15 / 22
プーチンの母に、哀願の巻(十五話)
しおりを挟む
天界からは、下界の様子は、ありのままに実に良く見える。
ロシアの起こしたウクライナ軍事侵攻、いや侵略のドンパチは、ここ天界にも響きよる。
この物語の主人公の毛沢東も、大いに憂いておる。何とかならないものかと。
まだまだ、霊力が充分ではない為、直接には関与出来ないでおる。
ここは、かつてのワンマンの血が騒ぐ、だが、力不足成り、いい手はありやなしや。
うん、下界のプーチンとやらに関与するのではなくて、天界の母御に頼もうではないか。
一念発起、私が天界から「仲裁」に乗り出そう、と……
毛沢東 「これはこれは、お出まし頂いて、どうもありがとうございます」
「まず始めに自己紹介させてください。私は中国人です。毛沢東と言います」
「肌が黄色でも、日本人ではありません。かつての大戦では仲間でした」
「お国がドイツを負かしてくれました、中国は苦戦しましたが、我らが勝利へと」
「その後、私は新中国を建国致しました。ソ連を見習い国を作ったのです」
「お国のスターリン閣下には、一度、モスクワでお会い致しました」
「非情に怖ろしい方でしたな、別荘でのご馳走が喉を通りませんでしたわ」
「実は、折り入って、お願い致したき事があるのです」
プーチンママ「はっ、東洋の中国のそんなお偉い方が、私めに何でまた……」
毛沢東 「大いに訳があるのです。下界を揺るがしている戦のことで」
「あのう、真に言いづらい事なれど、あなたの息子さんの大暴れで悲惨な事に」
プーチンママ「ええ、ウクライナ侵攻は、目に余ります。兄弟国同士が、本当に悪夢です」
「これは母としては、我が息子の言い分も聞かねばなりません」
「きっと、止むに止むれぬ思いから、こんな決断に至ったのだと」
「私だけが知っているウラジーミルは、でも、語っていいものか……」
毛沢東 「母御様、あなたの息子は、今や誰の言う事も聞きません」
「あなた様だけが、唯一の、そして最後の切り札と思われるのです」
「私からの、お願いの儀とは、ご子息を悪夢から目覚めさせてほしい」
「とんでもない悪夢の中に居るのであれば、夢枕に現れて救ってほしいのです」
「救えるのは、最早あなただけなのですよ、ヨーロッパが救われるのです」
プーチンママ「その、悪夢が悪いのであって、息子は流れているだけだとすると」
「本当でそれだけだとすると、私は、あの子を解いてあげねばです」
毛沢東 「是非に是非にと、私からお願い申し上げます」
「私は当時、ソ連あっての私でした、先輩共産国をしたっておりました」
「イデオロギーはソ連からです。それで国をまとめる事が出来ました」
「今、下界ではウクライナばかりか、ロシアも窮地に立たされてます」
「引いては、ヨーロッパのみならず、全世界が無になりかねません」
「御母堂様、どうか息子の夢に現れて、教え諭してはくれませぬか」
「この通りで御座います。御母堂様……」
プーチンママ「おっしゃる事は、良くとわかりましたわ。何とかしましょう」
「息子を救えば、すべてが救われるのですね。やってみます」
「毎夜毎夜、夢枕に立ちますわ。それどころが、化けて出ますわ」
「長男を生後すぐ、次男を包囲戦で2才で失って12年振りに出来た子」
「私が41才の時にやっと手にした子ですもの、可愛くて仕様がありません」
「あのう、毛沢東さん、私からもお願いがあるのですが」
「どうか、秘めて置いて欲しい事は、そっとしておいてくださいますか?」
毛沢東 「わかっております。ご子息はレニングラードの申し子ですな」
「飢餓地獄を耐え抜いた、そのあなたが立派に育て上げたのですぞ」
「あなたが救ったのです、また、救ってくだされ、どうか」
プーチンママ「ウラジーミルが5才の時の、物憂げな目が忘れられません」
「さっそく、今夜から夢に出ますわ、やりますわ……」
毛沢東は、下界に恩返しをしようと思ったのである。
それに、やはりロシアが大いに気になるのである。スターリンしかり。
