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高校1年目
幻視(1)
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週明けの月曜日、昼休みに美術室で斑目さんと合う約束をしていた。
日曜日に俺からSNSで、不良に絡まれたことについて心配するようなメッセージを送ったことによって、何となくそうなる事はわかっていた。
これは阿部の入れ知恵で、俺からメッセージを送れば、かなり高い確率で返信で何かしらのアクションがある事がわかっていたからだ。
阿部はラーメン屋で名案を俺にわかりやすく説明した。
「単刀直入に言います、特別に許可を貰いましょう。その為には斑目さんに登藤の暴力事件の件を話す必要があります。まぁ、そんなに嫌そうな顔しなくても悪いようにはなりませんよ。」
俺はその言葉に拒否反応が顔に出ていたらしい、過去の汚点を誰かに話すのは悪い影響が出ることは嫌でもすぐに頭を過るのだから、表情が曇るのは当然だ。
阿部は学校内の教員同志の派閥が二分されていて、生徒指導部と生徒会のわかれていると言う話を始めた。
そして、この二つの派閥は管理している部分が別れていて、生徒指導部は風紀や校則違反を取り締まる、例えるなら警察のような事を管理していて、生徒会は部活動の部費や校則改訂等の政治ような事を管理している。
阿部は生徒指導部側の教員には顔が効くが、生徒会側の教員には顔が効かないので、生徒会とつながりがある斑目さんを利用して特別にアルバイトの許可を貰うように提案してきた。
「借りがあるとは言え、たかが不良を追っ払った事では若干押しに弱いので、泣き落としと言うのはどうでしょう?登藤君の暴力事件で借金を抱えていて、それをアルバイトまでして返済しようとするなんて、並みの人なら心を打たれますよ。」
阿部はそう言いながら、旨そうにラーメンを啜っていたのを見て、初めて人の不幸で飯を旨そうに食べる奴を見ることになった。
だが、阿部の考えはアルバイトの特別許可が貰えない場合でも万事うまく言う様に、次の手を考えていたのは驚かされてた。
学校側は家庭の借金を返済すると言う状態の生徒を、すぐには退学処分という訳にはいかないのだ。
それは第三者から見ると、どう見えるかを考えた時に、退学処分などしようものなら、血も涙もない処分に世間からバッシングを受ける恐れがあり、学校の信用が失墜することは避けられない。
なので、保護者含めての注意喚起と停学処分で済むことまで俺に阿部は説明をしていた。
更に言葉をつけて、アルバイト禁止の校則を破ってまでお金を稼いで借金の足しにしようとする行動で、父さんや母さんが学校に呼び出されたとしても、俺を責めるようなことは良心があれば出来る訳がない言う事まで想定していた。
阿部が全て話し終わるころには、俺は話の半分ぐらい信じてしまっていた。
それは阿部の言葉の端々に何か大きな影響力がある人物の影のようなものが見え隠れする感じがあったこと、この提案を蹴った場合はどうなるかと言う不安であった。
提案を受け入れれば悪いようにはしないと言う意思があるが、斑目さんがそんなが私情に流されて上手いこと転がされるのかと言う事が頭で引っ掛かっていた。
そんな思いを抱きながら、俺には阿部の提案を受け入れるしかなく、家に帰ってからSNSでメッセージを送ったら、予想もしない形で昼休みに美術室に呼び出されてしまった。
阿部はそれさえも予測していていた。
「斑目さんはなんだかんだで義理堅い人ですからね。もしかしたら、顔を見てお礼を言いたいなんて言い出すんじゃないですかね。」
俺は何か得体のしれない何かが、身体に纏わりつくような感じがしていて、嫌な予感がしていた。
その日、阿部は気前良く俺にラーメンを奢ってくれたが、阿部の気前良さが逆に違和感で喉に引っ掛かった魚の骨が取れないような思いを感じていた。
そんなことを考えていたら、いつの間にか美術室前についてしまった。
美術室の扉を引くと鍵は開いていたので、中に入ると斑目さんは扉から少し離れた席に座ってスマホを弄っていたらしく、俺が美術室の扉を開けるとこちらにすぐに気づいてスマホをカバンにしまった。
彼女は立ち上がると、こちらに歩いて来るのを見て、俺は美術室の扉を閉めた。
斑目さんは教壇の前で止まるとこちらを不思議そうに見ながら、話しかけてきた。
