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3『過去の聖戦』

3 第二章第十二話「種族を超えて」

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ゼノ
 ちょ、山を真っ二つとかマジかよ! 攻撃範囲がおかしすぎる……!
 タイタスの一撃はいとも容易く天地谷を切り裂き、そのまま大地を穿った。瞬間、斬撃が一気に伸びていき、さらに幾つもの山脈を切り裂いていく。いや、砕いていく。砕かれた山々はもはや山とは呼べないほどに崩れている。曇っていた空はその一撃で一気に晴れ渡っていた。
 横へ飛び出した俺達だったが、そこは見事に空中だった。頂上はかなり細いのを忘れていた。忘れすぎか俺は。急いで魔法で浮くと、エイラも翼で、ジェガロも魔法で宙に浮いていた。
 両者ともに先程の一撃に驚いていた。
ジェガロ:
「これ程とはな……!」
エイラ:
「タイタス……」
 エイラが大刀を見つめる。大刀はゆっくりと戻っていった。
今の内にジェガロへと叫ぶ。
ゼノ:
「ジェガロ! アイツの姿見ただろ! 全員で協力しなきゃ無理なんだって!」
 雲が晴れ、眼下にはタイタスが姿が露になっている。タイタスの巨体を見下ろしながら、ジェガロは改めて首を振った。
ジェガロ:
「ならぬ」
ゼノ:
「どうしてそこまで頑なに断る!」
 ジェガロは逡巡した後、ボソッと呟いた。
ジェガロ:
「人は信用ならぬ」
 そう告げるジェガロの顔は悲しそうでいて苦しそうだった。
ジェガロ:
「……まだ人が奴隷ではなかった時代、ワシは人と共にあった」
 人が奴隷ではなかった時代となると、それはかなり昔の話になるはず。
ジェガロ:
「百年程前じゃ。その頃はわし以外にも竜が存在した。共に暮らし、共に生きたのじゃ。じゃが、人は竜を捨てた」
ゼノ:
「捨てた?」
ジェガロ:
「人と天使、悪魔が三つ巴となって争った時があった。その結果として、人は双方の奴隷となったわけじゃが……」
 それほど昔の話となると、本にも載っていないことなのかもしれない。
ジェガロ:
「その時、人は竜を盾にし、そして逃げたのじゃ。そのせいでどれ程の同胞が死んだと思っている」
ゼノ:
「そんなことが……」
ジェガロ:
「人は信用ならん。いつ裏切るか分かったものじゃない」
 ジェガロが吐き捨てるように告げる。
ジェガロ:
「わしは人が嫌いなんじゃ」
 その経験がどれだけジェガロの心を傷付けたのかは分からない。でも、ジェガロは本当に悲しそうに顔を歪めていた。
 これで話はお終いだというように、ジェガロが背中を向けた。このままこの場を離れようとする。
ジェガロ:
「さらばじゃ。わしは――」
 だが、それは俺の言葉に止められた。
ゼノ:
「嘘だな」
ジェガロ:
「……なに?」
 ジェガロが振り返る。俺には確信があった。ジェガロは決して人が嫌いなわけない。
ゼノ:
「嘘だって言ったんだ。人が嫌い? 馬鹿言うなよ。本当は人が大好きなんだろ」
ジェガロ:
「なっ、何を言う!?」
 驚いた表情を見せるジェガロ。その顔は図星だな?
