10 / 36
花柄のシャツ
しおりを挟む
自分が引越しする前の話なんだけど、未だに忘れられない話があってさ。
その日は引越しの準備もあって慌ただしく、気分も高揚してた。新しい生活が待っているという期待感が胸を膨らませていたんだ。
しかし、その晩、バイトに行く前に洗濯機を回していたら、不思議なことがあったんだ。
洗濯物を取り出すと、見たこともない服が混じっていた。白いシャツに淡いピンクの花柄が施されており、どこか懐かしい気持ちになる服だ。
普段自分はシャツとか花柄を着ないし、貰った記憶もない。間違いなく、自分のものじゃない。
どっかで混じった?なんで??
不思議な気持ちと共に、その服を手に取ってみる。その瞬間、不気味な感覚が背筋を伝って走った。何かが違う。手触りは普通なのに、触ってるところがすごく気持ち悪い。とても静かながらも、何かが存在するような気配を感じたのだ。
「まさか、この服に怨念でも宿ってるとか?」
そんな妄想が頭をよぎるが、自分でも馬鹿げたと思い直す。だが、なぜか不安感は拭えなかった。
バイトに行く時間が迫っていることを思い出し、急いでその服を畳んで戻そうとする。しかし、畳もうとすると、なにか音が聞こえて来たんだ。
服が畳まれる音に合わせて、ゆっくりとした歩みの音が聞こえてくる。足音が廊下から近づいてくる。
「誰かが来てる…?」
不安に駆られながらも、確証を得るため、ドアの向こうに耳を近づけた。すると、その時だった。
「返して貰えます?」
不気味な声が扉越しに耳に飛び込んできた。響き渡るその声は、まるで地獄からの使者が語りかけるようだった。その声には、何かしらの恨みや怒りが混じっているような気がした。
恐怖に襲われる中、その声に応えることができず、動けなくなってしまった。腰が抜けてたんだと思う。
すると、急にドアが開いた。鍵はかけてたはずなのに、何事もないみたいに開いてさ。その瞬間、冷たい風が通り抜けるような感覚がした。何かが私に近づいてくる。息が詰まり、心臓が高鳴る。
「助けて…誰か助けて…!」
叫びたくても声が出ない。恐怖の中、私はただただ身を守ることしかできない。そして、その闇に包まれたまま、私は意識を失ってしまった。
それで目が覚めたら夜でさ、自宅のベッドに横たわっていた。全身に冷や汗が滲んでおり、頭がぼんやりとしていた。
ヤバって思って時計みたらバイトのシフトも終わってる時間でさ、電話したんだ。
「ん?どしたー?忘れ物でもしたの?」
店長の気の抜けた声に訳わかんなくなってさ、話聞いたら私が普通に来て、普通に仕事して帰ったらしい。
洗濯物も全部片付いてたし、着替えまでしてた。ただ、あの花柄のシャツは無くなってた。
それ以来、私は洗濯物たたむのが怖くなってさ、引越し先での新しい生活では全部干しっぱなしにしてる。
その日は引越しの準備もあって慌ただしく、気分も高揚してた。新しい生活が待っているという期待感が胸を膨らませていたんだ。
しかし、その晩、バイトに行く前に洗濯機を回していたら、不思議なことがあったんだ。
洗濯物を取り出すと、見たこともない服が混じっていた。白いシャツに淡いピンクの花柄が施されており、どこか懐かしい気持ちになる服だ。
普段自分はシャツとか花柄を着ないし、貰った記憶もない。間違いなく、自分のものじゃない。
どっかで混じった?なんで??
不思議な気持ちと共に、その服を手に取ってみる。その瞬間、不気味な感覚が背筋を伝って走った。何かが違う。手触りは普通なのに、触ってるところがすごく気持ち悪い。とても静かながらも、何かが存在するような気配を感じたのだ。
「まさか、この服に怨念でも宿ってるとか?」
そんな妄想が頭をよぎるが、自分でも馬鹿げたと思い直す。だが、なぜか不安感は拭えなかった。
バイトに行く時間が迫っていることを思い出し、急いでその服を畳んで戻そうとする。しかし、畳もうとすると、なにか音が聞こえて来たんだ。
服が畳まれる音に合わせて、ゆっくりとした歩みの音が聞こえてくる。足音が廊下から近づいてくる。
「誰かが来てる…?」
不安に駆られながらも、確証を得るため、ドアの向こうに耳を近づけた。すると、その時だった。
「返して貰えます?」
不気味な声が扉越しに耳に飛び込んできた。響き渡るその声は、まるで地獄からの使者が語りかけるようだった。その声には、何かしらの恨みや怒りが混じっているような気がした。
恐怖に襲われる中、その声に応えることができず、動けなくなってしまった。腰が抜けてたんだと思う。
すると、急にドアが開いた。鍵はかけてたはずなのに、何事もないみたいに開いてさ。その瞬間、冷たい風が通り抜けるような感覚がした。何かが私に近づいてくる。息が詰まり、心臓が高鳴る。
「助けて…誰か助けて…!」
叫びたくても声が出ない。恐怖の中、私はただただ身を守ることしかできない。そして、その闇に包まれたまま、私は意識を失ってしまった。
それで目が覚めたら夜でさ、自宅のベッドに横たわっていた。全身に冷や汗が滲んでおり、頭がぼんやりとしていた。
ヤバって思って時計みたらバイトのシフトも終わってる時間でさ、電話したんだ。
「ん?どしたー?忘れ物でもしたの?」
店長の気の抜けた声に訳わかんなくなってさ、話聞いたら私が普通に来て、普通に仕事して帰ったらしい。
洗濯物も全部片付いてたし、着替えまでしてた。ただ、あの花柄のシャツは無くなってた。
それ以来、私は洗濯物たたむのが怖くなってさ、引越し先での新しい生活では全部干しっぱなしにしてる。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
怪奇短編集
木村 忠司
ホラー
一話完結の怪談奇譚です。と思っていたんですが、長編になってしまった物語は、5分くらいで読めるくらいに分割してます。
いろんな意味でゾワりとしてもらえたらありがたいです。
そのスマホには何でも爆破できるアプリが入っていたので、僕は世界を破壊する。
中七七三
ホラー
昨日、僕は魔法使いになった。
強風が吹く日。僕は黒づくめの女と出会い、魔法のスマホを渡された。
なんでも爆破できるアプリの入ったスマホだ。どこでもなんでも爆破できる。
爆発規模は核兵器級から爆竹まで。
世界を清浄にするため、僕はアプリをつかって徹底的な破壊を行う。
何もかも爆発させ、消し去ることを望んでいる。
それ、しってるよ。
eden
ホラー
それ、しってるよ――――。
高校2年生の山下未子(やました みこ)は、人の心を読むことができる。
その力をコントロールすることができないでいる未子は、できるだけ人と関わらないことで自分を守っていた。
何度となく転校を繰り返してきた未子は、新たな学校で、未子の力で心を読むことができない生徒――天城璃星(あまき りせ)に出会う。
璃星の周辺で不可解な事件が起きることに気付いた未子は、璃星の秘密に迫ることになって――?
秘密を暴くことは、秘密を握られること。
事実は記憶の中に、真実は心の中に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる