カ・ル・マ！ ～天王寺の変～

天王寺の変 七の章

我欲動偽 壱 その３

　「天王寺にコレ、持って行き」
　「なに？」

モノアイが手に持っていたのは、黒い球体。

　（砲丸？

いや、軽そうに持っている。
ほれ、と差し出されると、佳穂は反射的に手を出していた。

　「あ、、、」

出した手に、乗っけられる。

　「軽っ、、、」

手は動かさず、逆に顔を右左に移動したりして黒い球体を見る。

　「何コレ？」
　「妹さんを助ける秘密兵器や」
　「？！　助ける？　コレで助けられるん？」

グイっとモノアイに、顔を近付ける佳穂。
その仕草に、モノアイはちょっと照れる。
　「せや。サイラーに会うたらな、
　　コイツを投げ付けぇ」
　「投げんの？」
　「上手く投げようとか、そんなん考えんでええからな。
　　とにかくサイラーに向かってコイツを投げるだけでええねん」
　「投げたら、変な事になれへん？　怖いわ、、、」
　「大丈夫や」

笑うモノアイに対し、佳穂には不安要素がまだある。

　「っていうかサイラーって人に、
　　あたし会えんのん？」
　「そこも大丈夫や。もうちょっとしたらな、
　　天王寺ごちゃごちゃするから、
　　ほんならサイラーが根城から出て来よる。
　　そこで投げたらええわ」
　「投げたらって、、、。
　　私、そのサイラーって人、知らんで」
　「親玉ってのは見たら解るわ。
　　サイラーっぽいな～思たらそいつがサイラーや」
　「テキトー！　そんなんでイケんの？」
　「イケるイケる」

　「、、、いやちょっと待って、妹捕まってんのん、
　　その手下やろ？　サイラー関係ないやん！」
　「それがあんねん。その黒い球体投げたら、
　　上手い事いくねん」
　「ホンマに？」
　「ホンマやホンマ」

そんな会話をしていると、天王寺の方向から爆発音が響いてきた。