の表情を見せた。
「どんな噂かは、知ってますが概ね噂どうりです公爵」
(え~!本物の王子様・・・・それも黒い噂のある王子!?何かデジャブ・・・・あ・・・・小説」
「本当に、”ベンデーソン国”を滅ぼした張本人ですの?」
「ええ、邪魔でしたので」
「邪魔って・・・」
(うそっ小説のセリフとそっくり・・・隣国を滅ぼした王子は公爵令嬢を溺愛して・・・)
エロいシーンを想い思い浮かべてさらにモジモジしだす私
ふと父を見ると顔が真っ青になっていた
(聞いてなかったわ、どうしたのかしら)
「何と申された!ジョアンナが生きていると?」
(え!?)
唖然とする父と私と執事
「はい、生きていると言ううか、仮死状態でしょうか?」
「お母様・・・」
おもわず口を手で覆う・・・涙が止まらなくなった
(やはり生きておいでた・・・お母様・・・)
エミリオ様はそしてこう告げられた
「8精霊持ちがこんなに要る時代は初めてです、それにより”封魔の剣”が力を発揮できます、
封魔の剣を私に譲って下さい、それとフロライン嬢一緒に邪神を倒してください」
「はぁ~」
エミリオ王子はとんでもないことを言った
「私に魔獣だらけの森に二人で行き、お母様を助けて3人で邪神を倒すですって?」
引き取られてから戦闘はしていない、母から言われていると父の師匠と言う人と、剣と魔法の訓練は確かにしていたが、何分(なにぶん)実践経験は7歳のゴブリン戦で止まっている。
自分の実力を測る機会は今までないので、そんな上位魔獣の居る森で自分が物になるのか分からなかった。
自室の窓際に座って本を読んでいた
小説を読み終えて庭を見ると父とエミリオ王子が帰ってくるのが見えた
「伯父様との話上手く行ったみたいね」
二人の様子からうかがえた
「本と・・・素敵な方」
エミリオ王子をじっと見ていた、はっとエミリオ王子がこちらを見た
目が会った気がした。
ドキドキと心臓が大きく跳ねた
「全部じゃないけど、本当に小説に似てる・・・公爵令嬢を溺愛・・・私も公爵令嬢・・・・」
少し想像してしまった・・・
<『あなたの中を私で一杯にしたい』
王子は令嬢の細い腰を抱くと、顔を寄せてそう呟いた>
(きゃー・・・違うのは私の腰が細くない事だけど・・・エミリオ様・・・年上はお嫌かしら・・・
呪い騒動で縁談も無く、行遅れに近い自分では、相手にされないかな・・・)
ちょっと落ち込んでいると
コンコンコン
自室をノックする音がした
はっと
(妄想に耽っている場合じゃないわ)
「はい、」
「エミリオです、フロライン様よろしいですか?」
ドアを開けると美丈夫な男性
うっとりとしてしまうフロライン
「入ってもよろしいですか?」
男性を自分の部屋に入れるそんな事、父以外無かったので戸惑いながら招き入れた
10畳部屋に、ベットと小さい長椅子のみのソファセットと書き物をする机があり、クローゼットに繋がる扉は可愛らしく飾ってある
「えっとどうぞ」
部屋に入るとぐるっと見渡された
(ちょっと恥ずかしい)
「可愛い部屋だ、あなたの性格が分かりますね、可愛い」
ぐいっと近づく王子に戸惑いながら
「あ・ありがとうございます」
二人で小さな長椅子に座ると密着っ度が半端なくて
心臓が口からでそうだった
侍女がお茶を運んでくると二人でそれを飲んでいる
王子の話は面白かった、兄弟の面白エピソードが聞くと思わず吹き出してしまった
一人のお兄様の話になると、ちょっと変な気分になるのは何故だろう?と不思議に思った
歳の離れた兄に対して”可愛いんですよ”・・・可笑しくないだろうか?
他の話は本当に面白く楽しかった。
「笑った顔・可愛い」
「いやですわ・・・年上をからかっちゃ」
我ながら年上を強調するのは心が痛んだが、王子の様子を窺いたかった
じっと無言で見つめられた
「綺麗だと言った方が良かったでしょうか?」
横から腰を抱き寄せられ
『ああ・・・あなたの中を私で一杯にしたい』
「!・・・・」
湯気が出そうなほど真っ赤になるのが分かった
「此処を」
そう王子が指さしたのは心臓のところだった・・・
(妄想し過ぎだわ・・・・エミリオ王子は私の心が欲しいと?・・・)
かなり心が舞い上がるのが分かった
その私をじっと見つめている王子
(近い!近いです)
顎を掴まれ顔が近づく
唇に何か柔らか物が触れた
と思ったらぶちゅー・・・
「うんっ」
濃厚なキスをされた、下が口の中を蹂躙する
エミリオの服をギュッと握ったままされるがままになっていた
頭がボーとしてきたところで
王子が離れた
「これ以上はヤバい・・・」
はっと自分を見たらドレスの胸元が開いて胸が見えていた
「ひっ」
すぐ手で隠す
「貴方が私を煽るから」
「煽ってません・・・・」
「そんな顔をして」
「少なからす好意をいただいていると判断しても?」
「・・・・はい」
(だめだ・・・またキスして欲しいと思ってしまった)
頷くとまた抱きしめられキスをさらに深くされた
『王子は公爵令嬢を溺愛して・・・・』
その続きはすぐされるであろうと期待しながら、自分からも王子に応えるフロライン
「ランニング10週!素振り100回!」
「無理です~」
王宮騎士訓練場でフロラインに激を飛ばすエミリオ王子
剣だこが潰れて痛々しいフロライン、足もガクガクだった
「Aクラス魔獣はそれでは倒せませんよ」
端のほうでその様子を見つめる騎士達
(Bクラス倒せるだけでも凄いんですけど)
と心で思っていた
何人かフロラインの相手をさせられたが、敵う者は居なかった
(蜜月は~?)
心で叫ぶ、キスはくれるがそれ以上は進んでくれないエミリオ王子
討伐が終わったら、大変なことになることは想像出来ていないフロラインだった。
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闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
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ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
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虐待に気づかない最低ランクに格付けの家族から、逃げ出します。
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