「なんで入り口に立ってるの?こっちに来なさいよ。」
俺はその言葉に、昼休みに異性と二人っきりの美術室で待ち合わせなんて状況を考えたら、変に意識してしまって緊張していた。
他にも、斑目さんを上手く利用して、アルバイトの許可を特別に貰う方法を手伝わせると言う事もあった。
俺は彼女に言われた通り、2メートルほど離れたところに歩いて立つとさっきまで、こっちを見ていた彼女が自然と視線を逸らしたのだ。
「あの、何て言えばいいかな・・・。この前はありがとう。」
その声は何とか俺に聞こえる程度の大きさで、呟くように言ってきた。
俺はその言葉に、胸が痛かったのはこれから彼女を利用して、アルバイトの許可を貰うと言う目標を果たすことに罪悪感を感じていた。
「いや、そんな、それより斑目さんにケガが無くて良かった。」
その後、数秒だが何とも言えない静寂に、俺はこれからどう話を切り出せば良いのか必死に考えていた。
このままさっさと、逃げるように美術室から逃げたくなるが、この機会を逃したら次がいつになるか見えないかったこともあり、どうすれば下心のような思惑を悟られない様に、自然な会話で話を切り出すのか考えていた。
「登藤はどうして土曜日に〇〇〇駅の近くにいたの?」
その言葉はまるで、俺が何か知っていたような聞き方に俺の身体は強張った。
変に間が空くと要らぬ疑いを持たれるんじゃないかと思い、無難にどう言い訳すればいいのか考える時間も稼ぐ為に言葉を選ぶ必要があった。
「いや、特に何も無くて、偶然近くを通っただけなんだ。.」
そう答えると、またしても気まずい雰囲気に俺はこの場からすぐにでも逃げたくなっていた。
斑目さんは、俺が何か知っている意味で問いかけた訳ではなく、何と言うかお礼を言ってすぐに美術室を出ていくなんて言う事はあまりにも冷たいと言うか感じが悪いと言う事を気にしていたように思えた。
そんな中、俺の頭にはアルバイトの話をする会話のストーリーが出来上がり、半ば半信半疑で話を喋り始めていた。
「いや、わかったよ、話すよ、校則違反のアルバイトをしていることをわかっていて、カマをかけてきているんだろ。もう煮るなり、焼くなり、好きにしてくれ。」
無理矢理に勘違いした馬鹿を演じることになったが、斑目さんは何を言っていることが理解できていない状況に少し間を置いて「えっ?」と無意識に言葉が出ていた。
それを聞き、自分が思っていた事と話がかみ合っていない事に俺は「えっ!」と驚いたふりをした。
下手な三文芝居でありがちなで現実に絶対ない不自然な会話に、彼女は気がついていないようだった。
「へぇ、まぁ、別にその事について責める気はないわ。それより、アルバイトをしている理由は?」
斑目さんの興味が、俺がバイトをしている理由に逸れた事に心の中で小さくガッツポーズを取っていた。
斑目さんにお礼を言われたよりも、喜んでいたことに後で変に罪悪感を感じることもなかった。
「いや、別に対した理由はないよ、それに斑目さんには関係ないだろう。」
言葉の言い回しに隠し事があるような感じ出して、俺は彼女が食いついて来るようにしていた。
「別に言いたくないなら、話さなくて良いけど、話して解決する方法が見えることもあると思うけどね。」
俺はこの時から人を騙して利用する事が出来る人間になっていた。
「本当に斑目さんを騙すようなことをしてしまった事だが、本当に良かったのだろうか、ずっとなんか引っ掛かる感じがするんだ。」
阿部はそれを聞きながらズルズルと麺を啜っていたが、一旦、箸をおいて何か考え始めていた。
その証拠に唇を舌でベロベロと世話しなく動かして舐めていたが、水を一口に運んだあと阿部は持論を展開していた。
「騙すなんて大袈裟ですね。例えば、このラーメンには作るのに原価で一杯が三百円だとして、店が提供する時に七百円だとします。では、ラーメン屋で注文する時、客は店側の四百円の利益についてなんて考えませんよね。もっと言えば、七百円分の価値がある旨いラーメンだと思って注文をします。それを提供した側のラーメン屋が『三百円の価値しかないラーメンを出してしまって申し訳ございませんでした』と言ったら、登藤はどうします?」
阿部が言いたいことは、わざわざ知らなくても良いことを知らせることでラーメンを提供した店側もそれを食べた客側も嫌な思いをするだけであって、俺の騙している.と言う罪悪感で気分が悪いから言う事で、斑目さんにそれを告白しようものならお互い気分が悪くなる。
