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第29話
しおりを挟む鹿島さんが僕の家に引っ越すと言ってくれた。僕の答えはもちろんOKしかないよ。
「それは凄く嬉しいです!」
どのみち一人では広すぎる家だ。教室で出来た料理も一人で食べきるには多いので、困っていたくらいだ。鹿島さんと暮らせるなら、それ以上のことはない。
「俺は忙しいけど、一緒に住めば、それだけ傍にいる時間が増えるだろう」
「はいっ」
事件で呼び出されても終われば帰ってきてくれる。そう思えば寂しい思いもしなくて済む。
「俺があんたを満足させてやるから。不器用だけど……あんたを縛ってやってもいいし、こ、言葉攻めだってやってやる。だから、もう俺だけにしろ」
え……。わあ、鹿島さん、耳まで真っ赤になってる……。シャイでワイルドな鹿島さんにそこまで言わせてしまった。僕は自分の罪深さに改めて申し訳なく思ったよ。
「はい……よろしくお願いします」
僕がそう頭を下げると、鹿島さんは何も言わず、僕を抱きしめてくれた。
僕が引っ越しに至る諸々を思い出してニヤついてると、沢城さんが突っ込んだ。
「何思い出してるんですかぁ。でも、盗聴器かぁ。それいいですね。先生の寝室に付けたら、可愛い喘ぎ声が聞けるかな」
「逮捕しますよ」
と、僕。
「ふふっ。先生は鹿島さんに逮捕されちゃったってわけですね」
人聞きの悪いことを。でも、そうなのかも。それに、鹿島さんになら逮捕されてもいいや。できれば終身刑でお願いしたいな。
美味しいカレーを生徒の皆さんが嬉しそうに食べている。この時間が僕は一番好きだ。鹿島さんもカレーが好きみたい。さっきお代わりしてた。
「先生、鹿島さんから聞きました。おめでとうございます」
今日も隣に座った美原さんが僕に声をかけてきた。
「あ、はい。ありがとうございます」
鹿島さん、美原さんにも言ったんだ。なんて言ったんだろう。ちょっと怖い。
「こんなことは、あの、取り越し苦労かと思いますが、もし、何かあったらいつでも相談に乗りますから。弁護士としても、友人としても……」
おや。まあそうだね。いつ何かあるかわからないものね。
「承知しました」
僕はそう言って会釈する。お願いとしては、僕の前で眼鏡外すのは止めて欲しいかな。
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