奇談

《語源》七という漢字

　皆さんは「七」という漢字にどの様なイメージをお持ちだろうか。

　七福神とか七草粥とか、10R確定確変大当たりとかなにかと良いイメージをお持ちではないだろうか。
　確かに英語圏でも七という数字は、「天国」を意味するheavenと読みが似かよるためか、ラッキーセブンだのウルトラセブンだのセブンスターメンソールだのとめでたいイメージが強い。

　ところがこの日本に関しては、この「七」という数字の成り立ちはあまりよろしくないイメージがあるのをご存知だろうか。

　そもそも漢字というものは、形声文字、会意文字、指示文字、象形文字の4種類から成り立つ。
　それぞれ、まず形声文字は「意味を表す文字」と「音を表す文字」を2種類組み合わせて作られた文字（晴、飯など）のこと。
　次に会意文字は、２つ以上の漢字を組み合わせて元の漢字とは違う意味を表した文字（明、林など）のこと。
　続いて指示文字は形として表現しにくいものを、線や点で表現した文字（上、下など）のこと。同じ漢数字である一、ニ、三もこの指示文字に含まれている
　最後に象形文字は、物の形をかたどった文字（日、月など）のことである。

　では「七」はどれに該当するのか？
　一やニと同じく指示文字であろうか？
　いや違う。じつは象形文字なのである。

　そう。「七」はある形をかたどった文字なのだ。
　どの様なものをかたどった形なのか。
　それは本当に「七」を意味するのか。
　ちょっと想像してみてほしい。
　私もこの事実をしるまでは想像だにしなかった。
　非常に意外なものをかたどったものなのだ。


　それはズバリ、
　切腹で腹を切った十文字の傷の様子なのだ。


「おいおい。十文字に切ったんなら七じゃなくて十じゃないか。何を言ってんだコイツ。」

と言われそうだが、すこし説明をさせていただきたい。聞いていただけたら納得できるはずだ。

古来より、切腹には様々な方法や作法があり、腹を十字に切る「十文字腹」もその一つだった。その際、切った腹から臓物がこぼれてしまい、そのこぼれた臓物が七種であったから、その傷の様子が「七」という漢字となったのだという。

そう考えると、漢字の「七」に関しては何が不穏なものであったり、死に関するものが多い気がする。
学校の「七」不思議であったり、怪談として知られる「七」人ミサキもそうだ。
死んだ人に対して日本では49日という習慣があるが、これも仏教において死後「七」日毎に法事、法要を行うためだ。
日本に限っては、「七」という漢字は実はあまりありがたくないのかもしれない。