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まとまる?
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私は旦那に話した。
「大丈夫なのかい?第三者を入れて、相手が更に意固地になったりしないか?」
「そんなの誰にも分からないわよ。放っといても何も解決しないでしょ」
「確かにそうなんだけど。でも正攻法で行っても、向こうは会うとは言わないと思うけど」
「私もそう思うわ。だから、あなたが誘い出して、無理矢理会わせるしかない」
「なんか気が引けるな」
「それはしょうがないでしょ。諦めなさい」
「はぁ」旦那はため息をついた。
「私と縁美と一緒に暮らすためよ。しっかりしなさい」
「はい!頑張ります」
「会う日が決まったら、教えて」
「分かった」
そして、決戦の日となった。
縁美を何も知らない母に預けて、旦那と白石と待ち合わせた。
先に旦那と会う。
「はぁ、緊張する」
「うまくいけばラッキーくらいで思ってればいいわよ。こっちに決定権はないんだから」
「そうなんだけど」
「私と結婚すると宣言した時を思い出して。かっこよかったわよ」
「そうかい?」
そこで白石は現れた。
「白石君よ」
「こんなに若いのかい?大丈夫なのか?」
まぁ、無理もないと思った。いつもの反応だ。医者もそうだが、この職業は年齢イコール経験値みたいなものだ。経験値がある方が多くの対応策を考えられる、と安心する。
「ごもっともだと思いますが、本日の案件は、法律的な話になると、向こうには姦通罪、こちらには養育費や面会、そういう望まない話になっていきます。
だから、第三者の目で、お互いの要望を整理するだけだと考えてください。整理した後、折衷案を決めるのが、最終目標です。
今のままズルズルといってしまうと、赤ちゃんが産まれて、選択肢はかなり狭まります」
「あぁ、それくらいは分かってる」
「さすがですね。それなら、僕はお手伝い程度でいると考えてください」
「分かった。ちょっとトイレ行ってきていいかな?」
「ちゃんと出してきて。向こうの顔見て、トイレとか言わないように」
「わっ、分かってるよ」旦那はトイレに行った。
「あぁ、完全に使い物にならないわ。あんなこと言ってるけど、よろしくね」
「大丈夫です。皆さん、見栄を張りたがりりますから。ねぇ、キス・・・」
「随分、余裕ね。成功報酬は言ってあるでしょ」
「残念。旦那さん、かっこいいし、優しそうですね」
「まぁね、いいパパだし、文句はないわ」
「浮気してても、ですか?」
「何言ってるのよ。私もでしょ」
「そうですけど」
旦那が帰ってきた。軽く打ち合わせをしてから、旦那を先頭に対決相手が待っている場所へと向かう。
場所は旦那の知り合いの店で、個室をとってある。少しうるさくなると思うけど、とは言ってあるようだ。
旦那が店に入り、店主に確認すると、既に来ているということだ。
旦那が先に入り、しばらくしたら、会って欲しい人がいると扉を開け、白石は中に入る。スミレは、テーブルで待つ、というのが差し当たりのシナリオだ。
その後は、旦那さんには、相手が落ち着いたら、部屋を出てもらうことになると言ってある。
旦那は個室に行った。
テーブルにスミレと白石が座る。
「なんか私まで緊張してきた」
白石は手を伸ばすが、スミレはテーブルの上から、手を下ろす。
「ちぇっ」
「うまくいったらね」
すると、扉が開いた。
「行ってきます」
「よろしくね」
白石が入り、扉が閉められた。
「誰よ!」既に興奮していた。
失敗したか、まぁ、想定内だ。僕は名刺を出した。
「弁護士の白石純太と申します」
「弁護士?ねぇ、どういうつもり!私を訴えるの!酷い!」次は泣き出した。
「柳原さん、2人にしてください」
「あぁ、よろしく頼む」そそくさと出ていこうとした。
「ちょっと待って!私を一人にしないで!」
旦那さんは躊躇している。
「大丈夫です」僕ははっきりと言った。旦那さんがいると、僕の話をイチイチ旦那に確認して裏を取るようになる。そんなことしてたら、話が進まない。
「あぁ、頼むよ」と言い残し、やっと出ていった。
「いや!」美杉さんは後を追おうとする。