なら、俺が一人で抱えてしまえば、少なくとも斑目さんに気分を害することがない、それを良しとするべきだ。
阿部のその言葉に共感は出来ていたが、違和感を感じていた。
例え話が嚙み合っていないような、すんなりと頭の中で情報を処理が出来ていないようなそんな感じだったが、上手いことを言って欲しいと言う事でもなかった。
俺は阿部の言葉で納得することを無意識に拒否していたのかもしれない。
「登藤が理想に近づく為に手に入れたものを、そのままドブに捨てることもありません。全てが終わった後でも良いんじゃないでしょうかね。まぁ、喉元過ぎたらなんとやらなんて。」
俺は何となく納得してはいたが、その一方で違和感を感じながらも目の前の麺が伸びてしまったラーメンと一緒に、この違和感を全て腹の奥に流し事にしてしまった。
喉元に残っている違和感は飲み込んでしまったら、俺にどんな影響が出てくるのか想像出来ていなかった。
アルバイト許可で忙しかったこともあって、俺はなかなか山城さんに会いに行くことが出来ていなかったが、一週間ぶりに昼休みに図書室に足を運んでいた。
その間、連絡先はお互いに交換しているのにあまり連絡をしていないのは、俺と山城さんは基本的に会って話をする事に趣があってお互い気に入っている節がある事に、最近だが気がついた。
一様、俺は昼休み中に図書室に顔を出せないときは連絡しているが、その中で日常会話をしないで必ずあってから話をする様に、俺も山城さんも無意識にしていた。
久しぶりにあった彼女は、これまで話したくて溜まっていた話題を全部吐き出すように話をしていた。
「今、ネット配信で銀河大戦のスピンオフドラマがやっていて、是非、登藤君にも見て欲しいです!」
山城さんは映画館での一件以降、銀河大戦の狂信者的ファンであることを俺の前では隠さなくなっていた。
それどころか、俺に熱心な布教活動をして来て、ファンブックや制作ドキュメンタリー映像のDVDを持ってきて、見て欲しいと御願いされて断れずに.それらを貸してもらうことが多くなっていた。
好きな人の趣味について理解しなくてはならないのはわかっていたが、まるで満腹なところに次々と半ば強引に食べ物を口に突っ込まれるような苦しい状況になるとは予想が出来ていなかった。
とは言え、それを断る事で関係に亀裂が入る恐れがあると思うのと、彼女との距離を縮める為にも喜んで受け入れるようにする他に選択肢がなかった。
それは、俺が彼女に都合が良く趣味に理解あるふりをして騙しているのではないか、と思ってしまっていた。
しかし、山城さんが目の前でスピンオフドラマのワンシーンを、手振りを真似ながら目の輝かせて話をしているのを見ているとそれでも良いと思えてしまう。
それは阿部の入れ知恵で、彼女を騙して二人きりでデートをするように仕組んだ事について肯定する事になってしまっている。
もし山城さんが色々と知ってしまった時、彼女は俺と今まで通り接してくれるだろうか。
この問いの俺の答えは悪いものしか浮かんでこなかった。
そして阿部の言葉を俺は思い出していた。
「登藤に聞きたいことがあります。」
いつものラーメンを啜りながら阿部は唐突に話しかけてきたが、その声色から何かいつもとは軽い感じではなく、緊張感がある強い言い回しに何となく箸が止まっていた。
「山城さんに、いつ気持ちを伝えるんですか。もうそろそろ何か行動を移した方が良いと思うんですがね。」
その言葉にどう答えるべきか思考が頭の中で高速回転させていた、阿部の事だからまた何かさせる気なのであろうとか、それに対して俺は何を報酬として提示すべきなのか、山城さんとの関係をどう進めるべきなんか、借金と家族の関係を修復についてはどうするのか、選択肢が増えたことで考えることが多くなった事により、何から手を付けるべきなのか整理が必要なのはわかっていた。
まるで宇宙に放り投げられたような状態から、暗闇の中で豆粒みたいな光る星からどれが最適解で、最短にたどり着けるのか考えているような気分だった。
俺が黙って考えている数分間、阿部は黙ってラーメンを啜りながら俺が話すのを待っていた。
「借金を何とかしたい、山城さんに俺が暴力事件を起こしたことはいつかはバレてしまうのは間違いない。だけど、全て解決していれば山城さんも理解してくれると思うんだ。それまでは気持ちを伝えるのは辞めようと思っている。」
