72 / 99
第29話 職員会議 3
しおりを挟む
副校長は一つ頷いてから、校長と目を合わせた。
小声で「よろしいですね?」と「はい。OKです」というやりとりの後「それでは小山先生以外は、よろしいですね? はい。では、先生方よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げてから隣に話を振った。
「では、生活指導部主任の斉田先生から、ご説明をお願いします」
中年の男性英語教師である斉田が立ち上がって、手元のメモを見ながら説明を始めた。あらかじめ内容はレジメになっている。三枝指導主事の手は画面を指さして確認するに止まっている。
斉田は「レジメを改めて読み上げることはいたしません。だいたいの先生方は、もうお読みいただいたようですね」と話をはしょった。
「本件につきまして、こちらにあるような概要であると判明いたしました。もちろん、斎藤、青木、関田、松下の4名からは事情聴取ができておりませんので細部には違う点もあると思われますが、ポイントについては、管理職と話した結果、これで間違いないであろうと判断しております。1~4について話したいと思います」
パワーポイントを使って投影されている4行を斉田は指さした。
1 直接的イジメ
2 SNSによるなりすまし行為
3 「ウソ告」問題
4 体育倉庫における不祥事
「今回の問題は、本日起きた体育倉庫での不祥事だけに見えますが、その背景となる事象を踏まえないと意味が不明になります。よって、1~3の順番はさておきまして、これらを踏まえた説明をするべきであろうと。さもないと保護者にご納得いただけないと思います」
チラリと小仏教諭の方を気にする。無表情だ。
『どうやら爆弾発言は無さそうだな』
3年前に、ボイスレコーダーを使って校長を退職させたのは、すでに「伝説」となっている。会議の前にも、校長から「くれぐれも」と念を押されていた。
もちろん、斉田も、比較的仲の良い大島を使って「穏便に」とお願いはしてある。油断はできないにしても、どうやら戦闘モードではないらしい。良かった。
『ともかく、スイッチが入る前に、説明を終わらせないとな』
副校長と目線を合わせて、斉田は頷いた。これで上手く行くと思えたのだろう。口調が自然と速まった。
小声で「よろしいですね?」と「はい。OKです」というやりとりの後「それでは小山先生以外は、よろしいですね? はい。では、先生方よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げてから隣に話を振った。
「では、生活指導部主任の斉田先生から、ご説明をお願いします」
中年の男性英語教師である斉田が立ち上がって、手元のメモを見ながら説明を始めた。あらかじめ内容はレジメになっている。三枝指導主事の手は画面を指さして確認するに止まっている。
斉田は「レジメを改めて読み上げることはいたしません。だいたいの先生方は、もうお読みいただいたようですね」と話をはしょった。
「本件につきまして、こちらにあるような概要であると判明いたしました。もちろん、斎藤、青木、関田、松下の4名からは事情聴取ができておりませんので細部には違う点もあると思われますが、ポイントについては、管理職と話した結果、これで間違いないであろうと判断しております。1~4について話したいと思います」
パワーポイントを使って投影されている4行を斉田は指さした。
1 直接的イジメ
2 SNSによるなりすまし行為
3 「ウソ告」問題
4 体育倉庫における不祥事
「今回の問題は、本日起きた体育倉庫での不祥事だけに見えますが、その背景となる事象を踏まえないと意味が不明になります。よって、1~3の順番はさておきまして、これらを踏まえた説明をするべきであろうと。さもないと保護者にご納得いただけないと思います」
チラリと小仏教諭の方を気にする。無表情だ。
『どうやら爆弾発言は無さそうだな』
3年前に、ボイスレコーダーを使って校長を退職させたのは、すでに「伝説」となっている。会議の前にも、校長から「くれぐれも」と念を押されていた。
もちろん、斉田も、比較的仲の良い大島を使って「穏便に」とお願いはしてある。油断はできないにしても、どうやら戦闘モードではないらしい。良かった。
『ともかく、スイッチが入る前に、説明を終わらせないとな』
副校長と目線を合わせて、斉田は頷いた。これで上手く行くと思えたのだろう。口調が自然と速まった。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる