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9章:「アカネ」求婚される

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戴冠式、数日後

「王太子様~いえ、もう王様ですわね・・うふっ」
王家のサロンにミッシェル・ブラウニ男爵令嬢と若き王がくつろいでいる
「婚約発表は何時にします?ドレスも新調しなくてはいけませんから」
上の空の若き王、それに気が付かないミッシェル・ブラウニ男爵令嬢
「王になられのでもう誰の反対も無く婚約できますわね・・・うふふっ」

「アカネ・・・」
「何かおっしゃいました?」
「アカネ・・護衛の冒険者の、美しい人フィオナに似た」

ぴきっと眉間に血管が浮き出るミッシェル・ブラウニ男爵令嬢

「何なんですの?!アカネってフィオナ様に似ているって言っても、髪も目の色も身長も違うしそれにあの腕、男の方のような筋肉、どこがよろしいの?」
「体もバキバキに筋肉だったよ・・・しかし、美しい、ツートンの髪、腕までツートンなのは驚いた」
「腕がツートン?」
「左の手首、暴漢に切断されたそうだ」
「!う、腕ありましたよね?」
「凄いよあの若さで、<欠損部再生>の魔法で再生したそうだよ、魔法も凄いんだ、
再生したところが日焼けしないって困ってた、
アドバイスには耳が痛かったよ・・・
王としてしっかりとしないとな。
まずは財政、立て直すには質素倹約を勧める、婚約式は今まで作ったドレスを使う事、殆ど着てないのがあるだろう?
騎士団は解散、護衛は王宮に住めば近衛兵がいるので問題ないし、アクセサリーは王宮の宝物庫のを使って新調はしないこと、お茶会や舞踏会も頻繁に開かないこと、それと悪いがミッシェル・ブラウニ男爵令嬢、君は正妃には出来ない」
アカネを思い浮かべて優しい顔になる若き王、そして意を決したような精悍な顔つきに変わる

途中から話を聞いてなかったミッシェル・ブラウニ男爵令嬢

(左手?家にあるフィオナの左手・・・<欠損部再生>?どういうこと?え?何?そっくりサンじゃなく、本人?え?死んだはずじゃぁ)

ミッシェル・ブラウニ男爵令嬢は混乱していた

「ん?なんと言われました?正妃ではない?」
「身分的に無理なんだ、何処の公爵、伯爵も君を養子には出来ないと断られてね、側室は身分は関係ないからね、一緒に居られるだけで嬉しいと言ってくれていただろう?」
「公爵様が断ってきた?」
「令息がお願いしてくれたらしいが、公爵は頑として受け入れられないと断ってきた、娘が居るのに何故男爵令嬢を養子にせねばならないのかと、言われてね、
逆に男爵令嬢に肩入ればかりするのなら後継者候補から外すと言われたららしいよ、他の者のそうだ、私もたしかにそう思うよ、君を絶対正妃にって思ってたのが不思議だ、側室でも一緒にいられるじゃあないか」

(どういうこと?え?国一番の女性になれないってこと?)

「側室だから大々的な婚約式はしない、お披露目は内々にするので、それまで王宮に居るといいよ、妃教育の手配もしておくし、厳しい人みたいだけど、私の為に頑張ってほしい」
「お、おきさき教育?」
「側室でも王妃だからね、必要な知識とマナーは普通の貴族と違ってくるから、正妃じゃなくても国を支える国母になるんだ、歴史政治も必要だ、フィオナはもともとそういう教育を小さい時から受けていたから特に教育係は必要なかったが、下級貴族の君には必要だろう?」

勉強が大嫌いなミッシェル・ブラウニ男爵令嬢
蝶よ花よとおだてられながら好き放題出来ると勘違いしていた

「正妃は隣国の第3皇女の話がある、戦争を避けるために政略結婚は避けられない、後側室に3名ほど候補が上がっている、それも政略結婚だが、貴族の反乱を抑えるためには必要なんだ、君は側室は何人居ても良いと言ってくれた、愛するのは君だけだよ」

「それは正妃になれると思っていたから・・・どうか正妃にしてくだささいませ」
うるうると上目使いに見てくるミッシェル・ブラウニ男爵令嬢
魅了の魔法を放つ・・・が若き王に反応は無い
「ミッシェル・ブラウニ男爵令嬢、すまないでも愛するのは君だけだよ(たぶん)」


たぶん・・・がついた
魅了魔法が切れかかっている、耐性が強化されているため再度かけ直すのは不可能になっていた

(最近あの男が現れない・・・何をしているの?ライバルを始末して欲しいのに・・・
側室なんてどうして?今まで上手く行ってたのに、最近思うようにならなくなってきたどうして?)




ブラウニ男爵家の屋敷の手のオブジェが淡く光っている

そして、それまでミッシェル・ブラウニ男爵令嬢の周りに居た
怪しい連中が消えたことに彼女は気が付いていなかった、
そしてそれを使っていた黒幕達も使っていた黒の組織の手練れたちがことごとく消えたことに焦っていた
呪詛を施していた連中が呪詛返しに合い、死んだのもあせる原因だった

居なくなったのは怪しい連中だけではなかった、取り巻きだった令息たちも離れて行った、家の事情もあるが、皆大人になっている、自分の感情だけで行動できるのは子供だけである。
自分の立ち位置を定め、周りを見、行動しなくては排除されるだけである、いつまでも親の元のには居られない、それが次男坊3男坊となれば尚更である。呪詛も返され皆正気に戻ったのも原因だった




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