阿部はその言葉を聞いてあの不気味な笑い方をしながら話を始めた。
「それはそれは、タイミングが良いですね。登藤に良い話があるんですよ。」
俺はこの気前の良い悪魔の言葉に不信、不安等の感情は感じることが無くなっていて二つ返事で提案を受け入れていた。
この頃、校内は放課後と言えば体育祭の練習や準備で賑わっている裏で、俺と阿部は機械棟と言われる機械科の実習室や実験室がある建物の空き教室でガラの悪そうな数人の男子生徒と賭博をしていた。
もちろん、これは阿部が主催で開いている秘密裏に開かれている集まりであって、そこでも阿部はいつもの調子で振舞っていた。
ここでは、特殊ルールのポーカーで勝負することになっていて、通常ルールとは少し異なっている。
特殊ルールは2点、1点目はカードを引き直す回数は基本掛け金を何倍掛けたのかで引き直す回数を増やすことが可能、まずカードを配り終わった後に基本掛け金をかけるタイミングで自己申告した引き直したい回数倍の掛け金を掛ければ、引き直し回数を増やすこと出来るが変更は次の勝負まで出来ない。
2点目は1回の試合ごとに親が順番にまわってきて、勝負で親が勝った場合は親以外の参加者全員が追加で基本掛け金を払うが、逆に親が負けた場合は勝った参加者に追加で基本掛け金を払わなくてはならない。
この基本掛け金が五百円と絶妙に高そうで安い金額設定に小遣い稼ぎに参加者が大勢いるのだ。
俺が何故にこんなところにいるのかと言うと阿部のイカサマを手伝うことになっていた。
それはとても簡単な内容で俺が阿部の隣に座り、必ず俺の次に阿部がカードを引くようにすること、阿部が親の時にペアカードとスリーカードがまわってきた時に必ずそのを捨てる事であった。
親が捨てたカードを山札に戻して切りなおして配りなおす事になっている為、それを利用して俺が捨てたカードを阿部が手元に持ってくる事で完成するのだ。
捨てたカードで手持ちのカードがどんな役を狙っているのかわかってしまわない様にする為、裏向きで捨てられることもこのイカサマに適しているところを考えると、阿部は前々からこれをやっていた事もすぐに察しがついた。
阿部はこの賭博で俺がいくら負けても費用を全て払うと言い、阿部はイカサマでお金を稼ぐことが全ての狙いではないようだったが、それがわかるのは意外と早かった。
もちろん、阿部の大勝して何事も無く教室を出た後、家に帰らず学校の裏手が良く見える廊下に足を運んでいた。
俺も後をついて行くことになったのだが、この後のことは阿部に聞いていなかったので何をする気なのか尋ねた。
「登藤、お金に困った人はどうしますか?手っ取り早くお金を手に入る方法があるなら何をしますか?」
俺は阿部が何を言い出したのか良くわかっていなかったが、その答えがすぐにわかる事になった。
「おっと、来ましたね。これはチャンスです。」
阿部はカバンからスマホを取り出すと窓の外の様子を撮影を始めた。
その先には数人の集まりが見えたがその光景ですぐに何が起こっているのかをすぐに理解出来たが、それがカツアゲだったして俺はどうすることも出来ないことも何となくわかっていた。
歯に衣着せぬ言葉で言えば、阿部がやろうとしていることは恐喝の類であることだとわかっていたが、止めさせるべきだと思わなかった。
「ああ言う屑は少し痛い目にあって、誰かが得するぐらいが釣り合いが取れると言うところですね。」
阿部が言う事がわかるが、その屑と同類と思われることをしている阿部自身にそのままいえる事でもあり、その片棒を担いだ俺も同類だろう。
阿部は賭博で懐が寒くなればこういう行動をする輩がいることを認知していて、その証拠を抑える為に賭博にイカサマまでして金を巻き上げ、自発的にカツアゲを起こるように誘導していた。
「たかがそんな写真で、ああ言う連中が交渉出来るとは思わないがどうするんだ。」
目の前に起こっていることに何故こんなに冷静に考えて問題点を問う事が出来たのだろうか、俺自身にどんな心境があったのか、自分の事なのに不思議でしょうがなかった。
阿部はその言葉に、あの不気味な笑みを浮かべながらその問いに答えた。
「私は常々思うのですが、他人だと意外と人は残酷になれるのですよ。これは学校と言う空間でこういう問題を解決すると得する人達に買い取って貰いましょう。」
夕暮れの沈む廊下に二つの影が闇に溶け、形が見えなくなっていくのを見た。
