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1『セイン』

1 第四章第三十二話「怒りの炎」

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 ミーアは長い階段を無事下り終えてリア城の三階からイデアを探し始めた。
ミーア:
「イデアちゃん、どこにいるの!?」
 声を張り上げてイデアを呼びながら三階を駆け回るミーア。
 すると、ある部屋の前を通りかかった瞬間だった。
イデア:
「うっ……うぅっ………」
 微かにだが、その部屋の中から泣き声が聞こえてきたのだ。
ミーア:
「っ、イデアちゃんなの……!?」
 すぐにその部屋の扉を開けようとドアノブに手をかけるが、何か見えない力に弾かれてしまった。
 仕方なくミーアは部屋の前で中にいるであろうイデアに声をかけた。
ミーア:
「イデアちゃん、ここにいるんだよね!」
イデア:
「うぅぅっ」
 だが、中から聞こえてくる嗚咽は止まらない。返事が返ってくることもなく、ミーアは頭を抱えた。
ミーア:
「わたしの声が届いていないんだ。どうして―――」
 と、思ったところでふとある理由が脳裏をよぎる。
ミーア:
「(そっか。お兄ちゃんが心臓を刺された瞬間をイデアちゃんは見てるもんね。もしかしたら、お兄ちゃんが死んじゃったって思ってるのかも……)」
 そう思ったミーアは必死に声を届けようと声量を上げてイデアへ叫んだ。
ミーア:
「お兄ちゃんは、カイはまだ生きてるよ!!!!」
イデア:
「っ!?」
 次の瞬間、嗚咽は確かに止まった。
イデア:
「本当ですか!? カイは、カイはまだ生きているのですか!?」
ミーア:
「うん、本当だよ!」
イデア:
「っ、この声はミーアですね!」
ミーア:
「今やっと認識してくれたんだね……」
 カイ、という単語にイデアは反応しただけだったらしい。
 イデアのカイに対する愛にはミーアも苦笑せざるを得なかった。
イデア:
「でも、確かに目の前でセインが消えて無くなったのに……。カイは死んでしまったのでは……?」
ミーア:
「分かんないけど、確かに今お兄ちゃんは生きてこのフィールス王国にいるよ。アホみたいに元気だから安心して!」
イデア:
「フィールス王国にですか!? ていうか、ここってフィールス王国なんですか!?」
ミーア:
「え、気付いてなかったの!?」
 イデアは終始カイが死んだという事実に飲み込まれていたため、自分のいる場所すら把握していなかったのである。
ミーア:
「とにかく、今からお兄ちゃんのところへイデアちゃんを連れて行きたいんだけど、この部屋って何か魔法がかけられてるの?」
 ミーアの問いに、中から思い出そうとしている声が聞こえてくる。
イデア:
「えっと、確かこの部屋全体には魔法がかけられていて、外からの攻撃で壊れることも、わたしが外に出ることも出来ないそうです」
 一応ではあるが、イデアはライナスの言葉を聞いていたのだ。
ミーア:
「了解! なら、とりあえず本当に壊れないのか本気で魔法撃ってみるよ! イデアちゃん、扉の前から下がって!」
イデア:
「あ、はい!」
 イデアが扉の前から下がれるだけの時間を取ってから、ミーアは唱えた。
ミーア:
「《デッドフレアレイ!》」
 突き出されたミーアの両手の先に魔法陣が展開され、そこから極太の赤い炎のレーザーが飛び出した。そのレーザーは扉に直撃して眩い光を辺りに放っていく。
 だが、扉は壊されることなく、むしろ焦げ跡一つついてはいなかった。
ミーア:
「うっわ、ホントに壊れない! ライ兄め、わたしより魔法の才あるとか本当に腹立つ!」
 全てのスペックにおいて、ライナスはミーアよりも上だった。
イデア:
「駄目、ですか? わたし、早くカイにセインを渡しに行きたいです!」
ミーア:
「うーん、扉が壊せないとなると……」
 思案するミーア。すると、ミーアは突如何かを閃いたように声を上げた。
ミーア:
「そうだ! ねぇ、イデアちゃん! セインって相手が目の前にいないと渡せないんだよね」
イデア:
「えっと、はい、その通りです」
 セインは渡す相手が目の前にいないと渡せない。フィールスの者ならば、一度渡されれば収納できるため問題ないのだが、カイやダリル、エリスはセインをしまえないため毎度目の前で渡される必要があるのである。
ミーア:
「それと、相手が目の前にいれば間に遮るものがあってもセインはすり抜けて相手に渡るんだよね?」
イデア:
「そうですけど……」
ミーア:
「あと、そこに窓ってある?」
 ミーアに尋ねられてイデアが部屋の中を見渡す。その部屋には窓がついていた。その窓からはリア城の左右に生い茂っている森が見える。
