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その162.本当の「野球拳」は負けても脱がない
しおりを挟むもうすぐ年末。
大晦日といえば、NHKの「紅白歌合戦」を家族で……というのが定番でした。
今は、視聴率も落ちているらしいし、「定番」と言えるかどうかは、個人の判断に任せますけど。
1969年、NHKの年末大河特番の真裏で、人気絶頂だったコント55号がメインMCを務める「裏番組をぶっとばせ!」という挑戦的な企画が放送されました。
ミニコントのコーナーなどもありましたが、目玉企画は「野球拳」のコーナー。
「野球~するなら~こういう具合にしやしゃんせ~アウト! セーフ! よよいのよい!」と歌ってジャンケンして、負けた方が服を脱ぐ、というお色気企画で、女性ゲストが下着姿になったり、というのが地上波で放送できた時代。
しかも、女性陣が脱いだ衣服をその場でオークションに掛け、一般の人に売っていたというのですから驚きです。
そのお金は交通遺児のために寄付され、チャリティー番組の一面もあったようですが、やはり、PTAからは「低俗番組」と槍玉にあげられたらしいですね。
1993年~1996年には、ダウンタウンがMCでリメイク番組も製作されており、こちらは女性が全裸になった姿が生放送で流れるなど、クレームも多かったようです。
いやはや、コンプライアンスの厳しい現代からは、考えられませんけど……。
そんな番組の影響からか、「野球拳」=「エッチなイメージ」の先入観もあるかもしれません。
本来の「野球拳」は、愛媛県松山市の郷土芸能。
1924年、香川県高松市で実業団の野球大会が開催されました。
愛媛の松山市から参加したチームは残念ながら敗退してしまいましたが、大会終了後の懇親会で、余興として「歌と三味線に合わせ、野球のユニフォーム姿で即興で踊る」宴会芸が受け、これが「野球拳」の始まりとなりました。
「野球拳」は松山市で広まり、お座敷芸の定番となっていきます。野球拳の歌もレコード化され、様々な歌手が歌うなど、ブームは加熱。
本来の「野球拳」は3人1組で勝負する団体戦で、三味線の伴奏で歌って踊り、じゃんけんに負けた者が後ろに下がり、3人が負けると(スリーアウトで)ゲームセットとなる遊び。
一部では、じゃんけんに負けた罰ゲームとして、酒を飲んだり、服を脱いだりという破廉恥な面々もおり、品位の低下に心を痛めた人たちが「本来の正しい野球拳を伝えるため、家元制度を作ろう」と家元制度を残し、現在でも引き継がれています。
その後は地元のお祭りで「野球拳おどり」としてイベントになり、「本家野球拳全国大会」も開催されています。
「裏番組をぶっとばせ!」のおかげで、「野球拳」の名前は全国に広まりましたが、「じゃんけんに負けると服を脱ぐ」という誤った認識で伝わる結果になってしまい、後年、松山市の郷土芸能の関係者に謝罪したと言います。
ちなみに、コント55号の時もダウンタウンの時も、番組の視聴率はダントツだったようです。
みんな、えっち。
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