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5『冥々たる紅の運命』

5 第五章第七十六話「VSオルシェ① 緋色の力」

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 見下ろしていたはずの荒れ地には巨大な怪物。見上げた先には八匹の蛇と世界を託された三人の英雄達が緋色のオーラを纏っている。本人達にそのつもりはない(べグリフなんて余計にそう)だろうが、オルシェにとってこれから始まる戦いは全ての魂達の存亡をかけたものだ。

 大願の行く末がようやくはっきりすると言える。感情が高揚してしまうのも無理はない。

「最後の戦いだ、オルシェ!」

 だが、カイのその言葉に高揚感は一蹴される。

 オルシェという名を、誰かに呼ばれたのは初めてだった。《冥界の審判員》の誰一人その名で呼んでくれることはなかった。《女王》というシステムに名など必要ないだろうし、今のオルシェも名で呼んでほしいとは思わない。

 オルシェは、あの日。

 善性と共に斬り捨てたのだから。

「……要らん情報を伝えたのはトーデルだな」

 そう言って、目の前で蠢く八岐大蛇の更に遥か後方へと視線を向ける。凸凹した荒れ地に際立って高く隆起した大地が見えた。

「……」

 その頂からトーデルは真っすぐにオルシェを見つめていた。傍にはシャーロットとザド。ケレア達の姿はないが、オルシェはシャーロットへ視線を切り替えた後、何故ケレア達がいないかを理解する。

「言葉通り、準備は整っているらしい」

「はっ、《女王》相手に何の準備をしたって無駄だろうに!」

 古城のバルコニーで、レゾンがオルシェの横に並び立つ。

 事実、今のオルシェは《冥界》全ての魂を吸収した。一切の語弊なく、オルシェの振るう力は今間違いなく世界そのものである。

 たかが数名で、いくら人界の英雄達に魔王という組み合わせと言えど、そこに天界を蹂躙した八岐大蛇がいるからと言って勝ち目は存在しない。

 だが、カイ達の表情にそれを理解した様子はなかった。

「ならば、理解させてやろう」

 オルシェの身体から冥力が複数飛び出す。全体のエネルギーから僅かに漏れ出ただけに過ぎない力。だが、次の瞬間それらは全てが《冥具》へと変貌した。

 《真鎖タフムーラス》《死神サリエル》《大剣ハドラ》《零命ケルビエル》《死斧ヘルメス》《絶白モルグル》《冥竜ドラゴノート》。その全てが複数出現し、オルシェの周囲に佇んでいた。《冥竜ドラゴノート》は孤島を四方から囲うように出現しており、溶岩が放つ光に下から照らされていた。

 これまでもカイ達は《冥具》一つ一つに苦戦を強いられてきた。それらが大量に現れていると時点で、目の前に広がる景色は絶望一色だった。

 それでも、カイはまだ不敵に笑っている。

「アレ出さなくてもいいのかよ。トラウマ製造機」

「《魔鏡デモン》のことか。あれは必要あるまい。今お前達の前に広がる全てがトラウマだろう」

「随分と俺達を過小評価しているじゃないか。なぁ、親父」

 カイがちらりとゼノを見る。ゼノはやれやれと首を振っていた。

「全くだ。《冥具》とやらで命を持ってかれるのなんて、どこぞの馬鹿王子くらいしかいないだろ」

「んー誰のことかな?」

「《ふん、大号泣していたくせに》」

「それは言わない約束だろ、シロ」

「貴様こそ、俺の振るった《ハドラ》で戦闘不能になったのを忘れたか」

「おいおい、他人から貰った力で威張るなよベグリフ。あんただって俺の息子にそれ使ってやられてんだからよ」

「《おいお前、べグリフ様を侮辱するな!》」

「てか、親父こそ俺使って威張んなよ……」

「《結局皆駄目なんじゃないかな……》」

 どこぞの馬鹿王子は確かに《冥具》によって一度死んだが、その馬鹿王子に《冥具》を使って負けているべグリフ、に負けているゼノ。今の会話からしてオルシェの評価が決して過小ではないことを物語ってしまっている。

