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天王寺の変 五の章
参差錯落 伍 その6
しおりを挟む駱嘉は少し前、自分たちに接近する気配に気づいた。
ピリピリする。
EG波が、波打つ静電気が活発になった証拠だ。
どれくらいの使い手だろう。
そう考え始めた時に、李楠にどんな感じ?
と問われたので、先程のセリフになっていた。
「どちらさんでっか?」
向かってくる影は、二つ。
少し背の高い方が聞いてきた。
ダボ付いたジーンズ。
オシャレなのか本当にボロボロなのか判断の付かないトレーナーを着、上着はオレンジで袖が白のスタジャン風のジャージ。
センター分けの髪は少しウェットで肩に掛かっていた。
左手に、缶コーヒー。
中指と親指で、摘むように持っている。
そのまま不自然に口元まで持っていき、ひとくち。
十二~三メーターほど手前で歩くのを止め、立ち止まった。
横に居たもう一人も確認できた。
爆発気味のアフロ。
なのに、ハンチング帽をしっかり被っている。
シルエットが“お茶の水博士”になっていたのはこういう事だったんだと、日本好きの李楠は納得。
Gジャン。
赤白のボーダーシャツ。
デニムのラッパズボン。
小顔。
チュッパチャップス。
なんか纏まってるので、李楠はムカついた。
(ちっ、、、カワイイじゃねぇか!
スッと目の前に駱嘉の背中が、、、。
李楠の前に立ち、庇いつつ戦闘態勢。
そこをまた、李楠が押し退けて前に出た。
「?」
首を小さく捻る駱嘉。
誰でもそうなるだろう。
何してるんだと、李楠の肩を後ろから掴む。
駱嘉の手を振り払うと、李楠は対峙する二人に話し掛けていた。
「わ、私たちは中国から来ました。観光です」
「ハイ。それ嘘ですね~。観光客はこの時間、
結界内には入りませ~ん」
「いや、あの、、、」
「それにスマホで確認しながら来たやん。
この時間、結界内でスマホ使えんのんて、
EG使いしかおらんで」
再度、駱嘉が李楠の前に出た。
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