俺はこの闇から逃げられないと理解して受け入れることになったのは、闇の向こうに見えた光に似た幻視に心を奪われてしまったからだ。
日曜日に俺からSNSで、不良に絡まれたことについて心配するようなメッセージを送ったことによって、何となくそうなる事はわかっていた。
これは阿部の入れ知恵で、俺からメッセージを送れば、かなり高い確率で返信で何かしらのアクションがある事がわかっていたからだ。
阿部はラーメン屋で名案を俺にわかりやすく説明した。
「単刀直入に言います、特別に許可を貰いましょう。その為には斑目さんに登藤の暴力事件の件を話す必要があります。まぁ、そんなに嫌そうな顔しなくても悪いようにはなりませんよ。」
俺はその言葉に拒否反応が顔に出ていたらしい、過去の汚点を誰かに話すのは悪い影響が出ることは嫌でもすぐに頭を過るのだから、表情が曇るのは当然だ。
阿部は学校内の教員同志の派閥が二分されていて、生徒指導部と生徒会のわかれていると言う話を始めた。
そして、この二つの派閥は管理している部分が別れていて、生徒指導部は風紀や校則違反を取り締まる、例えるなら警察のような事を管理していて、生徒会は部活動の部費や校則改訂等の政治ような事を管理している。
阿部は生徒指導部側の教員には顔が効くが、生徒会側の教員には顔が効かないので、生徒会とつながりがある斑目さんを利用して特別にアルバイトの許可を貰うように提案してきた。
「借りがあるとは言え、たかが不良を追っ払った事では若干押しに弱いので、泣き落としと言うのはどうでしょう?登藤君の暴力事件で借金を抱えていて、それをアルバイトまでして返済しようとするなんて、並みの人なら心を打たれますよ。」
阿部はそう言いながら、旨そうにラーメンを啜っていたのを見て、初めて人の不幸で飯を旨そうに食べる奴を見ることになった。
だが、阿部の考えはアルバイトの特別許可が貰えない場合でも万事うまく言う様に、次の手を考えていたのは驚かされてた。
学校側は家庭の借金を返済すると言う状態の生徒を、すぐには退学処分という訳にはいかないのだ。
それは第三者から見ると、どう見えるかを考えた時に、退学処分などしようものなら、血も涙もない処分に世間からバッシングを受ける恐れがあり、学校の信用が失墜することは避けられない。
なので、保護者含めての注意喚起と停学処分で済むことまで俺に阿部は説明をしていた。
更に言葉をつけて、アルバイト禁止の校則を破ってまでお金を稼いで借金の足しにしようとする行動で、父さんや母さんが学校に呼び出されたとしても、俺を責めるようなことは良心があれば出来る訳がない言う事まで想定していた。
阿部が全て話し終わるころには、俺は話の半分ぐらい信じてしまっていた。
それは阿部の言葉の端々に何か大きな影響力がある人物の影のようなものが見え隠れする感じがあったこと、この提案を蹴った場合はどうなるかと言う不安であった。
提案を受け入れれば悪いようにはしないと言う意思があるが、斑目さんがそんなが私情に流されて上手いこと転がされるのかと言う事が頭で引っ掛かっていた。
そんな思いを抱きながら、俺には阿部の提案を受け入れるしかなく、家に帰ってからSNSでメッセージを送ったら、予想もしない形で昼休みに美術室に呼び出されてしまった。
阿部はそれさえも予測していていた。
「斑目さんはなんだかんだで義理堅い人ですからね。もしかしたら、顔を見てお礼を言いたいなんて言い出すんじゃないですかね。」
俺は何か得体のしれない何かが、身体に纏わりつくような感じがしていて、嫌な予感がしていた。
その日、阿部は気前良く俺にラーメンを奢ってくれたが、阿部の気前良さが逆に違和感で喉に引っ掛かった魚の骨が取れないような思いを感じていた。
そんなことを考えていたら、いつの間にか美術室前についてしまった。
美術室の扉を引くと鍵は開いていたので、中に入ると斑目さんは扉から少し離れた席に座ってスマホを弄っていたらしく、俺が美術室の扉を開けるとこちらにすぐに気づいてスマホをカバンにしまった。
彼女は立ち上がると、こちらに歩いて来るのを見て、俺は美術室の扉を閉めた。
斑目さんは教壇の前で止まるとこちらを不思議そうに見ながら、話しかけてきた。
「なんで入り口に立ってるの?こっちに来なさいよ。」
俺はその言葉に、昼休みに異性と二人っきりの美術室で待ち合わせなんて状況を考えたら、変に意識してしまって緊張していた。