 どこか緊張感のないやり取りを見つめながら、オルシェは余裕綽々で笑みを浮かべていた。

「別にお前達を過小評価しているつもりはない。むしろ、魂達の中で最も価値のある方だと理解している」

「……意外だな。魂は全部価値なしってタイプじゃないのか」

 ゼノの言葉をオルシェは否定する。

「そうではない。尤も、価値のある魂も珍しいがな」

「……じゃあ聞くがケレア達のこと、価値がないって言い切ったらしいな」

 彼が真っすぐにオルシェを見つめる。先程までのふざけた様子は消え、目に宿っているのは怒りにも似たものだった。

「当然だ。奴ら程度の魂では何もできない。居ようが居まいが世界に大差などない」

「……ああそうかい」

 セインを握るゼノの力が強くなる。また、セインから伝わる力も強まっていた。

「だが、ある意味では価値があったと言ってもいいだろう。より早く、より正確にお前達をこの場へ繋いでみせたのだからな。――此方の掌の上とも知らずに」

「――」

 一歩、蛇の頭の上でゼノが前に出る。今にもオルシェへと飛び掛かってしまいそうな彼にべグリフが声を掛けた。

「戯言に付き合うのは構わないが、役割を忘れないことだ」

「……分かってるよ」

 それに、とべグリフが言葉を付け加える。

「俺達が奴らを倒せば、自ずと関わってきた者達の価値も上がるだろう」

「べグリフ、お前……」

 ゼノが驚いたようにべグリフを見つめた。

 言葉が少なくても、べグリフもまたオルシェの言葉に反感を覚えているのが伝わってきた。

 居ようが居まいが世界に大差などない魂などいない。

 関わり合って魂は形成され、世界となるのだから。

「へぇ、本当に変わったんだな」

「そうなんだよ親父、べグリフめっちゃ丸くなったよな」

「今死ねば魂がどうなるのか、貴様たちで試してやろうか」

「これまたツンデレなところが――」

 カイの言葉は続かない。いつの間にか首元に黒剣が当てられていた。いつ移動したのか、べグリフがカイの真横で死ぬほど殺気を送っている。

「……」

「前言撤回。尖りまくってたわ」

「前までだったらそのまま首取られたぞ。変わって良かったな」

 両手を上げて降参するカイをまだ睨みつけているべグリフに、ゼノは苦笑していた。

「《あなた達ね、いつまでふざけてるのよ》」

「《そうですよ!》」

「その通りさ!」

「――っ」

 べグリフの真逆、つまりカイの真隣にレゾンが現れた。ギザギザした歯が怪しく光る。その手には《死神サリエル》。触れたものを問答無用で蝕み破壊する、防御不能の攻撃。

「待たせすぎは観客に失礼だろ!」

 振るわれる凶刃に対して、カイは視線だけ動かして答える。

「お生憎様、お前の相手は俺達じゃないんでね!」

 触れる直前に溢れるカイの魔力。そこに触れた瞬間、レゾンの姿は一瞬にして消え去った。

「……随分レゾンも甘く見られたものだ」

 消えたレゾンを追いかけてオルシェが視線を向ける。はるか後方で、レゾンはトーデル達と対峙していた。

 最初からオルシェとレゾンは分断する気でいたらしい。

 だが、かえってその方が都合良いとオルシェは笑みを浮かべる。

「ならば、そろそろ相手をしてもらおうではないか」

「そっちこそ、アイツが助けを求めたって逃げんじゃねえぞ。逃がすつもりもないけど、な!」

 レゾンが切った火蓋をカイが受け継ぐ。全身から溢れ出る魔力。際限なく広がっていき、やがて孤島全体を包み込んでいた。

 魔力には魂が宿ると言えど、この魔力にオルシェが干渉することはできない。カイとイデア、二人のセインが持つ特異な力、理に干渉する力が付与されているからである。

 それはつまり、この中にいる以上カイとイデアの力が、例えば《冥具》の力を受け付けなかったり、例えば死の概念を持たない《女王》に傷をつけることができたりする力が与えられているという意味だった。以前のように魂に荷重を与えて縛り付けるような力も発動されない。

 カイとイデアだからこそできる力技であり、無茶とも言える。孤島と言っても一国ほどの土地を持っている。その全体を魔力で包むなど、莫大な魔力量をもつカイだからこそ成せる技だった。

 だが、カイとイデアの力をもってしても余りある差がオルシェとの間に存在する。カイの力を一個体の力と換算すれば、オルシェは無数の個体の力を得ている。質の差があろうと、数の差で圧倒できる。

 その差を、ゼノが埋めに動いていた。

「《ゼロ・フィールド》」

 いつの間にかゼノはオルシェの背後で、セインを床に突き刺していた。途端に生み出される半透明な緋色のフィールド。緋色の膜は留まることなく、広範囲を包み込んでいく。

「これは……!」

 ゼノへ振り返ることなく、オルシェは自らの手を見た。

 冥力が弱まっている。

 シロのセインは対象の力を無力する。ただそうするためには相手の力を分析する必要があり、時間がかかるのが欠点だった。だが、冥力は既に《冥具》との戦闘で分析済みであり、加えてイデアの活性の力がカイの魔力を通して付与されていることから、今までにない最高品質で展開することに成功している。