イデア:
「はい、ありましたけど、それがどうしたんですか?」
ミーア:
「閃いちゃったんだー! まぁわたしに任せてよ! 大船に乗ったつもりでいて!」
イデア:
「は、はい!」
 イデアは何故だか一抹の不安を覚えたが、とにかく返事をしておいた。
 そしてミーアはというと、ニヤリと何かを企みながら笑みを浮かべていた。
………………………………………………………………………………
 右腕を失ったメリルへとシガレのセインが振り上げられる。
 その攻撃をメリルは避けることが出来ない。自身へと死を誘うその大剣をメリルはゆっくりと認識していた。
メリル:
「(これって、あたし助からないかなー。せっかくダリルと結婚したのに……。それに、カイにも怒られちゃう。冥界まで来てくれるのかな)」
 そんなことを考えながらメリルは死を受け入れようとしていた。そして、シガレのセインがメリルを真っ二つに斬り裂こうとした時だった。
 突如爆炎が部屋全体を襲う。窓ガラスが全て砕け散り、長テーブルと椅子は全て燃えて灰になった。
シガレ:
「なんだっ!?」
メリル:
「キャアッ!」
 メリルは爆炎による風圧によって吹き飛ばされ、シガレのセインをどうにか回避した。
 床の上を転がりながらも、メリルは爆炎の原因であろうダリルへと視線を向けてみる。
 すると、そこには普段の服装ではなく、赤い鎧を着たダリルが立っていた。その手には先程までのひび割れた剣ではなく、錆びやヒビのとれた煌々と赤く輝く剣を持っており、もう片方の手にはダリルを覆えるほどの大盾を持っていた。
 そのダリルの姿にメリルが驚きの声を上げる。
メリル:
「それって、もしかしてベルセイン……!?」
 それはまさしくベルセインだった。
メリル:
「セインを渡してから全然経ってないのに、ここまで早く発言するなんて……。まぁ、信頼とか愛とかの問題だから夫婦によって顕現するタイミングは違うけど……それにしたって早いわね」
 シガレは突如姿を変えたダリルに興奮していた。
シガレ:
「なんだなんだ! もう一段階あるのか! いいねぇ、最高だよ!」
 シガレが言葉と同時にダリルへと走り、セインを振り下ろした。そのセインがダリルの持つ大盾に軽々と受け止められる。
ダリル:
「気を付けろ、今の私は怒りで全てを焼き尽くしそうだ」
 ダリルがそう言った瞬間、大盾の表面が凄まじい爆発を起こした。
シガレ:
「ぐっ!」
 シガレは割れた窓ガラスを通って外の森へと吹き飛ばされていく。
 シガレが宴の間からいなくなった後、ダリルはゆっくりとメリルの傍まで歩いてその左手を取った。
ダリル:
「すまない、君を傷付けさせてしまった、守れなかった。私という男は本当に駄目な男だ」
メリル:
「い、いいの。それよりもその姿……」
 メリルに言われてダリルが自身の姿を見渡す。
ダリル:
「ああ、この姿か。君を失ってしまうと思った瞬間内から力が湧いてきたんだ。もしこの力がなかったらと思うと、私は……」
 メリルの手を握る力が強まる。メリルは一瞬痛いと思ったが、それ以上の温もりを感じてそれを口に出すことはなかった。
 やがてダリルはその手を離して窓の方へと歩いていく。
ダリル:
「だから、もうそんな思いは二度としないと誓う。君を傷付けさせないと誓う。だからここで待っていてくれ。必ず、勝ってくる」
 そう言ってダリルが一度指を鳴らす。するとメリルを炎で出来たシールドが包み込んだ。それは決して熱くなく、むしろ優しくメリルを包み込んでくれていた。
 そして、ダリルが森へ飛び降りていく。
 そんなダリルの後ろ姿をメリルはただ見つめることしか出来なかった。
 ダリルの顔は怒りに震えていて、かける言葉が見つからなかったのだ。
メリル:
「(どうか、死なないで……!)」
 手を合わせて、メリルはただ祈るしかなかった。
………………………………………………………………………………
 ダリルがシガレを探して森の中を駆けていると、突如背後にシガレが転移しそのまま大剣のセインを振り下ろしてきた。
 それをダリルは振り返って再び大盾で受け止めるが、何故か先程とは違って受け止めきれず後ずさった。
 手に伝わる力の強さでダリルは確信する。
ダリル:
「……やはりおまえは徐々に力を増しているようだ。それがおまえのセインの力か」
シガレ:
「正解! 俺のセインの能力は単純に俺の全ての能力を徐々に向上させていくってもんさ! でも、単純がゆえにこいつは凄ぇぞ! 《ダークエクスプロージョン!》」
 シガレが左手に黒い球体を浮かばせそのまま大盾にぶち当てた。瞬間、大きな爆発が起こりダリルは大盾で防いだものの大きく吹き飛ばされた。魔法の力も増大しているのである。