 そう思って、もっと畳みかける。
ゼノ:
「だってそうだろ。さっきまでエイラ達を殺そうとしてたのに、俺が来たらやめるし、結構話しかけてくるし。久し振りの人にテンション上がったか?」
ジェガロ:
「……っ」
ゼノ:
「それに人の姿してるだろ? 普通人が嫌いならしなきゃいいのによ。それも威厳を出したいから爺さんだって? どう足掻いても大好きだろ。隠しきれてないんだよ」
 俺の言葉にジェガロが顔を赤くしていた。何か言葉を返したくても、不思議と言葉が出てこないらしい。やっぱり、図星なんだ。
 なら、
ゼノ:
「ならさ、俺と友達になれよ」
ジェガロ:
「なっ」
 ジェガロは目を丸くしていた。そんな提案をされると思っていなかったようだ。これには隣にいるエイラも驚いている。
エイラ:
「……ゼノ、竜を友達にするつもりですか?」
ゼノ:
「何だよ、いいだろ。悪魔のお前だってもう友達なんだから」
エイラ:
「え……」
 友達、とエイラが急にブツブツなにやら呟き始める。小さすぎて何を言っているのか分からないが、口元は緩んでいた。友達と言われたことが嬉しかったんだろうか。
 とにかく、再びジェガロへ告げる。
ゼノ:
「ほらな、俺悪魔の友達いるし。だから、竜のジェガロとだって友達になれるはずなんだ。そんでもって今俺を助けてくれよ。もし、おまえが助けを読んだら俺がすぐに駆けつけてやる! 友達だからな! なっ!」
ジェガロ:
「っ、し、信用できるか! 人は――」
ゼノ:
「俺は裏切らないよ、ジェガロ」
ジェガロ:
「っ」
 真っ直ぐジェガロの目を見つめる。
ゼノ:
「俺は、裏切らない」
 もう一度同じように告げる。ジェガロの心の奥に届くように。
ジェガロが呆然としたように俺を見つめていた。エイラも不思議と見つめている気がする。でも、これは本心だった。
 後は、ジェガロの答えを待つだけ。だが、待つ余裕はなかった。既に大刀はタイタスの元に引き寄せられており、タイタスが次の行動に出ようとしている。
 それを見過ごすわけにはいかない。あの一撃で、集落が崩れてしまうかもしれないのだ。
ゼノ:
「悪いジェガロ! 答えは行動で示してくれ! 俺はもう行く!」
ジェガロ:
「っ、お主は――」
 ジェガロの声が聞こえたが、待たずして俺はタイタスの元へ飛び出した。
………………………………………………………………………………
エイラ
 ゼノが天地谷を下り、タイタスの元へと向かって行く。段々と小さくなっていく背中。急いで私も向かわなくては。タイタス一人にゼノだけで勝てるかどうか。
 向かおうとした時、視界にジェガロが映る。ジェガロはずっと小さくなるゼノを見つめていた。口は呆然としたように開いている。
 その表情に私は笑ってしまった。迷う必要なんてないくせに。
エイラ:
「ジェガロ、さっさと行きましょう」
ジェガロ:
「……わしは――」
エイラ:
「もう答えは決まっているのでしょう?」
ジェガロ:
「っ」
 不思議な気持ちだった。先程、ゼノに友達と言われて、嬉しがっている自分がいた。一度しか会ったことがないのに、友達とのたまうゼノにも驚きだが、それをすんなりと受け入れてしまう自分が意外だった。
エイラ:
「本当に不思議な人ですよね。悪魔の私のことも友達なんて……。ゼノとなら、この世界を本当に変えられる気がします」
ジェガロ:
「世界をだと?」
 あ、まだちゃんとは言っていませんでしたね。
エイラ:
「人も天使も悪魔も、全ての種族が手を取って過ごせるような、そんな世界を作りたいんです」
ジェガロ:
「……そんなことが出来ると思っているのか? ゼノにそれほどの実力があるとでも? それに、奴が裏切らないとも限らんじゃろう。」
 まだ心に素直にならないジェガロに苦笑する。ジェガロの悩みはもうゼノが裏切るかどうかじゃないだろうに。
