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その90.「辛い」という味は無い

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「暑い夏には、あえて辛いものを食べて、汗をかくのがいいんだよ!」と力説して、いかにも辛そうな「真っ赤な料理」をヒーヒー言いながら食べる先輩がいました。

 ですが、夏だろうが冬だろうが、辛いものが嫌いな私にとっては「あえて辛いものを食べる」という選択肢は、ありません。

「マイ七味」を持ち歩いて、何にでもかけて食べる同僚もいました。
 そんなに真っ赤にしたら、元の味が分からなくなっちゃうよ、と心配になったものです。

 そもそも、人間の舌が感じる味覚のうち、「辛味」というのは無いのです。

 人間の舌の表面にある味蕾みらいという器官が感じることのできる味覚は、甘味・塩味・酸味・苦味・旨味の五種類です。

 トウガラシやワサビ、マスタードなどを食べて「辛っ!」と感じるのは、「甘い」「しょっぱい」と感じるのと同じ種類の味覚ではなく、刺激を受けた舌が「痛い」という信号を送っているのです。
 その反応を「辛さ」と呼んでいるだけなのです。

 「辛味」ではなく「痛み」というわけです。
からい」と「つらい」は同じ字、とは良く言ったものです。
 
 カプサイシンなど、発汗を促して、ストレス解消や血行促進、脂肪燃焼などに効果あり、という側面も確かにあるのですが、刺激物は胃腸にダメージを与えるだけではなく、激辛料理などは、味覚を感じる細胞を殺しているのです。
 
 小さい頃に読んだ雑学の本で「子供のうちに辛いものを食べ過ぎると、舌の細胞が死んで、大人になってから味オンチになる」という情報を得てから、私は辛いものを避けるようになりました。

 年配の方が漬物などの「しょっぱくて濃い味」を求めるのも、加齢により少なくなった味覚細胞では、ハッキリとした味の方が認識しやすいから、という裏付けも載っており「確かにおじいちゃんもおばあちゃんも、漬物って好きだもんなあ……」と妙に納得したものです。

 そっか、個人的に「辛い」のが嫌いなのは、「舌の痛み」というよりは「味オンチになる恐怖心」から来ていたのかな……。

 ※ 個人差はあると思うので、「辛い物が大好き」な人たちを批判・非難する意図はありません。 

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