プーチンの天界の母に諫めてもらうとは、これも「仲裁」である。
後々は、自身自らで、下界に介入の出来る運びとなりますかな。
それは、天界での修行によりまする。
ああ、母御の言ってた秘密とは、まあ、今は触れません……
ロシアの起こしたウクライナ軍事侵攻、いや侵略のドンパチは、ここ天界にも響きよる。
この物語の主人公の毛沢東も、大いに憂いておる。何とかならないものかと。
まだまだ、霊力が充分ではない為、直接には関与出来ないでおる。
ここは、かつてのワンマンの血が騒ぐ、だが、力不足成り、いい手はありやなしや。
うん、下界のプーチンとやらに関与するのではなくて、天界の母御に頼もうではないか。
一念発起、私が天界から「仲裁」に乗り出そう、と……
毛沢東 「これはこれは、お出まし頂いて、どうもありがとうございます」
「まず始めに自己紹介させてください。私は中国人です。毛沢東と言います」
「肌が黄色でも、日本人ではありません。かつての大戦では仲間でした」
「お国がドイツを負かしてくれました、中国は苦戦しましたが、我らが勝利へと」
「その後、私は新中国を建国致しました。ソ連を見習い国を作ったのです」
「お国のスターリン閣下には、一度、モスクワでお会い致しました」
「非情に怖ろしい方でしたな、別荘でのご馳走が喉を通りませんでしたわ」
「実は、折り入って、お願い致したき事があるのです」
プーチンママ「はっ、東洋の中国のそんなお偉い方が、私めに何でまた……」
毛沢東 「大いに訳があるのです。下界を揺るがしている戦のことで」
「あのう、真に言いづらい事なれど、あなたの息子さんの大暴れで悲惨な事に」
プーチンママ「ええ、ウクライナ侵攻は、目に余ります。兄弟国同士が、本当に悪夢です」
「これは母としては、我が息子の言い分も聞かねばなりません」
「きっと、止むに止むれぬ思いから、こんな決断に至ったのだと」
「私だけが知っているウラジーミルは、でも、語っていいものか……」
毛沢東 「母御様、あなたの息子は、今や誰の言う事も聞きません」
「あなた様だけが、唯一の、そして最後の切り札と思われるのです」
「私からの、お願いの儀とは、ご子息を悪夢から目覚めさせてほしい」
「とんでもない悪夢の中に居るのであれば、夢枕に現れて救ってほしいのです」
「救えるのは、最早あなただけなのですよ、ヨーロッパが救われるのです」
プーチンママ「その、悪夢が悪いのであって、息子は流れているだけだとすると」
「本当でそれだけだとすると、私は、あの子を解いてあげねばです」
毛沢東 「是非に是非にと、私からお願い申し上げます」
「私は当時、ソ連あっての私でした、先輩共産国をしたっておりました」
「イデオロギーはソ連からです。それで国をまとめる事が出来ました」
「今、下界ではウクライナばかりか、ロシアも窮地に立たされてます」
「引いては、ヨーロッパのみならず、全世界が無になりかねません」
「御母堂様、どうか息子の夢に現れて、教え諭してはくれませぬか」
「この通りで御座います。御母堂様……」
プーチンママ「おっしゃる事は、良くとわかりましたわ。何とかしましょう」
「息子を救えば、すべてが救われるのですね。やってみます」
「毎夜毎夜、夢枕に立ちますわ。それどころが、化けて出ますわ」
「長男を生後すぐ、次男を包囲戦で2才で失って12年振りに出来た子」
「私が41才の時にやっと手にした子ですもの、可愛くて仕様がありません」
「あのう、毛沢東さん、私からもお願いがあるのですが」
「どうか、秘めて置いて欲しい事は、そっとしておいてくださいますか?」
毛沢東 「わかっております。ご子息はレニングラードの申し子ですな」
「飢餓地獄を耐え抜いた、そのあなたが立派に育て上げたのですぞ」
「あなたが救ったのです、また、救ってくだされ、どうか」
プーチンママ「ウラジーミルが5才の時の、物憂げな目が忘れられません」
「さっそく、今夜から夢に出ますわ、やりますわ……」
毛沢東は、下界に恩返しをしようと思ったのである。