エイラ:
「ゼノの実力は確かですが、それでも一人では無理でしょうね。だから、私が共に行くんです。そして、彼が裏切るかどうかは彼と接してみれば分かるはずですよ」
 ジェガロに微笑む。
エイラ:
「さて、ジェガロ。あまり待たせすぎるとゼノがタイタスに潰されてしまいますよ」
ジェガロ:
「……」
 ジェガロが眼を閉じ、何かを逡巡する。本当は答えが決まっているはずだ。それでも悩むことがあるとすれば、一歩を踏み出す勇気なのだろう。人に裏切られた彼が、もう一度人を信用する勇気。
すると、再び体が光り、気付けば竜の姿に戻っていた。それだけで彼の答えが分かる。
ジェガロ:
「【仕方ないのぅ。その馬鹿げた理想に、協力してやろう】」
 ニッとジェガロが笑った。鋭い歯が露わになるが、最初とは違って恐怖は感じない。
エイラ:
「良かったですね、友達が出来て」
ジェガロ:
「【……うるさい】」
 友達というのが、何か照れくさいらしい。その様子に笑ってしまう。さて、本当に急ぎますか。
 翼を広げ、ゼノの後を追う。その横をジェガロが飛んでいた。
ジェガロ:
「【……ふん、悪魔と共闘するとはな】」
 ジェガロは天使も悪魔も嫌いだと言っていた。
エイラ:
「でも、友達の友達は友達ですよ?」
ジェガロ:
「【ふん、お主も変わり者じゃな】」
エイラ:
「変わってなきゃ世界を変えようだなんて思いませんよ」
ジェガロ:
「【確かにのぅ】」
 笑い合いながら下山をしていく。
 これでジェガロも協力してくれることとなった。
 あとは……。
 一度だけ背後を振り返る。馬鹿げた理想とジェガロに言われたが、それを実現するためにはもう一ピース必要だ。
………………………………………………………………………………
セラ
シェーン:
「セラ様、大丈夫ですか!」
セラ:
「はい、なんとか」
 翼をはためかせながら、背後を振り返る。天地谷が真っ二つに凄まじい一撃だった。大地が綺麗に割れている。
 これが、悪魔族の魔将の力……。
 これ程とは思っていなかった。これから人族を解放していくのならば、必ずぶつかる壁だ。
 ……。
 視線をゼノの方へ向ける。彼がゼノですか。いざ会ってみると、思ったよりも若い青年ですね。黒髪に黒目、顔立ちは大人びているように見えなくはないですが、言動が少し幼いような。
 ゼノは何やら先程の竜ジェガロと会話をしていたが、遠くて内容までは聞こえない。その傍に悪魔がいた。
 何故悪魔と……。
分からないことが多すぎる。とりあえず、シェーンに声をかけた。
セラ:
「シェーン、人族の皆さんは?」
シェーン:
「山の麓に隠しています。奇跡的に先程の一撃の方向ではありませんので、大丈夫かと」
 それは本当に良かった。あの一撃で、今共にいる人族がほとんど殺されていたかもしれない。
シェーン:
「それより、セラ様もよく御無事で! ……っ、肩、大丈夫ですか?」
 シェーンが心配そうに包帯の巻いた右肩を見てくる。この右肩はシノに貫かれたものだ。
セラ:
「大丈夫です。ここに来るまでの間にほとんど治しましたから」
 これは本当で、痛みもほとんど残っていない。戦う分には問題ないだろう。
 すると、シェーンが厳しい口調で告げてきた。
シェーン:
「セラ様! あの人族は信用できません!」
セラ:
「……」
 シェーンの気持ちは分かる。ゼノは今、悪魔と仲良さそうに話していた。
 悪魔と天使は昔から敵対していた。それゆえに、悪魔に対して天使は当然いい考えを持っていない。それは私も同じだ。悪魔と相容れることは不可能、そう思っていた。
 でも……。
 仲良さそうに話す二人を見て、私は不思議な感情を抱いていた。羨ましくて、何か感動的な気持ちになっていたのだ。
シェーン:
「……セラ様?」
 黙った私を訝し気に見てくるシェーン。私は、そんな彼女に告げた。
