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3『過去の聖戦』

3 第三章第二十二話「心の悲鳴」

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エイラ
 ケレアという青年はそのまま大勢の人族を引き連れて居なくなってしまった。その誰もが悪魔族へ殺したいほどの怨みを抱くものばかり。それも仕方ない事だとは思う。これまで悪魔族が人族へ与えた支配がそれほど酷いものだったのだから。それでもここにいた一万以上の人族のうち過半数以上がケレアについていったということは、私達の想像が甘かったことに他ならない。
 私とフィグルで始めようとした人族解放。人族の為を思っていたとしても、彼らは私達悪魔に助けられることを望んでいなかった。
 残った三千程度の人族は戸惑っていた。リーダー格だったのであろうゼノとケレアの対立、そしてケレア達の予想以上の殺意に。
 残ったのはかなり女子供が多く、悪魔族との戦闘必至のケレア達についていけなかったのだろう。或いはゼノの思想理想に賛成してくれたのか。兎にも角にも、ケレアよりはゼノの方が安全だと判断したのだ。
 アキと呼ばれていた赤毛の少女も、まだ幼い黒髪の少女メアを抱いてゼノを見つめていた。その眼からは涙が流れていて、それをメアが拭っていた。メアは今の状況を理解できていないのだろう。無邪気に周囲を見渡しながら首を傾げている。あの無邪気さを守るためにゼノとケレアは戦闘に移行しなかったのだ。
 ゼノは、俯いたまま動かなかった。握りしめられた両手からはあまりの強さに血が滲み滴っている。その拳に握りしめられた辛さや痛みはどれほどのものなのだろうか。
エイラ:
「ゼノ……」
 私とフィグル、シロ、ジェガロはただ呆然とその後ろ姿を見ているしかなかった。なんて声をかけたらいいのか分からない。ただ、見ているだけで痛みや苦しみ、後悔、それら負の感情が流れ込んできていた。
 本当は私達がケレア達を止めるべきだったのかもしれない。どう足掻いたってゼノ無しで悪魔族に挑むのは困難を極める。これまでだってゼノがいたから頑張れたに違いないはずなのに。ベグリフを倒すことなんて万が一の可能性もあり得ないだろう。
 それが分かっていて止められなかったのは、ケレアのあまりの殺意、覚悟が伝わってきたから。仮に私達が止めに入っていたらどちらかが死ぬまで戦いは終わらない、そんな気がした。たとえ四肢を千切ったとしても彼は歯で私の喉元を掻っ切ろうとしたことだろう。私とフィグルが悪魔族だから尚更そう思えるし、天使族も全滅させるかもしれないと言った彼だ、見境なくシロとジェガロを殺そうとするかも分からない。
 きっと、私達の存在が行けなかったのでしょう。
 私やフィグルがいなければ、こんな事にはなっていなかった。私達がいなければ予定通りにゼノはケレア達と共にセラへ合流していたのだろうに。
 人族の解放を望んでいるのに私達の存在が妨げになってしまうなんて。
 ゼノの妨げになってしまうなんて。
 私は怖かった。ゼノに恨まれていそうで。私がいたからゼノはケレアと袂を分けてしまった。そんな私がゼノに話しかけられるわけもなく。慰められるわけもなく。
フィグルもとても辛そうに顔を歪めていた。私と同じことを思っているのだろう。
 ただ、だからこそ。私達のせいだからこそ話しかけなければいけない気がする。ここで話しかけなければ、本当に繋がりが断たれるような気がしてならない。
 はやる鼓動を大きく深呼吸をして必死に抑えつける。ほんの少しでも確かに落ち着いたような気がした。
エイラ:
「ゼノ……」
 近づいて話しかけると、遂にゼノが項垂れていた体を持ち上げる。重い身体を持ち上げるようにゆっくりと。不思議とその動きがスローモーションに見えた。
 そして振り返るゼノ。表情が見えるのが一番怖い。
 ただ、ゼノは困ったように笑っていた。
ゼノ:
「いやー、悪い。もっと上手く話し合う予定だったんだけど。俺のせいだ」
エイラ:
「え……」
 予想外の言葉に声が漏れる。もっと罵倒されるかと思っていたのに。何で笑顔で自分のせいだって言えるんですか……。
 その笑顔がとても悲しそうで。私は唇を噛んだ。
ゼノ:
「まさか第一歩がここまで難しいと――」
エイラ:
「っ、何で、何でそんな態度でいられるんですかっ」
 そうしていつの間にか私は叫んでいた。
 いっそ、きつく罵られた方が良かった。私やフィグルのせいなのは明白だ。私達がいたからその一歩目もしっかり踏み出せなかったのだから。