それに、やはりロシアが大いに気になるのである。スターリンしかり。
プーチンの天界の母に諫めてもらうとは、これも「仲裁」である。
後々は、自身自らで、下界に介入の出来る運びとなりますかな。
それは、天界での修行によりまする。
ああ、母御の言ってた秘密とは、まあ、今は触れません……
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
短編歴史小説集
永瀬 史乃
歴史・時代
徒然なるままに日暮らしスマホに向かひて書いた歴史物をまとめました。
一作品2000〜4000字程度。日本史・東洋史混ざっています。
以前、投稿済みの作品もまとめて短編集とすることにしました。
準中華風、遊郭、大奥ものが多くなるかと思います。
表紙は「かんたん表紙メーカー」様HP
にて作成しました。
幕末博徒伝
雨川 海(旧 つくね)
歴史・時代
江戸時代、五街道の内の一つ、甲州街道が整備され、宿場町として賑わった勝沼は、天領、つまり、徳川幕府の直轄地として代官所が置かれていた。この頃、江戸幕府の財政は厳しく、役人の数も少なかったので、年貢の徴収だけで手がいっぱいになり、治安までは手が回らなかった。その為、近隣在所から無宿人、博徒、浪人などが流れ込み、無政府状態になっていた。これは、無頼の徒が活躍する任侠物語。
わが友ヒトラー
名無ナナシ
歴史・時代
史上最悪の独裁者として名高いアドルフ・ヒトラー
そんな彼にも青春を共にする者がいた
一九〇〇年代のドイツ
二人の青春物語
youtube : https://www.youtube.com/channel/UC6CwMDVM6o7OygoFC3RdKng
参考・引用
彡(゜)(゜)「ワイはアドルフ・ヒトラー。将来の大芸術家や」(5ch)
アドルフ・ヒトラーの青春(三交社)
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
毛利隆元 ~総領の甚六~
秋山風介
歴史・時代
えー、名将・毛利元就の目下の悩みは、イマイチしまりのない長男・隆元クンでございました──。
父や弟へのコンプレックスにまみれた男が、いかにして自分の才覚を知り、毛利家の命運をかけた『厳島の戦い』を主導するに至ったのかを描く意欲作。
史実を捨てたり拾ったりしながら、なるべくポップに書いておりますので、歴史苦手だなーって方も読んでいただけると嬉しいです。
豊家軽業夜話
黒坂 わかな
歴史・時代
猿楽小屋や市で賑わう京の寺院にて、軽業師の竹早は日の本一の技を見せる。そこに、参詣に訪れていた豊臣秀吉の側室・松の丸殿が通りがかり、竹早は伏見城へ行くことに。やがて竹早は秀頼と出会い…。
ソラノカケラ ⦅Shattered Skies⦆
みにみ
歴史・時代
2026年 中華人民共和国が台湾へ軍事侵攻を開始
台湾側は地の利を生かし善戦するも
人海戦術で推してくる中国側に敗走を重ね
たった3ヶ月ほどで第2作戦区以外を掌握される
背に腹を変えられなくなった台湾政府は
傭兵を雇うことを決定
世界各地から金を求めて傭兵たちが集まった
これは、その中の1人
台湾空軍特務中尉Mr.MAITOKIこと
舞時景都と
台湾空軍特務中士Mr.SASENOこと
佐世野榛名のコンビによる
台湾開放戦を描いた物語である
※エースコンバットみたいな世界観で描いてます()
満州国馬賊討伐飛行隊
ゆみすけ
歴史・時代
満州国は、日本が作った対ソ連の干渉となる国であった。 未開の不毛の地であった。 無法の馬賊どもが闊歩する草原が広がる地だ。 そこに、農業開発開墾団が入植してくる。 とうぜん、馬賊と激しい勢力争いとなる。 馬賊は機動性を武器に、なかなか殲滅できなかった。 それで、入植者保護のため満州政府が宗主国である日本国へ馬賊討伐を要請したのである。 それに答えたのが馬賊専門の討伐飛行隊である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる