上 下
26 / 36

部屋の隅の人形

しおりを挟む
夜中に目が覚めた。時間が分からずスマホを確認すると夜中の3時、変な時間に起きてしまった。
二度寝をしようと体勢を直した時、部屋の隅で何かが動いた気がした。
私は暗闇の中で、部屋の隅をじっと見つめた。
すると、そこには小さな人影が見えた。それはまるで人形のような姿をしており、黒い髪と白いドレスを着ている。子供よりもさらに小さい。30センチもないだろうサイズ感だ。
それは私に気づいていないようで、何かをつぶやきながら、部屋の中をとたとた歩き回っていた。

私は恐怖に震えながら、なぜあれが部屋にいるのかを考えた。私は今この部屋に一人で住んでおり、人形など持っていない。黒い髪の洋風のドレスを着た人形を見た覚えもない。それに、その人影は生きているように動いており、呼吸までしているかのようだった。それは一体何なのだろうか?幽霊なのだろうか?それとも・・・

私は思わず声を出した。
「だれ?」
すると、その人影は私の声に驚いて、こちらを向いた。その顔を見た瞬間、私は血の気が引いた。その顔はまるで焼け焦げたように黒くなっており、目や鼻や口は無くなっていた。

その人影は私を見ると、恐ろしい声で叫んだ。
「お母さん!お母さん!助けて!」
それは私の娘の声だった。

私は悲しみと罪悪感に打ちひしがれた。私の娘は一年前に火事で亡くなってしまった。
私はその時に家にいなくて、助けることができなかった。出荷の原因は放火だろうと消防士の人が言っていたが、関係ない。私は娘を守ることが出来なかったのだがら。
私は自分を責めて、娘の死を受け入れられなかった。私は娘の写真や思い出の品を部屋に飾って、彼女が生きていると信じていた。

しかし、それが彼女を苦しめていたのだろうか?彼女は成仏できずに、この部屋に留まっていたのだろうか?彼女は私に恨みを持っているのだろうか?

私は涙を流しながら、娘に話しかけた。
「ごめんね。ごめんね。お母さんが悪かったよ。許して」と私は言った。
しかし、娘は私の言葉に耳を貸さなかった。彼女は泣き叫びながら、私に近づいてきた。
「お母さん!お母さん!助けて!」
と彼女は言った。

私は娘を抱きしめようとしたが、彼女は私の手を振り払った。
「触らないで!触らないで!熱い!熱い!」
と彼女は叫んだ。
そして、彼女は暴れるようにして私の手に爪を立ててきた。

私は痛みに耐え兼ねて、娘を押しのけてしまった。すると、娘は床に倒れて、動かなくなった。
私は娘の顔を見たが、そこにはもう娘の面影はなかった。それはただの焼け焦げた人形だった。
そうだ、これは、あの子が大切にしていた人形じゃないか。元々金色だった髪は、焦げて真っ黒になっていた。

私は気が狂いそうになった。私は夢を見ているのだろうか?それとも現実なのだろうか?
私は自分の手を見たが、そこには血と傷があった。
私は悲鳴を上げたが、誰も助けてくれなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

意味がわかるとえろい話

山本みんみ
ホラー
意味が分かれば下ネタに感じるかもしれない話です(意味深)

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

【一話完結】3分で読める背筋の凍る怖い話

冬一こもる
ホラー
本当に怖いのはありそうな恐怖。日常に潜むあり得る恐怖。 読者の日常に不安の種を植え付けます。 きっといつか不安の花は開く。

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

意味がわかると下ネタにしかならない話

黒猫
ホラー
意味がわかると怖い話に影響されて作成した作品意味がわかると下ネタにしかならない話(ちなみに作者ががんばって考えているの更新遅れるっす)

庭木を切った隣人が刑事訴訟を恐れて小学生の娘を謝罪に来させたアホな実話

フルーツパフェ
大衆娯楽
祝!! 慰謝料30万円獲得記念の知人の体験談! 隣人宅の植木を許可なく切ることは紛れもない犯罪です。 30万円以下の罰金・過料、もしくは3年以下の懲役に処される可能性があります。 そうとは知らずに短気を起こして家の庭木を切った隣人(40代職業不詳・男)。 刑事訴訟になることを恐れた彼が取った行動は、まだ小学生の娘達を謝りに行かせることだった!? 子供ならば許してくれるとでも思ったのか。 「ごめんなさい、お尻ぺんぺんで許してくれますか?」 大人達の事情も知らず、健気に罪滅ぼしをしようとする少女を、あなたは許せるだろうか。 余りに情けない親子の末路を描く実話。 ※一部、演出を含んでいます。

処理中です...