 笑顔なんて向けられて良いわけがない。
 不思議と眼から涙が零れてくる。涙なんて久しく流していなかったのに。
泣きたいのはゼノのはずなのに。
それなのにゼノはまだ笑う。私の涙に戸惑っていた。
ゼノ:
「お、おい、何で泣いてるんだよ」
エイラ:
「ゼノが泣かないからですよっ!」
 涙を必死に拭い、ゼノをキッと睨む。本当は泣きたいはずなのに強がっている。
エイラ:
「全部私達悪魔族のせいじゃないですか! そのせいであなたは今――」
ゼノ:
「いや、悪魔族のせいじゃないとは言わないけど、それでもエイラやフィグルのせいじゃないだろ。むしろ悪かったな、あいつ好き勝手言ってたし」
 どうして。一番辛いはずのあなたが笑って何で私がこんなに悲しむんですか……。
 拭っても拭っても涙が止まらない。悲しい以上に悔しい。自分の存在が理想とかけ離れていることに。そして、理想の邪魔をした挙句ゼノに気を使わせていることに。どうしようもなく自分に嫌気がさしていた。
 すると、頭に急に温もりを感じた。
顔を上げると、ゼノが私の頭を撫でていた。
ゼノ:
「本当に気にするな。いずれはこうなってたよ。考え方が違ったんだ、エイラ達が居ようが居まいが遅かれ早かれな」
 ニッとゼノが笑う。
ゼノ:
「落ち込むなんてらしくないぜ、悪魔さんよ? あ、ちゃんと血は拭いたからな?」
 掌を向けてヒラヒラさせる。確かに握りしめていた時の血はついていない。
そのまま頭をポンポンと撫で、ゼノはフィグルの元へ向かっていった。
ゼノ:
「フィグルもな、気にするなよ」
フィグル:
「ゼノ……」
ゼノ:
「頼みたいこともあるんだ、落ち込まれてちゃ困る」
フィグル:
「頼み、ですか……?」
 二人が何か話しているが、中々耳に入ってこない。
 頭を撫でられたのは初めてだった。
 かなり幼い頃にもしかすれば両親に撫でられたことがあるかもしれないが、私が覚えている限りは初めて。
 いつの間にか撫でられた頭に自分の手を乗せていた。
 ……何か違いますね。
 自分で撫でるのとゼノに撫でてもらうの、何故か分からないが何かが違った。心が温かかった。悲しみや苦しみが幾分か和らいだような気がする。
 何なんでしょう、この気持ちは。
 涙はいつの間にか引いていた。この感情に驚いて引っ込んでしまったのだろうか。
 もうゼノに話しかけることが出来た。緊張もしていない。なのに、鼓動が早かった。
 さっきと同じように深呼吸をして落ち着こうとする。
 なのに、鼓動の高鳴りは止まらなかった。
 すると、横からシロが顔を覗いて来た。口を尖らしてジロジロと見つめてくる。
エイラ:
「……何ですか?」
シロ:
「いえ、もしかしてと思って」
エイラ:
「何がですか?」
 シロが何を言おうとしているのか分からない。が、シロも教える気はないようだ。
シロ:
「いえ、分からないならいいわ。教えて無理に意識させるのもね。ライバルが減って万々歳だし」
エイラ:
「何ですか、教えてくれてもいいじゃないですか」
シロ:
「いいえ、自分で気付いてナンボよ」
 そう言ってゼノの方へ行ってしまった。私が何に気付くというのだろうか。
 その時、フィグルが黒い翼をはためかせて空中に浮くのが見えた。ボーっとしている間に話が一段落したようだ。
フィグル:
「分かりました。いいんですね、本当に私で」
ゼノ:
「何言ってるんだ、フィグルじゃなきゃ駄目なんだって。頼んだぞ」
フィグル:
「はいっ」
 嬉しそうにフィグルが頷く。そのままどこか行ってしまった。一体何を頼んだのだろうか。
エイラ:
「ゼノ、フィグル様に何を?」
ゼノ:
「ん、ああ、ケレア達のことを任せた」
エイラ:
「えっ」
 ゼノの言葉に驚いてしまった。その様子に彼が笑う。
ゼノ:
「フィグルと同じ反応するのな」
エイラ:
「当然じゃないですかっ」
 ケレア達は私達悪魔族が原因でいなくなったのだ。それなのに同じ悪魔族のフィグルに任せるなんて。普通なら任せられらない。
 だが、当の本人はそう思っていないらしい。
ゼノ:
「でも、ちゃんと理に適ってるんだよ。まだフィグルの裏切りがバレてないとすれば、なるべくケレア達が悪魔に遭遇しないよう配置とか手を回してもらえるだろ。やっぱケレア達だけじゃ無理だろうし」
エイラ:
「それは、そうかもしれませんが……」
ゼノ:
「もちろんケレア達にはバレない方向だぞ? あの殺意だ、バレたら殺されかねんからな。言わば隠密行動ってわけだ。ケレア達にバレないよう場所を特定し悪魔達を退ける。結構危険な頼み事だけど、フィグルは快諾してくれたよ」