他にも、斑目さんを上手く利用して、アルバイトの許可を特別に貰う方法を手伝わせると言う事もあった。
俺は彼女に言われた通り、2メートルほど離れたところに歩いて立つとさっきまで、こっちを見ていた彼女が自然と視線を逸らしたのだ。
「あの、何て言えばいいかな・・・。この前はありがとう。」
その声は何とか俺に聞こえる程度の大きさで、呟くように言ってきた。
俺はその言葉に、胸が痛かったのはこれから彼女を利用して、アルバイトの許可を貰うと言う目標を果たすことに罪悪感を感じていた。
「いや、そんな、それより斑目さんにケガが無くて良かった。」
その後、数秒だが何とも言えない静寂に、俺はこれからどう話を切り出せば良いのか必死に考えていた。
このままさっさと、逃げるように美術室から逃げたくなるが、この機会を逃したら次がいつになるか見えないかったこともあり、どうすれば下心のような思惑を悟られない様に、自然な会話で話を切り出すのか考えていた。
「登藤はどうして土曜日に〇〇〇駅の近くにいたの?」
その言葉はまるで、俺が何か知っていたような聞き方に俺の身体は強張った。
変に間が空くと要らぬ疑いを持たれるんじゃないかと思い、無難にどう言い訳すればいいのか考える時間も稼ぐ為に言葉を選ぶ必要があった。
「いや、特に何も無くて、偶然近くを通っただけなんだ。.」
そう答えると、またしても気まずい雰囲気に俺はこの場からすぐにでも逃げたくなっていた。
斑目さんは、俺が何か知っている意味で問いかけた訳ではなく、何と言うかお礼を言ってすぐに美術室を出ていくなんて言う事はあまりにも冷たいと言うか感じが悪いと言う事を気にしていたように思えた。
そんな中、俺の頭にはアルバイトの話をする会話のストーリーが出来上がり、半ば半信半疑で話を喋り始めていた。
「いや、わかったよ、話すよ、校則違反のアルバイトをしていることをわかっていて、カマをかけてきているんだろ。もう煮るなり、焼くなり、好きにしてくれ。」
無理矢理に勘違いした馬鹿を演じることになったが、斑目さんは何を言っていることが理解できていない状況に少し間を置いて「えっ?」と無意識に言葉が出ていた。
それを聞き、自分が思っていた事と話がかみ合っていない事に俺は「えっ!」と驚いたふりをした。
下手な三文芝居でありがちなで現実に絶対ない不自然な会話に、彼女は気がついていないようだった。
「へぇ、まぁ、別にその事について責める気はないわ。それより、アルバイトをしている理由は?」
斑目さんの興味が、俺がバイトをしている理由に逸れた事に心の中で小さくガッツポーズを取っていた。
斑目さんにお礼を言われたよりも、喜んでいたことに後で変に罪悪感を感じることもなかった。
「いや、別に対した理由はないよ、それに斑目さんには関係ないだろう。」
言葉の言い回しに隠し事があるような感じ出して、俺は彼女が食いついて来るようにしていた。
「別に言いたくないなら、話さなくて良いけど、話して解決する方法が見えることもあると思うけどね。」
俺はこの時から人を騙して利用する事が出来る人間になっていた。
「本当に斑目さんを騙すようなことをしてしまった事だが、本当に良かったのだろうか、ずっとなんか引っ掛かる感じがするんだ。」
阿部はそれを聞きながらズルズルと麺を啜っていたが、一旦、箸をおいて何か考え始めていた。
その証拠に唇を舌でベロベロと世話しなく動かして舐めていたが、水を一口に運んだあと阿部は持論を展開していた。
「騙すなんて大袈裟ですね。例えば、このラーメンには作るのに原価で一杯が三百円だとして、店が提供する時に七百円だとします。では、ラーメン屋で注文する時、客は店側の四百円の利益についてなんて考えませんよね。もっと言えば、七百円分の価値がある旨いラーメンだと思って注文をします。それを提供した側のラーメン屋が『三百円の価値しかないラーメンを出してしまって申し訳ございませんでした』と言ったら、登藤はどうします?」
阿部が言いたいことは、わざわざ知らなくても良いことを知らせることでラーメンを提供した店側もそれを食べた客側も嫌な思いをするだけであって、俺の騙している.と言う罪悪感で気分が悪いから言う事で、斑目さんにそれを告白しようものならお互い気分が悪くなる。
なら、俺が一人で抱えてしまえば、少なくとも斑目さんに気分を害することがない、それを良しとするべきだ。
阿部のその言葉に共感は出来ていたが、違和感を感じていた。