「今、出ていくと、2度と会えなくなりますよ」僕は強い口調で言った。
「えっ!」
僕の方をやっと向いてくれた。
「僕は美杉さんが、これからも柳原さんに会えるようにするために来たんです。安心してください。弁護士だから、嘘はつきません」優しい口調で言う。
この状況では、まず、僕が味方だと思って、冷静に話を聞いてもらわないとならない。ある程度の誇大表現は致し方ない。
「どういうことなの?別れさせるために来たんじゃないの?」
「とんでもない。あなたが柳原さんのことを好きな気持ちは十分に伝わってます。だから、これからも2人が笑顔で関係を続けられるようにするのが、僕の役目です」
「えっ、私は何をすればいいの?」
良かった。話し合いのテーブルにつかせることができた。
弁護士は罵り合いには不向きだ。そうなったら、もう尻尾を巻いて退散するしかない。
「まずは、聞いていた通り、美杉さんって美人ですねぇ。楽しみにしてたんですよ」
「そんなこと関係あるの!」
「もちろんないです。僕にも美人の奥さんがいるんですけど、不思議なことに本人に美人っていう自覚がなくて、美人って言うと、喜ぶんです。もう一人、美人の大学の先輩がいるんですけど、この人は、美人って言うと、私のことを何も知らないのに、表面のことだけ言うなって、怒るんです。美杉さんは、どっちかって言うと、先輩タイプですね」
「だから、何の関係があるの!」
「あぁ、怒らないでください。では、本題に入ります。
まずは、柳原さんは、あなたが妊娠する前、あなたに対して、どういう態度でしたか?』
「優しくしてくれたわ」
「分かりました。では、妊娠したと言った後は?」
「私を避けるようになった」
「柳原さんが態度を変えたのは、妊娠が原因だと僕は思いますが、美杉さんはどう思いますか?」
「それはそうでしょ。向こうは望んでないんだから」
「それが分かっていながら、何故、妊娠しようと思ったのですか?昔は分かりませんが、奥さんとの子供ができて、仲が良くなったと病院でも噂があったはずですが」
「だから、子供を作れば、離婚して、私と結婚してくれると思ったのよ」
「なるほど、子供を作れば、柳原さんはあなたを選ぶと思った。例えそれが望まない子供でも」
美杉さんは下を向いて、黙った。
まぁ、ここまでは順調だ。泣き叫ぶ様子はない。
「でも、奥さんと離れるどころか、自分から離れていってしまった。この結果について、どう想いますか?」
「そんなの、分かんないよ」
「じゃあ、話を変えます。未来の話をしましょう。
多分、優しい柳原さんは、あなたの子供とも定期的に会ってくれるでしょう。でも、あくまでも子供に会うだけ、になる可能性が高いですが、あなたは、それで満足できますか?」
下を向いたままだ。
「あなたは何も得られない。20年後、子供に、お母さんは私を産んで幸せだった?と質問されたら、どう答えますか?自信を持って、幸せだったと言ってあげられますか?」
僕自身も、当時のことを思い出すので、心臓の奥の方が痛くなる。
わぁ~と泣き出した。
「だから、柳原さんとの障害になっているものを取り除きましょう。そうすれば、また前のようにしてくれると言っています。
本来、命を救う仕事をしているのに、辛い気持ちは分かります。でも、誰も幸せにならないんです」
「本当なの?前のようにできるの?」
「はい、本当です。契約書を作りましょう。あなたがお腹の子を諦める代わりに、柳原さんにもそれなりに頑張ってもらいます」
「例えば?」
「そうですね。月一回以上会う。あなたの誕生日には、必ず会ってプレゼントを渡すとか、どうですか?」
「えっ、そんなこと実現できるの?」
既にスミレさんには了解を得ている。旦那さんは知らないけど。
「させますよ。もし約束を破ったら、弁護士を使って無理矢理、中絶させられたって、病院内で言いふらせばいい。でも、あくまでもみんなが幸せになるための契約書です。了承していただけますか?」
「ちゃんと本人から聞きたい」
「あぁ、もちろん、そうします。その前に柳原さんにも契約書の内容を承諾していただく必要がありますので、先に契約書を作りましょう」
「うん、わかった」美杉さんが笑顔になった。うわっ!可愛い!
