カ・ル・マ！ ～天王寺の変～

天王寺の変 四の章

紅朱同赤 陸 その２０

それが道具屋大手、加茂家の次期当主、加茂珍晴かもたかはる。

　「知りたいやんな？」

三木は、戸惑いながらも頷いた。
術師としては、純粋に知りたい。

　「ほんなら、ボクが知りたい事を君が知っとったら、
　　教えてあげる。交換条件やね」
　「ぼん！　勝手なこと言いなや！」

糸が怒るが、まるで気にしない。

　「じゃ質問。
　　ハピハピって言うＥＧ使い、知ってる？」

頷く、三木。

　「お！　知ってるか！　そいつ、何処に居おる？」
　「ちょっと珍晴！」

まゆらが引き返し、珍晴の脚にローキック。

　「なんやねん！」
　「ひとの話し聞き！」

大袈裟に痛がりながら、文句を言う。

　「今この人と話してんのん、見て解らんか！」
　「ほんであぁしの呪をバラすんか？！　
　　男のクセにペチャクチャペチャクチャと、、、」
　「はい～～セクハラ！　男のクセにって言うた！」
　「黙れ！」

ローキック連打。
痛～～い！　と叫びながらその場に座り込んだ。

　「どう思う？　まゆらって暴力女やんな？」
　「死ね！」

股間に蹴りが入る。
悶絶する珍晴をよそに、まゆらは三木に早くどっか行けと強い口調で言う。
紗結に肩を貸す格好で歩き出した三木に、珍晴がみじめな声を掛ける。

　「なぁ！　ハピハピどこにおるかだけ
　　教えて～～！」

答える義務は無かったろう。
それでも三木は、振り返って教えてくれた。

　「天王寺のサイラーに、匿かくまわれているよ」

去っていく三木に、ありがとうなぁ～。と見えないのに手を振っていた。

　「、、、ぼん、見てはったん？」

糸が、珍晴に聞いた。