 体勢を立て直そうとするダリルの頭上にシガレは転移すると、今度はセインに黒い魔力を纏わせた。
シガレ:
「もういっちょ! 《ダークエクスプロージョン!》」
 爆発する魔力を纏ったセインがダリルへと迫る。
ダリル:
「《残火・大煉獄!》」
 ダリルが剣に炎を纏わせて上へと振り上げる。
 ダリルのセインとシガレのセインが重なり、二つの爆発が共鳴し凄まじい爆発を引き起こした。
 ダリルは地面を削るように吹き飛び、シガレは空高く吹き飛ぶ。
ダリル:
「っ、奴は時間がかかるほど強さを増す。どうやら早期決着が望ましいようだ……!」
シガレ:
「そうは、させねえよ!」
 ダリルの背後にシガレが転移してくる。その後、両者は何度もセインを交えた。
シガレ:
「こんな楽しい時間を簡単に終わらせてたまるかよ!」
 徐々に力を増していくシガレにダリルは押されていた。
ダリル:
「っ!」
 だが、ダリルは大盾でシガレのセインをどうにか受け止め、爆発させてシガレを吹き飛ばした。
シガレ:
「うおっ!?」
 吹き飛ばされたシガレだったが足で勢いを殺してそれ程吹き飛ばされることはない。だが、ダリルの目的はシガレと距離を取る事だった。
ダリル:
「どうやら、おまえは戦いを楽しみたいらしいな。どうだ、私の渾身の一撃、受けて見ないか?」
 ダリルの提案にシガレが頭を悩ませる。
シガレ:
「……楽しみたいけどさ、その一撃より俺が勝っちゃったらもう楽しみなくないか? あんたの底が分かっちゃうわけだし」
ダリル:
「私の仲間には私より強い奴がたくさんいる。それなら早く私を倒してそちらに行った方がいいと思わないか?」
 そう言うと、ダリルは大盾をなんと剣へ突き刺した。大盾の上部には剣を突き刺す箇所があり、そこに剣を突き刺すと剣の柄の先に大盾が刀身のように合体するのだ。
 ダリルはそれを冗談で構えた。
ダリル:
「さぁ、準備はいいか?」
 シガレは思考を巡らせていたが、やがて頷いた。
シガレ:
「まぁ、それなら受けて立とうじゃないの!」
 シガレが大剣を下に構える。ダリルは剣を振り下ろす構えであるため、それに合わせるために下に構えたのである。
シガレ:
「《ダークエクスプロージョン&ダークブレイズ!》」
 セインを爆発する黒い魔力が包み、さらにセインの周りを黒い炎が渦巻いた。
シガレ:
「言っとくけど、これが俺の最強コンボだぞ! もっと強い奴に会いたいから早く終わらせてやる!」
ダリル:
「その方がいい、全力は全力でねじ伏せるべきだ」
 ダリルは目を閉じて魔力を全開放し、セインへ籠めた。
ダリル:
「《終の焔・原初の火炎》」
 セインの刀身と化した大盾から炎が噴き出し、それはまるでレーザーのように剣から伸びている。高温度で純度の高いその炎は紛れもなくダリルの出せる最強の炎だった。
 その炎を見てシガレが感嘆の声を上げる。
シガレ:
「すっげぇ炎だ! これは、面白いことになりそうだなぁ!」
 シガレがセインを下に構えたままダリルへと飛び出す。転移はしない。真っ向から勝負するつもりのようだ。
 対してダリルはそこから一歩も動くことはなかった。
ダリル:
「残念だが、面白さを感じる暇はないぞ」
 シガレがダリルへとセインを振り上げる。そしてダリルもまたシガレへセインを振り下ろした。
 セイン同士が激突し鍔迫り合う、かのように見えたのはほんの一瞬だった。
 実際は、ダリルのセインに触れた部分からシガレのセインが消失していた。あまりの高温度に触れている部分が溶けて無くなってしまっているのである。
 まるで紙を切るようにダリルは一瞬でセインごとシガレを縦に両断した。そして二つに別れたシガレだったモノも一瞬で焦げて灰になる。
 そのままダリルのセインが地面へ突き刺さり、その瞬間森全体に炎が広がっていく。辺りは一秒もかからず火の海と化した。
 燃えさかる森の中で、ダリルは大盾と剣を分離させて剣の炎を消す。
ダリル:
「愚直に私の提案を聞いてくれてありがとう。もしあのまま戦い続けていればいずれ私が負けていただろう」
 それは既に灰と化したシガレへと向けられた言葉である。たとえシガレが死んでいてもう届かないのだと分かっていても、ダリルは言わずにはいれなかった。
ダリル:
「どうだ、私の炎は。おまえには耐えきれないほど怒りに満ち溢れていただろう」
 そして、ダリルは待っているメリルの元へと歩き出した。
 炎は森全てを焼き尽くすまで止まることはなかった。
 ダリルの怒りの強さを、確かに物語っていたのだった。
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