花護り～天地には離れない二人～

第一花 二人の出会い

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時は花麗紀元、滅びかけた世界に十二人の選ばれた存在が花護りとなり、十二月に分かれた花を国花とし国を作り、同時に再生を図ったのが始まりとされる。
ソノ存在は各国で始祖と崇められているいわば神的存在だ。
それからは花護りが命尽きると代々新しい花護りがそれぞれ始祖によって選ばれる。
そしてこの度、先代グランディア皇羽國の花護りが寿命で亡くなり、グランディア皇羽國の各地でお告げが起きてレディノーラが花護りに選ばれた。
ソレとほぼ同時期に、西のアウランティアクス国でも花護りが生まれたのだ。
　
　
「！」
　
　
ふと、オランジェ・クライン・オスマントゥス王女の青い目と合う。
彼女は余裕気にひらひらとこちらに手を振って挨拶するとふと立ち上がった。
　
　
「オランジェ・クライン・オスマントゥス王女？
いかがされましたか？」
　
　
オランジェ・クライン・オスマントゥス王女がすたすたと堂々とこちらに歩いてくる。
そして私、レディノーラの手を掴むと、「行くよ！」と言って走り出した。
　
　
「えっ⁈えっ⁈」
　
　
私、レディノーラは困惑したまま引っ張られるままに走る。
オランジェ・クライン・オスマントゥス王女のオレンジのドレスと、レディノーラの白いドレスが髪と共に靡く。
後ろからはそれぞれの国の近衛兵と議会議員が大勢追いかけてきたが、ソレに対しオランジェ・クライン・オスマントゥス王女は盛大に笑いながら、門の角を曲がると、「よっ！」と言って私を抱き上げ走り出した。
　
　
「えええええええ⁈」
　
　
私は驚きのあまり叫び出すが、「静かにしな！」とオランジェ・クライン・オスマントゥス王女に言われ、思わず口を手でふさぐ。
こんなこと、同盟強化目的の議会で起きていいのだろうか？
二人の花護りが生まれたということで十二の全ての国の偉い人も来ているというのに。
なんて無鉄砲で自由気ままなのだこの王女は。

彼女は身体能力が高いのか、まだ六歳だというのに議会の高い城壁を一気にジャンプして飛び上がって着地し、そのままストンと下に降りた。