僕の彼女は、男子高校生

ぱるゆう

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番外篇4

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無事に春ちゃんは2人目を産んだ、と小百合から連絡があった。男の子だそうだ。

小百合が付き添いで行っている間は、僕が風斗を預かった。

歩美を女将さんに任せて、春ちゃんの2人目を見るために、風斗を連れて由紀と待ち合わせした。

「あっ、由紀、久しぶり」

「あら?風斗くん、大っきくなったね。それに良かったわね」

「何が?」僕は聞いた。

「お兄ちゃんに似なくて」

「なっ、なんてこと言うんだよ」

「別にぃ」

「お姉たん、僕、お兄たんと似てないの?」

「おぉ、昔の誰かさんと違って、可愛い」と由紀は風斗を抱きしめた。

「僕も昔は可愛かったよ」

「そうだったかしら?」

「お姉たん」と風斗が雪の袖を引っ張った。
 
「風斗くん、もちろん、お兄ちゃんとも似てるわよ。でもね。ママの方が似てるかなって思ったの」

「ママに似てるの?」

「そう。美人のママに似てるの」

「うれちい」

「可愛いぃ。風斗くん、お姉ちゃんの家の子にならない?」

「ママがいい」

「残念。お姉ちゃんの方がおっぱ」

「由紀、いい加減にしろ」
僕は風斗を抱っこした。

「ちぇっ」

「子供の前で止めてください」

 電車とバスを乗り継いでいく。風斗は乗り物が楽しそうだ。いっぱいお話ししている。

「由紀は作らないの?子供」

「えっ!他人の子供を見て、可愛いって言ってる方が気が楽よ」

由紀らしい発言だが、たまに歩美を連れて行くと、美紀さんはそうでもないのだが、マスターは恨めしそうな顔で見てくる。

「まぁ、急ぐ必要はないよ」

「そう、お父さんにも言ってよ。うるさくて」

「まぁ、春ちゃん家もいるし、玲香ちゃんにもいるし、僕でしょ。それはしょうがないよ」

「可愛い娘がずっとそばにいるんだから、文句ないでしょ」

「はいはい、可愛い娘ね」

「何!」

「何でもありません」

「一番悪いのは、ユウなんだからね」

「えっ!何でだよ」

「小さい時から全く成長しなかったからよ」

「はいはい、そうですね。僕がちゃんと大人になれれば良かったんですよね」

「ホントにそうよ!」

「怒るなよ。悪いと思ってるんだから」

「一生反省しなさい」

「分かりましたよ」

「お兄たん、お姉たん、仲良くして」

「そうだね、お兄ちゃんがしっかりしてたら良かったんだねぇ」

「そんなことは言ってません」

「こら、風斗くんが心配するから」

「はいはい」

しばらくすると、風斗がグラグラと揺れ始めた。

僕は抱っこしようとしたら、
「私がやる」と由紀が膝の上に風斗を置いた。風斗の顔と手が由紀の胸にある。

風斗が顔と手を動かす。
「こういうところは誰かさんにそっくりね。遺伝?」

「何ですか?天使様」

「フフフッ、そんなことあったね」

「本当に天使みたいに可愛かったんだけどなぁ」

「はぁ?今は違うっていうの?」

「チュ~してくれたら、また思うかも」

「勘弁してよ。何で、ユウなんかとしなくちゃならないのよ」

「ユッ、ユウなんか?」

「過去に戻って私に言ってやりたい。そんなヤツ、止めろと」

「はいはい、本当に申し訳ありませんでした。うまくいってるのかよ。彼氏とは?」

「お陰様で、近いうちに向こうの親と会いますぅ」

「えっ!そうなの?」僕は驚いた。

「まぁね。いつまでもアルバイトじゃ、向こうの親が可哀想でしょ」

「それはそうだね。でも子供は作らないの?」

「まずは結婚。それから先は、また考える」

「まぁ、急ぐこともないか」

「そういうこと」

病院のバス停に着いた。僕は由紀から風斗を抱き上げる。風斗の手が僕の胸をまさぐる。
「おい、我が子・・・我が弟ながら、見境ないな」

「今、認めた?自分の子供だって」

「僕は何も知りません」

「はいはい。パパ頑張って」

「うるさいな」

病室に行く。
「春ちゃん、おめでとう」と由紀

「ありがとうユッキー」

「おめでとう、これ」と僕が作った焼き菓子を渡す。

「えっ?ゆうくんが作ったの?」と夏樹は喜んだ。

「うん、そう」

「夏樹、まず本人に毒味させなさい」

「ちょっと春ちゃん、僕に冷たくない?」

「安心して。信用がないだけよ」

「そんなぁ」

「パパ」と足元にアキノが来た。

