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第一章 誰が為の新嫁娘(シンチャンニャン)

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「光儀、お前には伝えられない、黒紫桂のことは」

「何故ですか?!」

「それより新嫁娘(シンチャンニャン)は···」

「あんな者どうでもよいのです!」

「どうでもよくはない。
彼女は·····、彼女はお前の·····、お前の·····!」



そこで帝は咳き込み、光儀は帝を起こし背をさすった。
今度は帝が光儀の手を握り、真剣な眼差しを向けて言った。



「良いか、光儀。
彼女はこの国の灯火なのだ。
失ったモノを取り戻さねばならない」

「失ったモノ·····?」

「燐燗の、心だ」



何を言っているのだ。
そう光儀は想った。
しかし兄の目は真剣そのものだった。



「故に、お前の婚礼相手として、新嫁娘として呼んだ」

「は·····?
私の·····?」

「思い出すのだ、光儀、黒紫桂に惑わされるな」

「何を」



再び帝が咳き込む。
咳込みながらも、帝は苦しそうに続けた。



「思い出すのだ、彼女のことを、彼女のことを…!」



帝が背を丸め苦しむ。
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