例え話が嚙み合っていないような、すんなりと頭の中で情報を処理が出来ていないようなそんな感じだったが、上手いことを言って欲しいと言う事でもなかった。
俺は阿部の言葉で納得することを無意識に拒否していたのかもしれない。
「登藤が理想に近づく為に手に入れたものを、そのままドブに捨てることもありません。全てが終わった後でも良いんじゃないでしょうかね。まぁ、喉元過ぎたらなんとやらなんて。」
俺は何となく納得してはいたが、その一方で違和感を感じながらも目の前の麺が伸びてしまったラーメンと一緒に、この違和感を全て腹の奥に流し事にしてしまった。
喉元に残っている違和感は飲み込んでしまったら、俺にどんな影響が出てくるのか想像出来ていなかった。
アルバイト許可で忙しかったこともあって、俺はなかなか山城さんに会いに行くことが出来ていなかったが、一週間ぶりに昼休みに図書室に足を運んでいた。
その間、連絡先はお互いに交換しているのにあまり連絡をしていないのは、俺と山城さんは基本的に会って話をする事に趣があってお互い気に入っている節がある事に、最近だが気がついた。
一様、俺は昼休み中に図書室に顔を出せないときは連絡しているが、その中で日常会話をしないで必ずあってから話をする様に、俺も山城さんも無意識にしていた。
久しぶりにあった彼女は、これまで話したくて溜まっていた話題を全部吐き出すように話をしていた。
「今、ネット配信で銀河大戦のスピンオフドラマがやっていて、是非、登藤君にも見て欲しいです!」
山城さんは映画館での一件以降、銀河大戦の狂信者的ファンであることを俺の前では隠さなくなっていた。
それどころか、俺に熱心な布教活動をして来て、ファンブックや制作ドキュメンタリー映像のDVDを持ってきて、見て欲しいと御願いされて断れずに.それらを貸してもらうことが多くなっていた。
好きな人の趣味について理解しなくてはならないのはわかっていたが、まるで満腹なところに次々と半ば強引に食べ物を口に突っ込まれるような苦しい状況になるとは予想が出来ていなかった。
とは言え、それを断る事で関係に亀裂が入る恐れがあると思うのと、彼女との距離を縮める為にも喜んで受け入れるようにする他に選択肢がなかった。
それは、俺が彼女に都合が良く趣味に理解あるふりをして騙しているのではないか、と思ってしまっていた。
しかし、山城さんが目の前でスピンオフドラマのワンシーンを、手振りを真似ながら目の輝かせて話をしているのを見ているとそれでも良いと思えてしまう。
それは阿部の入れ知恵で、彼女を騙して二人きりでデートをするように仕組んだ事について肯定する事になってしまっている。
もし山城さんが色々と知ってしまった時、彼女は俺と今まで通り接してくれるだろうか。
この問いの俺の答えは悪いものしか浮かんでこなかった。
そして阿部の言葉を俺は思い出していた。
「登藤に聞きたいことがあります。」
いつものラーメンを啜りながら阿部は唐突に話しかけてきたが、その声色から何かいつもとは軽い感じではなく、緊張感がある強い言い回しに何となく箸が止まっていた。
「山城さんに、いつ気持ちを伝えるんですか。もうそろそろ何か行動を移した方が良いと思うんですがね。」
その言葉にどう答えるべきか思考が頭の中で高速回転させていた、阿部の事だからまた何かさせる気なのであろうとか、それに対して俺は何を報酬として提示すべきなのか、山城さんとの関係をどう進めるべきなんか、借金と家族の関係を修復についてはどうするのか、選択肢が増えたことで考えることが多くなった事により、何から手を付けるべきなのか整理が必要なのはわかっていた。
まるで宇宙に放り投げられたような状態から、暗闇の中で豆粒みたいな光る星からどれが最適解で、最短にたどり着けるのか考えているような気分だった。
俺が黙って考えている数分間、阿部は黙ってラーメンを啜りながら俺が話すのを待っていた。
「借金を何とかしたい、山城さんに俺が暴力事件を起こしたことはいつかはバレてしまうのは間違いない。だけど、全て解決していれば山城さんも理解してくれると思うんだ。それまでは気持ちを伝えるのは辞めようと思っている。」
阿部はその言葉を聞いてあの不気味な笑い方をしながら話を始めた。
「それはそれは、タイミングが良いですね。登藤に良い話があるんですよ。」
俺はこの気前の良い悪魔の言葉に不信、不安等の感情は感じることが無くなっていて二つ返事で提案を受け入れていた。