セラ:
「一度、信じてみませんか」
シェーン:
「っ、セラ様、正気ですか!?」
 シェーンが驚くのも無理はない。でも、本心だった。
 人族と悪魔族が協力している。悪魔族の奴隷だった人族であるはずなのに、ゼノは悪魔を受容しているのだ。なら、これまで敵対していた私達天使族と悪魔族だって、いずれ……。
 最初は、あまりに人族の扱いが悪いと思い、それを解放したいと思ったのが始まりだった。そのために天使族と戦い、果ては天使族を変えるつもりだった。悪魔族のことなんて敵としか考えていなかった。
でも、今ゼノと悪魔族の姿を見て、私は思ってしまった。戦うだけが全てじゃない。人族の扱いが悪いから戦っても、その最終的な未来は人族とそれ以外の立場が逆転するだけ。私のこれはきっと同情に他ならなかった。人族を解放すると口で言っても、先の未来などちゃんと考えられていなかった。。
セラ:
「彼がどういった目的で悪魔と一緒にいるのか分かりません。ですが、聞いてみるだけの価値はあると思います」
シェーン:
「そんな……!」
セラ:
「それに、あの魔将を倒さなければここからの移動は困難ですよ。人族と一緒になんて以ての外です。協力してくれるみたいなのですから、ここで倒してしまいましょう。その方がずっと楽です」
 いずれ戦うことになるのだから、ゼノ達が協力してくれる今がチャンスなのだ。それが分からないシェーンでもない。
シェーン:
「それは、そうかもしれませんが……!」
 分かってはいるが、まだシェーンが渋る。決定打を探さなくては。
 ゼノへと視線を向ける。ちょうどゼノがタイタスへ向けて急降下していくところだった。やがて、それを追うように悪魔とジェガロが降下していく。
 そう言えば、あの悪魔が魔将と戦うという事は、あの悪魔と魔将側は敵対していることになりますよね。だとすれば、あの悪魔はどういった立ち位置になるのでしょう。ゼノと一緒にいるということは、人族解放に協力的なのでしょうか。
そこで思い出す。シノと戦いながら、気付いたことを。
 心のままに……。
 悪魔のことはまだ分からない。でも、ゼノに対する心は既に決まっていた。
セラ:
「シェーン」
シェーン:
「セラ様……」
 悩んでいるシェーンへ微笑んで告げる。
セラ:
「私は、不思議と彼のことが嫌いじゃありません。悪い人にも思えません。信用できる人だと思います。私の心がそう告げているのです。それじゃ駄目ですか?」
 首を傾げなら尋ねると、やがてシェーンが息を吐いた。
シェーン:
「……分かりました。ですが、改めて私が奴らを危険だと判断した場合は、独断で動かせていただきます」
 シェーンは私に甘い。私の意志をいつも尊重してくれる。
セラ:
「はい、それでいいですよ。ありがとうございます、シェーン」
シェーン:
「セラ様は頑固ですから」
 諦めたようにシェーンが苦笑する。
セラ:
「頑固じゃありませんっ」
 頑固とは酷いことを。意志が固いと言っていただきたい。
セラ:
「さて、それでは行きます!」
シェーン:
「はいっ」
 各々武器を抜き、悪魔と竜を追って頂上を飛び出した。
………………………………………………………………………………
 降下しながら、タイタスを射程内に捉える。タイタスは再び大刀を振り回そうとしていたが、そうはさせない。
ゼノ:
「とりあえず、一発撃ってみない事には分からないか! 《雷土の槍、グングニル!》」
 あの巨体に通常の攻撃が効くかどうか、確かめる必要があった。
手元に大量の魔力で生成した雷の槍を出現させ、勢いよくタイタスの顔めがけてぶん投げた。軌跡を残しながら雷槍が顔めがけて飛んでいく。
 だが、それは顔の前に構えられたタイタスの巨大な左手に衝突した。一気に放電が迸っていくが、放電が消えて露わになったのは軽く焦げているタイタスの赤黒い外皮だった。ほとんどダメージになっていない。