 ゼノが息をついて安堵を見せる。
ゼノ:
「良かったよ、あんなに罵詈雑言言われた後だからな、断られても仕方なかった。それでもケレア達を守ってくれるんだから、感謝してる」
 それで納得した。何故あれほどフィグルが嬉しそうな表情をしていたのか。
 ……違いますよ。きっと感謝してるのはフィグル様です。
 フィグルも私と同じように自分を責めていたはずだ。自分のせいで人族同士の関係を壊してしまったと。普通ならもう関わらせないようにするのが当然なのに、彼はケレア達を任せてくれるというのだ。それは信頼に他ならないだろう。
 フィグルは嬉しかったはずだ。まだ信じてくれている、まだ共に理想を見てくれることが。
 パンッとゼノが手を叩き、全員の視線を集める。
ゼノ:
「よしっ、皆いいか、とりあえずは例のセラ達と合流するから! ジェガロ、頼む」
ジェガロ:
「うむ」
 返事と共にジェガロが竜へと変貌する。その赤い巨体にアキ達は口を開けて唖然としていた。無理もない、私ですら初めて見た。いわばおとぎ話のような存在だ。
 ジェガロが身体を傾けて翼を地面に伏せる。
ジェガロ:
「【早う乗れ。悪魔達にバレても面倒じゃ】」
ゼノ:
「だってよ。ほら、アキもメアも乗った乗った!」
メア:
「わーい、なにこの生き物カッコイイー!」
アキ:
「……そ、そうね」
 ジェガロの壮観な姿に無邪気にはしゃぐメアと未だ目を疑っているアキは本当に対照的だった。
 恐る恐る人族がジェガロの翼へと足を向けていく。三千人全員乗るか分からないが、乗らなくてもいい。元々何回か往復する予定だった。
 人族が乗るのを見届けていると、ゼノが肩へ手を置いてくる。
ゼノ:
「俺は全員行くまでここに残るけど、エイラはどうする?」
エイラ:
「……私も残ります」
 逡巡した後返す。理由は二つあった。
 だが、言わなくてもゼノは悟っていたようだ。顔に出ていたのだろうか。
 ゼノが笑顔で言ってくる。
ゼノ:
「安心しろよ、あっちでもセラが上手い事やってくれてるさ。俺なんかより話し上手……と信じたいが、あっちにはシェーンもいる。少なくともあいつはしっかりしてるよ」
 セラを話し上手と言えなかったのは、きっとセラのせいで反乱がバレたことがあったからだろう。セラが何を言うかは、意外と予測できない。
エイラ:
「そう、ですね……」
 一つ目の理由はセラ達の元へ行くのが怖かったから。あちらでも私達のことは説明してくれているはずだ。だが、どうなっているか分からない。元々セラ達の方の人族は天使族の奴隷だった。それでも天使族のセラについて来ているのだから、こちらほど話し合いが難しいとは思えないが、それでも受け入れてもらえない可能性はある。確かめるのが怖い。
 そして、もう一つの理由が、
ゼノ:
「大丈夫だって。万が一駄目でも俺は味方だ」
 ゼノが微笑んでくる。
ゼノ:
「たとえ何があったって俺はずっと味方だからな」
エイラ:
「……はい」
 ゼノの言葉一つ一つが温かかった。ゼノの存在が不安を掻き消してくれる。不安だからだろうか。
 今はゼノと一緒にいたかった。
 これが二つ目の理由だった。
 頷く私にゼノがニヤッと笑ってくる。
ゼノ:
「何だ、やけにしおらしい悪魔だな、調子狂うぞ」
エイラ:
「なっ」
 自分ではそんなつもり無かったのに!
エイラ:
「というか、私だってそういう時くらいあります!」
 何だと思ってるんですかっ!
ゼノ:
「そりゃそうか。誰だってそういう時くらいはあるか」
 ハハハ、と笑いながらゼノが集落の方へ向かっていく。集落からはまだ人族が出てきていた。誘導しに行くらしい。
エイラ:
「もう……」
 苦笑しながらゼノの背中を見つめる。やはり彼と話していると落ち着く自分がいる。何でなんでしょうね。
 ただ、彼の存在が私の中で大きくなっているのは確かなようだ。
 兎にも角にも、もしかしたら私の考えすぎだったのかもしれない。ゼノは全く落ち込んでいる素振りを見せないし。全て杞憂だったか。
 集落へ向かうゼノへ視線を向ける。
 そして気付いてしまった。
 彼の肩が震えていた。
 その瞬間、私は間違っていたことに気付いた。
エイラ:
「っ、ゼノ……!」
 自分の不甲斐なさにまた涙が込み上げてくる、
 私ばかりゼノに支えられて、私はゼノを支えていない。
 ゼノの言った通りだ。
 誰だってそういう時は必ずある。
 どれだけ強がっても。ゼノの心は悲鳴を上げていた。
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