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営業のおっさん
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俺が中学生の時の話だけどさ、夏休みで家に俺以外いない昼間のことなんだけど。
知らないスーツのおっさんが来たんだ。
「こんにちは、ご主人はいらっしゃいますか?」
モニター越しだけどさすがに緊張したよね。俺は一応、返事をした。
「父はいません。用件は何ですか?」
そのおっさんは微笑んで
「大変失礼しました。私は○○という会社の営業担当でして、お宅のご主人にお話があるのですが」
と言ったんだ。
うちには割と父親のつながりで営業の人が来るからまたかぁって感じだった。
書類は貰っとけって言われてたから一応商品の詳細だけ貰うために玄関開けたんだよ。
でもさ、そのおっさんと直で顔合わせてからなんか変な感じがしたんだよね。何かを隠しているような目つきで、なんというか企みを抱えているような感じがして。すげぇ不気味だったんだよ。
そしたらおっさんは、玄関先で俺に向かって話し始めたんだ。最初は普通の営業トークだったんだけど、どんどん話がおかしくなっていくの。
「あなたのご主人は、最近○○という商品を購入されましたよね?それはとても特殊で、非常に価値のあるものなんです」
って言ってきたんだ。
俺はもちろん知らないし、父親が変なもの買ってた記憶は無い。そのおっさんが言うには、その商品を手に入れると特別な力が身につくらしいんだ。
「この商品を手に入れた人は、自分の願いを叶えることができるんですよ。でも、その力は一度しか使うことができないんです」
って、言われた瞬間、ドラゴンボールかってツッコミたくなったんだけど。無理だったわ。
なんか、この話の怖さが伝わるかな?
すげぇ真面目な顔した自分より20以上上であろうおっさんが訳わかんないことを丁寧に話してくるんだよ。
「この商品を手に入れた人は、一度しか使えない代わりに、その力を使えば願い事を叶えることができるんですよ」
って言われた時、俺はなんか背筋がゾクゾクってなったんだよね。ああ、この人ほんとに頭おかしいのかもしれないってさ。
「あなたも願い事はありませんか?お金や恋愛、学校の成績、何でもいいんですよ。一度きりのチャンスなんですから」
とおっさんが笑顔を張りつけた顔で言ってきたとき、もう怖くて怖くて、それ以上は聞きたくなかったんだよね。
俺はおっさんに
「すみません、もう帰ってください」
と言って追い出したんだ。
笑顔のままおっさんは帰っていったけど、なんで俺の家に来たのか、そもそもどこで父親がそれを買ったのを知ったのか、それになんで俺に話してきたのか。
疑問ばかり残ってめちゃめちゃ後味が悪かった。
それからしばらくして、父親が帰ってきたからそのことを話したんだけど、父親もそのおっさんのことは知らないし、商品なんて買ってないって言ってたんだ。
でもさ、その後も俺の家の周りで、知らない車が何度も現れるようになったんだ。夜中には不気味な足音が聞こえるし、窓の外には黒い影が見えることもある。
これって、ただの偶然じゃないと思うんだよね。もしかしたら、あのおっさんが何かを仕掛けてきたのかもしれない。
こんな怖いこと初めてだから、本当にどうしたらいいかわからなくてさ。父親に話して引越ししてもらうことになった。今じゃもうそんな不思議なことは起こってないけど、もしもう一度あのおっさんが現れたら、もう絶対に家に入れないようにしなきゃ。本当に怖いんだもん。
知らないスーツのおっさんが来たんだ。
「こんにちは、ご主人はいらっしゃいますか?」
モニター越しだけどさすがに緊張したよね。俺は一応、返事をした。
「父はいません。用件は何ですか?」
そのおっさんは微笑んで
「大変失礼しました。私は○○という会社の営業担当でして、お宅のご主人にお話があるのですが」
と言ったんだ。
うちには割と父親のつながりで営業の人が来るからまたかぁって感じだった。
書類は貰っとけって言われてたから一応商品の詳細だけ貰うために玄関開けたんだよ。
でもさ、そのおっさんと直で顔合わせてからなんか変な感じがしたんだよね。何かを隠しているような目つきで、なんというか企みを抱えているような感じがして。すげぇ不気味だったんだよ。
そしたらおっさんは、玄関先で俺に向かって話し始めたんだ。最初は普通の営業トークだったんだけど、どんどん話がおかしくなっていくの。
「あなたのご主人は、最近○○という商品を購入されましたよね?それはとても特殊で、非常に価値のあるものなんです」
って言ってきたんだ。
俺はもちろん知らないし、父親が変なもの買ってた記憶は無い。そのおっさんが言うには、その商品を手に入れると特別な力が身につくらしいんだ。
「この商品を手に入れた人は、自分の願いを叶えることができるんですよ。でも、その力は一度しか使うことができないんです」
って、言われた瞬間、ドラゴンボールかってツッコミたくなったんだけど。無理だったわ。
なんか、この話の怖さが伝わるかな?
すげぇ真面目な顔した自分より20以上上であろうおっさんが訳わかんないことを丁寧に話してくるんだよ。
「この商品を手に入れた人は、一度しか使えない代わりに、その力を使えば願い事を叶えることができるんですよ」
って言われた時、俺はなんか背筋がゾクゾクってなったんだよね。ああ、この人ほんとに頭おかしいのかもしれないってさ。
「あなたも願い事はありませんか?お金や恋愛、学校の成績、何でもいいんですよ。一度きりのチャンスなんですから」
とおっさんが笑顔を張りつけた顔で言ってきたとき、もう怖くて怖くて、それ以上は聞きたくなかったんだよね。
俺はおっさんに
「すみません、もう帰ってください」
と言って追い出したんだ。
笑顔のままおっさんは帰っていったけど、なんで俺の家に来たのか、そもそもどこで父親がそれを買ったのを知ったのか、それになんで俺に話してきたのか。
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それからしばらくして、父親が帰ってきたからそのことを話したんだけど、父親もそのおっさんのことは知らないし、商品なんて買ってないって言ってたんだ。
でもさ、その後も俺の家の周りで、知らない車が何度も現れるようになったんだ。夜中には不気味な足音が聞こえるし、窓の外には黒い影が見えることもある。
これって、ただの偶然じゃないと思うんだよね。もしかしたら、あのおっさんが何かを仕掛けてきたのかもしれない。
こんな怖いこと初めてだから、本当にどうしたらいいかわからなくてさ。父親に話して引越ししてもらうことになった。今じゃもうそんな不思議なことは起こってないけど、もしもう一度あのおっさんが現れたら、もう絶対に家に入れないようにしなきゃ。本当に怖いんだもん。
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