奇談

hyui

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《体験談》写真

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中学の頃、もう大きくなったんだからと私は一人部屋を与えられた。
元々仏壇を置いていた部屋にベッドと勉強机、その他諸々を入れて、夢の一人部屋デビューに心踊ったものである。

とはいえ、元は仏間。
仏壇は別の広い和室に移動したものの、当時から薄気味が悪い雰囲気は漂っていた。
金縛りやら先に述べた心霊現象など、奇怪な事が度々起こったものの、そのうち「ま、いっか」の精神で気にしないようになった。



一人部屋にも慣れた頃、私はふと気になる事があった。
その部屋には二段の押し入れがあり、下には自分の布団やゲーム機やらを置いていたのだが、上の段は手つかずの状態だった。手も届かないし、別段困ったこともないので気にしていなかったのだが、暇を弄んでいた時に、「上の段の押し入れには何があるんだろう。」とふと気になったのだ。

思い立ったが早いか、私は勉強机の椅子を踏み台にして早速押し入れの上の段を調べてみた。が、そこには別にこれといったものはなかった。ただ一つ、厚紙で出来た箱があるだけだった。
私は少しガッカリしたものの、ひとまずその箱を下ろして中身を見てみることにした。

その中には数枚のカラー写真があった。
金屏風を背景に、スーツ姿の男性や、ドレスで着飾った女性が写っている。結婚式の様子を撮ったものだろう。それも恐らく父の結婚式だ。
“もしかしたら若い頃の父や、自分を産んだ母を見られるかもしれない。”
興味の湧いた私はその写真を一枚一枚調べることにした。
ところがある一枚を見つけた時、私はギョッとした。その中の一枚の写真だけ、白い煙のようなもやに覆われていたのだ。
他の写真にはそんなものは一切写っていない。曇りもなくキレイに撮れている。その一枚だけが何故か曇っているのだ。

私はしばらくその写真を見つめていたが、やがて気味が悪くなり再び押入れの中に戻した。それきりその箱は開けていない。
あの写真は何だったのか、何故あそこに置かれたままだったのか。結局家族に話すことも忘れてしまったので分からずじまいである。



だが、関係あるのかどうかは分からないが、父からこんな話を聞いたことがある。
戦国時代、私の実家の裏庭にあたる場所には、戦の首切り場があったこと。
その祟りのためか、私の血筋の本家にあたる家系は既に絶えてしまったこと。
裏庭にある祠はその首切り場で死んだ者を祀るためのものだということ…。


写真に写り込んだのは、そんな大昔から私の家系を呪う者達の姿だったのかもしれない。
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