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天王寺の変 六の章

策略謀略 弐 その5

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つまり、、、名前が出たら、と、念を押している。
もっと平たく言えば、名前が出たら、マジで“加茂家”を。と脅している。

術屋屈指の風御門家、さらに道具屋最大手の加茂家を相手にし、たった一人でも戦える自信が、この円にはあるらしい。

その自信の源を、アホ晴は知っている。
知ってるからこそ、こう答えた。

 「そん時は、ボクが、キッチリ
  から、それで、、、な」

白虎が笑った。、、、ように見えた。
円は手酌をやる。

 「弟より、家が大事なんや」

さすがに、笑顔無く答えた。

 「次期、、、当主やからな」

ジッと見る。
見つめる。
呼吸、鼓動を感じる。
纏う空気を感じる。

本気だと、円は理解した。
箸を置き、声を掛けた。

 「それでええわ。珍晴、それで納得したるわ」

答える真摯しんしな態度に、円の中でアホ晴から珍晴に戻った。

 「あ~~! 良かったぁ~~!」

珍晴はその場で大の字になって寝転んだ。

 「腕か足か、出さなアカン思てたから
  良かったわ~~」
 「ウチをどんな眼で見とんねん」
 「いや~、コウキ様がご立腹になったら、
  そうなるやん?」
 「ワシは人ではないが“ヒトデナシ”ではないぞ」
 「コウキ様は心も高貴なお方で良かった!」

肩の荷が下りたのか、珍晴は早くもいつもの饒舌に戻っていた。

 「そうそう。
  まゆらちゃんが結界に来てるって知ってた?」
 「まゆらが?」
 「円ちゃん、可愛がってたやろ。
  雰囲気そのままやけど、大きぃなっとるで」
 「入学式ん時にうとるけどな。
  アンタより会うとるわ」
 「なんや深刻なかおしとったで」

思った通り、円はまゆらの事になると心配性になる。
それをつついてちょっとでもやり返そうと考える性格の悪い珍晴だった。

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