ゼノ:
「マジでか!?」
 あれほどの外皮の硬さでは、どうダメージを通していいものか。
 タイタスの顔の高さまで降り、制止する。タイタスの目が俺を捉えていた。
そこへ、上からエイラの声が聞こえてきた。
エイラ:
「タイタスの皮膚はすさまじい硬度を誇っています。そんな生半可な攻撃じゃ聞きませんよ」
ゼノ:
「今の攻撃生半可だったかな!?」
 見上げると、上からエイラと竜の姿のジェガロが降りてきた。ジェガロの姿が見えて、思わず口角を上げてしまう。
ゼノ:
「ジェガロ、来たかっ!」
ジェガロ:
「【わしもまた変わり者だったということじゃ】」
エイラ:
「ゼノ、ジェガロは素直じゃありませんが、あなたと友達になれて嬉しがっていますよ」
ジェガロ:
「【余計なことは言わんでいい!】」
エイラ:
「でも、本当のことでしょう?」
ジェガロ:
「【お主を先にやってやろうか!】」
 轟音のような咆哮をジェガロが放つ。エイラと二人して耳を塞ぐが、気のせいかな、先程よりも威厳が無い。エイラと顔を合わせて笑った。
 すると、そこにセラ達もやってくる。
ゼノ:
「お、セラ達も来てくれたかっ」
 来てほしいとは思っていたが、難しいとも思っていた。タイタスとの戦いで俺達の覚悟を示せればと思っていたのだが、これは嬉しい誤算だ。
天使族の女:
「おい人族! 私は貴様を認めていないからな!」
 名の知らない天使が俺に叫んでいた。かなり睨んでくるし。
 ていうか、名前なんだよ、誰だよおまえ。
 俺の心の声を読んだのか、セラが説明してくれる。
セラ:
「こちらは私の従者シェーンです。そして、私がセラ。今はこのくらいの自己紹介でいいですよね。私も、詳しい事は後で聞かせてもらいますし」
ゼノ:
「ああ、そうしてくれ。敵さんがお待ちかねだ」
 全員がタイタスへ視線を向ける。タイタスは再び大刀を振り上げていた。また振り下ろすつもりらしい。
 そんなタイタスへ、エイラが口を開く。
エイラ:
「あなたがここに来たってことは、経緯は分かりませんが王は私を見捨てたということですか?」
 その問いに、タイタスは巨大な頭を重々しく縦に振った。それだけで空気が震える感じがする。
エイラ:
「あらあら、これで私もあなたと同じ裏切り者ですね」
 エイラがセラへニコッと微笑みかけた。お互い同族を裏切っていることになるわけだが、随分天使族のセラにフレンドリーに話しかけるものだ。。
 実際セラは戸惑っていた。が、それも一瞬でやがて美しい笑みを見せた。
セラ:
「そうですね」
 微笑み合う二人。俺は嬉しかった。今、全ての種族が力を合わせようとしているのだ。これまで敵対し合っていた種族がだ。俺の理想としている世界の姿が、小さいけれどここにあった。
 感極まって、俺は叫ぶ。
ゼノ:
「いいか、ここにいる皆はもう仲間だ!」
シェーン:
「待て、私はまだ――」
ゼノ:
「はいそこうるさい! いいから聞け!」
 シェーンの言葉を遮る。シェーンはかなり苛立っていたが、今は無視だ。
ゼノ:
「もう一回言うけどもう仲間なんだ! 種族は違くても手を取り合える! 見せてやろうぜ、俺達が力を合わせたら世界だって変えられるんだってことを! 手始めにあいつをぶっ飛ばしてな!」
 全員の顔を見る。セラとエイラは力強い表情で頷きながら微笑み、シェーンはまだ睨んでいたが反論はしないらしい。ジェガロは不思議と嬉しそうな表情をしていた。
 十分だ。ここからが、本当の、世界を変える戦いの始まりだ。
ゼノ:
「よし、行くぞ!」
 俺の掛け声と共に全員が飛び出していく。
 そして、再びタイタスが大刀を振り下ろした。
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