カ・ル・マ！ ～天王寺の変～

天王寺の変 八の章

獣衆無慚 弐 その５

サイラー。
蛇骨会が攻めてくる。
矢部が居ない。
罠。
まゆら、、、。

関係の無い言葉の羅列が、何故か繋がったような感覚に陥おちいってしまったみょ～ちんは、迂闊うかつにもまゆらに一瞬だが敵意を向けてしまった。
ＥＧ波が、約百メートル先で恵比寿東の交差点を横切るまゆらを揺らす。

こちらを、向いた。

遠くても、ハッキリ解かる。
遠くても、月光で観える。
こっちを向いて、、、無視？！

　（なん、、、？！

みょ～ちんは身体が熱くなった。
まゆらと聞いて、まゆらを見て、怯えて要らぬ波動を出してしまった。

まるで安全な位置から吠える子犬のように自分を感じて、負けた気になってしまった。

まゆらは、、、？

そんなみょ～ちんに一瞥すると、スグに視線を戻して前を向き、歩き出していた。

敵意をむき出しで睨まれても、そんな遠くで視線を送って来る女にまでいちいち相手してらんない。
何せこっちはさっきから見ず知らずのＥＧ使いに、ずっとちょっかい出されているのだ。
構ってなんかいられない。

それがみょ～ちんの中で負け犬感情に呑み込まれて、まゆらの行動は許されない行動になっていた。

理不尽にも、一方的にキレた。

　（ウチを、ナメたなぁ！！

滲み出る攻撃性のＥＧ波を、もう止められない。
隣のあげまんちゃんも、それを感じた。

　「あげ、伝説っつうＥＧ使いがどれ程のもんか、
　　知りたないか？」

聞かれたあげまんちゃんは、みょ～ちんが何を言おうとしているのか理解した。

　「みょ～姉ねぇが知りたいんやったら、協力するで」

抑えきれないＥＧ波を解き放って、みょ～ちんは一直線にまゆらを追う。

激しいＥＧ波に、これまでの雑魚ざことは違う感覚にまゆらが振り返る。
振り返ると、猛ダッシュでみょ～ちんが迫って来た。