「パパぁ?」一斉にみんなが引く。

「夏ちゃん!僕が言わせてるみたいじゃないか!」

「フフフッ、何のこと?私は知らないわよ」

「ふ~ん、そういう態度だと、約束はなかったことにするよ」

「えっ!嫌だ!分かったよぉ。私がア~ちゃんに言わせてるの」

「夏樹、何てこと、アキノに教えるのよ。汚らわしい」

「けっ、汚らわしい?」

「だって、ア~ちゃんがパパって呼べないんだもん」

「パパ」アキノはまた言った。

「さゆ・・・母さん、風斗いい?」

「はいはい」座っている母さんに風斗を渡して、アキノを抱っこする。

アキノは満足そうにニッコリと笑った。風斗にヤキモチを焼いたのだろう。

「こんなヤツに」と春ちゃんは吐き捨てた。

僕は面倒なので無視した。

2人目を見に行くことになった。
「よく分からないけど、モテモテになるんだろうな」と僕が言った。

「遺伝子がいいからね」と由紀も言う。

「夏ちゃん、女の子の服を着せるの?」

「ううん。男の子の服で可愛いのを作るつもり」

「どっちにしろ、可愛くするんだ」

「もちろん」

「夏ちゃんの服、少しバズってるらしいわね?」

「なんか最近、注文多いの。特に子供服が」

「アキノちゃんのお陰なのかな?」

「多分ね。ついでに母親も自分の分を買う人もいる」

「追いつくの?」

「専門学校の子に、何人か手伝ってもらってる」

「うわっ、本格的になってきた感じだね。これで、茜の雑誌に載ったら、まずいんじゃない?」

「う~ん、予想がつかないから動きようがないのよね」

「まぁ、確かに」

そうして、帰ることになった。
小百合の車には、風斗、アキノのチャイルドシートと、夏樹で満席となった。
 
僕は由紀と2人で帰る。
「ホントに春ちゃんは、ユウのこと嫌いだよね」

「夏ちゃんのことがあるから、諦めてる」

「そういえば、約束って何?」

「えっ!春ちゃんに言わない?」

「言わないわよ」

「ホントだよ。知ったら殺されるから」

「分かったから」

「茜がアキノちゃんを気に入って、自分の会社のモデルにスカウトしたらしいんだけど、夏ちゃんが、お姉ちゃんの子供だから無理って断ったんだ。

それで僕に春ちゃんを説得できないかって言ってきて。僕は嫌われてるから無理って言ったんだ。

茜は夏ちゃん達のこと知らないじゃない。だから、僕が何かしたのかって言ってきて。

それで、アキノちゃんが僕をパパなんて呼んだら、どうなると思う?」

「フフフッ、面白い」

「笑い事じゃないよ」

「結婚する前のこととは言え、かなり引くでしょうね」

「その通りだよ。だから、茜に会う時は、注意してくれって夏ちゃんに頼んだんだ。そうしたら、ご褒美はって言い出して、しょうがないから、チューすることで手を打った」

「はぁ、いつまで経っても弄ばれてるわね」

「えっ!しょうがないだろ。夫婦生活のためだし、男で夏ちゃんのこと理解してるのは僕だけなんだから」

「はいはい。なんだかんだ言っても、あなたも楽しんでるのね」

「えっ!まぁ、悪い気はしないかな。ホントに春ちゃんには内緒で」

「言えるわけないでしょ。本当に殺されるわよ。しかも暗殺。春ちゃんが犯人だって絶対にバレない方法で」

「恐ろしいこと言うなよ。冗談に聞こえない」

「夏ちゃんも楽しんでるわね。完全に」

「やっぱりそう思う?」

「間違いない。不倫を楽しむ女みたいだわ」

「何で、そんなことわかるんだよ」

「うちのお母さん、お父さんで満足してると思う?」

僕はギクッとした。まさか・・・
「マスター優しいし、仲いいし、満足してるんじゃないかなぁ」

「そうかなぁ。お母さん、しばらく機嫌が悪いと思ったら、次の日に急に機嫌が良くなったりするのよね」

またギクッとしたが、
「マスターが何かプレンゼントしたりしてるんじゃない?」

「そうなのかなぁ」

それが何故、不倫を楽しむ女に繋がるのかは、無視することにした。

「由紀の結婚式、玲香ちゃんも呼ばないとね」
  
「もちろん呼ぶけど、気が早いわよ」

「由紀のウエディング姿、本当に天使みたいになるんだろうね」

「それは当然ね。後悔しなさい」

「後悔はないけど、由紀と付き合って良かったと思ってる」

「なっ、何よ。急に」

「僕のダメな所、いっぱい知ることができた。感謝してる」

「止めてよ。気持ち悪い」

「ホントだよ。だから、チュー」顔を近づけた。

「しません!」

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