この頃、校内は放課後と言えば体育祭の練習や準備で賑わっている裏で、俺と阿部は機械棟と言われる機械科の実習室や実験室がある建物の空き教室でガラの悪そうな数人の男子生徒と賭博をしていた。
もちろん、これは阿部が主催で開いている秘密裏に開かれている集まりであって、そこでも阿部はいつもの調子で振舞っていた。
ここでは、特殊ルールのポーカーで勝負することになっていて、通常ルールとは少し異なっている。
特殊ルールは2点、1点目はカードを引き直す回数は基本掛け金を何倍掛けたのかで引き直す回数を増やすことが可能、まずカードを配り終わった後に基本掛け金をかけるタイミングで自己申告した引き直したい回数倍の掛け金を掛ければ、引き直し回数を増やすこと出来るが変更は次の勝負まで出来ない。
2点目は1回の試合ごとに親が順番にまわってきて、勝負で親が勝った場合は親以外の参加者全員が追加で基本掛け金を払うが、逆に親が負けた場合は勝った参加者に追加で基本掛け金を払わなくてはならない。
この基本掛け金が五百円と絶妙に高そうで安い金額設定に小遣い稼ぎに参加者が大勢いるのだ。
俺が何故にこんなところにいるのかと言うと阿部のイカサマを手伝うことになっていた。
それはとても簡単な内容で俺が阿部の隣に座り、必ず俺の次に阿部がカードを引くようにすること、阿部が親の時にペアカードとスリーカードがまわってきた時に必ずそのを捨てる事であった。
親が捨てたカードを山札に戻して切りなおして配りなおす事になっている為、それを利用して俺が捨てたカードを阿部が手元に持ってくる事で完成するのだ。
捨てたカードで手持ちのカードがどんな役を狙っているのかわかってしまわない様にする為、裏向きで捨てられることもこのイカサマに適しているところを考えると、阿部は前々からこれをやっていた事もすぐに察しがついた。
阿部はこの賭博で俺がいくら負けても費用を全て払うと言い、阿部はイカサマでお金を稼ぐことが全ての狙いではないようだったが、それがわかるのは意外と早かった。
もちろん、阿部の大勝して何事も無く教室を出た後、家に帰らず学校の裏手が良く見える廊下に足を運んでいた。
俺も後をついて行くことになったのだが、この後のことは阿部に聞いていなかったので何をする気なのか尋ねた。
「登藤、お金に困った人はどうしますか?手っ取り早くお金を手に入る方法があるなら何をしますか?」
俺は阿部が何を言い出したのか良くわかっていなかったが、その答えがすぐにわかる事になった。
「おっと、来ましたね。これはチャンスです。」
阿部はカバンからスマホを取り出すと窓の外の様子を撮影を始めた。
その先には数人の集まりが見えたがその光景ですぐに何が起こっているのかをすぐに理解出来たが、それがカツアゲだったして俺はどうすることも出来ないことも何となくわかっていた。
歯に衣着せぬ言葉で言えば、阿部がやろうとしていることは恐喝の類であることだとわかっていたが、止めさせるべきだと思わなかった。
「ああ言う屑は少し痛い目にあって、誰かが得するぐらいが釣り合いが取れると言うところですね。」
阿部が言う事がわかるが、その屑と同類と思われることをしている阿部自身にそのままいえる事でもあり、その片棒を担いだ俺も同類だろう。
阿部は賭博で懐が寒くなればこういう行動をする輩がいることを認知していて、その証拠を抑える為に賭博にイカサマまでして金を巻き上げ、自発的にカツアゲを起こるように誘導していた。
「たかがそんな写真で、ああ言う連中が交渉出来るとは思わないがどうするんだ。」
目の前に起こっていることに何故こんなに冷静に考えて問題点を問う事が出来たのだろうか、俺自身にどんな心境があったのか、自分の事なのに不思議でしょうがなかった。
阿部はその言葉に、あの不気味な笑みを浮かべながらその問いに答えた。
「私は常々思うのですが、他人だと意外と人は残酷になれるのですよ。これは学校と言う空間でこういう問題を解決すると得する人達に買い取って貰いましょう。」
夕暮れの沈む廊下に二つの影が闇に溶け、形が見えなくなっていくのを見た。
俺はこの闇から逃げられないと理解して受け入れることになったのは、闇の向こうに見えた光に似た幻視に心を奪われてしまったからだ。
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