ダメだ、スミレさんに怒られる、仕事、仕事。僕はパソコンと携帯プリンターを出した。
「まずは、月に会う回数です。節度ある回数でお願いします」
「そうねぇ、1回か、仕事の予定合わせるの結構大変なのよね。まっ、会えればいいわ」
「2回にしておいて、美杉さんの方から今月は1回でいいとか言うのはOKですよ」
「そっか、じゃあ2回にしようかな?」
「誕生日以外に特別な日はありますか?」
「クリスマスって言いたいところだけと、子供いるし無理だよね」
「24、25は無理かもしれませんが、その前後なら、どうですか?」
「あぁ、それいいかも。本当に弁護士さんは私の味方だったんだね」
そうして要望は決まり、契約書を紙で印刷して美杉さんに見せる。
「どうですか?』
「うん、これなら満足」
「念の為言って置きますが、全部OKをもらえるかは、分かりませんよ」
「うん、分かってるよ」
「柳原さんの意見を聞いて修正し、お互いに納得したら、2枚に署名してもらいます。それをそれぞれ保管してください」
「分かった。はぁぁ、初めは弁護士なんていうから、ビックリしちゃった」美杉はテーブルに突っ伏した。
「離婚の案件で、いきなり現れると、皆さん、ビックリされますよ」
顔を上げて、
「そうだよね~」
可愛すぎる。僕は顔を逸らせた。
「どうしたの?ははぁぁぁん、もう言ってくれないの?」
顔を戻して、赤くなりながら、
「美杉さんは、とても綺麗です」と言った。
「ありがとう、弁護士さん」
「そろそろ柳原さんに確認してもらいに行きますね」
「うん、お願い」
「大丈夫なのかい?第三者を入れて、相手が更に意固地になったりしないか?」
「そんなの誰にも分からないわよ。放っといても何も解決しないでしょ」
「確かにそうなんだけど。でも正攻法で行っても、向こうは会うとは言わないと思うけど」
「私もそう思うわ。だから、あなたが誘い出して、無理矢理会わせるしかない」
「なんか気が引けるな」
「それはしょうがないでしょ。諦めなさい」
「はぁ」旦那はため息をついた。
「私と縁美と一緒に暮らすためよ。しっかりしなさい」
「はい!頑張ります」
「会う日が決まったら、教えて」
「分かった」
そして、決戦の日となった。
縁美を何も知らない母に預けて、旦那と白石と待ち合わせた。
先に旦那と会う。
「はぁ、緊張する」
「うまくいけばラッキーくらいで思ってればいいわよ。こっちに決定権はないんだから」
「そうなんだけど」
「私と結婚すると宣言した時を思い出して。かっこよかったわよ」
「そうかい?」
そこで白石は現れた。
「白石君よ」
「こんなに若いのかい?大丈夫なのか?」
まぁ、無理もないと思った。いつもの反応だ。医者もそうだが、この職業は年齢イコール経験値みたいなものだ。経験値がある方が多くの対応策を考えられる、と安心する。
「ごもっともだと思いますが、本日の案件は、法律的な話になると、向こうには姦通罪、こちらには養育費や面会、そういう望まない話になっていきます。
だから、第三者の目で、お互いの要望を整理するだけだと考えてください。整理した後、折衷案を決めるのが、最終目標です。
今のままズルズルといってしまうと、赤ちゃんが産まれて、選択肢はかなり狭まります」
「あぁ、それくらいは分かってる」
「さすがですね。それなら、僕はお手伝い程度でいると考えてください」
「分かった。ちょっとトイレ行ってきていいかな?」
「ちゃんと出してきて。向こうの顔見て、トイレとか言わないように」
「わっ、分かってるよ」旦那はトイレに行った。
「あぁ、完全に使い物にならないわ。あんなこと言ってるけど、よろしくね」
「大丈夫です。皆さん、見栄を張りたがりりますから。ねぇ、キス・・・」
「随分、余裕ね。成功報酬は言ってあるでしょ」
「残念。旦那さん、かっこいいし、優しそうですね」
