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合格?

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「なぜ、そうなる?」

「あの巨漢を守る姿、カッコよかったぁ。勇者みたいだったよ。それに、あんなに強い魔族を倒しちゃうし、よく見たら、顔もいい。文句ないわ。可愛い私と付き合えるんだから、喜びなさい!」

セラフィの恐ろしい顔が浮かんだ。
僕はまた手をついた。

「何!なんか私に不満でもあるの?あなたでしょ、私が可愛いって言ったのは」

あぁ、確かに言った。でも、僕が欲しいのはお姉ちゃんなんだ。妹じゃない。
でも、シナリオが巻き戻ってしまう。どうすればいいんだ。

とりあえず、この場を乗り切るためには、はいと言うしかない。
 
「もちろん嬉しいよ。え~と」

「ミスティよ」

「よろしく、ミスティ。僕はタカユキィ」

「タカユキィね。フフフッ、学園生活が楽しくなりそう」

「あっ!どうなるんだろう。この後」

「あの巨漢は失格でしょ。だから、私とタカユキィで、2人残ったことになるわ」

「そうなのかなぁ」

「間違いないわよ」




まもなく試験の中止がアナウンスされた。

まぁ、この状況で貴族の子供達を戦わせるのはリスクが高過ぎる。他に魔速がいないという保証はない。

「僕達は、いつまでここにいればいいのかな?」

「もう試験は終わったんだし、帰りましょう」ミスティは手を差し出した。

「なっ、何かな?この手は?」

「恋人なんだから、手を繋ぐくらい当たり前でしょ?」

「こっ、こいびと!!」

「えっ!、違うの?」

「いっ、イヤ、違わないよ。ミスティみたいな可愛い子が彼女なんて、嬉しいなぁ。はははは」

「そうでしょ、そうでしょ」

僕はミスティの手を握った。

「さぁ、帰りましょう」

僕はミスティに手を引っ張られながら、トボトボと歩いた。

通路に入った。

この先には、きっとと思ったが、セラフィはいなかった。

お母さんを守りながら屋敷に戻ったのかな?とりあえず、ホッとした。

僕達は闘技場の外へと進んだ。
「ミスティは、家族は来てないの?」  

「多分来てるはずだけど・・・。あっ、お父さん!」僕は手を離そうとした。

「何やってるの?ちゃんと紹介するから」手を強く握られた。

「ミスティ、大丈夫なのか?あんな騒ぎがあって」

「うん、ちょっと怖かったけど、タカユキィが守ってくれたから」ミスティは、僕を見た。同時に父親も僕を見る。

装備は何もつけていないが、ひと目で冒険者だと分かった。それもかなり強そうだ。

「はっ、初めまして、タカユキィです」

「お前は一組目で囲まれてた子だよな?」

「あぁ、そうですね。なんか目の敵にされたみたいで」

「この町の子供ではないよな?」

「はい、カボス村です」

「カボス村?タカティクスと同じ?」

「はい、そうです」

「なるほど、だから見たことがあるような気がしたのか」

「えっ?タカティクスさんのこと知ってるんですか?」

「あぁ、あいつが勇者なんて呼ばれる前は、一緒にパーティを組んでいた」

「あぁ、そうなんですか!タカティクスさんのこと、本当なんですか?」

「それなんだが、俺も今だに信じられていない。アイツが魔物ごときにやられるなんて」

「そうですよね。きっとどこかで・・・」
 
「俺もそれを願っている。あぁ、そうか、武器を持たずに相手に挑むなんて無茶をするのも、アイツにそっくりだ」

「はははは、ちょっと調子に乗りすぎました」

そこで父親は真剣な顔になった。
「ここじゃなんだから、どこか店に入ろう」

娘と同じように断れなさそうだ。
「はい」

突然の試験中止で、どこの店も混んでいたが、なんとか席を見つけた。

店の中は独特の興奮者状態で、うるさかった。

僕たちは、飲み物と少しの料理を頼んだ。
「それで、どういうことなんだ?」父親が口火を切った。

「話していいのか分からないんですが、決勝戦のあの子が、どうやら魔族だったようなんです」

「もちろんその話も気になっているのだが、父親としては、その手の方が気になっているんだが」

全くミスティが離そうとしないので、僕は仕方なく繋いでいる。

「こっ、これは・・・」

「私、タカユキィと付き合うから」

「つっ、付き合うだと!」父親の顔色が変わった。

あぁ、面倒くさい。全て壊していまいたい。

「シナリオが巻き戻る可能性が高いです」と頭の中で声がした。

「あっ、復活できたんだね。良かった」

「私ほどの高性能システムが、恥ずかしいところをお見せしてしまい、申し訳ありません。マスター」

「いや、想定されていないことを僕が言ったからいけなかったんだ。無理させて、ごめんよ」

「なんとお優しい。これからは、ちゃんとナビゲートしてまいります」

「よろしく」

隣では、父と娘が言い争っている。
父の言い分は、当然だが、まだ早い!というものだ。娘の言い分は、恋愛に年齢は関係ないというものだ。結論が出ることはないだろう。大抵は、お父さん嫌いと言われて、父親が折れるしかなくなるパターンだ。
 
「分かった。タカユキィが、ミスティに相応しい男か見極めることにしよう」

「大丈夫、タカユキィは強いんだから」

あれ?なんか変な方向に話が行ってないか?

「タカユキィ、学校が始まるまで、まだ日がある。少しの間だが、俺のパーティに加わらないか?」

「えっ?僕まだ子供ですよ」 

「分かっている。身の安全は、俺と仲間が保証する。傷ひとつつけさせやしない」

「断ったら、どうなるかしらねぇ。フフフッ」

さっき倒したバグの方が、可愛く思えてきた。

「はぁ、分かりました。参加します」 

「そうか!よし!早速、来週辺りで調整しよう。週末が過ぎたらギルドに来てくれ」

「わかりました・・・。そういえばギルドって、僕も登録できるんですか?」

「いや、年齢制限があるから、まだ無理だ。依頼自体は、他に登録者がいればできるがな」

「そうなんですか」

「まぁ。急ぐことはない。学校を卒業してからでも遅くはない」

「はい、しっかり勉強します」



そしてやっと解放された。

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