『ショート怪談』訪れるもの

招かれざる客

　ある日、私は友人の家に泊まりに行きました。友人の家は山の中にあり、周りには何もありませんでした。
　こういうのがいいんだよと友人は笑っていましたが、私には不便さのほうが際立っていて共感はできません。

　夜になって、友人と一緒にテレビを見ていました。すると、突然電気が消えました。
「雪が多いとたまにあるんだ。ちょっとまってて」
　友人は懐中電灯を持って、ブレーカーを確認しに行きました。私は暗闇の中、家の中で待っていました。
　唯一の救いは友人がエアコンではなく薪ストーブを家に設置していたことでしょうか。これのお陰で凍えることはありませんでした。

　しばらくして、友人が戻ってきました。しかし、彼の顔は真っ白で、恐怖に震えていました。
　私は彼に何があったのか尋ねました。彼は言いました。
「ブレーカーは大丈夫だった。でも、ドアが開いていたんだ。鍵掛け忘れてたんだと思うけど、外に出てみたら、そこには誰もいなかった。ただ、足跡があったんだ。雪が降っていたから、はっきり見えたんだ。でも、その足跡は人間のものじゃなくてさ。犬か猫か、何かの動物のものだ。それだけじゃない。その足跡は玄関から向かっていたんだよ。つまり、何かが家の中に入ってきたんだ」

　私は信じられませんでした。友人は嘘をついているのではないかと思いました。しかし、彼の顔を見ると、本当に怖がっていることがわかりました。
　私は彼にどうしようと尋ねました。彼は言いました。
「とりあえず、部屋に戻ろう。ドアに鍵をかけて、窓も閉めよう。そして、警察に電話しよう」

　私たちは部屋に戻りました。ドアに鍵をかけて、窓も閉めました。そして、携帯電話で警察に電話しようとしました。しかし、電波が悪くて、つながりませんでした。私たちはどうすればいいのかわかりませんでした。

　そのとき、部屋の中から奇妙な音が聞こえました。ガサガサというような音でした。私たちは音の方向を見ました。そこにはクローゼットがありました。クローゼットから音が聞こえてきたのです。

　私たちは恐怖で凍りつきました。クローゼットの中に何かがいるということです。そして、その何かは動物の足跡を残して家の中に入ってきたものと同じだということです。

　クローゼットから音が止まりませんでした。ガサガサという音がどんどん大きくなりました。そして、クローゼットのドアがゆっくりと開き始めました。

　私たちは目を閉じて叫びました。

　これは実際に起こった事件にインスピレーションを得ています