「まぁね、いいパパだし、文句はないわ」
「浮気してても、ですか?」
「何言ってるのよ。私もでしょ」
「そうですけど」
旦那が帰ってきた。軽く打ち合わせをしてから、旦那を先頭に対決相手が待っている場所へと向かう。
場所は旦那の知り合いの店で、個室をとってある。少しうるさくなると思うけど、とは言ってあるようだ。
旦那が店に入り、店主に確認すると、既に来ているということだ。
旦那が先に入り、しばらくしたら、会って欲しい人がいると扉を開け、白石は中に入る。スミレは、テーブルで待つ、というのが差し当たりのシナリオだ。
その後は、旦那さんには、相手が落ち着いたら、部屋を出てもらうことになると言ってある。
旦那は個室に行った。
テーブルにスミレと白石が座る。
「なんか私まで緊張してきた」
白石は手を伸ばすが、スミレはテーブルの上から、手を下ろす。
「ちぇっ」
「うまくいったらね」
すると、扉が開いた。
「行ってきます」
「よろしくね」
白石が入り、扉が閉められた。
「誰よ!」既に興奮していた。
失敗したか、まぁ、想定内だ。僕は名刺を出した。
「弁護士の白石純太と申します」
「弁護士?ねぇ、どういうつもり!私を訴えるの!酷い!」次は泣き出した。
「柳原さん、2人にしてください」
「あぁ、よろしく頼む」そそくさと出ていこうとした。
「ちょっと待って!私を一人にしないで!」
旦那さんは躊躇している。
「大丈夫です」僕ははっきりと言った。旦那さんがいると、僕の話をイチイチ旦那に確認して裏を取るようになる。そんなことしてたら、話が進まない。
「あぁ、頼むよ」と言い残し、やっと出ていった。
「いや!」美杉さんは後を追おうとする。
「今、出ていくと、2度と会えなくなりますよ」僕は強い口調で言った。
「えっ!」
僕の方をやっと向いてくれた。
「僕は美杉さんが、これからも柳原さんに会えるようにするために来たんです。安心してください。弁護士だから、嘘はつきません」優しい口調で言う。
この状況では、まず、僕が味方だと思って、冷静に話を聞いてもらわないとならない。ある程度の誇大表現は致し方ない。
「どういうことなの?別れさせるために来たんじゃないの?」
「とんでもない。あなたが柳原さんのことを好きな気持ちは十分に伝わってます。だから、これからも2人が笑顔で関係を続けられるようにするのが、僕の役目です」
「えっ、私は何をすればいいの?」
良かった。話し合いのテーブルにつかせることができた。
弁護士は罵り合いには不向きだ。そうなったら、もう尻尾を巻いて退散するしかない。
「まずは、聞いていた通り、美杉さんって美人ですねぇ。楽しみにしてたんですよ」
「そんなこと関係あるの!」
「もちろんないです。僕にも美人の奥さんがいるんですけど、不思議なことに本人に美人っていう自覚がなくて、美人って言うと、喜ぶんです。もう一人、美人の大学の先輩がいるんですけど、この人は、美人って言うと、私のことを何も知らないのに、表面のことだけ言うなって、怒るんです。美杉さんは、どっちかって言うと、先輩タイプですね」
「だから、何の関係があるの!」
「あぁ、怒らないでください。では、本題に入ります。
まずは、柳原さんは、あなたが妊娠する前、あなたに対して、どういう態度でしたか?』
「優しくしてくれたわ」
「分かりました。では、妊娠したと言った後は?」
「私を避けるようになった」
「柳原さんが態度を変えたのは、妊娠が原因だと僕は思いますが、美杉さんはどう思いますか?」
「それはそうでしょ。向こうは望んでないんだから」
「それが分かっていながら、何故、妊娠しようと思ったのですか?昔は分かりませんが、奥さんとの子供ができて、仲が良くなったと病院でも噂があったはずですが」
「だから、子供を作れば、離婚して、私と結婚してくれると思ったのよ」
