転生したら彼女と再会した

せにな

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魔法戦③

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「気安くハイロさんと話してんじゃねー!」

 1人の男子が声を上げると「そーだそーだ!」と周りの男子も便乗する。

「勝手にカルくんの体を触らないで!」

 1人の女子が声を上げると「そーよそーよ!」と周りの女子も便乗する。
 そんな声には怖気づかず、俺は肺いっぱいの息を吸い──

「──ここで宣言する!俺とハイロは付き合ってる!だから変な勘違いとかするな!見られたからって好きなわけでもなんでもねー!言葉を交わしただけで好きになるわけねーだろ!もう一度言うぞ!俺とハイロは付き合ってる!!」

 いきなりの宣言に何も知らない観客たちからはざわめきが聞こえてくる。だが、彩羽や俺に行為を抱いている男女からは現実逃避のための悲鳴やら初恋が呆気なく散ってしまった人の泣き声やらが聞こえてくる。他にも喜ぶ女子や笑う男子も少なからず聞こえる。
 そんな中、ステージ上にいる男子と女子を見ていると目の光が消え、無心で詠唱を唱え始める。

「翔にハイロって言われたのすごい久しぶりかも」
「言ってる場合かよ」
「ごめんごめんー」

 謝りながらもアハハと笑う彩羽。

「なーに笑ってんだよ」
「いや~まさか翔があんなことするなんて思わなくてさー」
「こっちの方が俺たちにとったら都合がいいだろ?」
「まぁねー」
「これからは学園でも話そうな」
「うん!」

 彩羽との会話を終えるタイミングで詠唱を終えた敵たちは魔法を飛ばす。
 だが魔法は俺に届くことはなく、先程と同じで彩羽によって防がれてしまう。

「そういえば翔?」
「どした?」
「帰ったらいいもの見せてあげる」
「……なぜ今?」
「頑張ってくれるかなーって」
「なるほど」

 彩羽の魔法障壁に絶対的信頼をおいている俺は顎に手を当てながら少し考えこみ、決めたことを口にする。

「ならさ、もしこの魔法戦で勝てたら彩羽の言うことなんでも聞いてあげるよ」
「なんでも?」
「なんでも」

 この会話の間にも何個もの魔法が飛んできていたが、呆気なく弾き返される。

「じゃあ翔も勝てたらなんでも言うこと聞いてあげるー」
「なんでもだな?」
「なんでもー」
「よしきた。なら少しだけ作戦変えるぞ」

 そう言い俺は彩羽に近づき、相手には聞こえないように呟く。

「俺への魔法障壁は解除してくれて構わん。その代わりに奥の女子たちを片付けてくれるか?」
「解除しちゃっていいの?当たったら痛いよ?」
「大丈夫だ。俺には圧倒的身体能力があるんだぞ?」
「わかった。じゃあ3秒後に解除するね」
「おう」

 作戦を伝え終えた俺は彩羽から視線を外し、魔法を打ち続ける敵たちに視線を固定する。
 ──3
 秒数を思考の隅に置き、俺は相手の目元や魔法の軌道、手の向きを確認する。
 ──2
 体の無駄な力を抜き、右足を半歩後ろにさげる。
 ──1
 少量の息を吸い、体全体の神経を研ぎ澄まし、

「──解除」

 彩羽の合図とともに俺は足に力を入れる。
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