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ケイトについて 6
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しばらくしてから、ケイトから電話があった。
「お金を貸してほしいの。」
またか。まり子から、悪いうわさを聞いたから心配で、と連絡があった直後だった。
「まだ前の3万円も返してもらってない」
「ごめんなさい。でもどうしても、どうしても金曜までに必要で」
「・・・」
「5万円くらい貸してくれると助かるんだけど」
「俺は学生だ。そんな大金ない」
「親にお願いして借りてくれない?」
耳を疑った。何を言ってるんだ?こいつ。
「なんで、お前の遊ぶ金を、俺の親に出してもらわなきゃいけない」
「遊ぶ金じゃないよ。あなた、私の彼氏でしょ・・・」
電話の向こうで泣いている。
「仕事しろよ。遅刻と休みばかりで辞めさせられそうだって、聞いたぞ」
「するよ。がんばる。」
「クラブに行くのもやめろ」
「・・・わかった。行かない。」
1万円しか貸せないと言ったが、彼女がそれでもいいと言うので、電話を切って家に行った。
俺の部屋には来てほしくなかった。
家ではルームメイトとその彼氏が部屋に籠もっており、ケイトの部屋には見たことのない陰気くさい女がいた。部屋はエスニック風に変わり、なにか香を焚いている。ダイニングキッチンの隅にケイトの荷物が置かれていて、すでに彼女の部屋は無かった。
俺たちはダイニングに二人きりになった。
さっさと帰ろうと、テーブルに金を出した。金を手にして、ケイトはにこにこしている。
「ありがとう。」そう言って、俺の股間に手を出してきた。まるで商売女だ。
「やめろ」俺は怒った。
「いいじゃない。」と彼女はニヤニヤしている。
頭がイカレてる。
「あなたの家に行ってもいい?」と聞かれた。いい訳がない。
「なんでだよ。どうしてこうなったんだよ?」目の前にいる気持ち悪いなにかに問いかけた。
「ほんと、どうしてだろう。」彼女は言った。
「最近よく夢をみるの。ママやベッツィー、弟たちや友だちといる幸せな夢。時々、本当は夢のなかが現実で、今この現実が夢の世界なんじゃないかって思うの。私は今寝てるんじゃないのって・・・」
目の焦点が合わなくなってきた。
俺はじっと彼女を見ていた。
彼女は俺を見ない。
数秒の沈黙の後、彼女はふらりとルームメイトの部屋へ入っていった。
俺はため息をついた。もう、どん詰まりだろう。助けになりたいと思えるほどの情は無かった。
このまま何も言わずに帰ろうとすると、ルームメイトの彼氏が裸に腰巻き一枚で、部屋から出てきた。黒人の太った男だ。
その男が俺に言った。
「ケイトが俺に、お前とヤッていいと言ってる。」
・・・俺と?
一瞬、何のことかわからなかった。
俺にこいつとセックスしろと?
やっと言葉を理解すると、ゾッとした。
「お金を貸してほしいの。」
またか。まり子から、悪いうわさを聞いたから心配で、と連絡があった直後だった。
「まだ前の3万円も返してもらってない」
「ごめんなさい。でもどうしても、どうしても金曜までに必要で」
「・・・」
「5万円くらい貸してくれると助かるんだけど」
「俺は学生だ。そんな大金ない」
「親にお願いして借りてくれない?」
耳を疑った。何を言ってるんだ?こいつ。
「なんで、お前の遊ぶ金を、俺の親に出してもらわなきゃいけない」
「遊ぶ金じゃないよ。あなた、私の彼氏でしょ・・・」
電話の向こうで泣いている。
「仕事しろよ。遅刻と休みばかりで辞めさせられそうだって、聞いたぞ」
「するよ。がんばる。」
「クラブに行くのもやめろ」
「・・・わかった。行かない。」
1万円しか貸せないと言ったが、彼女がそれでもいいと言うので、電話を切って家に行った。
俺の部屋には来てほしくなかった。
家ではルームメイトとその彼氏が部屋に籠もっており、ケイトの部屋には見たことのない陰気くさい女がいた。部屋はエスニック風に変わり、なにか香を焚いている。ダイニングキッチンの隅にケイトの荷物が置かれていて、すでに彼女の部屋は無かった。
俺たちはダイニングに二人きりになった。
さっさと帰ろうと、テーブルに金を出した。金を手にして、ケイトはにこにこしている。
「ありがとう。」そう言って、俺の股間に手を出してきた。まるで商売女だ。
「やめろ」俺は怒った。
「いいじゃない。」と彼女はニヤニヤしている。
頭がイカレてる。
「あなたの家に行ってもいい?」と聞かれた。いい訳がない。
「なんでだよ。どうしてこうなったんだよ?」目の前にいる気持ち悪いなにかに問いかけた。
「ほんと、どうしてだろう。」彼女は言った。
「最近よく夢をみるの。ママやベッツィー、弟たちや友だちといる幸せな夢。時々、本当は夢のなかが現実で、今この現実が夢の世界なんじゃないかって思うの。私は今寝てるんじゃないのって・・・」
目の焦点が合わなくなってきた。
俺はじっと彼女を見ていた。
彼女は俺を見ない。
数秒の沈黙の後、彼女はふらりとルームメイトの部屋へ入っていった。
俺はため息をついた。もう、どん詰まりだろう。助けになりたいと思えるほどの情は無かった。
このまま何も言わずに帰ろうとすると、ルームメイトの彼氏が裸に腰巻き一枚で、部屋から出てきた。黒人の太った男だ。
その男が俺に言った。
「ケイトが俺に、お前とヤッていいと言ってる。」
・・・俺と?
一瞬、何のことかわからなかった。
俺にこいつとセックスしろと?
やっと言葉を理解すると、ゾッとした。
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