「なるほど、子供を作れば、柳原さんはあなたを選ぶと思った。例えそれが望まない子供でも」
美杉さんは下を向いて、黙った。
まぁ、ここまでは順調だ。泣き叫ぶ様子はない。
「でも、奥さんと離れるどころか、自分から離れていってしまった。この結果について、どう想いますか?」
「そんなの、分かんないよ」
「じゃあ、話を変えます。未来の話をしましょう。
多分、優しい柳原さんは、あなたの子供とも定期的に会ってくれるでしょう。でも、あくまでも子供に会うだけ、になる可能性が高いですが、あなたは、それで満足できますか?」
下を向いたままだ。
「あなたは何も得られない。20年後、子供に、お母さんは私を産んで幸せだった?と質問されたら、どう答えますか?自信を持って、幸せだったと言ってあげられますか?」
僕自身も、当時のことを思い出すので、心臓の奥の方が痛くなる。
わぁ~と泣き出した。
「だから、柳原さんとの障害になっているものを取り除きましょう。そうすれば、また前のようにしてくれると言っています。
本来、命を救う仕事をしているのに、辛い気持ちは分かります。でも、誰も幸せにならないんです」
「本当なの?前のようにできるの?」
「はい、本当です。契約書を作りましょう。あなたがお腹の子を諦める代わりに、柳原さんにもそれなりに頑張ってもらいます」
「例えば?」
「そうですね。月一回以上会う。あなたの誕生日には、必ず会ってプレゼントを渡すとか、どうですか?」
「えっ、そんなこと実現できるの?」
既にスミレさんには了解を得ている。旦那さんは知らないけど。
「させますよ。もし約束を破ったら、弁護士を使って無理矢理、中絶させられたって、病院内で言いふらせばいい。でも、あくまでもみんなが幸せになるための契約書です。了承していただけますか?」
「ちゃんと本人から聞きたい」
「あぁ、もちろん、そうします。その前に柳原さんにも契約書の内容を承諾していただく必要がありますので、先に契約書を作りましょう」
「うん、わかった」美杉さんが笑顔になった。うわっ!可愛い!
ダメだ、スミレさんに怒られる、仕事、仕事。僕はパソコンと携帯プリンターを出した。
「まずは、月に会う回数です。節度ある回数でお願いします」
「そうねぇ、1回か、仕事の予定合わせるの結構大変なのよね。まっ、会えればいいわ」
「2回にしておいて、美杉さんの方から今月は1回でいいとか言うのはOKですよ」
「そっか、じゃあ2回にしようかな?」
「誕生日以外に特別な日はありますか?」
「クリスマスって言いたいところだけと、子供いるし無理だよね」
「24、25は無理かもしれませんが、その前後なら、どうですか?」
「あぁ、それいいかも。本当に弁護士さんは私の味方だったんだね」
そうして要望は決まり、契約書を紙で印刷して美杉さんに見せる。
「どうですか?』
「うん、これなら満足」
「念の為言って置きますが、全部OKをもらえるかは、分かりませんよ」
「うん、分かってるよ」
「柳原さんの意見を聞いて修正し、お互いに納得したら、2枚に署名してもらいます。それをそれぞれ保管してください」
「分かった。はぁぁ、初めは弁護士なんていうから、ビックリしちゃった」美杉はテーブルに突っ伏した。
「離婚の案件で、いきなり現れると、皆さん、ビックリされますよ」
顔を上げて、
「そうだよね~」
可愛すぎる。僕は顔を逸らせた。
「どうしたの?ははぁぁぁん、もう言ってくれないの?」
顔を戻して、赤くなりながら、
「美杉さんは、とても綺麗です」と言った。
「ありがとう、弁護士さん」
「そろそろ柳原さんに確認してもらいに行きますね」
「うん、お願い」
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