 それでも、ゼノは険しい顔で叫んだ。

「やっぱり全部とは行かないか!」

 本来、全くの無力化が効果である。しかし、最大効果を発揮してなお、オルシェの力全てを無効化することはできなかった。抑えきれないほどの冥力がたかが一個体にあることの証明である。



 それでも、オルシェの力は半減していた。



「元よりそんな楽に行くとは思ってないさ!」

 次の瞬間、ゼノは来た時同様に転移し、代わりに古城を押し潰すように全ての《冥竜ドラゴノート》が転移してきた。伸ばしたカイの魔力がここまで導いたのだ。

「手加減は、無用だな!」

 既に二刀あるセインは一つの大剣へと姿を変えていた。白と黒の刀身に青白い力が集まっていき、更に緋色のオーラが乗せられていた。

「ストリーム・ノヴァ・スラッシュ!」

 駆け抜ける白光。大気が轟き、大地が震え。

 そして《冥竜ドラゴノート》ごと古城を飲み込み、掻き消した。まるで《霊門》のように光の柱が高々と昇る。古城があった場所は荒れ地の仲間入りし、かえって凹凸を増やしていた。

「やった……わけないわな」

 カイの独白通り、光の中から緋色の長髪が現れる。発言通り手加減など一切していないが、オルシェの身体に外傷は見られなかった。本当に効いていない、というよりすぐさま完治してしまったのだと思われる。

 空中で、オルシェはまだ掌を見つめていた。

「……妙、だな」

「《死ね!》」

 間髪入れずにレイニーが紅と混じって紫色の八つ首を全て上から襲わせる。防ぐ仕草も避ける仕草も見せないオルシェを叩き潰した。大地に奔る亀裂。レイニーの一撃に地面が耐えられず、亀裂からは溶岩が噴き出していた。

 だが、すぐさま八岐大蛇は首の先全てがかき消された。

「《なっ……!》」

 レイニーの八岐大蛇の鱗は硬い。硬すぎると言ってもよく、天界へ侵攻した際もセラが時間をかけねば突破することはできなかったほどだ。

 それが瞬き一つで掻き消えた。

 力が半減しているとはいえ、それでも世界の半分の力を有している。

 消えた大蛇の中からオルシェが姿を見せる。

 変わらず《女王》は最強だった。

「交代だ」

「《べグリフ様!》」

 八岐大蛇の根元に居たレイニーが下がる。その前にべグリフが躍り出た。

「《刃よ》」

 べグリフの言霊に空気が反応し、緋色の短剣が何本もオルシェの頭上に形成された。そのまま勢いよく刃の雨を降らせながら、べグリフは黒剣を持ってオルシェへと向かっていく。

 その反対側にゼノも回り込んでいた。

「俺に当てんじゃないぞ!」

「勝手に避けろ」

 死の雨の中、ゼノとべグリフが挟撃する。

「そうか、お前達のソレは――」

 《大剣ハドラ》を両手それぞれに握り、ゼノとべグリフの攻撃を弾き返していくオルシェ。空から降ってくる刃を踊るように「回避」しながら、あり得ない力でゼノとべグリフを悉く吹き飛ばす。



 その背を、深々とカイは斬り下ろした。



「――」

 オルシェは振り向くことなく、カイの足元から《真鎖タフムーラス》を飛び出させた。すぐに転移して距離を取るカイ。

 その間にも斬られた背中は治っていく。この程度大した傷にはならない。

 だが、やはり感じる違和感。転移に反応できなかったのは、この違和感を理解しようと努めていたからに過ぎない。



 力が、失われていく。



 決してゼノの《ゼロ・フィールド》によるものではない。確かにゼノの力で力自体は半減してしまっているが、残っているはずの力もまた徐々に、少しずつだが失われていた。

 いや、吸収されていた。



 カイ達の攻撃を受けた箇所から滲み出るように、冥力が吸収されていく。



 カイもゼノもべグリフも、レイニーの八岐大蛇も最初から緋色のオーラを纏っていた。

 攻撃を受けて、オルシェはその緋色の力の正体を理解していた。

「お前か!」

 オルシェがギョロっと視線を彼方へ向ける。遥か向こうでも既に戦闘は始まっており、トーデルとザドがレゾンと攻防を繰り広げていた。

 その中で一人、一切動くことなく目を閉じ、祈るように両手を合わせ、力を行使している。



 シャーロットが《吸命ヴァイア》の力を行使していたのだった。

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